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請求書の再発行はどうすればいい? 手順、注意点、トラブル対策について解説

請求書の再発行はどうすればいい? 手順、注意点、トラブル対策について解説

取引先から突然「請求書を再発行してくれませんか?」と連絡が来た場合、どのように対応すればよいでしょうか?

請求書の再発行は、適切な手順と注意点を踏まえれば、スムーズに対応できる業務です。しかし対応を誤ると、取引先との信頼関係に影響したり、思わぬトラブルに発展したりする可能性もあります。

本記事では、再発行依頼を受けた際の対応方法から、再発行の手順、注意点、トラブル対策まで、わかりやすく解説していきます。

請求書は再発行できる?

取引先から請求書の再発行を依頼されたとき、本当に再発行できるのか?と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。ここではまず、請求書の再発行に関する基本的な情報を解説していきます。

請求書の再発行は「可能」

請求書の再発行は可能です。

一般的には請求書を紛失した場合や、請求書の内容に誤りがあった場合などに再発行が行われます。

ただし再発行にあたっては、二重請求のリスクや事務処理の混乱を避けるなど、注意すべき点があることも忘れてはなりません。

請求書の再発行が必要となるケース3選

請求書の再発行を要求される、もしくは再発行が必要となる3つのケースを説明します。

  1. 請求書を紛失した
  2. 支払い方法を変更する
  3. 記載内容にミスがある

1.請求書を紛失した

請求書は取引の証拠となる重要な書類です。このため取引先が請求書を紛失してしまった場合、再発行を求められることがあります。

なお請求書を再発行する際は、紛失した請求書が見つかった場合に二重請求とならないよう、「再発行」と明記するなどの配慮が必要です。

2.支払い方法を変更する

取引先が、なんらかの事情で請求額を支払えない、もしくは支払能力があるのに支払わないというケースが考えられます。このような場合に、支払期日や支払方法を変更して請求書を再発行することがあるでしょう。

ただし、変更後の支払期日や支払金額が守られない場合は債務不履行となり、場合によっては法的措置も視野に入ります。請求書を再発行する際は、こうしたトラブルに備えて念書や覚書を取っておくことが必要です。

3.記載内容にミスがある

請求書の記載内容にミスがあった場合は、速やかな訂正が必要です。取引先から指摘があった場合はもちろん、担当者自身がミスに気付いた場合も、すぐに先方に連絡を取り、丁寧なお詫びとともに再発行する旨を伝えます。

請求書を再発行する際は、ミスがあった請求書は破棄してもらいます。

インボイス制度への対応

2023年10月に開始されたインボイス制度では、適格請求書発行事業者である売手側には「適格請求書・適格簡易請求書(簡易インボイス)・適格返還請求書(返還インボイス)」の発行が義務付けられました。

もしこれらの書類に誤りがあった場合、売手側はあらためて、内容を修正した適格請求書等を発行する必要があります。

参照:国税庁「修正した適格請求書の交付方法

請求書の再発行依頼を受けたら

では、実際に請求書の再発行依頼を受けた場合、どのように対応すればよいのでしょうか?ここでは、再発行依頼への適切な対応方法を解説します。

丁寧な対応を心がける

取引先から再発行の依頼を受けた際は、丁寧に対応します。請求書の内容にミスがあった場合はもちろん、紛失など先方のミスが原因だったとしても、誠意を込めた対応が必要です。

初期対応では、まず再発行が必要な請求書について確認します。請求書番号、発行日、請求金額などを丁寧に確認して、間違いがないように記録しましょう。

再発行の原因を確認する

再発行に至った原因もしっかりと確認します。その内容次第では、対応の内容がある程度変わる可能性があるからです。

たとえば紛失が原因なら、二重請求にならないための特別な配慮が必要になるかもしれません。取引先の都合で支払期日や支払方法などを変更する場合、確実に支払いを受けるための念書が必要になることがあります。

原因をしっかりと確認することで、同じことを繰り返さないように、対策を打つことが重要です。

再発行の流れを丁寧に説明する

再発行の流れについても、先方にきちんと伝えます。

「再発行には、通常〇日ほどお時間をいただきます」
「再発行の際は、以下の情報が必要になります」

など時間や期間、必要なものについて具体的な情報を伝えることで、相手に安心感を与えることができるでしょう。

再発行する請求書に記載する内容

請求書を再発行する際は、記載内容に注意が必要です。ここでは、再発行する請求書に記載すべき項目や注意点について解説します。

記載すべき必須項目

再発行する請求書に記載するのは、原則として元の請求書と同じ内容です。ただし一部の項目は、元の請求書と明確に区別できるよう、特別な配慮が必要になります。

請求書番号

元の請求書と同じ番号を記載。再発行であることを示すために「再発行」と記載したり、「再」などの記号を付与する場合もある。

発行日

元の請求書の発行日と再発行日を両方記載。この際、再発行日を元の発行日と明確に区別できるように記載する。

取引先情報

取引先の会社名、部署名、住所、氏名などを正確に記載。

発行者情報

自社の会社名、部署名、住所、氏名などを正確に記載。

取引内容

商品名、数量、単価などを元の請求書と同一の内容で記載。

請求金額

合計金額、消費税額などを元の請求書と同一の内容で記載。

支払期限

元の請求書の支払期限と同じ日付を記載。

振込先

銀行名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義などを正確に記載。

その他

必要に応じて、備考欄に再発行の理由などを記載

再発行であることを明記する

再発行した請求書であることを明確にすることは、二重請求や支払い遅延を防ぐために非常に重要です。具体的には、以下の3つの方法が考えられます。

  1. 「再発行」と明記する
  2. 請求書番号に記号を付記する
  3. 備考欄に再発行の旨と再発行日を記載する

1.「再発行」と明記する

請求書の目立つ場所に「再発行」と記載することで、取引先が元の請求書と混同するのを防ぎ、スムーズな入金処理を促すことができます。赤字で記載する、フォントサイズを大きくするなど、目立つように工夫すると良いでしょう。

2.請求書番号に記号を付記する

元の請求書と区別するために、請求書番号に「再」などの記号を付記する方法も有効です。
たとえば「請求書番号:20241101-001」を再発行する場合は「請求書番号:20241101-001 再」のように記載できます。

3.備考欄に再発行の旨と再発行日を記載する

備考欄に「本請求書は〇年〇月〇日発行の請求書の再発行です。」と記載し、再発行日を明記することで、より明確に再発行であることを伝えられます。

これらの方法を組み合わせることで、再発行であることをより明確に伝えることができるでしょう。

再発行であることを明記しない場合、取引先が元の請求書と再発行された請求書を混同し、二重支払いや支払い遅延が発生する可能性があります。経理処理の混乱を防ぎ、スムーズな入金を可能にするためにも、これらの配慮は欠かせません。

再発行日を記載する

再発行の日付部分には「再発行日」と明記し、元の請求書の発行日とは別に記載します。こうした記載は、元の請求書と再発行された請求書を区別するうえで非常に重要です。

再発行日を記載することで請求書の管理や検索が容易になり、取引先との間で誤解やトラブルが生じる可能性を減らせるでしょう。

電子請求書を再発行する方法

電子請求書の再発行は、紙の請求書と手順が異なることがあります。ここでは、電子請求書の再発行方法と注意点について解説します。

電子請求書の再発行方法

電子請求書はデータで管理されているため、紙の請求書のように印刷して再発行する必要はありません。

再発行の主な方法は以下の通りです。

  • メールによる再送
    再作成した請求書のPDFファイルを、メールに添付して取引先に送信します
  • PDFデータの再ダウンロード
    オンラインストレージや請求書発行システムから、再発行した請求書のPDFデータをダウンロードしてもらいます
  • 請求書発行システムから再送
    請求書発行システムから再発行したい請求書を選択し、再送機能を使って送信します

なお、PDFデータの再ダウンロードや請求書発行システムから再送の場合、利用しているシステムやサービスによって再発行の手順が多少異なることがあります。

再発行の履歴を残す

電子請求書を再発行した場合は、以下の情報を記録しておくことが重要です。

  • 日時
  • 再発行理由
  • 対象請求書

これらの情報を記録しておくことで、万が一トラブルが発生した場合でも、迅速かつ適切に対応できます。

多くの電子請求書システムは再発行履歴を自動的に記録する機能を備えていますが、手動で記録する場合はExcelなどで管理表を作成すると良いでしょう。

請求書再発行のトラブルを防ぐには

請求書の再発行は、正しく行わないとトラブルに発展する可能性があります。ここでは、よくあるトラブルと、その対策について解説します。

二重請求のトラブルと対策

請求書の再発行で最も注意しなければならないのが、再発行した請求書と元の請求書の両方で入金が行われる二重請求です。

二重請求を防ぐためには、以下の対策が有効です。

  • 再発行した請求書に「再発行」と明記する
    再発行であることを明記し、取引先が元の請求書と混同するのを防ぎます
  • 取引先へ再発行の旨を連絡する際に、元の請求書は破棄するよう伝える
    口頭だけでなく、メールなどでも伝えておくと、より確実です
  • 入金状況を定期的に確認し、取引先と情報共有する
    二重請求が発生した場合でも、早期に発見し、対応することができます

二重請求は取引先との信頼関係を損なう可能性があるうえ、返金処理などの手間を発生させるため、十分な注意が必要です。

再発行手数料に関するトラブルと対策

請求書の再発行には、手数料が発生するケースもあります。

再発行手数料が発生するかどうかは、再発行に至った事情や、取引先との関係性によって異なります。一般的には、請求書紛失など取引先の都合で再発行が行われる際に手数料が発生することが多いようです。

トラブルを防ぐために、手数料の有無や金額について事前に取引先と合意しておくことが重要です。

トラブルを防ぐ請求書管理

再発行トラブルだけでなく、さまざまなリスクを防ぐためにも、日頃から適切な請求書管理を行うことが重要です。

請求書管理の基本はファイリングと保管場所の管理です。請求書を発行日や取引先ごとに整理し、紛失や破損を防ぐように保管しましょう。

請求書を電子化することで、検索性を向上させたり、紛失リスクを軽減することもできます。

さらにおすすめなのが、請求書発行システムの導入です。請求書の発行から管理、再発行までを効率的かつ安全に行うことができ、リスクや手間を大幅に減らすことができます。

請求書を適切に管理することで、自分自身が「再発行を請求する側」になることを防ぎ、ビジネスをスムーズに進めることができるでしょう。

まとめ

今回は、請求書を再発行する方法や注意点、トラブル対策などを詳しく解説しました。

請求書の再発行は、丁寧かつ迅速な対応を心がけ、記載内容に誤りがないかをしっかりと確認することが重要です。また、二重請求や再発行手数料をめぐるトラブルを避けるための配慮も必要になります。

こうしたトラブルを避けるためには、日頃から請求書を適切に管理することが大切です。

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「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務全般の課題や法対応など、経理課題の解決に導く情報をお届けします。
小野 智博

記事監修者のご紹介

弁護士 小野 智博

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士

保有資格:弁護士

慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

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