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決算業務とは?決算業務を行う目的や時期、業務の流れや注意点について解説
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決算業務とは、一定の期間ごとに会社の業績を取りまとめて、ある時点の資産、負債、純資産を明確にする行為です。決算の結果は、経営判断や納税額の計算、投資家や関係者への報告などに利用されます。そのため、すべての企業が行わなければいけません。
また、決算は通常業務と平行して行うため、経理担当者の負担は大きなものになります。できるだけスムーズに進められるように準備をしておきましょう。
本記事では決算業務の基本から、効率よく正確な決算を行うための具体的な方法まで詳しく解説していきます。決算業務の効率化に役立ててください。
決算業務とは
まずは、決算業務の概要と目的を、それぞれ見ていきましょう。
決算業務=期間ごとの経営状況をまとめる業務のこと
決算業務とは、一定期間ごとの企業の収益や財務の状況を取りまとめる仕事です。決算の結果は、決算書類にまとめます。
決算業務は、取りまとめ期間に応じて以下の4種類です。
- 月次決算:1カ月ごとの決算業務
- 四半期決算:3カ月ごとの決算業務
- 半期決算:6カ月ごとの決算で、上場企業は報告書の提出が必須
- 年次決算:会計期ごとの決算で、すべての株式会社の義務
年次決算は、年に一度行う決算で、本決算業務と呼ばれることもあります。損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの財務諸表を作成して、経営判断に役立てます。法人税や消費税などの計算と納付にも必要であるため、すべての企業に義務付けられています。
一方、月次決算、四半期決算、半期決算の実施は任意(上場企業は半期決算必須)です。
決算業務は、内容に誤りがあると納税額の計算結果が変わってしまいます。本来の税額よりも低く計算してしまった場合、意図せず脱税してしまう恐れがあるでしょう。そうなれば、追徴課税される可能性もあるため、正確に実施することが求められます。
決算業務の目的
決算業務の目的は、主に以下の3点です。
- 経営者、株主、取引先、金融機関への報告
- 納税額の確定
- 経営課題の洗い出し、改善
決算を行うことで、自社がどのような経営状態にあるのかを数字で確認できます。不採算事業の洗い出しや、新規事業参入のタイミングの検討などに役立てられるでしょう。また、決算書は融資を受ける際の判断材料などとしても利用されます。
特に年次決算しか行っていない企業の場合、納税額を決定するための決算という側面が大きくなるかもしれません。しかし、決算書からは、経営判断に役立つさまざまな情報を読み取れます。正しい分析を行うためにも、決算は正確に行うことが重要です。
決算業務を行う時期
年次決算を行う時期のことを決算期と呼びます。また、決算を行う月は決算月と呼びます。ここでは、法人と個人事業主、それぞれの決算期について見ていきましょう。
法人の場合
法人は、設立時に決算期を任意に設定できます。ただし、一度決定した決算期を変更する場合は株主総会での決議といった手続きなどが必要です。
なお、決算期は原則として1年を超えることはできません。また、決定した決算期は、通常事業年度として定款に記載します。
国税庁による「決算期別の普通法人数(令和3年4月1日から令和4年3月31日までに事業年度が終了した法人)」によると、年1回決算の企業では3月を決算期とする法人が最多です。次いで、9月と12月を決算期とする企業が多くなっています。3月決算の企業が多いのは、新年度が4月であるためでしょう。
個人事業主の場合
個人事業主は、会計期間が1月1日から12月31日までと決められているため、決算期は12月になります。そのため、法人のように決算期を任意に決めることはできません。全事業者が12月を決算期として、2月16日から3月15日までに確定申告を行います。
決算業務の流れ
決算業務の流れを非上場や中小企業の場合と上場企業の場合に分けて、それぞれ簡単に解説します。
非上場・中小企業の場合
中小企業など非上場企業における決算の流れは、以下の通りです。
- 決算残高の確定
- 税金の計算
- 決算書の作成
基本的な流れは上場企業とさほど変わりません。それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
1.決算残高の確定
まずは、決算日時点において、勘定科目ごとの帳簿上の残高と実際の残高が一致していることを確認しましょう。すべて問題がなければ、決算整理仕訳を行います。
決算整理仕訳とは、決算のために行う仕訳です。日常の業務の中で行う仕訳とは異なる処理が必要です。決算整理仕訳には、以下のようなものが挙げられます。
- 期末棚卸高の確定と売上原価計算
- 貸倒引当金の設定
- 減価償却費の計上
- 見越勘定の仕訳
- 繰延勘定の仕訳
- 有価証券の評価替え など
次に、勘定科目内訳明細書を作成します。勘定科目内訳明細書とは、勘定科目ごとの取引の内訳を示す書類です。勘定科目内訳明細書は法人税申告の添付書類で、すべての企業が提出しなければいけません。
勘定科目内訳明細書は、帳簿を基に作成します。帳簿に間違いがあると正確な書類を作れないため、ダブルチェックの実施や自動入力できるシステムの導入など、ミスを防ぐための対策を採りましょう。
2.税金の計算
決算残高が確定したら、税金の計算を行います。以下の4種類の税金について、納税額の計算と納付を行いましょう。
・法人税
法人の所得額に対して課せられる税金です。企業の規模や利益額に応じて税率が異なります。
・法人住民税
法人の事業所がある地方自治体に対して納める税金です。法人税額を基に計算します。個人住民税とは異なり、法人が自ら計算して納付しなければいけません。
・法人事業税
事業を営むうえで利用する、地方自治体の施設を維持するための税金です。事業の種類に関わらず納付しなければいけません。
・消費税
本則課税事業者は、課税売上高にかかる消費税から課税仕入れ高にかかる消費税を差し引いて納税します。
税金の計算は決算残高を基に行うため、決算を間違えていると正しい計算ができません。納税額に間違いがあると、ペナルティーが課せられる恐れがあります。
3.決算書の作成
最後に、決算書を作成します。前年までと処理方法などを変えた場合は、決算書にもその旨を明記しておかなければいけません。
作成した決算書は、取締役会や株主総会で承認を受けます。なお、株主総会は通常決算日から3カ月以内に開催しなければいけません。
法人税は決算の翌日から2カ月以内が納期限で、決算報告書の添付が必要です。それまでに作成しましょう。
上場企業の場合
上場企業の決算も、基本の流れは非上場企業と同一です。ただし、上場企業は決算から決算短信や有価証券報告書など外部への報告書類を作らなければいけません。決算短信は四半期終了後45日以内に開示しなければならないため、速やかな作成が必要です。
また、上場企業に子会社がある場合は、個別決算のあとに子会社を含めた連結決算も行います。監査法人による財務諸表の監査も義務付けられており、上場企業は決算時により多くの作業を行わなければなりません。
決算業務を行う際の注意点
決算業務をスムーズに行うために、以下の2点に注意しましょう。期限が近くなって慌てることがないようにしてください。
なるべく前倒しで着手する
決算業務は、できることから前倒しで進めていきましょう。ぎりぎりになってから対応しようとすると、経理担当者に過度の負担がかかってしまいミスの原因になります。経理以外の従業員から必要なデータがなかなか届かない可能性もあるため、余裕をもって始めてください。
経理事務の自動化や効率化を進めるのも良いでしょう。特に、職歴の浅い担当者が対応する場合は、できるだけ業務を効率化できるシステム導入なども検討してみてください。
こまめにデータの整理をする
請求データや経費データは、日頃からこまめに整理しておくと良いでしょう。決算に必要な書類やデータが整理された状態になっていれば、スムーズに書類作成に進めます。
中小企業でも、月次決算を行ってこまめにデータの取りまとめをしておくと、年次決算で慌てる必要がなくなります。
決算業務を効率化する詳しい方法は以下の記事にまとめています。興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
まとめ
決算業務をスムーズかつ正確に進めるためには、以下のような対策が効果的です。
- 業務フローを見直す
- 決算業務の作成担当者とチェック担当者を分ける
- できるだけ早期に決算業務を実施する
- 月次決算を実施する
- 関係書類を収集・管理しやすい仕組みを整える
- 会計システムを導入する
自社の状況に応じて、実践できる対策がないか検討してみてください。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部