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受け取った請求書をデータ化する方法は?メリットや注意点も解説

受け取った請求書をデータ化する方法は?メリットや注意点も解説

近年、さまざまな業務で電子化が推進されていますが、受け取った請求書をデータ化して良いのか、疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、請求書をデータ化して保存しても差し支えないかやデータ化の方法、データ化するメリット、注意すべきポイントについて解説します。

請求書の保存は、法律とも密接に関わってくる問題です。帳票(帳簿・伝票)作成や、請求書発行・受取・処理などの業務に携わる経理担当者の方は、ぜひご参照ください。

受け取った請求書はデータ化しても大丈夫?

紙で受け取った請求書をデータ化して保存することは、法律的に認められています。従来、請求書は「紙による原本保管」が義務付けられていました。しかし現在では、一定の要件を満たせば「データのみで保管」することも可能です。

請求書のデータ化を認めている法律は、以下の2つです。

  • 【電子帳簿保存法】国税関係の帳簿や書類について、電子データによる保存を認める法律
  • 【e-文書法】請求書・契約書など約250の文書について、電子データによる保存を認める法律。国税関係以外の書類も対象

2022年の電子帳簿保存法の改正では、スキャナ保存要件の一部が緩和されました。それに伴い現在は、以前に比べて請求書のデータ化がしやすくなったといえます。

また、2023年にインボイス制度(適格請求書等保存方式)が施行されたことで、発行側も適格請求書保存の必要性が生まれました。したがって、請求書のデータ化は、業務を効率化するためにも有用な手段です。

なお、電子取引により受け取った請求書(電子請求書)は、紙での保存が不可となっています。法律によって、電子データによる保存が義務付けられているので注意しましょう。

電子帳簿保存法やインボイス制度、電子請求書については、以下のリンクで詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。

請求書をデータ化する方法

請求書のデータ化には、次の2つの方法があります。

方法

内容

紙の請求書のスキャン

  • 電子帳簿保存法で定められた要件に沿って、請求書をスキャンする方法
  • 保存義務年数の保存が必要

請求書情報のデータ化

  • 請求書に記載されている情報を手入力やOCR、AI-OCRを用いてデータ化する方法

これらを踏まえたうえで、「請求書をデータ化する」とはどういうことなのかを、順番に理解していきましょう。

手入力でデータ化する

手入力は、従来から行われていた方法です。まずは紙の請求書の明細をスキャンし、そこに記載されている請求書情報を、エクセルなどの各種ソフトに手入力するのが一般的です。

ただし、電子帳簿保存法には、データ形式や保存方法などに細かな要件があるため「スキャン方法」や「入力フォーマット」は、それらを満たさなければなりません。

手入力のメリットは、データ化のための追加コストがかからないこと、フォーマットに限らず柔軟にデータ化できることです。とはいえ、手入力によるデータ化は、経理担当者の負担があまりにも大きく、数量が増えると時間もかかります。入力ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすいため、今度も続けていくには、あまりおすすめできない方法です。

OCR(光学文字認識)ツールを利用する

OCR(光学文字認識)ツールは、紙の書類に書かれた文字を認識して抽出し、テキストに変換する技術を利用する方法です。変換したテキストデータは、文字列検索に使用できたり、他のソフトと連携させたりすることも可能になります。手入力に比べるとデータ変換にかかる時間が大幅に短くなり、転記ミスを防止できる点もメリットです。

ただし、かすれた文字や薄い押印などは認識できないこともあり、精度が100%とはいえません。また、折れ曲がっている請求書やカーボン複写のものは認識されない場合もあるため、すべてをOCRに任せるのは難しいでしょう。

請求書をデータ化する場合には、電子帳簿保存法で定められた要件をすべて満たした状態でスキャナ保存しなければなりません。そのため、OCRツールの精度が低い場合は、経理担当者が目視で確認する手間が生じる点に注意しましょう。

請求書データ化サービスを利用する

請求書データ化サービスは、請求書のデータ化に特化したサービスの一つです。一般的には、AIによるディープラーニングを統合した技術である「AI-OCR」によって、データ化を行います。通常のOCRに比べて精度が高いのが特徴であり、目視による確認作業を削減できる点がメリットです。

サービスにはさまざまな種類があり、なかには請求書の代理受領・スキャン・データ化といった一連の作業まで、すべての業務を実行できるものもあります。こうしたサービスでは、請求書のデータ化に関する作業を丸ごと削減できるため、経理担当者の業務効率を大幅に改善できます。

請求書をデータ化するメリット

請求書のデータ化は、請求書業務に大きなメリットをもたらします。請求書業務だけでなく、経理業務全般を効率化するためにも有効です。ここでは、以下の3つのメリットを紹介します。

  • ファイリングが不要になる
  • 検索しやすくなる
  • 請求書に関するさまざまな業務の効率化につながる

いずれも、経理業務における作業効率に寄与する内容ですので、一つずつ把握しましょう。

ファイリングが不要になる

請求書をデータ化して管理すればペーパーレス化が進み、1枚ずつファイリングして保存する必要がなくなります。従来のファイリングの手間が省けるため、時間が短縮できるなど、管理業務の効率化が期待できます。

一般的に、企業では7年間、請求書の保管が義務付けられており、保存場所を用意しなければなりません。データ化すれば物理的な紙の保管場所が不要になり、空いたスペースを他のことに活用できる点もメリットです。

検索しやすくなる

請求書のフォーマットは、企業によってさまざまであり、一定の書式が定まっていません。そのため、紙での保管では、膨大な請求書の中から対象のものを探すのに時間がかかります。請求書が定型のフォーマットでデータ化されれば、従来に比べて簡単に検索しやすくなります。その結果手作業で請求書を探す手間がなくなり、大幅な時間の短縮が可能になるでしょう。

請求書に関するさまざまな業務の効率化につながる

請求書に記載されている各種の情報をデータ化して管理すると、あらゆる請求書業務の効率化が期待できます。例えば、申請や承認、仕訳作業、支払い作業など、多様な業務をデジタル上で完結できるようになります。これは紙の請求書に限らず、PDFなど電子データの請求書でも同様です。

また、請求書データ化サービスには、会計システムなどの外部サービスと連携できるものもあります。そうしたサービスであれば、請求書のデータ化を起点として、請求書に関する業務を幅広く効率化できるでしょう。

請求書をデータ化して保存する際のポイント

ここからは、請求書のデータ化に際して注意すべきポイントを解説します。電子帳簿保存法では、電子データの保存にあたって満たすべき要件が指定されているため、それらも踏まえながら留意点を押さえていきましょう。

保存義務年数に則して保存する

請求書は紙での保存、データでの保存のどちらであっても、法律で義務付けられた期間保存し続けなければなりません。また、コピーではなく、原本を保管する必要があります。

保管期間は、法人の場合は7年間、個人事業主の場合は5年間です。ただし、個人事業主であっても、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合は「消費税課税事業者」に該当するため、請求書の保管期間は7年になります。

また、保管期間の数え方にも注意が必要です。保管期間は請求日の日付からではなく、事業年度における確定申告書の「提出期限の翌日」からカウントします。

解像度・階調が一定以上のスキャナを利用する

電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度では、200dpi相当以上でのスキャンが求められています。また「重要書類」と「一般書類」で、カラーの要件が各々定められている点にも注意が必要です。

重要書類

カラー画像(赤・緑・青それぞれ256階調、24ビットカラー)

一般書類

グレースケール(白黒は不可)

詳細な要件は、国税庁を参照してください。

要件を満たす状態で保存する

保存方法は厳密に定められているため、要件を満たす必要があります。電子帳簿保存法では、以下の検索要件を満たす状態で、請求書の電子データを保存するようにしましょう。

  1. 「取引年月日」「取引金額」「取引先」の項目で、いつでも検索ができる状態にする
  2. 「取引年月日」「取引金額」は、範囲を指定した検索ができる状態にする
  3. 2つ以上の項目を組み合わせて検索できる状態にする

ただし、税務職員の求めに応じてデータをダウンロードする場合は、2と3に関しては対応しなくても構いません。ミスが起こらないように社内でルールを定め、周知・徹底のうえ、運用することが大切です。

データの削除や改ざん防止策を整える

請求書をデータ保存する際には、電子データの削除や改ざんの防止策を行うようにしましょう。そのためには、訂正削除記録が残る、または訂正削除ができないシステムを利用することが大切です。

とはいえ、訂正削除の履歴が残る、あるいは訂正削除が不可能なシステムなどを使っていない場合もあるでしょう。その際は、タイムスタンプの付与が有効です。

タイムスタンプが付与されていれば、書類を送付した側も受領した側も記録が残るため、そのまま保存することができます。ただし、受領側に関しては、相手側がタイムスタンプを付与しているとは限らないため、取引データのすべてが当てはまるとはいえません。

正確にデータ入力を行う

請求書情報をデータ化する際、万が一その内容に誤りがあると、仕訳業務や支払い業務といったその後の工程に影響を与えてしまいます。修正のために手間が必要になり、最悪の場合、誤った金額が支払われることもあるでしょう。自社のみならず、取引先にまで迷惑がかかってしまう恐れが生じます。

そうならないためには、正確にデータ入力を行うことが重要です。特に、手入力やOCRツールでのデータ化を行う場合は、内容に誤りがないかをダブルチェックするなど、徹底的な防止対策が必要です。

自社に適したシステム・サービスの導入を検討する

先述したように、請求書データ化サービスには有用性があります。ただし、サービスによって対応できる範囲や内容が異なる点に注意しておくことが大切です。

例えば、対応範囲の違いには以下のようなものが挙げられます。

  • 受領した請求書のスキャン、もしくはシステム上へのアップロード、請求書情報のデータ化までを自社で行うタイプ
  • 自社で受領した紙の請求書を委託先へ郵送し、スキャン作業・請求書情報のデータ化を依頼できるタイプ
  • 請求書の代理受領からスキャン作業、請求書情報のデータ化まで丸ごと依頼できるタイプ など

また、請求書情報のデータ化後に、会計システムとの連携が可能なサービスもあります。

自社の請求書業務の課題が何かを考え、どの業務まで効率化が必要かを把握することが必要です。そのうえで、自社に合ったものを検討するようにしましょう。

まとめ

請求書のデータ化は経理業務の効率化に有効ですが、さまざまな方法があるため、自社に何が必要かを見極めなければなりません。Bill Oneでは、あらゆる方法、形式で届いた請求書を正確にデータ化し、クラウド上で一元管理できます。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応と業務効率化を同時に実現します。

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  3. インボイス(適格請求書)の要件を満たしているかを自動チェック
  4. 適格請求書発行事業者番号が事業者名と一致しているかも自動で照合
  5. 電子帳簿保存法に対応した保存要件で受領した請求書データを適切に保管
  6. 暗号化やPMSの構築などの高度なセキュリティー対策を設けている

※Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合のデータ化精度

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「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務全般の課題や法対応など、経理課題の解決に導く情報をお届けします。
小野 智博

記事監修者のご紹介

弁護士 小野 智博

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士

保有資格:弁護士

慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

  • 本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。なお、本稿は、読みやすさや内容の分かりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。

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