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Web請求書とは?メリット・デメリット、システムの選び方や注意点を解説
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請求書のやりとりは、企業活動を円滑にすすめる上で重要な業務の一つです。同時に、自社と取引先との信頼関係を築き、維持していく上でも欠かせないものです。
これまで、請求書は紙での発行が主流でした。しかし、紙の請求書は発行や郵送、保管など各作業段階においてさまざまなコストや手間がかかります。
そのような課題を解消できるのが「Web請求書」です。 本記事では、Web請求書が注目されている理由、導入する際のメリットや注意点について掘り下げて解説します。
請求書発行から入金消込まで!業務を効率化
Web請求書とは
Web請求書とは、Web上で発行・送付できる請求書のことです。請求書に関するやりとりを電子化することから「電子請求書」といわれることもあります。
従来は、手作業で紙の請求書を発行し、郵送する方法が一般的でしたが、現在はより効率的に発行・送付できるWeb請求書の普及が進んでいる状況です。
なお、Web請求書は電子帳簿保存法により、紙の請求書と同様の法的効力を持つと定められています。
Web請求書の主な発行方法は以下の2つです。
- ExcelやWordを用いて作成した請求書をPDF出力する方法
- Web請求書システムを利用し、システム上でWeb請求書を作成する方法
どちらで作成しても問題ありませんが、より工数を削減したい場合はWeb請求書システムの方が効果的です。
Web請求書が注目されている理由
近年、紙の請求書からWeb請求書への移行を進めていく企業が増えています。主な理由としては、以下の4点が挙げられます。
- 電子帳簿保存法の緩和
- インボイス制度の開始
- テレワークの普及
- 郵送コストの値上がり
それぞれの詳細を見ていきましょう。
1.電子帳簿保存法の緩和
Web請求書の普及が進んだ理由の一つとして、電子帳簿保存法の改正により要件が緩和されたことが挙げられます。電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿書類を電子データで保存することを認める法律です。
電子帳簿保存法は2022年1月に改正が行われ、税務署長の事前承認制度が廃止になり、保存要件が緩和されました。
また、2023年12月31日までは電子取引のデータの保存について宥恕措置が取られていましたが、2024年1月からは電子取引データの電子保存が義務化されています。これを機にWeb請求書の導入に踏み切る企業が増えたと考えられます。
なお、電子帳簿保存法で認められている保存方法は、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3種類です。
2.インボイス制度の開始
2023年10月から始まったインボイス制度により、消費税における仕入税額控除を受けるためには、法令に基づき適格請求書を適切に保管することが求められることになりました。
適格請求書は、従来の区分記載請求書と比べて記載すべき項目が多く、税率ごとの金額の合計や消費税額を計算し記載する必要があります。また、適格請求書を発行するには、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、審査を受けた上で登録をしなければなりません。
請求書を受領する側も、適格請求書の要件を満たしているかの確認や検算などが必要です。
このように、インボイス制度の開始によって、請求書を発行する側・受領する側ともに請求業務が煩雑になり、負担軽減と効率化を検討する企業が増加しています。こうした問題を解決するために、Web請求書への切り替えが注目されているのです。
3.テレワークの普及
新型コロナウイルス感染症対策や企業の働き方改革などの影響でテレワークが一般化しつつあることも、Web請求書が注目を集める理由の一つです。
従来の請求書発行業務では、経理担当者は発行や押印、発送などのために、出社を余儀なくされることが多く見られました。しかし、Web請求書を導入しWeb上で請求関連業務を完結できるシステムを整備すれば、テレワーク中であっても対応できるようになります。
4.郵送コストの値上がり
紙の請求書を発行する場合は、郵送するための費用がかかります。2024年10月1日には、郵便料金が以下のように大幅に改定されました。
封筒・はがきの種類 | 変更前 | 変更後(現在) |
|---|---|---|
定形封書(25g以下) | 84円 | 110円 |
定形封書(50g以下) | 94円 | 110円 |
はがき | 63円 | 85円 |
このような郵送コストの値上がりも、企業がWeb請求書への切り替えを検討する背景の一つとなっています。Sansan株式会社の調査によると、郵便料金の値上げによる追加費用は、一社あたり年間平均約108万円(※)の見込みで、中堅・大手企業に絞ると139万円に増加するとの調査結果が出ており、2024年4月の時点で約半数の企業がWeb請求書への移行を検討しています。


※一件の請求書を一つの郵便物として送付した場合の費用。「(紙の請求書の平均発行件数:一社当たり月3465件)×(2024年10月頃に予定されている郵便料金の引き上げ金額:一件当たり26円)×12カ月分」として、郵便料金の値上げに伴い年間で増加する郵送代を算出。
Web請求書のメリット
Web請求書を導入すると、請求書発行業務におけるさまざまな課題を解決できる可能性があります。ここからは、Web請求書へ移行した場合のメリットを、発行側と受領側に分けて解説していきます。
発行側
Web請求書の導入による発行側の主なメリットは以下の通りです。
- コスト削減が期待できる
- 請求書に関連する業務を効率化できる
- ヒューマンエラーを防止できる
それぞれのメリットについて、詳しく確認していきましょう。
1.コスト削減が期待できる
紙の請求書でやりとりを行う場合、コピー用紙代や印刷代、封筒代のほか切手代や郵送代などの費用が発生します。これらの費用負担は取引先企業が増加するほど重くなり、請求書発行作業に関わる人件費も膨らむことが考えられます。
対して、Web請求書を導入すれば上記のような費用がかからないうえに、人件費も含めたコスト削減が期待できます。
2.請求書に関連する業務を効率化できる
Web請求書に移行することで、入金管理や売上計上時のデータ転記、消込といった作業を自動化できるメリットがあります。
また、紙の請求書を発行する場合、封入・封かん、発送という業務が発生しますが、Web請求書に移行すればその業務プロセス自体を削減することが可能です。請求書は電子データ化して管理するため、紙の請求書とは異なり保管に関する業務も必要なくなります。
さらに、先にも触れたように、テレワークの促進も期待できます。
3.ヒューマンエラーを防止できる
Web請求書は、ヒューマンエラーを防止し、情報漏えいのリスクを減らせるというメリットがあります。
手作業で請求書を発行すると、請求書の封入間違いや請求金額の転記ミス・漏れなどが生じる可能性があります。また、封筒に記載する住所を間違えるなどして誤配送が起こると、情報漏えいが起こり、自社だけでなく取引先企業にも大きな影響を与えます。そうなれば、今後の信頼問題にも影響を与えかねません。
Web請求書を導入すれば、請求書作成はもちろんのこと、宛名や送り状作成なども自動で行えるため、人為的ミスを大幅に削減できます。
Sansan株式会社の調査でもペーパーレス化が進んだことによるコスト削減や業務効率化のメリットを多くの企業が感じています。

受領側
Web請求書は、発行側企業だけでなく、受領側企業の業務効率向上にも寄与します。主なメリットとして以下のものが挙げられます。
- 請求書を検索しやすくなる
- 請求書の受け取りがスムーズになる
- 管理工数を削減できる
- 法制度に対応しやすくなる
- セキュリティーが向上する
それぞれのメリットについて詳しく確認していきましょう。
1.請求書を検索しやすくなる
Web請求書は検索性が高く、必要なときにすぐに探し出せるというメリットがあります。
従来の紙の請求書では、確認したい請求書を探し出す際、取引先別や年度別などでファイリングされたものを、一つずつ確認しながら探す必要がありました。Web請求書であれば、検索によって過去の請求書を見つけやすく、時間が経過した請求書でも確認しやすくなります。
こういったメリットにより、請求書関連業務にかける作業時間の短縮が期待できます。
2.請求書の受け取りがスムーズになる
Web請求書は、メール添付やインターネットからダウンロードする方法などで送付されるため、即座に受け取ることが可能です。
紙で請求書を発行する場合は、発行されてから受け取りまで遅れが生じるうえ、出社したタイミングでしか確認ができません。
請求書に関する処理サイクルが短い企業にとって、即座に受領可能なWeb請求書は魅力的といえるでしょう。また、記載内容に誤りがあった場合でも、修正後の請求書を速やかに受け取りやすい点もメリットの一つです。
3.管理工数を削減できる
請求書は、電子帳簿保存法により7年間(場合によっては10年)の保存が企業に義務付けられています。
紙の請求書を保管する場合、資料が膨大になり保管スペースの確保やファイリングにかかる手間も課題の一つとなっていました。一方、Web請求書であれば保管スペースもファイリングも必要ありません。
また、再受領が必要になった場合でも、発行元に再度依頼する必要はなく、ダウンロードすれば即時に入手できます。
4.法制度に対応しやすくなる
Web請求書は、電子帳簿保存法やインボイス制度といった最新の法制度に適合しやすい仕組みを備えている点も大きな利点です。電子帳簿保存法では真実性や可視性の確保が求められます。タイムスタンプや検索機能を備えたシステムを活用すれば、要件に則った管理がしやすくなります。
また、インボイス制度に対応した請求書フォーマットを作成できる機能を備えたシステムも多く、法改正や新制度にも、システム更新で迅速に対応できます。
5.セキュリティーが向上する
Web請求書は、紙の請求書に比べてセキュリティーを高めやすい点がメリットです。紙の請求書では郵送途中での紛失や誤配達といったリスクがありますが、電子化された請求書であれば暗号化やアクセス制限により情報を安全にやりとりできます。
また、ダウンロードURLへのパスワード付与や有効期限の設定により、不正利用を防止できます。
さらに、システム上で履歴が残るため、改ざんや不正アクセスの兆候を早期に把握でき、万が一の場合にも迅速に対応できます。
請求書受領をシステムで効率化
Web請求書のデメリット
Web請求書には多くの利点がある一方、導入や運用には注意点もあります。ここでは、移行時に把握しておきたい主な注意点を整理します。
1.取引先の同意が必要になる
Web請求書は、発行側が一方的に導入できるものではなく、受け取る側である取引先が電子データでの受領に対応していることが前提となります。取引先によっては、社内規程や運用上の理由から紙の請求書を希望する場合もあり、その場合は電子化を強く求めることはできません。
特に取引先のシステム環境が整っていない場合や、電子帳簿保存法への対応が進んでいない場合は導入が難航する可能性があります。そのため、移行に当たっては、事前に取引先へ説明し、メリットや運用方法を共有することが重要です。
2.システム導入・運用コストが発生する
Web請求書を運用するには、専用システムの導入が一般的であり、その際には初期費用や月額利用料が発生します。さらに、自社の業務フローや既存の基幹システムとの連携を行う場合には、カスタマイズ費用が追加で必要になることもあります。
システム導入には費用が掛かるため、導入効果と費用対効果を慎重に見極める必要があります。一方で、長期的には印刷代や郵送費、保管コストを削減でき、投資に見合う成果を得られるケースもあります。
3.従業員への教育・研修が必要
紙の請求書からWeb請求書へ移行する際には、従業員が新しいシステムの操作方法を習得する必要があります。従来の手作業とは異なる流れになるため、最初は戸惑いや入力ミスが起こる可能性もあります。特に導入初期は慣れるまでに時間を要し、一時的に業務効率が下がることも考えられます。
そのため、スムーズに移行するにはマニュアルや研修を通じて従業員へ十分な教育を行うことが重要です。現場の理解と協力を得ながら段階的に定着を進めることで、将来的な業務効率化につながります。
4.セキュリティーリスクを伴う
Web請求書は紙のものと比べて紛失や改ざんのリスクが低い一方で、電子データ特有の課題も存在します。代表的なものが誤送信や不正アクセスによる情報漏えいです。送信先アドレスを誤ると、機密情報が第三者に漏えいし、重大なトラブルを招くおそれがあります。
また、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃によってデータが流出する危険性も否定できません。こうしたリスクを軽減するためには、送信時の確認体制を整えるほか、暗号化や多要素認証などのセキュリティー対策を導入することが重要です。
Web請求書と紙の請求書の違いを比較
請求書の形式によって、コストや作業工数、保存方法やセキュリティー面で大きな違いがあります。以下の表では、紙の請求書とWeb請求書の特徴を整理し、それぞれのメリット・デメリットを比較できるようにまとめました。導入検討の際の参考にしてください。
項目 | 紙の請求書 | Web請求書 |
|---|---|---|
コスト | 印刷代・封筒代・切手代・郵送費などが発生し、発行件数が増えるほど負担が大きい | システム利用料はかかるが、印刷や郵送費は不要。長期的にはコスト削減につながる |
工数 | 印刷・押印・封入・郵送・ファイリングといった手作業が多く、時間と人件費がかかる | 作成から送付、保存までシステム上で完結。自動化により工数削減が可能 |
保存性 | 物理的に保管する必要があり、保管スペースが必要。紛失や劣化のリスクもある | 電子データとして保存でき、検索機能ですぐに参照可能。バックアップにより長期保存も容易 |
セキュリティー | 誤送付・盗難・紛失による情報漏えいのリスクがある。管理責任は紙の保管体制に依存 | 暗号化やアクセス制御により高いセキュリティーを確保可能。ただし誤送信や不正アクセスのリスクには対策が必要 |
Web請求書を取引先に案内し移行する方法
Web請求書を導入する際には、自社の準備だけでなく取引先への丁寧な説明と協力が不可欠です。ここでは、スムーズに移行を進めるための具体的な手順と工夫を紹介します。
1.事前にメリットを説明する
Web請求書の導入を進める際には、発行側の業務効率化だけでなく、受領側にも利点があることを丁寧に伝えることが大切です。受領の業務の迅速化や検索性の向上、保管コストの削減などは取引先にとっても有益な取り組みとなります。
導入前に具体的なメリットを共有し、双方にとって価値のある仕組みであると理解してもらうことで、スムーズな合意形成につながります。
2.導入スケジュールを共有する
移行計画を立てた後には、その内容を早めに取引先へ伝えておくことで、移行を円滑に進められます。導入開始日や紙との併用期間を明示しておくことで、相手側も必要な準備を進めやすくなり、双方にとって混乱の少ないスムーズな移行を実現できます。
3.利用方法をわかりやすく案内する
Web請求書の利用方法は、システム上での送受信だけでなく、メール添付やダウンロード形式など、取引先への提供手段も含めて明確に伝えることが大切です。ログイン方法や閲覧・保存の手順をマニュアルや動画で案内すれば、相手も安心して利用できます。実際の送付例や操作イメージを示すことで、どの形式で受け取ってもスムーズに対応でき、移行時の混乱を防ぐ効果があります。
4.問い合わせ窓口を設ける
Web請求書への移行を円滑に進めるためには、取引先からの質問や不安に迅速に対応できる体制を整えることが大切です。専用の問い合わせ窓口や担当者を明示しておくことで、取引先が不明点を確認しやすくなり、信頼関係の維持にもつながります。
5.Web請求書を拒否された場合は柔軟に対応する
取引先が電子化に難色を示した場合には、無理に切り替えを求めず、従来どおり紙の請求書を継続する姿勢も必要です。
その上で、将来的に電子化を検討しているかを確認し、段階的に移行できるよう調整するとスムーズに進めやすくなります。
請求書の電子化をまとめて対応
Web請求書と法対応
Web請求書を導入する際には、電子帳簿保存法やインボイス制度といった法制度への対応が欠かせません。ここでは、それぞれの制度との関係やWeb請求書に求められる要件を整理します。
電子帳簿保存法との関係
Web請求書を導入する際には、電子帳簿保存法に沿った運用が必要です。ここでは、法律の概要とWeb請求書に求められる具体的な保存要件を解説します。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認めた法律です。従来は紙での保管が原則でしたが、法改正により電子化が可能となり、業務効率化やコスト削減を進められるようになりました。
ただし、単に電子データを保存すればよいわけではなく、改ざんされていないことを保証する「真実性」と、必要なときに容易に検索・閲覧できる「可視性」を確保することが求められます。
具体的には、タイムスタンプの付与や訂正・削除の履歴管理、検索機能の整備などが必要です。こうした要件を満たすことで、電子データも紙と同等の証拠力を持つものとして扱われます。
Web請求書に求められる保存要件
Web請求書を電子データで保管する場合は、電子帳簿保存法で定められた要件を満たすことが求められています。
具体的には、改ざんを防ぐためのタイムスタンプ付与や訂正・削除履歴の管理が求められます。さらに、発行日や取引先名などの条件で検索できる機能を備える必要があります。また、データを長期的に保持するために適切なバックアップ体制を整えることも大切です。
インボイス制度との関係
Web請求書を活用する上では、インボイス制度への対応も重要なポイントです。ここでは、制度の概要とWeb請求書に求められる具体的な対応について説明します。
インボイス制度とは
インボイス制度とは、2023年10月に導入された新しい消費税の仕組みで、仕入税額控除を受けるためには「適格請求書」の保存が必須となる制度です。
従来の区分記載請求書と比べて記載項目が増え、税率ごとの金額や消費税額を明確に記載する必要があります。さらに、適格請求書を発行するためには事前に税務署での登録を行い、適格請求書発行事業者として認められることが条件となります。
Web請求書でのインボイス対応
Web請求書を利用する場合でも、インボイス制度で定められた適格請求書の要件を満たす必要があります。具体的には、登録番号や税率ごとの金額、消費税額などを正しく記載しなければなりません。
多くのシステムには自動計算やチェック機能が搭載されており、法令に沿った請求書を効率的に作成できるため安心して運用できます。
Web請求書を導入するときの注意点
Web請求書の導入にはさまざまなメリットがありますが、気を付けるべき点もあります。ここからは、請求書発行業務を円滑に進めるための注意点について確認していきましょう。
1.電子帳簿保存法の要件に沿った保存
2022年1月に改正された電子帳簿保存法により、電子データで取引した請求書は、原則として7年間、一定の要件下で電子保存することが義務付けられています。
電子データの保存方法は、「真実性の要件」と「可視性の要件」の2つを満たす必要があります。
- 真実性の要件:データが改ざんされていないことを保証できる状態で保存する
- 可視性の要件:容易に検索できる状態で保存する
これは請求書発行側、受領側ともに適用される義務であり、Web請求書を導入する際には双方の対応が必要です。
2.請求書業務のフローやルールの変更
Web請求書を導入する場合、社内における請求書の発行や保管ルールを変更する必要があります。加えて、変更点については、社内全体に周知することが重要です。新たなルールを部署全体または社内全体で共有することで、請求書業務の属人化を防げます。
また、取引先が電子データの受け取りや保存に対応していない場合も考えられます。取引先によっては、紙の請求書、もしくは特定のフォーマットでの発行を希望される可能性があるため、事前に送付方法を確認のうえ、調整しておきましょう。
Web請求書への対応が困難な取引先には、個別に紙の請求書を発行するなど柔軟な対応をとることが求められます。
3.セキュリティー対策
Web請求書は請求書発行業務の労力やコストを削減できる便利なものですが、誤送信などによる情報漏えいのリスクがある点には十分に気を付けなくてはなりません。システム導入の際には、誤送信防止策や万が一のときの対応方法を含むセキュリティー対策が必須です。
例えば、ダウンロードURLにパスワードを設定する、自社のセキュリティーソフトを強化するといったことが挙げられます。また、定期的にデータのバックアップを取ることも大切です。
情報漏えいは、取引先からの信頼を損なう可能性があるため、データのやりとりや保管については特に注意しましょう。
4.改ざん防止
取引先に請求書データを送る際は、改ざんができないPDF形式に変換して送ることが一般的です。WordやExcelで作成した請求書をそのまま送信すると、内容が改ざんされる恐れがあるためです。
のちにトラブルが発生することのないように、改ざんのできない信頼性のある形式で作成し、送付しましょう。
Web請求書発行システムの主な機能
Web請求書発行システムは、請求書の作成から送付、保管、さらには入金管理までをインターネット上で一元的に管理できるツールです。主に下記のような機能が備えられています。
- 請求書作成
- 請求書送付
- 請求書データ保管
- システム連携
- 入金管理
1.請求書作成
請求書作成機能では、取引先情報や取引内容、金額など必要なデータを入力するだけで、簡単に請求書を作成できます。また、会計ソフトや基幹システムから出力されたCSVデータをインポートして、一括で請求書を作成することも可能です。この機能により、手作業での入力が減り、作業時間の削減につながります。
2.請求書送付
Web請求書発行システムは、作成した請求書の送付もスムーズに行えます。メール送付機能では、取引先の情報を登録し、送信する際の定型文を設定することが可能です。さらに、送信日時を予約することで自動的にメールが送信されるため、手動での操作を減らし、送付業務の負担軽減につながります。
また、セキュリティー対策として、請求書データにパスワードを設定することもできるため、安心して送信できます。
さらに、郵送を希望する場合でも、システムから請求書を印刷し、封入して取引先に郵送する代行サービスを利用することが可能です。このサービスを活用すれば、宛名のミスや発送手続きにかかる手間を省くことができ、作業の効率化に貢献します。
3.請求書データ保管
システムで作成された請求書は、すべて自動的にデータとして保存されます。そのため、請求書を後から確認したい場合でも、すぐにアクセスすることが可能です。さらに、取引先名や商品名、進捗状況などを条件に検索できる機能も備わっており、特定の請求書をすばやく見つけ出すことができます。
こうしたデータ保管機能により、紙ベースでの請求書管理に比べ、保管スペースの確保や手作業でのファイリングの手間が大幅に軽減されます。電子化により、過去のデータもすぐに確認でき、必要な情報に瞬時にアクセスできる点は非常に便利です。
4.システム連携
Web請求書発行システムの一部には、他の会計ソフトや管理システムとのAPI連携が可能なものもあります。この機能により、請求書発行から会計処理までの流れが自動化され、業務全体の効率を高めることができます。
API連携を活用することで、リアルタイムでデータの更新が行われ、手作業でのデータ入力が不要になります。こうした機能によって手入力によるミスが大幅に減少し、データの正確性も向上します。特に、大量の請求書を扱う企業にとっては、データ連携機能は大きなメリットとなります。
5.入金管理
さらに、一部のWeb請求書発行システムには、金融機関との連携を通じて入金消込作業を自動化する機能が備わっているものもあります。この機能により、入金の確認と消込処理がシステム内で自動的に行われ、経理担当者の作業負担を大幅に軽減します。
もし入金名義が一致しない場合には、手動で消込を行うことが可能です。システムはこれを学習し、次回以降の自動化がさらにスムーズに行えるようになります。特に、複数の銀行口座や取引先がある企業にとって、この入金消込の自動化機能は、作業の効率化と正確性の向上に大いに役立ちます。
Web請求書システムを選ぶポイント
Web請求書システムは、請求書をWeb上で簡単に作成・管理できるサービスです。
しかし、システムによって機能やサービスが異なるため、自社に適したものを選びましょう。ここからは、サービスを選定する際のポイントを5つ紹介していきます。
- 法制度に対応しているか
- サポート対応が充実しているか
- セキュリティー体制が整っているか
- 既存システムとの連携が可能か
- 従業員の負担を軽減できる機能が備わっているか
1.法制度に対応しているか
Web請求書システム選びでは、最新の法制度に準拠しているかを確認することが大切です。直近では、インボイス制度や電子帳簿保存法などが挙げられます。さらに今後、新たな制度の開始や法改正があることも想定されます。
電子帳簿保存法の要件を満たしているかどうかを確認するには、「JIIMA認証」を受けているかを確認しましょう。法制度に対応しているシステムを選ぶことで、法制度に円滑に対応でき、業務効率の改善にもつながります。
2.サポート対応が充実しているか
初めてシステムを導入する際には、サポート対応が充実しているものを選ぶと良いでしょう。サポート体制が整備されていれば、不明な点や外部システムとの連携などについて即座に相談でき、そこにかかる時間的コストを減らせます。
迅速に対応できるサポート体制が整備されていれば、トラブルが発生しても、取引先に迷惑をかけることなく対応可能です。また、リモートサポートの有無も確認しておくと良いでしょう。
3.セキュリティー体制が整っているか
請求書は、自社・取引先双方の企業にとって機密性の高い重要な書類です。すでに解説したように、Web請求書は情報漏えいのリスクをともなうため、セキュリティー対策に十分な配慮がなされたものを選ぶことが大切です。
例えば、サーバーの監視システムやデータセンターの立地条件、SSL暗号化、各種の認証の取得などをチェックすると良いでしょう。
4.既存システムとの連携が可能か
すでに利用している会計システムなどがある場合には、データ連携を行えるかどうかも重要なポイントです。システム間で連携できれば、二重の処理や入力といった手間が削減され、業務の効率化を図れます。
現在、そういったシステムを導入していない場合でも、将来的な導入を見越して、外部システムとの連携機能があるWeb請求書システムを選ぶと良いでしょう。
5.従業員の負担を軽減できる機能が備わっているか
導入するWeb請求書システムが、経理担当者の業務負担を軽減できるかどうかという視点が大切です。導入することで現場が混乱することのないように、現場目線での使いやすさや、自社の事業形態との適合性は、慎重に検討する必要があります。
また、システムによって搭載している機能や自動化できる業務範囲が異なるため、請求書の作成、送付、入金消込、仕訳作成など、どの範囲まで対応できるツールなのか事前に確認しましょう。システムによっては、請求書受領側の処理も合わせて効率化できるものもあります。
自社の課題を解決できるようなシステムを選ぶことがポイントです。
債権管理業務を効率化
Web請求書導入の5STEP
Web請求書の導入は下記の5つのSTEPで進めると良いでしょう。
- 現状の業務課題・導入目的を整理する
- 課題解決に必要な項目を洗い出して優先度を付ける
- 概算予算とスケジュールを想定する
- 判断基準に沿って各サービスの情報を収集する
- 選定・導入を決定する
以下ではそれぞれのSTEPについて説明をします。
STEP1.現状の業務課題・導入目的を整理する
請求書の電子化を進める前に、まず現在の業務における課題を把握し、導入の目的を明確にすることが大切です。電子化サービスを検討する段階でいきなり比較を始めるのではなく、現状の業務を整理することで、自社に合った最適なサービスを選べるようになります。
こうしたプロセスを踏むことで、「導入自体が目的になる」という失敗を防ぎ、実際に課題を解決するための適切な選択ができるようになります。
STEP2.課題解決に必要な項目を洗い出して優先度を付ける
次に、業務上の問題点を詳細に洗い出し、それを解決するために必要な機能や要素をリストアップします。現在の業務のどの部分に問題があるのかを整理し、その中で優先的に解決すべき課題を明確にすることが重要です。
リスト化によって、導入するサービスに求める機能を具体的に把握でき、サービス選定がスムーズに進められます。
STEP3.概算予算とスケジュールを想定する
Web請求書発行システムを導入する際は、概算の費用とスケジュールをシミュレーションしておくことが欠かせません。導入にかかる費用は初期費用と月々の運用コストです。
現状の業務にかかる紙の印刷代、郵送費、人件費などのコストを考慮し、どのくらいの予算を割り当てるべきかを見積もります。また、導入から運用開始までのスケジュールをあらかじめ決めておけば、準備作業や社内外の周知がスムーズに進みます。
STEP4.判断基準に沿って各サービスの情報を収集する
必要な機能と予算を基に、複数のWeb請求書発行システムを比較検討します。各サービスの提供する機能をしっかりと確認し、自社に合ったものを選ぶことが重要です。
この際、デモサイトを活用するのもおすすめです。実際に管理画面を操作してみることで、システムの使い勝手や導入後の運用がどのようなものになるかをイメージしやすくなります。確認作業をしっかり行うことで、サービス導入後のトラブルを未然に防ぐことができます。
STEP5.選定・導入を決定する
最適なWeb請求書発行システムが決まったら、稟議書を作成して承認を得る段階に進みます。稟議書には導入の目的や予算、期待される効果を具体的に記載することが大切です。
承認が得られたら、サービス提供会社と契約を結び、導入準備を進めましょう。また、運用開始に先立って、社内や取引先に対してシステム導入の案内を行い、円滑な移行を目指します。
まとめ
Web請求書は、請求書の発行・送付をWeb上で行う仕組みであり、請求書業務の効率化やコスト削減に寄与します。本記事では、Web請求書の概要、導入によるメリット、実施する際の注意点、そして適切なシステム選びのポイントについて詳しく解説しました。
特に、2024年10月の郵便料金改定を受けて、紙の請求書からデジタル化への移行を検討する企業が増えています。このような状況下で、Web請求書への移行は、単なるデジタル化にとどまらず、企業の経理業務全体を変革する重要な戦略となっています。
請求書の発行から受領まで一貫して管理できるクラウド請求書受領サービスのBill One請求書受領は、Web請求書の導入を推進する効果的なツールの一つです。あらゆる方法や形式で届く請求書をオンラインで受領して一元管理し、申請・承認・仕訳作成までをデジタルで完結させることができます。さらに、インボイス制度や電子帳簿保存法などの最新の法制度にも対応するため、法令遵守の面でも安心です。
Bill Oneでは、請求書の受領と発行、それぞれの業務を効率化することができます。
クラウド請求書受領サービス「Bill One請求書受領」は、あらゆる形式の請求書をオンラインで受け取り、クラウド上で一元管理できます。
受け取った請求書は、99.9%*の高精度でデータ化し、申請・承認・仕訳作成までの一連のプロセスをデジタル化することで業務効率を大幅に向上させます。
「Bill One債権管理」は、請求書の発行から入金消込まで、全社の請求業務を自動化するクラウド債権管理サービスです。
入金状況がリアルタイムで共有できるため、経理・財務はもちろん、全社で債権の状況を把握できます。
Bill One請求書受領の特長
- 紙や電子などあらゆる形式の請求書をオンラインで受領し、99.9%の精度*で正確にデータ化する
- 受領した請求書データを一元管理できる
- インボイス(適格請求書)の要件を満たしているかを自動チェック
- 適格請求書発行事業者番号が事業者名と一致しているかも自動で照合
- 電子帳簿保存法に対応した保存要件で受領した請求書データを適切に保管
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*Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合のデータ化精度
Bill One債権管理の特長
- 請求先ごとに固有のバーチャル口座を振込先として請求書を作成・発行
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- 発行済みの請求書と入金状況をリアルタイムに一覧表示・管理可能
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記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、グローバル事業の支援を得意とし、「国際ビジネス法務サービス」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部












