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請求書受領サービスとは?3つのタイプや特徴、導入するメリットについて解説
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請求書業務は、毎月発生するうえに手間がかかります。さらに、インボイス制度や電子帳簿保存法といった法制度にも対応しなければならず、担当者の負担は増すばかりでしょう。
こうした課題を解決するためには、請求書受領サービスの活用が便利です。本記事では、請求書業務の効率化をめざす事業者に向けて、請求書受領サービスの概要や種類、導入のメリットや選ぶ際のポイントなどを詳しく解説します。
請求書受領サービスとは
請求書受領サービスとは、請求書の受領に関連するさまざまな業務の効率化につながるサービスです。
「請求書の受領」「電子帳簿保存法に対応した請求書データの保存」「紙の請求書をスキャンして保存」といった業務を効率化できるため、経理担当者の負担軽減が実現できるでしょう。
請求書受領にまつわる課題
請求書受領にまつわる課題は主に下記の5つです。
- 請求書の形式がバラバラで複数担当者に送付される
- 人為的ミスが発生しやすい
- 承認などの進捗状況が見えにくい
- テレワークなどに対応できない
- インボイス制度により新たな対応が必要
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.請求書の形式がバラバラで複数担当者に送付される
請求書受領で企業が直面する課題の一つは、請求書の受領方法がバラバラである点です。郵送、メール、指定サイトからのダウンロードなど、受領方法は取引先によってまちまちです。受領側の企業は、取引先の発行方法に合わせて請求書を処理しなければならず、受領方法が複数ある場合、担当者の負担が大きくなります。
さらに、こうした請求書が複数の担当者に送付されると、管理や処理が複雑化し、ミスや遅延の原因となります。このような煩雑な処理が続くことによって全体の業務効率が低下し、コストも増大する可能性があります。
2.人為的ミスが発生しやすい
請求書を受け取った経理担当者は、取引先や金額、支払日、支払い口座などの情報を手入力し、その後銀行振り込みデータを作成し、会計システムに入力します。このように、同じ項目を何度も入力・転記する作業はミスが発生しやすいため注意が必要です。
特に、請求書のような重要な書類では入力ミスが重大なトラブルを引き起こす可能性があるため、企業はミス防止策を講じなければなりません。
3.承認などの進捗状況が見えにくい
請求書の処理プロセスは複数のステップに分かれており、各ステップでの進捗状況が見えにくいという課題があります。特に紙の請求書の場合、どの段階で滞っているのか、どの請求書の処理が完了しているのかを把握するのが難しく、処理の遅れや停滞が発生しやすいです。
4.テレワークなどに対応できない
新型コロナウイルスの流行以降、テレワークを導入する企業が増え、多様な働き方が求められるようになりました。しかし、請求書の処理が紙媒体で行われている場合、請求書を受け取るために出社しなければならず、テレワークが難しくなります。
5.インボイス制度により新たな対応が必要
2023年10月に施行されたインボイス制度により、仕入れ側の事業者が消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには、売り手側の事業者が発行した適格請求書の保存が必要となりました。これにより、適格請求書発行事業者であることの確認や保存義務が生じ、経理部門の負担が増えています。
請求書受領サービスのタイプ
請求書受領サービスは、主に以下の3つのタイプに分けられます。
- 請求書の受領・スキャンを代行するタイプ
- 請求書を自動でデータ化するタイプ
- 取引先にサービス利用してもらうタイプ
請求書業務における自社の課題や現在の業務フローを踏まえて、課題解決につながるサービスを選択しましょう。
請求書の受領・スキャンを代行するタイプ
請求書の受領・スキャンを代行するタイプのサービスでは、請求書業務の大部分を外部に委託できます。
取引先から届いた請求書の受領やスキャン、支払いデータの作成や仕訳、原本の請求書の保管や廃棄といったさまざまな業務を外注できるため、請求書管理や支払いにかかる手間を大幅に削減できるでしょう。
オペレーターが目視で請求書の内容をチェックするサービスもあり、精度の高いデータ化が可能です。
請求書を自動でデータ化するタイプ
請求書を自動でデータ化できるタイプのサービスでは、システムを活用して請求データの自動取り込みができます。
ただし、操作自体は自社で行わなければいけません。
利用の手順は以下の通りです。
- 受領した紙の請求書をスキャンする
- スキャンデータやPDFの請求書データをシステムにアップロードする
- OCR(光学式文字認識)機能によって「2」の内容を自動で読み取る
サービスを利用すれば、請求金額などを手入力する必要がなくなります。ただし、データが正確かどうかのチェックは必要です。
サービス導入時は、OCR機能の精度について事前確認するとともに、必要に応じた調整などを行いましょう。
取引先にサービス利用してもらうタイプ
取引先と自社の双方で同じシステムを使うタイプのサービスでは、請求書の発行から保管までを一元管理できます。利用の流れは以下の通りです。
- 請求書発行側が、請求データをシステム上に入力
- 請求書をシステム上で送信
- 請求書受領側が、システム上で請求書の確認(ダウンロードも可能)
- システム上で請求書を保管
このタイプを導入するうえでは、請求書発行側(取引先)の協力が不可欠ですが、発行側は無料で利用できるサービスも多くあります。発行側は請求書の発行コストや郵送コストの削減ができますし、受領側も請求書管理の効率化が可能です。
同じ請求書サービスを利用している取引先が多い場合や、対応を依頼しやすい取引先が多い場合に適しています。
請求書受領サービスを導入するメリット
請求書受領サービスの利用には、以下のようなメリットがあります。
- ペーパーレス化・検索性の向上が期待できる
- 請求書承認までのフローが迅速化する
- 受領した請求書のデータ作成が自動化できる
- テレワークなどの柔軟な働き方を促進する
- コストを削減できる
- 電子帳簿保存法やインボイス制度など法改正に強い
それぞれ見ていきましょう。
1.ペーパーレス化・検索性の向上が期待できる
請求書受領サービスを活用して請求書をデータ化することで、ペーパーレス化につながります。紙の請求書をファイリングする必要がなくなるため、業務効率化や紙の書類の保管スペース削減に役立つでしょう。
さらに、請求書データをクラウドに保存することで、検索性が向上します。取引先名や時期で簡単に検索でき、多数のファイルから目的の請求書を探す手間が省けます。外出先からでも確認が可能です。
2.請求書承認までのフローが迅速化する
請求書受領サービスでは、システム上で請求書の受領から承認までを行います。そのため、紙の請求書を社内で回覧する必要がなく、承認フローを迅速化できます。テレワークや外出先からの承認もでき、書類の紛失といったトラブルも防げます。
申請や承認状況の可視化により、処理が滞った際の原因もスムーズに特定できます。フローのカスタマイズが可能なサービスなら、自社の業務フローに合わせた運用が可能です。
3.受領した請求書のデータ作成が自動化できる
請求書データを自動でデータ化することで、支払いデータや仕訳データを作成する手間を省けます。
形式の異なるさまざまな請求書を手作業でデータ化するのは、時間と手間がかかります。入力代行サービスやOCR技術を活用した読み取りサービスを導入すれば、業務時間の短縮やヒューマンエラーの低減に役立つでしょう。
4.テレワークなどの柔軟な働き方を促進する
請求書受領サービスを利用することで、テレワークなどの柔軟な働き方にも対応しやすくなります。出社せずにクラウド上で請求書の受領や内容確認ができるため、営業担当者、経理担当者、請求書処理に関わる関係者がリモートで支払い業務を進めることが可能です。
担当者の出社が難しいタイミングでも業務の滞りがなくなるため、効率化にもつながるでしょう。
5.コストを削減できる
請求書受領サービスは利用にコストがかかりますが、反対に、削減できるコストもあります。たとえば、以下のようなコストは請求書受領サービスによる削減が可能です。
- データの入力やファイリングにかかる人件費
- 紙の書類を保管するためのファイルや書庫にかかる費用
- 保管スペースの維持費用
このように、サービスの利用によって一概にコストが増加するとは言い切れません。支払うコストと削減できるコスト、そして得られるメリットを考慮したうえで、利用を検討しましょう。
6.電子帳簿保存法やインボイス制度など法改正に強い
電子帳簿保存法改正やインボイス制度などの法制度に対応した請求書受領サービスを活用すれば、法改正にスムーズに対応できます。法改正への対応に苦慮している事業者は、システムの導入を検討してみましょう。
請求書受領サービス導入のステップ
請求書受領サービスの導入を検討するには、下記の5つのステップに従って進めていくと良いでしょう。
- 現状の課題を明確にする
- 必要な機能と優先度を洗い出す
- 概算予算とスケジュールを想定する
- 資料請求や問い合わせをする
- 選定・導入を決定する
それぞれのステップを解説します。
1.現状の課題を明確にする
まず、請求書受領サービスを選ぶ前に自社の課題を明確にすることが重要です。たとえば、「テレワークを推進したいが、請求書関連業務で出社が必要」「経理部門の人手不足で人的ミスが多発」など、サービスで解決したい具体的な問題を洗い出します。
2.必要な機能と優先度を洗い出す
自社の課題がわかったら、その解決に必要な機能を洗い出しましょう。経理処理のどの業務に時間がかかっているか、無駄な部分を明らかにし、それを解決できる機能をリストアップします。
例としては、
- あらゆる形式でもオンラインで受領できる
- データ化の精度が高い
- 代理で請求書を受領できる
- 閲覧・承認状況がわかる
- 紙と電子を一元管理できる
といったものがあります。
これらの機能をリストアップし、それぞれに優先度を設定することでサービス選定がスムーズに進められます。
3.概算予算とスケジュールを想定する
サービス導入には初期費用と月額運用費用が発生します。紙の印刷・郵送費用、仕分け作業、人件費など、現状のコストを考慮したうえで、導入と運用に割ける概算予算をシミュレーションしましょう。
さらに、運用開始時期も想定し、導入準備を進めることで社内や取引先への周知もスムーズに行うことができます。
4.資料請求や問い合わせをする
請求書受領サービスを選定する際は、洗い出した必要項目と概算予算をもとに、自社に最適なサービスを絞り込みましょう。
導入候補が決まったら、資料請求や問い合わせを行います。公式サイトだけでは分からない詳細な料金プランやカスタマイズ性を確認することが重要です。事前にデモが利用できるようであれば、使うことを強くおすすめします。契約前に管理画面を実際に操作し、機能や使い勝手を確認することで、導入後の運用を具体的にイメージできます。
5.選定・導入を決定する
導入する請求書受領サービスを選定したら、稟議を通して決裁者の承諾を得る必要があります。稟議書には、サービス導入の目的、費用、期待される効果を明確に記載し、承認者や決裁者の理解を得やすくしましょう。
承認が得られたら、選定したサービスに申し込み、サービス提供会社のサポートを受けつつ導入準備を進めます。さらに、運用開始に先立ち、社内および取引先に対して導入に関する案内を行い、スムーズな運用開始を目指しましょう。
請求書受領サービスの選び方の注意点
請求書受領サービスの導入にはさまざまなメリットがある一方、適切なサービスを選ばなければ思ったように機能しないケースもあります。
ここでは、請求書受領サービスの導入前に確認しておくべき以下の2つの注意点を解説します。
- 取引先の要望や電子化する帳票を確認する
- 連携させる既存システムを洗い出す
1.取引先の要望や電子化する帳票を確認する
請求書受領サービスを選ぶ際には、取引先との連携方法を確認することが重要です。特に、取引先と共用するタイプ、自社専用タイプ、代行タイプのどれを選ぶかで連携の方法が異なります。この3つのタイプを選ぶ際には、取引先の数や電子化への協力の度合い、自社のIT環境を考慮する必要があります。
請求書の受取やデータ化を代行するサービスを利用する場合、取引先に請求書の送付先を変更してもらう必要があります。共用タイプを選ぶ際には、事前に取引先との調整が必要です。既存の取引先に同じシステムを使ってもらうことや、新たな取引先の対応についても検討し、現在と将来の両方を考慮することが重要です。
2.連携させる既存システムを洗い出す
請求書受領サービスを選ぶ際には、既存の基幹システムや会計システムとの連携も考えておかなければなりません。
連携方法には主にAPI連携とCSVファイルの2つがあります。API連携は自動化が進む一方で、導入に時間とコストがかかる場合があります。一方、CSVファイルによる連携は比較的簡単に導入できますが、手作業が必要です。
導入前に自社の既存システムを確認し、最適な連携方法を検討しておきましょう。
自社に合った請求書受領サービスの比較ポイント
請求書受領サービスには、さまざまな種類があります。自社に合ったサービスを選択するために、以下のポイントをチェックしましょう。
請求書電子化の精度と速度
精度が高く、スピーディーにデータ化できるサービスがあれば、経理業務の効率化に大いに役立つでしょう。しかし、実際には精度と速度を両立するのは困難です。
精度を優先するのであれば、オペレーターが目視でチェックしてくれるサービスが適していますが、その分データ化までには時間がかかります。
反対に、速度を優先するのであれば、OCRを活用して自動でデータ化できるサービスが適していますが、その分正確性は劣ります。社内で目視の確認を行うといったフォローが必要です。
自社が何を優先するのかを明らかにしたうえで、導入するサービスを選びましょう。
インボイス制度への対応
請求書受領サービスは、インボイス制度に対応したものを利用しましょう。
インボイス制度のスタートにともない、受領した請求書のチェック項目や記帳項目が追加されました。たとえば「適格請求書発行事業者の登録番号の照合」といった業務は、これまでは存在していなかったものです。適格請求書に該当するかどうかといったチェックも行わなければいけません。
電子インボイスの標準仕様に対応しているサービスであれば、こういった変更を受けても、スムーズに処理を進められます。
データ化する項目
サービスでデータ化できる項目についても、チェックが必要です。自社の業務に必要な内容をデータ化できるかどうか、事前に確認しておきましょう。
データ化の項目として、主要なものは以下の通りです。
- 取引先名
- 請求金額
- 消費税率
- 消費税額
- 税抜金額
- 通貨
- 支払期日
- 口座情報
- 登録番号
- 取引年月日
上記は、どれも請求書の処理や支払いに必要な項目です。これらの項目をデータ化できるサービスであれば、データを元にスムーズに支払いを進められるでしょう。
そのほか、自社に必要な項目などがある場合、データ化する項目の追加が可能なのかといった点も確認しておくと安心です。
請求書原本の保管期間
受領した請求書は、通常、以下の期間保存しなければいけません。
- 法人:確定申告書の提出期限の翌日から7年
- 個人事業主:確定申告書の提出期限の翌日から5年(インボイスは7年)
そのため、請求書原本を規定の期間確実に保管できるサービスを選びましょう。
なお、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」に対応したシステムを利用する場合、データが規定の期間保管されていれば、原本は破棄しても構いません。
国税関係書類の書面破棄に関する要件
令和4年1月1日以降は書面破棄に関する要件変更がありました。
電子帳簿保存法一問一答問3には以下のように記載されています。
『令和3年度の税制改正において、適正事務処理要件(旧規則第3条第5項第4号。紙段階での改ざん等を防止するための仕組み)の規定が廃止され、令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については、定期的な検査を行う必要がなくなりました。そのため、スキャナで読み取り、折れ曲がり等がないか等の同等確認を行った後であれば、国税関係書類の書面(紙)は即時に廃棄することとして差し支えありません。』
引用元:電子帳簿保存法一問一答 【スキャナ保存関係】 (令和6年6月 国税庁 )
上記記載の通り、条件を満たす場合には書面の破棄も可能となりましたが、顧問税理士がいる場合は相談し判断するようにしましょう。
機能の充実さ
請求書受領サービスの機能は、サービスによってさまざまです。自社にとって必要な機能が網羅されているかどうかを確認しましょう。
代理受領や支払いデータや仕訳データの作成、会計システムとの連携といった機能を有したサービスなら、経理業務全体の効率化につながります。現在必要な機能だけでなく、将来電子化の幅を広げていくかどうかといった観点からも検討することをおすすめします。
サポート体制・セキュリティー対策
サポート体制が充実したサービスであれば、導入後にトラブルが発生した際にも安心です。導入時と稼働中のサポート体制や、サポートの制限の有無などを確認しておきましょう。
合わせて見ておきたいのが、セキュリティー体制です。アクセス制限やデータの暗号化、バックアップの取り方などについてチェックしておきましょう。
費用対効果やランニングコスト
請求書受領サービスの利用には、一定のコストがかかります。初期費用とランニングコストの両方を確認して、費用対効果を検討しましょう。
将来機能の拡張を予定している場合は、その際に発生する追加コストについても見ておくと、長く使い続けられるサービスを選びやすくなります。
まとめ
請求書受領サービスを活用すれば、請求書の受け取りから保管の効率化につながります。
請求書受領サービスには大きく3つのタイプがありますが、取引先への負担を考慮する場合には、請求書の受領・スキャンを代行するタイプ、または請求書を自動でデータ化するタイプがおすすめです。また、自社に適した請求書受領サービスを検討する際には下記の条件を考慮する必要があります。
- 請求書電子化の精度と速度
- インボイス制度への対応
- データ化する項目
- 機能の充実さ
- サポート体制・セキュリティー対策
- 費用対効果やランニングコスト
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部
記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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