• 経費精算

経費精算をキャッシュレス化するメリットと進め方 | 小口現金をなくし効率化する方法

経費精算をキャッシュレス化するメリットと進め方 | 小口現金をなくし効率化する方法

経費精算では、小口現金の管理や帳簿への記録といった対応が日常的に発生します。小口現金の取り扱いや帳簿管理は、経費精算業務の中でも手間がかかる作業の一つです。

小口現金の扱いに悩んでいる経理担当者は少なくないでしょう。現金の出し入れや帳簿管理は手間がかかり、ヒューマンエラーの原因にもなります。こうした問題を解消する方法として注目されているのが、キャッシュレスによる経費精算です。

現金を扱わずに決済・処理を行うことで、業務の効率化とミスの削減が同時に図れます。

本記事では、経費精算をキャッシュレス化する具体的な導入メリットや注意点、実践のポイントをわかりやすく解説します。

経費精算をキャッシュレスで効率化

経費精算のキャッシュレス化が求められる背景

経費精算のキャッシュレス化が求められる理由には、どのようなことがあるでしょうか。社内で抱える現金による経費精算の課題や、社会全体の変化などから、その背景を整理してみましょう。

現金による経費精算の課題

以前は、立替金を振込で支払ったり、小口現金などで精算したりすることが一般的でした。しかし、現金による経費精算には、下記のような課題があります。

現金管理の手間

現金の取り扱いには、小銭やお札を数える、帳簿に記録する、残高を照合する、といった煩雑な作業が発生します。こうした手作業は、担当者の業務負荷を高める要因になりがちです。

現金を扱う作業は、どうしても人の手によって行う必要があるため、担当者の負担になることも少なくありません。

ヒューマンエラーのリスク

現金による経費精算の業務は、手作業で行うことが多く、計算ミスや記入ミスなどのヒューマンエラーが発生する可能性があります。手作業中心の運用では記入・集計ミスが発生しやすくなります。

万が一、現金の残高が合わないなどの事態が発生した場合には、原因の調査に多くの工数を費やすことになります。

不正や紛失のリスク

現金管理や運用には、紛失や不正使用のリスクが常に伴います。小口現金の盗難や紛失、領収書の偽造・改ざん、仮払金の不適切な利用など、多くの企業で経費精算に関する問題が発生しています。

Sansan株式会社が実施した調査によると、経費精算に関わるビジネスパーソン975名のうち、約3割が経費の不正利用の噂を見聞きした経験があると回答しています。

経費の不正利用に関するアンケート調査の結果を示す円グラフ

参照「Sansan、「経費精算に関する実態調査」を実施 ~インボイス制度で負担増、一社あたり月1500件の立替が発生。約3割が経費の不正利用を見聞きしたことがあると回答~

小口現金の残高管理

小口現金は手作業で管理されるため、十分に注意して扱っていたとしてもミスを完全に防ぐことは困難です。

万が一、残高が合わない事態が発生すれば、原因の調査などに多くの時間を費やすことになります。

現金受け取りのための移動

企業の中には、現金を受け取るために、必ず事務所に戻ってから精算業務を行うよう規定しているところがあります。

場合によっては経費精算のためだけに出先から戻る必要が生じ、業務効率を下げる原因となります。

社会全体のキャッシュレス化

ここ数年、日本社会全体においてキャッシュレス決済が急速に普及しています。経済産業省の発表によると、キャッシュレス決済の割合は2016年で20%ほどでしたが、2023年には39.3%と、ほぼ2倍にまで増えています。

従業員が日常的に利用しているキャッシュレス決済手段を、経費精算にも活用する流れが年々加速しています。

参照:経済産業省「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました

法制度の変化

近年の法制度の変化も、経費精算のキャッシュレス化を後押しする要因の一つとなっています。電子帳簿保存法の改正によって、一定の保存要件を満たせばキャッシュレス決済の利用明細データが領収書の代わりとして認められるようになりました。

データで保存できるため管理がしやすくなり、紛失や不正のリスクの対策としても注目されるようになっています。

経費精算をキャッシュレス化するメリット

経費精算のキャッシュレス化を実現すると、企業では下記の3つの面でメリットがあります。

  • 業務効率化のメリット
  • 管理面のメリット
  • 財務面のメリット

各メリットを具体的に整理してみましょう。

業務効率化のメリット

経費精算のキャッシュレス化によるメリットを説明する図

経費精算をキャッシュレス化することで、現金を取り扱う煩雑な業務が不要になり、経理担当者・申請者の双方にとって業務効率化が図れます。

具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • 現金管理の手間が省ける:小口現金の取り扱いが不要になるため、金庫の管理や両替対応といった作業が不要になります。
  • 計算ミスや数え間違いの防止:手作業での現金の受け渡しや計算がなくなり、ヒューマンエラーのリスクを抑えられます。
  • 申請書作成の簡素化:クレジットカードや交通系ICカードの利用明細が自動的にデータで残るため、金額や利用日を転記する手間が軽減されます。
  • 現金の受け渡しに伴う移動が不要:現金精算のためにオフィスへ出向く必要がなくなり、移動時間を他の業務に充てられます。

管理面のメリット

経費精算のキャッシュレス化による管理面のメリットを説明する図

経費精算をキャッシュレス化することで、経理担当者の管理負担が大幅に軽減されます。経費の利用履歴がデジタルデータとして自動的に記録されるため、手作業での確認や集計が不要となり、経費の透明性と正確性が高まります。

具体的な管理面のメリットは次の通りです。

  • 不正利用の防止:利用履歴がリアルタイムで記録されるため、不審な支出や二重申請の発見が容易になり、不正の抑止効果が期待できます。
  • 利用履歴の把握が容易になる:「いつ」「どこで」「いくら」使ったのかが明細として自動記録され、申請内容との突合や照合作業の効率が格段に向上します。
  • 紛失リスクの軽減:現金や紙の領収書を取り扱う必要がないため、紛失や盗難によるトラブルのリスクを大幅に減らせます。
  • 法制度へのスムーズな対応:領収書などのデータが電子化されることで、電子帳簿保存法やインボイス制度の要件(タイムスタンプ、検索性、真実性の確保など)を満たしやすくなり、制度対応がしやすくなります。

財務面のメリット

経費精算のキャッシュレス化による財務面のメリットを説明する図

経費精算をキャッシュレス化することで、企業の資金管理においてもメリットが得られます。支払いのタイミングが柔軟になり、現金の管理や振込業務にかかるコストが削減されるため、キャッシュフローの改善にもつながります。

具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • 資金繰りに余裕を持たせられる:クレジットカードを利用することで、実際の支出はカードの締め日・支払い日にずれるため、支払いまでの猶予期間が確保でき、資金繰りの調整がしやすくなります。
  • 振込手数料の削減につながる:従業員が経費を立て替えた場合でも、電子マネーやクレジットカードなどのキャッシュレス精算により都度の銀行振込が不要となり、振込手数料を削減できます。複数件の支払いが1回の明細で処理される点も効率的です。
  • 現金管理コストを抑えられる:企業が保有する小口現金の補充が不要になれば、銀行やATMでの現金引き出しにかかる手数料や、現金残高の管理・点検といった作業の負担も軽減されます。

経費精算をキャッシュレス化する主な方法

経費精算をキャッシュレス化する主な方法としては、下記の3つがあげられます。

  • 法人カードの利用
  • プリペイドカードの活用
  • 交通系ICカードの活用

それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

法人クレジットカードの利用

キャッシュレス決済の手段として、広く使われているのがクレジットカードです。個人の支払いだけでなく、法人としてもクレジットカードによる支払いは広がっています。

法人クレジットカードは、備品の購入だけでなく、出張の際の交通費や宿泊代、接待にかかる費用など、ある程度大きな金額にも利用されています。事業経費の支払いを目的として発行されているため、企業にとって非常に使いやすい決済手段です。

法人クレジットカードを導入すると経費は法人の口座から直接引き落とされるため、従業員が経費を立て替えることが無くなります。また、精算をするために購入日や購入内容、支払い金額などを後から思い出して申請書を作成する必要がなくなります。

法人クレジットカードでのキャッシュレス化により、従来の経費精算に伴う手間や心理的負担が大幅に軽減されます。

さらに、経理担当者にとっても、従来の煩雑な精算業務が削減されることで、業務効率が大幅に向上します。たとえば、キャッシュレス化によって利用明細が自動で取り込まれ、会計システムと連携して仕訳が自動化されるため、領収書との突合や金額の手入力作業が不要になります。承認フローがシステム上で完結することで、紙伝票の回覧やファイリング作業も不要となり、業務の標準化・省力化が実現します。

プリペイドカードの活用

プリペイドカードは、事前に入金(チャージ)した金額の範囲内で利用する前払い式の決済手段です。クレジットカードのような後払い方式とは異なり、金額の上限が設定できるため、管理がしやすいのがメリットです。そのため、幅広い従業員に配布しやすく、少額の経費の支払いなどに有効です。

交通系ICカードの活用

交通系ICカードは、外回りの営業スタッフの交通費精算に便利で、多くの企業で導入されています。利用履歴のデータも残るため、交通費精算の手間が削減されます。

個人所有のICカードの場合は履歴提出による経費申請が必要ですが、企業が貸与するカードなら履歴一括管理が可能になります。

ICカードと経費精算システムを連携すれば、さらに自動化が進み、手作業がなくなります。

経費精算をキャッシュレス化するための導入ステップ

経費精算をキャッシュレス化することで、従業員や経理担当者の負担軽減や業務の効率化など多くのメリットがあります。しかし、現金による経費精算から、すべての業務を一度にキャッシュレス化へ移行するのは容易ではありません。ここでは、キャッシュレス化を導入するための導入ステップを解説します。

ステップ1:現状分析と課題抽出

まずは、現在の経費精算フローと小口現金の管理体制を可視化することがキャッシュレス化の第一歩となります。

経費申請から精算・承認・記帳に至るまでの業務フローを整理し、図式化することで、自社の経費精算の現状を明確に把握できます。

たとえば、申請から精算までの各ステップを以下のように時系列で書き出し、小口現金の補充方法や保管状況、出納管理のルールとあわせて可視化することで、改善すべき課題が見えやすくなります。

  1. 経費申請から精算・承認・記帳までの一連の流れを洗い出す
  2. 各プロセスを時系列に沿って整理し図式化する
  3. 小口現金の補充方法を明記する
  4. 現金の保管状況を確認する
  5. 出納管理ルールを整理する
  6. 上記内容をもとに、業務上の課題や属人化している箇所を洗い出す

その上で、手間がかかっている部分やミス・トラブルが多い工程を洗い出し、頻出する経費項目や、現金精算が多い場面を分析し、キャッシュレス化の優先度を設定する作業を行いましょう。

ステップ2:導入計画の策定

自社の経費精算の現状が明確になった段階で、導入計画を策定します。具体的には、キャッシュレス化する経費項目を決め、適切な決済手段を選択します。自動化をさらに進める場合は、経費精算システム導入の検討をすると良いでしょう。

システム選定の際には、コストだけでなく、機能性や使いやすさ、会計システムやクレジットカードなどとの連携性なども確認しておきましょう。

ステップ3:テスト導入と改善

全社一斉にキャッシュレス化を導入すると、現場での混乱や対応の難しさが生じる可能性があります。まずは、一部の部署や特定の経費項目からテスト導入するのがおすすめです。

スモールスタートで実際にやりながら課題を抽出し、運用ルールを調整していくと大きな混乱なく導入できるでしょう。テスト運用の結果を見ながら効果測定を行い、全社展開の判断材料とするとスムーズに推進できます。

ステップ4:全社展開と定着化

テスト導入で運用の課題がクリアになった段階で、全社への展開計画を立てます。また、計画立案と並行して、従業員への説明会の開催やマニュアル作成を行いましょう。

導入後は、定期的に運用状況を確認し、現場で生じる課題に対して改善を重ねることが重要です。

経費精算のキャッシュレス化を進める上での注意点

自社の経費精算をキャッシュレス化するには、以下の点に注意しましょう。

  • 社内ルールの整備と教育
  • システム・カードの選定
  • 経理側のワークフロー整備

それぞれ解説します。

社内ルールの整備と教育

新たな経費精算の仕組みを導入する際には、利用範囲や申請方法など、ルールを明確にしておくことが重要です。

作成したルールはマニュアルとして文書化し、研修などを通じて従業員に周知・定着させることで、不正利用やミスの防止につなげることが重要です。

システム・カードの選定

経費精算システムや法人クレジットカードなどを選定する場合には、自社の規模や業種、利用シーンに合ったものを選ぶようにしましょう。

また、システム化を進める前に、セキュリティーやサポート体制、法令対応の有無も確認しておくと、安心して運用できます。

経理側のワークフロー整備

経費精算をシステム化する際は、承認プロセスを含む業務フローの見直しが必要です。新たな運用に適した形に最適化することで、円滑な導入と運用が可能になります。

まとめ

本記事では、経費精算のキャッシュレス化によるメリットや導入方法、実施時の注意点について解説しました。近年は急速に非現金決済が普及しており、企業の経費精算においてもその導入が広がりを見せています。

キャッシュレス化により、経費精算にかかる業務が効率化され、従業員の負担も軽減されます。

法人クレジットカードや交通系ICカードと連携できる経費精算システムを活用することで、さらに自動化が進み、業務効率が改善します。

自社の規模やニーズに合ったキャッシュレス化を推進し、経理業務の効率化を進めましょう。

クラウド経費精算サービス「Bill One経費」は、専用のビジネスカードで立替払いをなくし、これまでにない経費精算を実現します。

全社員の経費の支払いをBill Oneビジネスカードで行うことで、経費精算に必要な対応をオンラインで完結し、企業から立替経費をなくすことができます。

Bill One経費・Bill Oneビジネスカードの特長

  • 全社員へのBill Oneビジネスカード配布によって立替経費をなくせる
  • 99.9%*の精度で領収書をデータ化し、自動で利用明細と突合
  • 電子帳簿保存法やインボイス制度への対応
  • 1カ月当たりの利用限度額が最大1億円
  • カードごとの利用限度額設定が可能
  • 年会費・発行手数料無料

*Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合のデータ化精度

Bill One経費は専用のビジネスカードによって経費精算にかかる工数を削減し、月次決算の加速に役立ちます。ぜひBill One経費の導入をご検討ください。

3分でわかる Bill One経費

立替経費をなくし、月次決算を加速する
クラウド経費精算サービス「Bill One経費」について簡単にご説明した資料です。

「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務、経費精算、債権管理や経理業務における法対応など、さまざまな業務の課題を解決に導く情報をお届けします。

請求書受領、経費精算、債権管理など
さまざまな業務領域の
課題を解決します

サービスの詳しい説明や<br />デモを希望する
サービスの詳しい説明や
デモを希望する
各サービスの内容や料金体系などを<br />まとめて紹介します
各サービスの内容や料金体系などを
まとめて紹介します
業務フローに合わせた<br />最適なプランの作成を依頼する
業務フローに合わせた
最適なプランの作成を依頼する