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法人カードを利用した時の経理処理とは?仕訳方法や使用する勘定科目を解説

法人カードを利用した時の経理処理とは?仕訳方法や使用する勘定科目を解説

法人カードは、企業や事業主を対象に発行されるクレジットカードです。経費を法人カードで支払えば、従業員が一時的に金銭を立て替える必要がなく、経理処理が容易になります。

ただ、法人カードを利用した場合は、現金で支払った場合とは異なる経費処理が必要です。年会費が引き落とされた場合や、ポイントで支払った場合も仕訳を行わなければならず、どのように処理すれば良いか戸惑うこともあるでしょう。

そこでこの記事では、法人カードを利用した際の仕訳と勘定科目について、例を示しながらパターン別に解説します。

法人カードを利用した際の経理処理方法は?

経費などを法人カードで支払った際の経理処理の仕方は、白色申告と青色申告のどちらで確定申告しているかによって異なります。

白色申告は単式簿記で、記帳方法は簡易的ですが、青色申告は複式簿記で記帳せねばならず、一定の簿記知識が必要です。

白色申告の場合は単式簿記で処理をする

白色申告で確定申告を行っている場合は、単式簿記で記帳します。
単式簿記とは、家計簿のように一つの取引に対して一つの科目を割り当ててあてて記帳する方法です。

法人カードの支払いで単式簿記の帳簿に記載するのは、取引日付(法人カードで支払った日付)・金額・概要(何を購入したかなど)の3点のみです。
シンプルなため、経理の経験が浅い人や簿記の知識がない人でも処理がしやすいといえるでしょう。

以下に、単式簿記の書き方の例を紹介します。

【例】5月1日に2,000円の事務用品を購入し、法人カードで支払った

日付

金額

概要

5月1日

2,000円

事務用品

青色申告の場合は複式簿記で処理をする

青色申告で確定申告を行っている場合は、複式簿記で記帳します。
複式簿記とは、一つの取引に対して「借方」と「貸方」の二つに分けて記帳する方法です。
取引を原因と結果に分けて記すため、財産状況を把握しやすいという特徴があります。

複式簿記は、取引が発生したときに帳簿を付ける「発生主義」が基本です。
そのため以下の例のように、法人カードを使って購入したときと、カードの引き落とし口座から金銭が引き落とされるときの2回にわたって処理をする必要があります。

【例】5月1日に事務用品(消耗品)2,000円分を法人カードで支払い、6月27日に口座から引き落とされた

▼購入した5月1日付けで以下のように記帳します。

借方

貸方

消耗品費 / 2,000円

未払金 / 2,000円

▼口座から引き落とされた6月27日の日付で以下のように記帳します。

借方

貸方

未払金 / 2,000円

普通預金 / 2,000円

なお青色申告の場合、法人カードの引き落とし口座が法人口座(個人事業主が利用する場合は事業用口座)になっていれば、前述のように2回にわたって処理する必要はありません。
口座から引き落とされた日付で、以下のように記帳するだけですみます。

借方

貸方

消耗品費 / 2,000円

普通預金 / 2,000円

ただし、期をまたぐ場合は、法人カードの引き落とし口座が法人口座になっていても、未払金を用いた仕訳処理が必要となります。注意しましょう。

法人カード利用時に仕訳で使う勘定科目

法人カードの仕訳でよく使う勘定科目を以下の表にまとめました。
経費によってはどの勘定科目にするか迷うこともあるかもしれません。

社内でルールを決めるなどして、勘定科目は常に一貫性を持たせる必要があります。

勘定科目

概要

消耗品費

耐用年数1年未満、または10万円以下のものや、よく使ってなくなってしまうもの。

例)トイレットペーパーなどの日用品代・文房具などの事務用品代

旅費交通費

出張などのように、業務遂行のために必要な移動費や宿泊費。

例)電車代・バス代・タクシー代・ガソリン代・駐車場代・ホテル代

接待交際費

事業上関わりのある取引先や仕入先などをもてなすために、会食やお歳暮などの贈り物に支出した費用。法人の場合は税法上の制限がある。

例)飲食代・贈答品代・慶弔費

通信費

業務に必要な通信手段にかかる費用。郵便物のほか、書類などを送る場合の宅配便の送料も含まれる。

例)携帯電話代・固定電話代・ハガキ代・切手代・年賀状代

新聞図書費

事業のための情報収集や調査、研究を目的とした図書や書籍、雑誌に支払う費用。

例)新聞代・書籍代・雑誌代・電子書籍代

会議費

取引先との打ち合わせや、経営に関する社内会議のために支払った費用。会議のために用意したお茶やお菓子代も含まれる。

例)会議室や会場のレンタル料・資料代・飲食費

光熱費

事業所の環境を整えるために支払う電気やガスの料金。自宅を兼事業所にしている場合は、按分計算が必要。

例)電気代・ガス代・水道代・灯油代

修繕費

事業に必要な備品や設備、店舗の修理・修繕のために支払う費用。事業所を移転する際の原状回復工事にかかる費用も含まれる。

例)修理代・工事代

研修費

業務に必要な技術や知識、資格、免許の取得のためにかかる費用。

例)講習参加費・受験料・研修用テキスト代

【パターン別】法人カードを利用した時の経理処理

法人カードで支払う際、ポイントから支払ったり、キャッシュバックなどの特典を利用したりすることもあるでしょう。
ここからは、年会費・ポイントの利用・分割払いまたはリボ払い・キャッシュバックの四つのパターン別に、複式簿記ではどのように記帳すれば良いかを解説します。

法人カードの年会費の経理処理

法人カードの多くは年会費が必要であり、年会費は経費として計上できます。
法人カードの年会費を経費処理する際の勘定科目は、諸会費や支払手数料、雑費などを選ぶのが一般的です。
なお、年会費には消費税が含まれるため、課税事業者は仕入税額控除の対象になる点に注意しましょう。

年会費の勘定科目を「支払手数料」で処理する場合は以下のようになります。
消費税の勘定科目は「仮払消費税」を使用します。

【例】7月1日に5,500円(税込)の年会費が、口座(普通預金)から引き落とされた場合

日付

借方

貸方

7月1日

支払手数料

5,000円

普通預金

5,500円

仮払消費税

500円

ポイント利用時の経理処理

カードの利用などでた貯まったポイントについては経理処理は不要です。
しかし、ポイントを使って支払った際には処理が必要となります。
ポイントを利用した支払いを処理する際は、ポイントを「値引き」と考えるか、または「雑収入」と考えるかによって仕訳が異なります。
以下は仕訳の例です。

【例】4,000円の消耗品を購入し、そのうち3,000円をカード、1,000円をポイントで支払った場合(※ここでは消費税を考慮にいれない)

▼ポイントを「値引き」と考える場合は、ポイントを差し引いて実際に支払った金額(3,000円)で記帳します。

借方

貸方

消耗品費

3,000円

未払金

3,000円

▼ポイントを「雑収入」と考える場合は、使ったポイントの額(1,000円)を勘定科目「雑収入」として計上し、支払った額(3,000円)と合わせて記帳します。

借方

貸方

消耗品費

4,000円

未払金

3,000円

雑収入

1,000円

分割払いやリボ払いの経理処理

分割払いやリボ払いには、購入額のほかに金利手数料が計上されます。
金利手数料の勘定科目は「支払利息」を用いるのが一般的です。

法人カードで分割払いやリボ払いを利用した場合、取引した日付で総額を「未払金」で計上し、その後、口座から引き落とされるたびに「未払金」と「支払利息」を合わせて処理します。
以下は仕訳の例です。

【例】6月1日に消耗品を6万円分購入し、3回払いを選択。翌月7月27日に3回払いのうち1回目の支払い分が口座から引き落とされ、手数料1,000円を支払った場合(※ここでは購入費用と利息の消費税を考慮にいれない)

▼購入した6月1日の日付で以下のように記帳します。

日付

借方

貸方

6月1日

消耗品費

60,000円

未払金

60,000円

▼1回目の支払い分が口座から引き落とされた7月27日の日付で以下のように記帳します。

日付

借方

貸方

7月27日

未払金

20,000円

普通預金

21,000円

支払利息

1,000円

キャッシュバックがあった場合の経理処理

法人カードを利用して、カード会社からキャッシュバックがあった場合も経理処理が必要です。
法人カードのキャッシュバックの仕訳は、受け取るタイミングが支払いの後日であれば「雑収入」、即時であれば「値引き」で計上します。

【例】50,000円の消耗品を法人カードで購入し、5,000円のキャッシュバックがあった場合(※ここでは消費税を考慮にいれない)

▼カードの引き落とし時に5,000円のキャッシュバックを受け、45,000円分を法人カードで支払った場合は、キャッシュバック分は「雑収入」で処理します。

借方

貸方

消耗品費

50,000円

未払金

45,000円

雑収入

5,000円

▼購入時に即時キャッシュバックされたのなら、「値引き」で処理します。ポイント利用時の値引きと同様に、キャッシュバック分を差し引いた金額で仕訳処理を行いましょう。

借方

貸方

消耗品費

45,000円

未払金

45,000円

まとめ

法人カード利用時の経理処理は、原則として、実際に購入した日付と、カードの引き落としがあった日付の2回に分けて処理が必要です。
現金払いの経費処理と比べると時間と手間がかかり、ミスも発生しやすいといえるでしょう。

法人カード利用時の経費処理をスリム化するには、経費精算システムの導入がおすすめです。
仕訳処理をアシストするシステムを導入すれば、手作業を削減でき、経理処理の正確性と効率性を大幅に高めることができます。

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「月次決算に役立つ情報」編集部

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「月次決算に役立つ情報」編集部

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