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請求書払いとは?流れや、請求側・支払い側のメリット・デメリットを解説

請求書払いとは?流れや、請求側・支払い側のメリット・デメリットを解説

企業などで採用されている「請求書払い」は、請求側・支払い側それぞれにコスト削減や業務効率化といったメリットのある取引方法です。しかし、デメリットやリスクについても理解しておかないと、思わぬトラブルが発生する可能性もあります。

そこで今回は、請求書払いの概要から、作成~支払いまでの流れ、採用によるメリット・デメリットについてご紹介します。合わせて、請求書払いで気をつけるポイントも解説しているので、ぜひご覧ください。

請求書払いとは

請求書払いは、商品やサービスを先に提供し、後日設定された期日に代金が支払われる「掛売り」のことで、与信取引の一つです。与信取引とは、取引相手に対して信用を供与し、その信用に基づいて事前に商品やサービスを提供することを指します。

与信取引は互いの信用に基づいて取引が成立するため、未払いのリスクも伴います。そのため、信用関係が構築できていない新規の取引先とは、請求書払いの代わりに料金の都度払いや前払いといった支払い方法が選ばれる場合もあります。

請求書払いは、法人や個人事業主間のビジネス上の取引(BtoB)では一般的な方法ですが、企業と一般消費者との取引(BtoC)においても多く利用されています。例えば、ECサイトの購入代金をコンビニ払いで支払う方法などがそれに当たります。

また、近年では地方税や固定資産税、都市計画税の納付書をスマートフォンで読み取り、オンライン決済ができるアプリも登場しています。一般企業相手ではありませんが、こちらも請求書払いの一種です。

請求書払いの流れ

請求書払いの具体的な流れは、以下のとおりです。

  1. 与信審査
  2. 請求書の発行と送付
  3. 入金消込
  4. 未入金の催促と代金の回収

それぞれの手順について、詳しく解説します。

1.与信審査

請求書払いが可能かどうかを判断するため、取引先の支払い能力を事前に評価する必要があります。評価のためには自社で定めた「与信管理規定」に基づく「与信基準」を満たすことが求められます。

与信審査では、取引規模に応じて請求書払いの可否だけではなく、与信限度額の設定も重要です。これは、与信限度額を高くしすぎると不良債権のリスクが増加し、反対に低く設定し過ぎると良い取引機会を逃し売り上げが減少する恐れがあるためです。

取引先の事業成績や市場シェアを定期的にチェックし、未回収リスクがなく、かつ取引の機会を最大化できるよう、慎重な審査を行いましょう。

2.請求書の発行と送付

商品・サービスの納品後に請求金額が確定したあとは、請求書を作成します。請求書の必要項目は以下の通りです。

  • 書類作成者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
  • 請求書番号
  • 振込先(振込先の口座情報・振込手数料なども記載)
  • 支払期限

※適格請求書を発行する場合には登録番号などが必要

請求書には決められたフォーマットはありません。ExcelやWord、会計システム、もしくは手書きのいずれでも作成できます。作成後は、記載内容に漏れがないかを確認して、発行・発送しましょう。

3.入金消込

期日内に代金を回収したら、入金消込を行います。これは、請求書と入金額の一致を照合し、正確な債権残高になっているかを確認する作業のことです。

入金消込はExcelで管理するのが一般的ですが、取引数が多くなると目視による作業が複雑化し、手間がかかります。そのため、業務の効率化を目的として、入金消込の工程をシステム化しているケースもあります。請求書払いをはじめとする後払い制度では、取引時には売掛金として処理され、代金回収と同時に入金消込で正確な入金と債権残高を確認することで、業務の効率化を図っています。

4.未入金の催促と代金の回収

期日内に入金消込が完了しない場合には、取引先に対して催促や代金回収を行います

まずは支払い意思の有無を確認することが大切です。入金忘れや請求書の紛失のような簡単なケースであれば、営業担当から取引先に連絡を取ることで迅速に解決することが多いでしょう。しかし、取引先の財務状況が悪化したり、悪意のある不払いに発展したりするケースもあります。その際には支払い督促や差し押さえなどの法的手続きが必要です。

請求書払いのメリット

請求書払いのメリットについて、請求側と支払い側、それぞれの立場から紹介していきます。

【請求側】請求書払いのメリット

請求側目線での請求書払いのメリットには、以下のようなものがあります。

  • 決済業務を効率化できる
  • 販路の拡大が期待できる

決済業務を効率化できる

請求書払いには決済業務を効率化し、会計処理のミスを減らすメリットがあります

一定期間ごとの一括支払いのため、請求書と回収確認をまとめて処理することができ、決済業務が効率化されます。業務負担が軽減されることにより、経理担当者の心的負担の軽減、業務精度の向上も期待できるでしょう。請求書払いの導入は、自社・取引先双方の決済業務を簡単にし、効率化に寄与します。

販路の拡大が期待できる

掛売りを主な取引方法としている企業は多いため、掛売りを導入することで販路の拡大が期待できます

実際に商品やサービスの納品後に支払期日が設定されていることが、請求書払いの特徴です。買い手は支払期日までに資金を準備すれば良いため、資金不足でも取引が可能になります。売り手にとっては現金取引のみよりも買い手を増やすチャンスが広がるのです。

【支払い側】請求書払いのメリット

支払い側目線での請求書払いのメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 計画的な資金運用が可能となる
  • 支払業務が効率化できる
  • 事業成長の機会を得られる

計画的な資金運用が可能となる

支払い側からみた請求書払いのメリットの一つに、資金管理をより計画的に行えるという点があります。

現金払いのような都度の取引で支払う必要がある場合、毎回資金状況をチェックする必要が生じます。しかし、請求書払いでは一定期間の取引を一括で支払うため、一度の資金確認で済みます。加えて、納品から支払い期日までの猶予期間があるため、資金繰りに余裕を持たせることが可能です。

支払業務が効率化できる

請求書払いは、あらかじめ定めた期間中であれば、何度取引を行っても支払いを一度にまとめられるので、支払業務が効率化されます。経理作業の手間を大幅に削減できるとともに、銀行振込で支払いをする場合は振込手数料などのコストを削減することもできます。

事業成長の機会を得られる

先にも挙げたように、請求書払いは支払期日までの猶予があります。そのため、資金不足でも大規模な取引が可能です。

現金払いでは資金が手元にない場合、事業の成長に必要な大きな投資ができません。しかし請求書払いなら自社の資金繰りと支払期日を考慮しつつ、資金がない状態でも成長につながる取引が行えます。

請求書払いのデメリット

前述の通り多くのメリットがある請求書払いですが、効果的に活用するためには、デメリットについても知っておきましょう。

請求書払いのデメリットについて、請求側と支払い側、それぞれの立場から紹介します。

【請求側】請求書払いのデメリット

請求側目線での、請求書払いのメリットは以下のとおりです。

  • 債権回収が不可能となるリスクがある
  • 資金繰りに悪影響が及ぶ可能性がある

債権回収が不能となるリスクがある

後払い制度である請求書払いには、債権回収が不能となるリスクがあります。決済をその都度行わないため、取引先が経営不振などに陥れば未回収が発生し、大きな損害につながります。

このリスクを管理するために欠かせないのが、与信審査の徹底です。未回収の場合の資金繰りへの影響や貸し倒れリスクも考慮し、自社での請求書払いの厳格な基準を設けることが大切です。 

資金繰りに悪影響が及ぶ可能性がある

請求書払いは、納品直後にすぐ代金を回収できるわけではないため、自社の資金繰りに影響を与える恐れがあります。特に資金に余裕がない企業が支払期日の入金を前提に計画している場合、入金の遅延や回収不能が経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

そのため、資金繰りに課題を抱える企業は、保証金の受領や請求書払いの基準を設けるなどの対策が必要です。実際に、リスク回避のために取引先企業の規模や資本金次第では、請求書払いを認めない企業もあります。 

与信審査などの負担が大きい

請求書払いにおいて、取引相手の信用を確かめるためには与信審査が不可欠です。しかし、与信管理には多くの時間、労力、費用がかかり、そのすべてが請求する側の負担になります

加えて、審査後に取引が成立しないケースもあります。その場合は、調査に投じた手間やコストが回収できないため、これもデメリットの一つといえるでしょう。

【支払い側】請求書払いのデメリット

支払側目線での、請求書払いのデメリットは以下のとおりです。

  • 支払いの遅延・漏れにより信頼性を失うリスクがある
  • 取引が中断される場合がある
  • 与信審査の受け入れ

支払いの遅延・漏れにより信頼性を失うリスクがある

請求書払いでは商品やサービスの納品後、支払期日までの期間が存在します。この間に請求書を紛失したり、支払日を忘れてしまい、遅延が発生したりする可能性もゼロではありません。

頻繁な支払い遅延は取引先との信頼関係を損ね、取引停止につながるリスクがあります。請求書の管理と、期日内の支払いを徹底し、取引先との信頼関係を維持しましょう。

取引が中断される場合がある

取引相手の方針変更により、予期せず取引が中断することがあります。請求書払いは信用に基づく取引であり、先に挙げたように請求側には債権回収が不能となるリスクがあります。

これに対応するため、企業は取引相手の選定に特定の基準を設けることが多いです。特に、個人事業主のように取引条件が変更されやすい場合は、取引停止のリスクが大きいといえるでしょう。請求書払いに大きく依存している企業は、サービス利用の中断により大きなダメージを受けるため、予備の計画を準備しておくことが重要です。

与信審査の受け入れ

企業によって異なる与信調査では、調査員が直接会社を訪問し、業務や設備、経営状況を確認したり、決算書類の提出を求められたりすることがあります。

これらの手続きに時間を費やしても、最終的に契約が拒否されたり、取引の不成立、取引額を下げられたりする可能性などがあります。与信審査に対する心理的な抵抗や取引不成立による自信の喪失も、請求書払いのデメリットといえるでしょう

請求書払いで請求側が気を付けるポイント

最後に、請求側から見た請求書払いで注意すべきポイントとして、次の3点を紹介します。

  • 会社の角印を押す
  • 事前に契約内容を確認する
  • 継続して与信審査を行う

会社の角印を押す

請求書への捺印は法律上義務付けられているわけではありません。しかし、偽造防止やビジネスマナーの観点から、印鑑を使用しないと請求書が受理されない取引先も存在するため、注意しましょう。

通常、請求書には会社の角印が用いられ、法務局に登録した丸印や銀行印の使用も一般的です。ただし、重要な印鑑の頻繁な使用は摩耗や紛失のリスクを増加させるため、耐久性のある角印が適切です。また、請求書の修正に訂正印は原則使用できません。

事前に契約内容を確認する

請求書払いでは取引開始前に、振込手数料の負担をどちらが担当するか、支払期日はいつか、といった契約内容を、お互いでしっかりと確認することが重要です。

一般的には振込手数料は支払い側が担当し、この点を請求書に明記すると、のちのトラブルを防げます。支払期日はほかの取引先と同様に設定し、統一することで管理が容易になり、ミスを防げます。

継続して与信審査を行う

取引先の経営状態は日々変動しているため、定期的な与信審査が必要です。一度行ったからといって審査を怠ると、取引先が赤字や倒産危機にあることに気付かず債権の未回収リスクが高まります。

取引額の増加や信用状況の悪化に応じて、与信限度額は最低でも年に一度見直しましょう。適切な与信枠の管理は、未回収や貸し倒れを防ぐために不可欠です。

まとめ

請求書払いは、企業間で一般的に行われる後払いの信用取引です。そのため、請求書払いを求められる場面は多くありますが、取引先が多くなると請求書の発行や入金消込などの管理コストが増加します。取引数が増加しても、正確性と効率を落とさず対応可能な仕組みを作ることが重要です。

そこでおすすめしたいのが、インボイス管理サービス「Bill One」です。取引先に合わせてあらゆる形式の請求書をオンラインで発行することで、請求発行から業務を効率化します。

また、発行した請求書の開封状況を確認したり、リマインドを通知したりといった機能も充実しています。請求書払いのデメリットである未回収リスクを防ぐという意味でも、ぜひ導入をご検討ください。

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「月次決算に役立つ情報」編集部

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「月次決算に役立つ情報」編集部

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