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請求書は分割発行できる?メリット・デメリット、分割発行のポイントを解説
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請求書発行は、ビジネスをするうえで重要な業務です。
取引先との信頼関係にも影響を及ぼす請求書の発行業務は、自社の商品やサービスを提供し、対価として支払いを求める書類を作成します。
取引を正しく記録して対価を請求するためにも、適切な請求書発行を行いましょう。
請求書の分割発行にはメリットがある一方で注意すべき点も存在します。
この記事では、請求書の分割に関する基本的な考え方やメリット、注意したいケースを詳しく解説します。
適切に請求書を分割して正しく発行するために、ぜひ参考にしてみてください。
請求書を分割して発行することはできる?
請求書は分割発行が可能です。ただし、どのような場合でも分割できるわけではありません。請求書の分割発行ができる場合とできない場合を説明します。
- 取引先との合意があれば分割で発行できる
- 請求書の分割発行が契約違反となるケース
取引先との合意があれば分割で発行できる
請求書を分割して発行する場合、取引先との合意が必要です。
合意があれば、同じ取引先への請求書を部署や部門、支店ごとに分けて発行できます。
例えば、取引先が部門ごとに独立した会計を行う部門別会計を導入している場合、経理処理を効率化するため、請求書の分割を求められることがあります。
その際も双方の合意があれば請求書を分割して発行できるのです。
また、請求書を分割する場合は次の点に注意します。
- 分割した請求書の金額の合計と、本来の請求額とが完全に一致しているか
- 分割した請求書ごとに品目・数量・金額を記入しているか
- 分割した請求書ごとに発行日・締め日・入金日を記載しているか
請求書の記載事項にミスがあれば、トラブルに発展する可能性もあります。
取引先との信頼関係を崩さないためにも、ミスや漏れがないよう十分注意して行いましょう。
請求書の分割発行が契約違反となるケース
請求書の分割には、契約違反となるケースが存在します。
例えば、契約書に「一括支払い」と明記されているにも関わらず、双方の明確な合意なしに請求書を分割して発行するケースなどです。
請求書の分割が契約違反と判断されると、契約解除や損害賠償、訴訟への発展といったリスクが生じる可能性があります。また最悪の場合は関連する契約が無効化されたり、これまでの支払額の返還を求められたりする可能性もあるため注意が必要です。
請求書分割発行を検討する際は、取引先との合意が必要です。適切な手順を踏まえることがリスク回避につながります。
請求書を分割して発行するメリット
分割発行された請求書を受け取る側のメリットは想像しやすいでしょう。
しかし、請求書を発行する側にもメリットがあります。
- 支払い側の負担を軽減できる
- 未払いや支払い遅延のリスクを防げる
支払い側の負担を軽減できる
請求書の分割には、取引先の支払い負担を軽減するメリットがあります。
特に請求額が高額な場合、一括払いは困難でも分割によって支払い負担の軽減につながります。
例えば、150万円の請求額を、50万円ずつ3回に分けて請求すると、取引先の1回あたりの支払い負担を軽くできます。
この方法は資金繰りに課題を考える企業にとって特に有効です。
分割払いにすれば、キャッシュフローの改善や資金繰りの見極めが容易になります。
請求書発行側にとっても、取引先の支払い能力に合わせて柔軟な対応が可能となり、長期的な取引関係の維持につながります。
未払いや支払い遅延のリスクを防げる
請求書の分割は、未払いや支払い遅延のリスクを回避できます。
請求額が高額な場合、期限までに全額を支払いきれないリスクが生じます。
万が一、未払いや支払い遅延が発生すれば、請求書発行側のキャッシュフローにも大きな影響を及ぼすことになりかねません。
しかし、請求書を適切に分割することで、リスクを大幅に軽減できるのです。
支払い側の負担を考慮し、請求書を2回に分けるなどして金額設定を行い、取引先との合意のもとで分割すると良いでしょう。
請求書の分割により、未払いや遅延のリスクを防ぎ、安定的な取引関係を築けるはずです。
請求書を分割発行するデメリット・注意点
請求書を分割して発行するには、気を付けた方が良い注意点もあります。
メリットだけでなくデメリットも合わせて理解し、トラブルを回避しましょう。
- 入金管理が煩雑になる
- 支払い漏れリスクが発生する
入金管理が煩雑になる
請求書の分割は、管理の煩雑さを増す原因になる可能性があります。
分割した請求書が増えると、各請求書の支払期限や金額、サービス内容といった詳細情報の正確な追跡と管理が必要です。
また、入金管理・消込の業務負担も増加します。
特に大規模なプロジェクトや多数の取引を扱う企業にとって、入金管理の情報を同時に処理することが課題となります。
請求書の分割発行は、業務の効率化とリスク管理のバランスを考慮しながら行うのもポイントです。
支払い漏れリスクが発生する
請求書の分割は、受け取る側の管理や処理工数が増えるため、支払いミスが出やすくなります。
受取金額の相違や抜け漏れなど、先方のミスの内容はさまざまですが、大切なのは早期に発見できる体制づくりです。
支払い状況を定期的にチェックし、未払いがあればすぐに対応が求められます。
分割した請求書の金額や支払日など、発行側の債権管理を確実に行えば、支払い漏れなどのミスの早期発見につながります。
請求書を分割発行するときのポイント
請求書の分割は、取引先の合意を得られれば発行可能です。
では、分割請求書を発行する際、どのようなことに気を付けると良いのでしょうか。
スムーズな取引進行のために、ぜひ参考にしてください。
- 取引先の要望に柔軟に対応する
- 専門家の法的なアドバイスを受ける
- システムの導入により業務負担を軽減する
取引先の要望に柔軟に対応する
請求書を分割して発行する際は、取引先の要望に柔軟に対応できると良いでしょう。
事業を運営していくうえで信頼関係の構築は極めて重要です。
分割払いの取り扱いについても十分な話し合いを設けましょう。
合意内容は忘れず請求書に反映させます。
また、分割回数や金額、支払期日などの重要事項も明記し、トラブルを未然に防ぐ対策を講じるのもポイントです。
専門家の法的なアドバイスを受ける
請求書の分割発行を検討する際は、専門家に法的なアドバイスを求めるのも有効な手段です。
特に複雑な契約や大規模な取引が絡む場合には、アドバイスを受けることで法的なリスクを最小化できます。
契約のリスクを回避し企業の安全を確実に守るため、法的なアドバイスを活用しましょう。
システムの導入により業務負担を軽減する
請求書分割発行は、入金管理が煩雑化する可能性があります。
事務負担やミスを軽減するため、請求書管理をサポートするシステムの導入が選択肢の1つとして有効です。
システムを選ぶときのポイントを一覧にまとめました。
ポイント | 内容 |
---|---|
対応できる業務範囲 | ・対応できる範囲はシステムによって異なるため、必要な機能が搭載されているかを確認する ・どのような処理が自動化されているのかも確認する |
他システムとの連携 | ・会計システムや販売管理システムとの連携が可能かどうかを確認する |
セキュリティー対策 | ・請求書には取引先の機密情報が含まれるため、システムのセキュリティーレベルを十分に確認する |
インボイス制度や 電子帳簿保存法への対応 | ・法制度の要件を満たしているかを確認する ・法改正があった場合に対応可能かも確認する |
請求書の分割発行にともなう管理の煩雑さに悩む方は、ぜひ請求書管理システムの導入を検討し、業務の効率化と正確性の向上に努めてください。
正しいシステムを活用し、分割発行のメリットを最大限に享受しましょう。
まとめ
請求書の分割発行は、取引先との合意があれば可能です。
分割発行にはメリットとして、支払い側の負担軽減や未払い・支払い遅延リスクの回避などが挙げられます。
分割発行する際は、取引先の要望に柔軟に対応し、専門家のアドバイスを受けることも視野にいれると良いでしょう。
請求書を分割して発行すると、入金管理が煩雑化するという課題が残ります。
また、請求書作成・送付を紙で行う場合には、回数が増えるほど煩雑な作業が増えるうえ、コストも増大します。
そこで重宝されるのが、インボイス管理サービス「Bill One」です。
Bill Oneの請求書発行機能を使えば、請求書に関わる業務を幅広く効率化できます。
- 請求書作成、メール一括送付、郵送代行も可能
- あらゆる方法で請求書を一括発行できる
- 取引先の要望に合わせた形式で発行が可能
- 電子帳簿保存法、インボイス制度にも対応
- シングルサインオンや2要素認証など万全のセキュリティー機能を搭載
請求書を分割する際、請求書ごとにインボイスに対応させる必要があります。
Bill Oneなら、インボイス制度にも対応するため安心して任せられます。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部
記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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