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経費精算を自動化する4つの方法 | メリットや注意点、導入のステップを解説

経費精算を自動化する4つの方法 | メリットや注意点、導入のステップを解説

経費精算の自動化は、近年多くの企業で注目されている業務効率化の手段です。これまで紙やExcelでの手作業に頼っていた経費申請や承認、仕訳作業をシステム化することで、処理時間の短縮やミスの防止が期待できます。

さらに、経費精算の自動化は単なる効率化にとどまらず、企業全体の生産性向上やコンプライアンス強化にもつながる重要な取り組みとなっています。

本記事では、経費精算を自動化する4つの方法を中心に、メリットや注意点、導入時に押さえるべきステップまでを分かりやすく解説します。

経費精算の自動化で業務工数削減

経費精算を自動化するメリット

経費精算を自動化することによって下記のようなメリットがあります。

  • 業務効率の大幅な向上
  • 人為的ミスや不正の防止
  • ペーパーレス化とコスト削減

それぞれ解説しましょう。

業務効率の大幅な向上

経費精算では多くの情報を手入力する手間が発生しますが、自動化によってこの作業を減らすことで、業務効率を大きく改善できます。

たとえば、電車やバスなど公共交通機関を使った交通費の精算を申請する場合には、出発地・到着地・経由地・運賃・日付などの入力のほか、定期を購入している場合は重複している区間を差し引く必要があります。

経費精算を自動化し、交通系ICカードのデータを自動で取り込む機能を活用すれば、こうした手間のかかる入力作業をする必要がなくなります。

また、会計システムと連携すれば、転記の手間が省け、さらなる時短効果があります。

人為的ミスや不正の防止

経費精算の自動化は、人為的なミスや不正な経費精算申請を防ぐために、大きな効果があります。

精算を申請する際に多くの項目を手入力していると、注意していてもミスが発生します。入力内容をチェックする経理担当者も、件数が多いと人力では十分にチェックしきれません。

自動化によってクレジットカードや交通系ICカードのデータを取り込み、システムでチェックするようにすれば、入力ミスの予防やチェックの手間が削減されます。

また、二重申請や領収書の偽造などの不正行為も、自動で検出できるため、経費精算の不正を排除することが可能です。

ペーパーレス化とコスト削減

経費精算をシステム上から行い、領収書を電子化しクラウド上やサーバーでデータ保管することで、紙の申請書や領収書をファイルする必要がなくなり、保管スペースが不要になります。

また、経費精算の入力作業や申請書のチェックにかかる工数も大幅にカットできるため、人件費の削減につながります。

経費精算を自動化する4つの方法

経費精算業務の効率性を高めるためには、自動化システムの導入が非常に重要です。ここでは、経費精算を自動化するための主要な4つの方法について解説します。これらの手法の多くは、クラウド型経費精算システムを基盤にした連携機能や追加オプションとして提供されているものです。複数を組み合わせて導入することで、さらなる相乗効果が期待できるでしょう。

クラウド型経費精算システムの導入

経費精算の自動化を実現する上で、最も代表的な手段の一つと言えるのが、クラウド型経費精算システムの導入です。これは、インターネット環境さえあればどこからでもアクセス可能な経費精算システムであり、経費の申請から承認、仕訳、さらには支払い処理に至るまでの一連の複雑なプロセスを、驚くほどシームレスに連携させることができます。これにより、承認プロセスが一元的に管理されるため、手続きの遅延や、申請の抜け漏れといった事態を極めて効果的に防止することが可能となります。

加えて、インターネット接続環境さえ整っていれば、場所や時間の制約にとらわれることなく、経費申請や承認作業を進められるため、利用者の利便性は飛躍的に向上します。この点は、現代における多様な働き方、例えばテレワークや出張が多い企業にとって、極めて大きな利点となるはずです。

OCR機能による領収書の自動読み取り

OCR機能の導入によって領収書の読み取りが可能になります。申請者の入力の手間が不要になり、記入ミスや不正を防ぐ効果があります。

OCRは、領収書をスキャナーやスマートフォンで撮影した画像データから、日付・金額・店舗名・品目などのデータを抽出し、システム上に取り込みます。AI-OCR機能があれば、手書きの領収書にも対応可能です。

会計ソフトとの連携による仕訳自動化

経費精算システムと会計ソフトを連携させることで、申請されたデータを自動的に仕訳し、会計ソフトに記帳させることが可能です。経理担当者が手動で仕訳し入力する工程が削減されるため業務負担を軽減できます。

法人カードや交通系ICカードから取り込んだデータも同じように自動処理でき、一元管理が可能です。業務の効率化だけでなく、誤入力や二重申請のリスクを抑える効果があります。

法人カード導入による自動連携

法人カードを導入することによって、従業員が経費を立て替えることがなくなります。その上で、経費精算システムと連携させれば、利用明細のデータがシステムに自動的に反映されるため経費精算の申請の手間が大幅に削減されます。

法人カードは、従業員ごとに発行できるので、経費の支払いを法人カードに一元化すれば経費管理にかかる負担を減らし、効率化できます。

経費精算の自動化が求められる背景

経費精算の自動化が求められる背景には、下記のようなことがあります。

  • 人手不足と業務効率化の必要性
  • テレワークの拡大
  • 法制度への対応強化

こうした状況はこれからも続くことが考えられます。それぞれ解説していきましょう。

人手不足と業務効率化の必要性

少子高齢化に起因する労働人口の減少は、多くの企業にとって深刻な人手不足をもたらしています。特に、専門的な知識と経験が不可欠な経理部門では、求人活動を行ってもなかなか思うように人材を確保できない状況が続いています。

このような人手不足に対応するため、業務の効率化は避けて通れない経営課題です。経費精算のように定型化された業務は、システムを導入し、そのプロセスを自動化することで、業務効率を飛躍的に高めることが可能となります。

結果として、これまで経費精算に費やされていた貴重な人的リソースを、企業本来の事業戦略や、より付加価値の高い業務領域へと振り向けられるようになります。

テレワークの拡大

2020年以降のコロナ禍を契機に、テレワークは社会へ急速に普及し、従来はオフィス出勤を前提としていた紙の申請書類の提出や押印といった慣行を廃止する動きが加速しました。

働き方の多様化が進行した結果、テレワークは社会に深く定着し、現在では場所を問わず業務を行える環境が、企業に強く求められるようになっています。

クラウド型の経費精算システムであれば、インターネット環境さえあれば、PCやスマートフォンから申請や承認を行うことが可能です。これにより、従業員は物理的な場所に縛られることなく、自身の業務を滞りなく進められるようになるでしょう。

法制度への対応強化

近年、電子帳簿保存法やインボイス制度といった法改正が相次ぎ、経費精算業務でも、電子的な保存形式への対応や、証憑類のより正確な管理が義務付けられるようになりました。

このような社会からの要請に応えるように、経費精算の自動化を促進するための多様なシステムが開発され、普及が進んでいます。具体的には、領収書の電子データ化や、クレジットカード・交通系ICカードの利用履歴を容易にデジタルデータとして保存できる機能が、広く利用可能になっています。

これらの自動化システムを戦略的に活用することで、企業は新たな法制度に合致した形で経費精算業務を効率的に運用しやすくなるため、コンプライアンス強化にも大きく寄与します。

経費精算の自動化が失敗に終わるケースとは

経費精算の自動化は、単にシステムを導入するだけではうまくいきません。ここでは、失敗するケースについて具体的に紹介します。

業務フローを見直さずにシステムだけ導入する

これまでの非効率な業務フローをそのままにして、システムだけを導入してもうまくいきません。複雑な承認フローや、曖昧な領収書の提出ルールといった既存の経費精算の課題が残ったままでは、最新のシステムを導入したとしても十分な効果を得られないのです。

システムはあくまで道具であり、プロセスの課題を解決するには、業務フローの見直しが必須です。まずは、これまでのやり方を可視化し、どこに問題があるのかを明確にすることから取り組むことが重要です。

従業員が使いこなせない

経費精算の自動化が進まない理由の一つとして、従業員がシステムを使いこなせないことがあります。

これは、単にシステムの使い方が難しいということだけでなく、マニュアルの整備や研修などが不十分であることや、従来の紙を用いたやり方とシステムが混在して、現場の従業員が混乱するといったことが原因です。

また、自動化を推進する企業側の方針が現場に浸透しておらず、従業員側でやらされている感覚が強いため、積極的な活用に至らない場合もあります。

システムを導入する前には、現場の状況をヒアリングして従業員の声を吸い上げ、システム利用のメリットを十分に周知することが重要です。また、導入前の研修やマニュアルの整備をしっかりと行い、不明点に対するサポート体制が必要になります。

既存システムとの連携が取れない

新たに導入した経費精算システムと、会計ソフトなど既存のシステムとの連携がうまくとれない場合は、かえって手間がかかり経費精算の自動化が進まない原因となることがあります。

経費精算システムのデータを会計システムやERPシステムに反映させるために手作業が必要になると、二度手間が発生し作業ミスがしやすくなります。

また情報の一元化ができていないと、従業員は複数のシステムにログインして作業する必要があり、利便性が低下します。

導入前には、既存のシステムとの連携の可否を精査する必要があります。また、経費精算システム選定の際には、連携機能にも注目することが重要です。

経費精算の自動化を進める3ステップ

経費精算の自動化を進める3つのステップについて説明する図

経費精算を真に自動化するためには、単にシステムを既存の業務フローへ当てはめるだけでは、決して成功しません。以下に示すような、確かなプロセスを踏みながら、段階的に進めていくことが不可欠となります。

現状業務の可視化と課題の洗い出し

まず着手すべきは、現状の経費精算業務プロセスを詳細に可視化し、潜在的な課題を洗い出すことです。経費の発生から最終的な会計処理が完了するまでの全行程を細分化し、それぞれの段階に関与する担当者、具体的な作業内容、そして発生しているコストなどを網羅的にリストアップします。同時に、各段階に潜む潜在的な課題やリスクも徹底的に特定することが重要です。

発見された課題は、優先順位をつけながら評価を進めます。なぜなら、すべての課題を一度に解決しようとすれば、莫大な費用と時間を要し、現実的ではないからです。業務全体の効率化という観点から、企業として真に取り組むべき課題を明確にすることが、この初期段階において極めて重要となります。

自社に合ったシステムの選定

次の段階では、具体的なシステムの選定に入ります。この選定において、費用や機能といった側面よりも、まずは「今回洗い出された自社の課題を解決するために、このシステムが本当に適しているのか」という視点で検討を進めなければなりません。

その上で、システムの機能、データの処理方式、操作性、将来的な拡張性、セキュリティー体制、そしてサポート品質などを多角的に比較検討します。

先にも述べましたが、既存のシステム(例えば会計ソフトなど)との連携可否は、導入後のスムーズな運用に大きく影響するため、この点はとりわけ十分な確認を行う必要があります。

段階的な導入と社内周知

システムの選定が完了しても、すぐに全社一斉に導入するのではなく、段階的に進めることこそが、その成功を確実にするための重要な鍵となります。現場での混乱を最小限に抑え、新たなシステムを従業員にしっかりと定着させるためには、導入計画を綿密に策定し、加えて十分なサポート体制を事前に用意しておくことが極めて重要です。

具体的には、まず先行導入する部署を選定し、そこでテスト運用を開始します。実際にシステムを使用してみると、当初は見えなかった使いにくさや、予期せぬ不具合などが発見されることがあります。先行導入部署でこうした問題を徹底的に解消してから、徐々に導入部署を広げていくことで、スムーズな利用拡大へとつながるでしょう。

これと並行して、従業員に対する丁寧な研修や、分かりやすいマニュアルの整備を進めるべきです。特に、先行導入部署で明らかになった疑問点や不具合への対処法などをまとめて共有し、改善していくことが推奨されます。

こうした技術的な対策に加え、従業員に対し、システム導入の狙いや自動化がもたらすメリットなどを継続的にコミュニケーションしていくこと、そして不明点を迅速に解消できるフォローアップ体制を整えておくことが、何よりも重要となります。

まとめ

本記事では、経費精算業務の自動化に関する方法、それに伴うメリット、注意点、そしてシステム導入における具体的なステップを網羅的に解説しました。

経費精算業務の自動化は、業務効率の大幅な向上、人為的なミスの削減、不正発生の防止など、企業にとって多岐にわたるメリットをもたらします。

近年の経費精算システムは、クレジットカードや交通系ICカードとの連携機能に加え、AI-OCRなどの高度な機能を搭載し、自動化の精度と利便性が飛躍的に向上しています。

自社の業務プロセスを丁寧に分析し課題の解決に適したシステムを導入をすることで、新たな仕組みを無理なく定着させることができ、大きな成果につなげることができるでしょう。

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