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入金管理とは?業務の流れやポイント、管理方法について解説
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経理業務の一つである「入金管理」は、取引先からの入金有無を確認し、正しく帳簿へ反映するプロセスです。取引先が増えるほど作業量とヒューマンエラーのリスクが拡大します。
入金管理が停滞したりミスが生じたりすると、自社と相手先の双方で、業務に支障をきたす恐れがあります。このような課題を解決するためには、入金管理システムの導入が効果的です。
本記事では、入金管理の具体的な業務の流れや留意点、管理方法などについて解説していきます。
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入金管理とは

入金管理とはどのような業務を指すのか、また、必要な理由について解説します。
取引先からの入金が適切に行われているかを確認する業務
入金管理は、取引先からあらかじめ定められた日に入金が行われたかどうかや、請求金額と入金額が一致しているかを確認し、入金消込をする業務のことです。なお、入金消込とは、取引先へ販売した商品やサービスの対価として請求した代金が入金された時点で、売掛金を削除する作業を指します。
入金管理は、売掛金の管理や取引先との信頼関係を維持するために重要な業務です。適切な入金管理を行うことで、企業運営上欠かせない資金繰りや業績管理を適正化できます。
入金管理が必要な理由
企業は資金繰りを円滑にするために、入金管理を厳格に行う必要があります。入金管理を徹底して行うことで、請求漏れや回収漏れを防ぐことが可能です。入金管理をずさんにすると、入金の遅延や請求ミスなどの状況把握が遅れてしまうことがあります。
入金が適切に行われないと企業のキャッシュフローが悪化し、自社から仕入先への支払いが滞ったり、投資に必要な資金を用意できないといった事態に陥ったりするリスクも考えられます。
売掛金の正確な管理
売掛金とは、商品やサービスなどを提供したものの、まだ受領していない代金を指します。
入金予定日や入金予定額を把握していない場合、各取引の完了状況を正確に判断できません。入金の遅れや漏れの発見が遅れると、正確な収益の計算が困難となり、未回収リスクも高まります。そのため、請求情報と入金情報を照合し、売掛金の状況を常に把握しておく必要があります。
キャッシュフローの安定
企業のキャッシュフローを安定させるためには、入金管理が不可欠です。売掛金の未払いが続くと、予定していた資金が入金されず、キャッシュフローが悪化します。入金管理を徹底し、支払い遅延が発生している取引先に速やかに連絡を取ることで、資金の流れの停滞を回避できます。計画的な資金繰りを実現し、安定した企業経営を継続するためにも、入金管理は重要です。
不正の防止
入金管理は、社内不正の抑止にもつながります。例えば、担当者が取引先から回収した現金を着服し、企業には未入金として報告するケースが考えられます。
入金管理のルールを明確化し、複数の担当者で請求と入金をチェックする仕組みを作ることで、不正発生リスクを低減できます。
入金管理業務の流れ
入金管理業務は、主に以下のような手順で行います。
- 入金管理台帳の作成と管理
- 入金確認・消込
- 督促
- 督促状の送付
- 法的措置の検討
流れに沿って、具体的な業務内容について解説しますので、順番に確認しましょう。
1.入金管理台帳の作成と管理
企業ごとに取り扱う商品やサービス、取引先、取引金額は多岐にわたります。自社の入金を正確に管理するためには、取引先・取引内容に関する情報を取りまとめる台帳を作成する必要があります。この台帳を「入金管理台帳」といいます。
入金管理台帳に必要な項目例は、以下の通りです。
案件番号・ID | 社内の入金管理業務でミスを防止するための案件単位で付与する識別子 |
|---|---|
案件名・商品名・サービス名 | 対象となる案件名やサービス名などの品目 |
担当者名・連絡先 | 取引先の担当者名や連絡先 |
受注額 | 取引を受注した際の金額 |
請求額 | 請求時点の金額(受注額と異なる場合があるため区別して記載) |
受注日 | 案件を受注した日付 |
請求日 | 取引が完了し、取引先に代金を請求した日付 |
入金予定日 | 契約上の入金期日 |
入金日 | 実際に入金があった日付 |
これらの情報を入金管理台帳に記載し、常に正しい金額や明細を把握できる状態になっていることが望ましいです。
2.入金確認・消込
入金管理台帳を基に、取引先から適切に入金されているかを確認し、入金消込を行います。入金消込とは、取引先へ販売した商品やサービスの対価として請求した代金が入金された時点で、売掛金を削除する消込作業のことです。
入金確認・消込の一連の手順は、次の通りです。
- 【売掛金の仕訳】取引先に請求を行った際に、売掛金(資産)を借方に仕訳し、貸方には売上(収益)を記載する。これにより、売掛金が発生し売上が計上される。
- 【入金確認】請求期日までに正しく入金されているか否かを確認する。入金データをもとに金額についても照合し、請求書と差異がないことをチェックする。
- 【入金消込】入金額を借方に預金(資産)として記載し、借方に記載していた売掛金(資産)を貸方に変更して処理する。
3.督促
入金確認の際、入金予定日までに入金が確認できなかった取引先(請求先)に対し、督促を行います。督促は、経理担当者もしくは営業担当者が実施するのが一般的です。
入金済みであるにも関わらず、勘違いにより催促してしまうと、取引先からの信頼が低下する恐れがあります。ダブルチェックなどを行いながら、誤りがないことを十分に確認し、督促を行うことが重要です。
なお、売掛金は「売掛金元帳」とも密接に関わっているため、請求管理の際は、合わせて確認するようにしましょう。
4.督促状の送付
電話やメールでの催促に応じない場合は、督促状の送付を検討します。これは「指定した期日までに支払いがなければ法的措置へ移行する」という、企業の強い意思を示すための正式な書面です。
督促状を送る際は、証拠保全の観点から内容証明郵便の利用を検討するとよいでしょう。内容証明郵便は送付日時と文書内容を郵便局が証明するため、万が一裁判に発展した場合に、請求の事実を客観的に示す証拠として利用できます。
5.法的措置の検討
督促状を送付しても支払いに関する進展が見られない場合、最終手段として法的措置を検討します。法的措置は解決までに時間と費用を要するため、実行に移す前には顧問弁護士へ相談するなど、慎重な判断が求められます。
主な法的措置には、3つの方法が考えられます。
1.支払督促
簡易裁判所を通じて相手に支払いを命じてもらう手続きで、相手からの異議申し立てがなければ、仮執行宣言を経て強制的に財産を差し押さえる「強制執行」が可能になります。
2.少額訴訟
請求金額が60万円以下の場合に利用できる手続きで、原則1回の期日で審理が終わり判決が下されるため、迅速な解決が期待できます。
3.通常訴訟
請求金額が60万円を超える場合や、相手が争う姿勢を見せている場合に用いられる一般的な裁判手続きを指します。
入金管理を行う際の留意点
入金管理を正確に、かつ円滑に進めるための留意事項を解説します。
振込手数料についての取り決め
取引において発生する振込手数料の負担について、事前に取り決めておくことが重要です。
手数料自体は大きな金額ではないものの、入金の都度発生するコストであるため、後日のトラブルを防ぐためにも確認しておきましょう。
特に、以下の点は、忘れずに取り決めておきたい項目です。
- 負担方法:自社・取引先のどちらが手数料を負担するか
- 手数料の節約方法:債権を個別に振り込むか、複数を合算して振り込むか
こうした内容を自社や取引先の希望を踏まえて調整し、契約書に記載します。
誤った入金があった際の対応方法
「請求した金額」と「入金された金額」が異なる場合、早急にその旨を取引先へ連絡しましょう。
入金不足の場合は、原因を確認した上で、差額を通知し再請求します。その際は、故意ではなくミスである可能性も考慮して、丁寧に伝えることが大切です。
反対に、入金過多の場合は、振込手数料を引いた額を返金するか、次回の取引額と相殺する方法などがあるため、取引先へ確認する必要があります。
誠実かつ迅速な対応が、相手との信頼関係の構築や円滑な取引につながります。
円滑な情報共有の徹底
正確な入金管理を行うためには、社内での円滑な情報共有が欠かせません。担当者間の連携が不足すると、入金の確認漏れや二重請求といったミスにつながります。
例えば、営業担当者が取引先から「支払いが少し遅れる」という連絡を受けていたとします。その情報が経理担当者に伝わっていなければ、経理担当者は事情を知らずに督促の連絡を入れてしまい、取引先との信頼関係を損なうかもしれません。
このような事態を防ぐためにも、請求後の入金状況や未払いの連絡といった情報は、関係者間ですぐに共有できる仕組みを整備する必要があります。
入金管理の方法

入金管理方法には、主にExcelやシステムで管理する手法があります。
それぞれの特徴を確認していきましょう。
Excelで管理する
入金管理方法として、Excelを導入している企業は多くあります。無料のテンプレートなども活用できるため、追加のコストをかけずに管理できる点がメリットです。
また、クラウド上でExcelにアクセス・編集できる形で運用することにより、テレワークの導入促進に効果が期待できます。ただし、手作業での煩雑な業務となるため、どうしても労力がかかるうえに、入力ミスなどの人為的エラーが発生しやすいのが難点です。
また、PCのトラブルやデータの破損が起こると、入金が管理できなくなってしまうため、定期的に入力データのバックアップをとり、対策する必要があります。
請求書は機密情報が含まれるため、セキュリティーソフトの導入やアクセス権の設定、データ持ち出し禁止といった社内ルールを設けるなど、セキュリティー対策を講じることも重要です。
システムで管理する
取引件数が増加すると、手作業やExcelを使用した入金管理では、業務の負担が大きくなります。
そこで、入金管理をサポートしてくれるシステムを導入すると、入金管理を効率化できます。
作業労力や時間を大幅に減らせるうえ、人為的ミスの削減につなげることも可能です。資金の全体的な流れや、未回収金の有無・金額などもリアルタイムで即時に可視化できるため、督促するタイミングを逃しません。
システムによって特徴は異なりますが、顧客・案件ごとの入金ステータスをシステム上で一元管理できたり、入金消込を自動化できたりする機能を持つシステムもあります。また、クラウドシステムであれば、社外からのアクセスも可能となり、テレワークの導入促進にもつながります。
まとめ
入金管理を手作業で行うと、手間がかかるうえにヒューマンエラーも起きやすく、経理担当者の負担になっているケースが少なくありません。入金管理が滞ると、入金遅延や請求ミスなどの把握が遅れてしまい、資金繰りが悪化したり、取引先からの信用を失ったりするおそれがあります。
こうした課題を解決するためには、入金管理を効率化するサービスの導入を検討する必要があります。
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記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、グローバル事業の支援を得意とし、「国際ビジネス法務サービス」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部






