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月次決算を早期化するには?遅れる原因や早期化の方法を紹介
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月次決算の早期化は、企業の経営判断や業務効率化に大きな影響を与えます。
本記事では、月次決算を早期化するメリットや具体的な方法、注意点について詳しく解説します。月次決算早期化の重要性と実践方法を紹介しているので、月次決算を早めたいと考えている企業の方はぜひ参考にしてみてください。
月次決算を早期化するメリット

月次決算の早期化は企業に大きなメリットをもたらします。主なメリットは次の4つです。
- 経営判断の迅速化と適切な意思決定につながる
- 業績の早期把握と対策立案ができる
- 資金繰りを改善できる
- 外部関係者への信頼が向上する
1.経営判断の迅速化と適切な意思決定につながる
月次決算を早期化することで、経営者は最新の財務情報に基づいた意思決定を迅速に行えます。
従来の決算スケジュールでは、月次の数字を確認するまでに数週間を要するケースも多く、リアルタイムの経営判断が困難でした。しかし月次決算の早期化により速やかに財務情報を確認できれば、状況に応じて迅速かつ適切な意思決定をしやすくなります。
経営判断の迅速化と適切な意思決定は、企業の持続的な成長のために欠かせません。
2.業績の早期把握と対策立案ができる
月次決算を早期化すれば業績を素早く把握でき、問題点がある際に迅速に対策を講じられます。
例えば売上高や利益率が想定より下回っているなどの課題を早期に見つけ、販売戦略の見直しやコストダウンに取りかかることが可能です。
業績不振の兆候が見えた際、ただちに対策を講じれば損失を最小限に抑え、長期的な業績悪化を防げます。月次決算の早期化は、経営リスクの軽減と事業の安定成長にも寄与します。
3.資金繰りを改善できる
月次決算の早期化により、資金の流れをリアルタイムで確認できます。資金調達や投資のタイミングを適切に見極められるため、資金繰りの改善が期待できます。
資金繰りは企業の生命線です。企業には健全な資金状況の維持が求められます。企業の資産状況を把握するスピードを上げて資金繰りの改善につなげることは、長期的な成長戦略の実現にもつながり、企業の競争力を高める一助となるでしょう。
4.外部関係者への信頼が向上する
月次決算の早期化は、金融機関や取引先からの信頼を向上させる重要な要素です。
金融機関は融資の際、企業の財務情報をもとに可否を判断します。取引先にとっても、財務情報の透明性と信頼性は重要です。
月次決算を早期化することで定期的に正確な財務情報を提供できるようになり、取引条件の改善や融資の交渉でも有利に働くことが期待できます。
月次決算が遅れる理由

月次決算が遅れる原因は多岐にわたりますが、特に次の5つの要因が大きく影響しています。
- データ収集・入力の遅れ
- 人手不足による対応の遅れ
- 業務の属人化と標準化の不足
- システム同士が連携していない
- 法制度改正への対応遅延
1.データ収集・入力の遅れ
月次決算が遅れる一因は、データ収集や経理システムへの入力に時間がかかることです。
請求書を受け取ったら担当者に届けたり、宛先不明の封筒は開封して中身を確認したりと手間がかかります。情報を入力して仕訳するにも時間を要します。取引先からの請求書送付が遅れることも珍しくありません。
月次決算の業務の大部分を占めるデータの収集や入力がスムーズに進まなければ、月次決算に遅れが生じてしまいます。
2.人手不足による対応の遅れ
人手不足も月次決算が遅れる要因の一つです。
経理部門では月末の決算時期に業務が急増するため、通常の人員では対応が追いつかないこともあるでしょう。経理担当者がすべての請求書を受け取り、一つひとつの中身を確認し、入金・保管までを終わらせる企業もあると思います。
経理業務に精通した人材の確保が難しく、限られた人員で業務をこなしているために、月次決算が遅れてしまう実情がよく見られます。
3.業務の属人化と標準化の不足
業務が属人化しており、標準化できていないことも、月次決算が遅れる原因として挙げられます。
請求書の処理方法がわかる担当者が不在で、業務が滞ってしまうこともあるでしょう。ある経理担当者が退職したら会計業務に困るという企業も少なくないと思います。
業務が特定の担当者に依存している状況だと、月次決算に遅れが生じやすくなります。
4.システム同士が連携していない
社内で利用している複数のシステムが連携していない場合、月次決算が遅れる要因となります。
例えば販売管理システムと請求書管理システム、会計システムがそれぞれ独立していると、各システムに手動でデータを入力しなければなりません。手間がかかり、入力ミスのリスクが高いことから訂正作業にも時間を要します。
せっかくシステムを導入しているのにもかかわらず各システムが連携していなければ、十分な業務効率化が図れず、月次決算が遅れてしまいます。
5.法制度改正への対応遅延
法制度の改正への対応も、月次決算の遅れを引き起こす理由の一つです。
最近ではインボイス制度や電子帳簿保存法の改正により、経理部門の負担が重くなりました。Sansan株式会社の調査によれば、2023年10月のインボイス制度開始から1年が経過してもなお、71.0%の経理担当者が「業務負担の増加」「適格請求書の要件確認」など制度対応への課題を感じています。

このようなインボイス制度への対応が決算業務にも影響を及ぼしており、法改正への対応と社内体制の整備は、月次決算が遅れる原因となります。
参照:Sansan株式会社|「Sansan、「インボイス制度開始1年後の実態調査」を実施〜いまだ7割以上の経理担当者が制度対応に課題。制度開始前より月5.5時間の業務増加、経理担当者の人手不足が露呈〜」
月次決算を早期化する方法

月次決算の早期化を実現するための具体的な方法5つをご説明します。
- 業務プロセスを見直し、標準化する
- システムを導入・更新する
- 部門間の連携を強化する
- 社員への教育を実施する
- 経営層に理解してもらう仕組みを作る
1.業務プロセスを見直し、標準化する
月次決算の早期化を図るためには、現在の業務プロセスを見直し、業務を標準化しましょう。
まずは業務プロセス全体を整理しましょう。そのなかで、属人化されている業務がないか確認しましょう。
例えば、 マニュアルがなく、特定の担当者のみが対応方法を知っている業務などが該当します。
属人化している業務を特定したら、対応マニュアルを作成し、他のメンバーでも対応できるようにしましょう。
特に、特別対応が必要な案件は属人化しやすいため、対応内容を共有できる仕組みを整えることがおすすめです。
2.システムを導入・更新する
最新の経理システムや会計システムを導入すれば、あらゆる業務の効率が一気に上がり、月次決算を早められます。
例えば、クラウド型の請求書受領システムを導入すれば、出社せずに請求書を確認できるため、テレワークでもスムーズに対応が可能です。また、発注者への確認もインターネットを通じて迅速に行えるので、担当者の不在による業務停滞が減少します。さらに、データ入力や仕訳処理の自動化により、手作業の負担が軽減され、人為的エラーも削減されます。
このように、システムを活用することで業務全体が効率化され、月次決算の早期化が現実的に実現できます。
3.部門間の連携を強化する
月次決算を早期化するためには、経理部門と他部門との連携強化が重要です。
各部門からの請求書や経費データの提出が遅れると、経理部門でのデータ処理が進みません。毎月、請求書の催促や締切を過ぎて提出されるデータに苦労している経理担当者の方も多いのではないでしょうか。
部門間の連携を強めるには、情報の共有が不可欠です。共有フォルダを作成したりシステムを導入したりすれば、情報共有が楽になります。
部門間の情報共有が円滑になることで、伝達ミスや修正作業にかかる工数が減り、月次決算の効率化につながります。
4.社員への教育を実施する
月次決算の早期化には、経理担当者のスキルアップや意識改革のための教育も欠かせません。
経理業務や法改正への対応について不明点が出てくると、業務が止まってしまいます。また、月次決算を早期化しなければならないという意識がなければ、多少遅れても問題ないと判断してしまうかもしれません。
スキルアップにより業務効率を上げるのみならず、月次決算を早期化する重要性を理解してもらうことで、業務に対する意識が変わり生産性が上がるでしょう。
5.経営層に理解してもらう仕組みを作る
経営層に月次決算の早期化の重要性を理解してもらえれば、早期化が一気に進むことが期待できます。経営層から各部門に迅速な対応を促したり、経営層の承認を得てシステムを導入したりできるからです。
経営層に理解してもらうには、経営判断の迅速化と適切な意思決定につながる、資金繰りを改善できるなど、月次決算の早期化のメリットを伝えましょう。さらに業務の改善策やシステム導入を提案する際は、具体的な事例や数字を示すことがポイントです。
月次決算の早期化に向け、実務を行っていない経営層にもイメージしやすいように説明しましょう。
月次決算を早期化する際の注意点

月次決算の早期化を目指す際には、スピードと併せて注意したいポイントがあります。
- 早期化しつつも正確に数値を記載する
- セキュリティー対策にも注力する
- 部分的ではなくトータルのコストを管理する
- 従業員の負担増加に配慮する
1.早期化しつつも正確に数値を記載する
月次決算の早期化を目指すにあたって注意したいのは、スピードと同時に正確性を保つことです。
迅速な処理を優先するあまり数値のミスやデータの抜け漏れが発生してしまうと、修正作業が増え、かえって月次決算が遅れてしまいます。
業績の早期把握と対策立案や外部関係者の信頼向上など、月次決算を早期化するメリットの実現には正確さが重要です。
正確性を保ちながら迅速な決算を実現することが、企業の信頼性向上にもつながります。
2.セキュリティー対策にも注力する
月次決算の早期化を進める際は、データを電子化したりクラウドシステムを導入したりするのが効果的です。一方で、電子化やクラウド化に伴いセキュリティーリスクも一緒に考える必要があります。
経理情報は機密性が高く、企業にとって重要な情報資産のため、データの盗難や不正アクセス、情報漏洩を防ぐためのセキュリティー対策が不可欠です。
クラウドシステムを利用する場合、データの暗号化やアクセス権限の制御、多要素認証、定期的なバックアップが備わっているか確認しましょう。併せて、従業員へのセキュリティー教育も欠かせません。
セキュリティー対策を万全にして、安全に月次決算の早期化を進めましょう。
3.部分的ではなくトータルのコストを管理する
月次決算の早期化を進める際には、クラウドシステムなどの導入にかかる初期費用だけでなく、メンテナンス費やサポート費のランニング費用も考慮する必要があります。
反対に、システムの導入によって削減できる人件費や作業時間も算出し、費用対効果を総合的に確認しましょう。
長期的な視点で早期化にかかる支出費用と削減費用を考えることで、企業の生産性向上と収益性アップにつながります。
4.従業員の負担増加に配慮する
月次決算の早期化に伴ってクラウドシステムを導入すると、操作に慣れるまで一時的に負担が増加する可能性があります。
しかし、システムの利用が定着すれば一時的に増える工数以上に業務が軽減されることを説明し、モチベーションを維持することが重要です。
一時的な負担増加に配慮しつつ、長い目で従業員の負担を考えましょう。
まとめ
月次決算の早期化は、企業の業績を迅速に確認し、適切な経営判断や資金繰りを行うために重要です。
早期化によって経営判断の迅速化や業績の早期把握、外部関係者からの信頼向上といったメリットが得られます。しかし、データ入力の遅れや人手不足、業務の属人化などが課題となるため、業務プロセスの見直しやシステムの導入、部門間連携の強化といった具体的な取り組みが必要です。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部