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経費精算に領収書が必要な理由は?なくしたときの対処法や法対応の疑問を解説
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経費精算を行う際、領収書は支出を証明する書類となります。企業が健全な経営を維持し、税務上の義務を果たすために、領収書を正しく取り扱うことは必須です。
しかし、従業員が業務の中で領収書を紛失してしまうトラブルや、経費精算の確認作業が複雑化していることに頭を悩ませている担当者もいるでしょう。
本記事では、経費精算における領収書の重要性や、紛失・不備があった場合の対処法について詳しく解説します。さらに、経費精算システムの機能や導入のメリットについても取り上げます。
領収書の電子保存に対応!経費精算システム
経費精算に領収書が必要な理由は?

そもそも、経費精算では、取引の事実を証明するために領収書を提出することが一般的です。理由は大きく分けて3つあります。
- 支払いの正当性を証明するため
- 不正を防止するため
- 税務上必要な書類であるため
それぞれの理由について、もう少し詳しく見ていきましょう。
支払いの正当性を証明するため
領収書は商品やサービスに対して、適切な代金を支払った証拠です。領収書を添付することで、経費が実際に業務上必要な支出であったことを証明できます。
また領収書には取引日時、金額、取引内容、支払い方法などの詳細情報が記載されており、取引の透明性を確保する役割を果たします。特に宛名や但し書きは、業務にまつわる支出であることを明確にする重要な要素です。
不正を防止するため
領収書の提出を義務付けることで、実際には支払っていない経費を申請する架空請求や、領収書の使い回しによる二重請求などの不正行為を防止する役割を果たします。
領収書は代金を受領した者が支払いの事実を認めて発行する書面であり、支払いの事実を証明する証憑として機能するからです。
税務上必要な書類であるため
法人税法や消費税法において、領収書は重要な証憑(しょうひょう)書類として位置付けられています。税務調査や会計監査の際には、経費計上の根拠資料として確認されます。領収書が不足していると、適切な経費として認められず、追加の課税が発生する可能性もあります。
特に消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイス制度における記載要件を満たした領収書の保存が必要です。また法人税法により、領収書などの帳簿書類は原則として7年間の保存が義務付けられています。
領収書がない時・なくした時に経費精算をする方法

経費精算において領収書が重要な役割を果たすことはご理解いただけたかと思います。しかし領収書がそもそも発行されない取引の精算や、受領後に紛失してしまった場合の精算はどのようにすればよいのでしょうか。
- 領収書が発行されない場合の経費精算方法
- 領収書をなくした場合の経費精算方法
ルールに則った精算処理をするために、詳しく紹介します。
領収書が発行されない場合の経費精算方法
電車やバスの運賃、香典や祝儀など、領収書が発行されない取引は多く存在します。そういった場合は出金伝票を起票し、支払いを証明できる資料を提出することで、支出を証明しなければなりません。
ここで領収書が発行されない取引の経費精算方法について、取引内容別に紹介します。
会食費
会食に参加し、万が一領収書が受領できなかった場合は、出金伝票の起票と併せて会食の招待状や案内状などを添付するのが一般的です。クレジットカードの利用明細も証拠書類として活用できます。
祝儀・香典
祝儀や香典は支払い先が事業に関連した相手かどうかを証明するために、出金伝票に葬儀や式典の案内状、香典を渡した際に受け取る会葬礼状を添付します。
交通費
電車やバスなどの公共交通機関では、領収書が発行されないことがほとんどです。そのため多くの企業では、3万円未満の近距離交通費については、領収書の提出を不要とする代わりに、出金伝票や交通系ICカードの履歴で対応しています。
出金伝票を提出する場合、移動日や利用した区間、訪問先、金額を正確に記載します。ただし、定期券区間の重複や私的な移動が含まれないよう注意が必要です。
その他の少額支払い
上記以外の支払いにおいて領収書がない場合、出金伝票以外に取引の事実を示す補助資料(写真など)を添付することで経費精算できる場合があります。
領収書をなくした場合の経費精算方法
領収書をなくした場合、経費精算は社内規定に準じて行います。ここでは、一般的な経費精算方法を説明します。
なお、領収書を頻繁に紛失したり、経費が高額だったりした場合、経費計上の否認や税務調査で脱税を疑われる可能性が高まるため、領収書は厳重に取り扱う必要があります。
再発行の依頼
宿泊施設や飲食店などであれば、店舗で領収書を再発行できる可能性があります。まずは利用した店舗へ連絡し、支払いの記録が残っているか、領収書を再発行できるかを確認しましょう。ただし、店側には領収書を再発行する法的義務がないことに注意が必要です。
また、再発行された領収書には二重発行を防ぐため「再発行」という印が押されることが一般的ですが、これは経費申請において問題ありません。
代用書類の準備
領収書の再発行が難しい場合は、支払いの事実を客観的に証明できる書類を準備します。クレジットカードの利用明細や、オンラインショップから届いた購入完了メール、注文履歴の画面などは、領収書の代わりとして有効です。銀行振込で支払ったのであれば、振込明細書も証拠になります。
これらの書類が領収書の代わりとして認められるかどうかは、事前に経理担当者に確認が必要です。企業によっては、金額が高額な場合に、領収書を紛失した経緯を記した「紛失理由書」や「顛末書」の提出を求める場合もあります。
経費精算をキャッシュレスで効率化
経費精算で使用できない3つの領収書
経費精算において、領収書があれば何でも精算できるわけではありません。不備があるものは、税務調査で否認されるリスクや、社内規定で受理不可となるケースがあります。ここでは、特に注意すべき3つのパターンを解説します。
私用で購入した分が混ざっている領収書
業務用の物品と私的な物品を同時に購入した場合、1枚の領収書にまとめることはできません。私的利用分が含まれたまま経費申請を行うと、たとえ意図的でなくとも、不正請求とみなされる恐れがあります。
公私の区別を明確にするために、会計の時点でレジを分けるなど、プライベートな買い物とは完全に切り離して領収書を発行してもらいましょう。
金額が手書きで修正されている領収書
領収書に記載の金額が二重線や修正テープなどで手書き修正されているものは、証憑書類とはなりません。金額の修正は内容の改ざんや水増し請求を疑われる要因となり、企業としてのコンプライアンスにも関わります。
もしも記載内容に誤りがあった場合は、その場で正しい内容のものを再発行してもらうよう、発行元に依頼しましょう。
日付・金額が読み取れない領収書
印刷が極端に不鮮明だったり、文字のかすれなどで内容が判別できなかったりする領収書も、経費精算には使用できません。支払い内容を客観的に証明できない書類は、税務調査において否認される対象となります。
保管の際は、光や熱による感熱紙の文字消えや、摩擦による摩耗を防ぐための対応が必要です。
インボイス制度で変わる領収書の要件と経費精算業務

2023年10月のインボイス制度開始により、登録事業者が不特定多数の者を相手とする取引(小売・飲食・タクシー等)において発行する領収書は、適格簡易請求書(簡易インボイス)として機能します。
Sansan株式会社が行った調査では、経費精算に関する課題として「インボイス制度で求められる要件を満たすかどうかの確認に手間がかかる」と回答した経理担当者が35.0%と最も多い結果となりました。

参照:Sansan株式会社|Sansan、「経費精算に関する実態調査」を実施~インボイス制度で負担増、一社あたり月1500件の立替が発生。約3割が経費の不正利用を見聞きしたことがあると回答~
適格簡易請求書として認められる領収書の要件
領収書が適格簡易請求書として認められるためには、次の記載項目を満たしている必要があります。
- 発行者の氏名・名称(事業名)
- 登録番号
- 取引年月日
- 取引の内容(軽減税率対象の有無)
- 税抜・税込金額の合計額
- 適用税率(10%・8%)または消費税額等
これらの記載項目は、取引の証拠として重要な役割を果たします。一つでも欠けている場合は、適格簡易請求書として認められません。
受け取った際には必要項目が正確に記載されているか、入念にチェックしましょう。
経理部門の新たな確認業務
領収書が適格簡易請求書になったことで、経費精算時の領収書におけるチェック(宛名、金額、日付など)に加え、登録番号や税率区分の確認が必要となりました。そのため、経理部門の作業負担が大幅に増加しています。
特に領収書は紙で受領することが多いため、保管状態が悪かったり、文字がかすれていたりすると登録番号や税率区分が読み取れないケースがあります。そうした場合、取引先へ直接確認するなどの作業が必要です。
また、免税事業者との取引は原則として税額控除対象外となるため、取引開始時に登録番号の取得有無の確認や、既存取引先の登録状況の定期的なチェックなど、新たな管理業務も増えているのです。
従業員への周知と教育のポイント
インボイス制度による経理部門の業務負荷を軽減するには、非経理部門の従業員にもインボイス制度の理解を促すことが重要です。
日々の業務で領収書を受け取る全従業員が制度を理解していないと、領収書の不備による再受領や、仕入税額控除が受けられないことによるコスト増加などの問題が発生します。
そのため、適格簡易請求書の要件を改めて認識してもらうとともに、登録番号がない領収書では仕入税額控除が受けられないことを、全従業員に周知する必要があります。
宛名なし領収書の経費精算方法

領収書に宛名の記載がない場合、税務上のリスクが生じるため、原則として再発行を依頼することが推奨されます。ただし、適格簡易請求書に該当する場合(飲食業・小売業等)、宛名の記載は不要とされています。
以下の業種では適格簡易請求書の発行が認められています。
- 小売業
- 飲食店業
- 写真業
- 旅行業
- タクシー業
- 駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限る)
- その他、これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業
引用:国税庁「適格請求書等保存方式 (インボイス制度)の手引き」(2023)
上記の業種以外の取引先から宛名なし領収書を受領した場合、まずはすみやかに再発行を依頼しましょう。困難な場合はクレジットカード明細や銀行の引き落とし明細などとともに、取引の経緯や業務関連性を説明できる書類を作成し、税務上のリスクを考慮した上で処理する必要があります。
領収書に関連する経費精算システムの機能

経費精算システムを導入すると、領収書の取り扱いに関する業務が効率化されます。その機能は経費精算にとどまらず、他の経理業務の効率化も期待できます。
経費精算の自動作成機能
多くの経費精算システムには、スマートフォンで撮影した領収書やPDF形式のデータを解析する機能があります。AIを用いたOCR(光学文字認識)技術により、日付、支払い先、金額といった情報を自動で読み取り、申請データへ反映します。
この機能を活用すれば、人間による打ち間違いや計算ミスを未然に防げます。入力作業の負担が軽減されるため、忙しい従業員でも短時間で精算作業を進められるようになります。
領収書のインボイス要件のチェック
インボイス制度への対応を支援する機能も、多くのシステムに搭載されています。取り込んだ領収書に記載された発行者や取引日などが、適格請求書の項目を満たしているかどうかもチェックします。
また、登録番号が適格請求書発行事業者のものとして有効かどうかを自動で照合します。これにより、経理担当者が一つひとつの番号を国税庁のサイトで検索する手間が省けます。
領収書の電子保存
電子帳簿保存法に対応したシステムを利用すると、法律の要件を満たしつつ、領収書を電子データとして保存できます。スキャナーやスマートフォンで取り込んだ画像に、改ざんがないことを証明するタイムスタンプを付与したり、訂正や削除の履歴を残したりすることも可能です。
法律の要件を満たした形で電子保存を行えば、原本である紙の領収書を破棄することも可能になり、社内のペーパーレス化につながります。検索機能も充実しているため、過去のデータを参照したい際にも速やかに見つけ出すことができます。
承認ワークフローの設定
システム上で承認ルートを設定することで、申請から承認までの流れをオンラインで完結できます。上長や経理担当者は、オフィスにいなくてもPCやスマートフォンから内容を確認し、承認手続きを行えます。
これにより、出張やテレワークを実施している企業でも、物理的な書類の回覧を待つ必要がありません。承認の進捗状況も可視化されるため、承認を催促したり、確認漏れを防止したりできます。
他システムとの連携
経費精算システムは、他の業務システムと連携することで、さらに効率化を図れます。例えば稟議書システムと連携させると、事前に承認された出張申請と実際の精算内容を紐付けて管理できます。
また会計システムと連携すると、承認済みの精算データから仕訳作成が可能です。システムによっては、仕訳作成を自動化することも可能です。これにより、経理担当者が手動で会計ソフトにデータを打ち込む作業がなくなり、決算業務の早期化にもつながります。
経費精算の電子化で業務工数削減
経費精算をシステム化するメリット

現在は電子帳簿保存法のスキャナ要件に則って電子化すれば、領収書の現物保管が実質的に不要となっています。こうした変化を背景に現在、電子申請に対応した経費精算システムの普及が加速しています。
ここからは経費精算システムの導入によるメリットを5つ紹介します。
- 領収書紛失リスクの解消
- 経費精算業務の効率化と工数削減
- 電子帳簿保存法に準拠した領収書保管
- 経費ルールの統一化
- 不正の防止
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
領収書紛失リスクの解消
従来の紙ベースによる運用では、精算時まで領収書を手元に保管し続ける必要があり、紛失のリスクがありました。しかし、経費精算システムの導入により、領収書を受け取ったその場でスマートフォンのカメラ等を用いてデータ化し、クラウド上で即時管理が可能になりました。
これにより、物理的な紛失リスクを最小限に抑えられるだけでなく、外出先からでも速やかに申請が行えるため、手元に紙の領収書をため込むリスクを解消できます。結果として、従業員は速やかに申請でき、経理担当者も書類の不備や紛失に伴う確認作業を削減することができます。
経費精算業務の効率化と工数削減
Sansan株式会社が実施した調査によると、1社当たり月に1500件以上の経費精算が発生しており、経理担当者はその処理に月100時間を費やしているという実態が明らかになっています。
参照:Sansan株式会社|「『経費精算に関する実態調査』を実施~インボイス制度で負担増、一社あたり月1500件の立替が発生。約3割が経費の不正利用を見聞きしたことがあると回答~」
経費精算システムを導入すると、入力作業や手作業による確認作業を自動化でき、これらの工数を削減できます。また経理担当者だけでなく、申請者も領収書の転記作業から解放されるため、本来の業務に集中できる時間が増えます。
電子帳簿保存法に準拠した領収書保管
領収書をスキャナ保存する場合、電子帳簿保存法に対応するには次のような要件を満たさなければなりません。
- タイムスタンプの付与
- 訂正削除履歴の保存
- 電子計算機などの備え付け
- システム関係書類の備え付け
- 検索機能
Sansan株式会社の調査によると、自力で電子帳簿保存法に対応した場合、デメリットのほうが大きいと感じる企業が多いことがわかっています。


参照:Sansan株式会社|Sansan、「電子帳簿保存法に関する実態調査」を実施~大手企業の6割以上はメリットを感じており、中小・中堅企業は自社対応による業務の複雑化に課題を感じている~
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入することで、保存要件を満たした領収書管理が簡単にできるようになります。
経費ルールの統一化
システムによる自動チェック機能を活用すれば、社内の経費ルールを厳格かつ公平に運用できます。例えば、1人当たりの飲食費の上限設定や、事前申請のない高額支出の制限などをシステム上で制御可能です。
判定がシステムによって自動で行われるため、担当者によって判断が分かれるといった属人化も防げます。組織全体で統一された基準が適用されることで、従業員の納得感も高まり、企業のガバナンス強化に寄与します。
不正の防止
経費精算システムは、意図的な不正申請を抑止する仕組みを持っています。過去の申請データとの照合により、同じ領収書を使い回す二重申請や、本来の金額に上乗せする水増し請求を自動で検知し、申請できないようにします。
また承認履歴がすべてログとして可視化されるため、不適切な処理が行われていないか後から検証することも可能です。監視の目が常に行き届く環境を整えることで、経費精算の不正を未然に防ぐことが期待できます。
まとめ
経費精算において領収書は、支払いの正当性を証明し、不正や税務リスクを防ぐ上で重要な書類です。そのため領収書を適切に管理することは、企業の信頼を守ることにもつながります。
万が一、領収書が発行されない場合や紛失してしまった場合でも、出金伝票や代用書類を準備することで対応は可能です。しかし、こうした例外処理が増えると、作業の遅れや人為的ミスを発生させる原因になります。
経費精算の正確性と効率を高めるためには、経費精算システムの導入が有効です。自動読み取り機能や法令に準拠した電子保存機能を活用すれば、社員や経理担当者の負担を減らし、不正防止にもつながります。まずは現在の精算フローにおける課題を洗い出し、よりスムーズな運用を目指してはいかがでしょうか。
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記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、グローバル事業の支援を得意とし、「国際ビジネス法務サービス」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部




