- 請求書
請求書の振込先はどう記載する?項目や注意点について解説
公開日:
請求書は、代金を回収するために欠かせない重要な書類です。請求書に振込先をきちんと書いていないと、再発行をするなどの作業負担が増えます。関係者に迷惑をかけないためにも、正確に作成したいものです。
この記事では、請求書に記載する振込先の書き方を中心に、注意点や振込先のほかに記載すべき複数の項目を解説します。請求書に記載する振込先情報の書き方に困ったら、ぜひ参考にしてください。
請求書の振込先の書き方
請求書の振込先情報が間違っていると、入金がスムーズに行われない可能性があります。請求書の振込先の書き方を項目別に紹介しますので、こちらを参考にして正確に記載しましょう。
金融機関名・支店名
振込先情報に記載すべき情報の一つ目は「金融機関名・支店名」です。
支店名は、銀行口座の場合は通帳やインターネットバンキングの口座ページで確認できますが、ゆうちょ銀行の場合は、通帳などに記載されている「記号」から調べる必要があります。
また、記載しておくと親切なのが「金融機関コード(4桁番号)・支店コード(3桁番号)」です。金融機関コードは全国銀行協会が管理している番号で、各金融機関に付与されています。支店コードとは、金融機関の支店別に割り当てられた番号です。
コードは、請求書の振込先情報に記載なしでもかまいませんが、紛らわしい銀行名や支店名があった場合はコードから判別できるため、誤入金のリスクを減らすことができます。なおコードは、通帳や全国銀行協会のWebサイトから確認できます。
口座番号
口座番号は振込先情報の中でも特に重要であり、かつ記載ミスが起きやすい項目です。しっかり確認してから記載しましょう。
口座番号は、ほとんどの金融機関では7桁の番号となっていますが、ゆうちょ銀行では例外があるため注意が必要です。
ゆうちょ銀行の口座番号は7桁未満や8桁のものがあり、その場合は以下のルールで記載します。
- 口座番号が8桁の場合、末尾の1を省いた7桁の数字を記載する
- 口座番号が7桁未満の場合、数字の最初に0を加え「0●●●●●●」や「00●●●●●」のように桁数を7桁に合わせて記載する
口座の種類
銀行の口座には普通預金口座や当座預金口座などの種類があり、種類を明記しなければ支払いが正常に行われない可能性があります。請求書には振込先口座の種類を必ず記載しましょう。口座の種類は、通帳あるいはインターネットバンキングの口座ページで確認できます。
口座の種類の記載方法に厳密な規則はありませんが、以下のように口座の種類と口座番号を一列に書くのが一般的です。
「普通 1234567」
「普通)1234567」
口座名義
請求書の振込先に口座名義を書く際は、書き方に注意しましょう。口座名義はカタカナで記載し、小文字(ィ・ゥ・ャ など)は大文字を用います。また、個人事業主と法人で書き方が異なります。
個人事業主の場合、屋号で口座を登録していなければ、請求書の振込先情報に書く口座名義は、個人の名前だけで問題ありません。屋号で登録していれば「屋号」または「屋号と個人名」を記載します。
法人の場合は会社名を記載しますが、「株式会社」や「有限会社」などは略称を使用するのが一般的です。略称については、後述の「口座名義には略称を使用する」の項目をお読みください。
振込元がATMやインターネットバンキングを利用する際、支店名と口座番号の入力に誤りがなければ振込先の口座名義が自動的に表示されます。これにより振込元は、請求書の振込先情報に書かれていた内容が間違っていないことを確認できます。
ただし、窓口で手続きする場合は、振込元が振込先の口座名義を記入しなければなりません。請求書に口座名義が正しく書かれていないと、振込元が窓口で手間取る可能性があります。くれぐれも間違いがないようにしましょう。
請求書に振込先を書くときの注意点
請求書に振込先を書くときの注意点を三つ紹介します。特に、口座名義の法人名称は略称で記載する点を押さえておきましょう。ミスのない請求書を作成することは、取引先との信頼関係の構築にも役立ちます。
振込先情報を漏れなく記載する
振込先情報が1カ所でも欠けていた場合、入金手続きの遅延や本来なら必要のない確認作業の発生につながります。取引先に迅速に処理してもらうために、必要事項がきちんと記載された請求書を送りましょう。
すでに説明した通り、請求書の振込先情報は以下の項目を漏れなく記載しなければなりません。
- 金融機関名・支店名
- 口座番号
- 口座の種類
- 口座名義
特に口座の種別は記載を間違いやすい項目です。送付する前に項目が抜けていないか、内容は正しいかをしっかりと確認しましょう。
口座名義には略称を使用する
口座名義が法人の場合や、営業所・出張所名、事業の種類などを含む場合、略して記載するのがルールです。会社や団体、事業の種類などによって略称は異なります。以下は、略称例の一部です。
- 株式会社:カ)
- 有限会社:ユ)
- 一般社団法人・公益財団法人:シャ)
- 合同会社:ド)
- 宗教法人:シユウ)
- 学校法人:ガク)
- 営業所:エイ)
また、略称はカッコ付きで表記しますが、名義のどの位置にあるかで付き方が変わります。
略称の位置とカッコの付き方 | 法人名の例 | 口座名義の書き方 |
---|---|---|
先頭の場合 カ) | 株式会社サンサン | カ)サンサン |
中間の場合(カ) | サンサン株式会社東京営業所 | サンサン(カ)トウキョウ(エイ |
末尾の場合(カ | サンサン株式会社 | サンサン(カ |
略称が不明な場合は、金融機関の口座名義を通帳などで確認すると良いでしょう。
振込手数料について明記する
銀行や郵便局などの口座に送金するには、振込手数料が必要です。振込手数料をどちらが負担するべきか、悩んだことがある方もいるのではないでしょうか。
民法第四百八十五条で以下のように規定されていることから、振込手数料は、お金を支払う義務のある債務者(振込元)が全額負担するのが一般的です。
弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。
引用元:民法|「e-Gov法令検索」
上記の「弁済の費用」には振込手数料も含まれます。つまり、お金を受け取る債権者(請求書を作成・送付した側)は、振込手数料を負担しなくても良いということです。
ただし双方の合意があれば、債権者が負担するよう取り決めることも可能です。振り込む際になってトラブルにならないよう、どちらが振込手数料を負担するのかを事前に取り決め、請求書にも振込手数料に関する記載を入れておくと良いでしょう。
振込先以外で請求書に記載すべき項目
請求書は、振込先情報に加えて以下の項目も一緒に記載する必要があります。
- 請求書発行事業者の名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額
- 交付を受ける者の名称
- 軽減税率の対象品目がある場合はその旨も記載
またインボイス制度が始まり、課税事業者が仕入税額控除を受けるには、適格請求書の発行を受けることが必要です。適格請求書には、上記の内容に加えて以下の情報も記載します。
- 税率ごとに区分・合計した税抜きまたは税込の対価の額と適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 請求書発行事業者の登録番号(事前登録が必要)
これらの項目を記載すれば、適格請求書としてインボイス制度に対応できます。インボイス制度に対応した請求書の作成方法を詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
請求書の振込先情報には、以下の4項目を記載しましょう。
- 金融機関名・支店名
- 口座番号(7桁)
- 口座の種類(普通または当座)
- 口座名義(カタカナで記載)
特に口座番号は間違いやすいため、送付前にしっかり確認してください。
請求書の発行や送付は、紙で行うと手間もコストもかかります。請求書を紙で発行している方は、これを機にペーパーレス化を検討してみてはいかがでしょうか。
クラウド請求書発行サービス「Bill One発行」は、請求書発行から入金消込まで請求業務の課題をワンストップで解決します。
請求書をオンラインで一括発行できるだけでなく請求情報と入金情報をリアルタイムで突合し、入金消込の自動化を実現します。
Bill One発行の特長
- あらゆる請求書をオンラインで一括発行できる
- 入金情報と請求情報をリアルタイムで突合し入金消込業務の自動化ができる
- 入金情報と請求情報の一元管理によりスムーズな債権回収ができる
請求書発行や入金消込業務の工数を削減し、月次決算の加速に役立ちます。ぜひBill One発行の導入をご検討ください。
3分でわかる Bill One発行
請求書発行から、月次決算を加速する
クラウド請求書発行サービス「Bill One発行」について簡単にご説明した資料です。
執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部
記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
- 本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。なお、本稿は、読みやすさや内容の分かりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。