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請求書管理とは?保管期間や保管場所、管理方法について解説
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電子化や法改正により、請求書管理の方法は急速に変化しています。自社に合った請求書管理のやり方が見つからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、請求書管理の必要性から保管期間、保管場所、具体的な管理方法までわかりやすく解説します。また、Excelでの請求書管理の問題点や、「送付する請求書」と「受け取る請求書」2種類の請求書を管理するポイントも併せてご紹介します。
請求書管理とは
ここではまず、「請求書管理の必要性」「請求書の保管期間」「請求書の保管場所」の3点について解説します。
請求書管理の必要性
請求書管理は、企業にとって非常に重要な業務であり、ミスなく適切に行う必要があります。なぜなら、請求書は取引の成立やお金の動きを証明する証憑書類であり、適切に管理するよう法律で定められているからです。
また、保管する期間も定められています。紛失はもちろんのこと、事業者の判断で勝手に破棄してはいけないことを理解しておきましょう。
法人だけではなく個人事業主も、請求書は適切に管理しなければなりません。
請求書の保存期間
請求書の保存期間は法律によって以下のように定められています。
パターン | 保存期間 |
---|---|
法人の場合 | 確定申告提出期限の翌日から7年間 |
個人事業主の場合 | 確定申告提出期限の翌日から5年間 |
雑所得で年間300万以上の | 確定申告提出期限の翌日から5年間 |
上表のように、法人なのか個人事業主なのか、あるいは雑所得の収入金額が年間300万円を超えているかどうかで保存期間が異なります。自社あるいは自分の保存期間を把握し、定められた期間は管理を怠らないようにしましょう。
なお、適格請求書の保存期間は法人、個人事業主問わず、どちらも7年間となっています。
うっかり5年で破棄しないように注意しましょう。
国税関係書類の書面破棄に関する要件
なお、電子帳簿保存法一問一答問3には以下のように記載されています。
『令和3年度の税制改正において、適正事務処理要件
(旧規則第3条第5項第4号。紙段階での改ざん等を防止するための仕組み)の規定が廃止され、令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については、定期的な検査を行う必要がなくなりました。そのため、スキャナで読み取り、折れ曲がり等がないか等の同等確認を行った後であれば、国税関係書類の書面(紙)は即時に廃棄することとして差し支えありません。』
引用元:電子帳簿保存法一問一答 【スキャナ保存関係】 令和6年6月 国税庁
上記記載の通り、条件を満たす場合には書面の破棄も可能となりましたが、顧問税理士がいる場合は相談し判断するようにしましょう。
インボイスの請求書について詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
請求書の保管場所
請求書は、紙か電子データかによって保管方法が異なります。それぞれに適した保管の仕方を解説します。
紙の場合
ペーパーレス化が進んだとはいえ、紙の請求書を発行する企業も少なくありません。紙の請求書を受け取ったら、取引先ごと、もしくは支払い済み・未払いなどの状況ごとに作成したファイルに保管すると良いでしょう。
自社が発行した請求書の控えも同じように保管します。
紙の請求書をファイルに分けて保管する方法は、取引の数が少ない小規模な企業や個人事業主に適しています。
電子データの場合
電子帳簿保存法の改正により、電子的に受け取った証憑書類は原則として電子保存が義務付けられました。これまでのように、紙に出力してファイリングすることは認められなくなったのです。
メールに添付された請求書やデジタルフォーマットで届いた請求書は、法律で定められた要件を満たした方法で電子保存しましょう。なお、紙の請求書は電子保存ではなく、そのまま保存できます。
電子帳簿保存法や請求書保存については、以下の記事で詳しく解説しています。
請求書発行の流れ
ここでは、請求書を発行する際の手順を5つのステップで紹介します。
- 取引内容と取引先情報の確認
- 請求書テンプレートの準備
- 請求書の作成
- 取引先への送付
- 原本控えの保管
各ステップについて解説します。
1.取引内容と取引先情報の確認
最初に、取引内容と取引先の情報を確認しましょう。
取引の内容には、請求日、支払期限、取引内容、振込手数料の負担者、請求金額などが含まれます。取引先の情報については、会社名(または氏名)や適格請求書事業者登録の有無を確認することが重要です。
さらに、メールや郵送などの送付方法も確認しておくと、やり取りがスムーズに進みます。
2.請求書テンプレートの準備
毎回請求書を一から作成するのは効率的ではないため、テンプレートを用意することをおすすめします。請求書のフォーマットは法律で厳密な形式は定められていませんが、以下の5つの項目を漏らさず記載することが必要です。
- 請求書発行者の情報
- 取引が行われた年月日
- 取引内容
- 取引金額(小計、消費税、合計)
- 請求書受領者の情報
3.請求書の作成
準備したテンプレートを活用して請求書を作成します。請求書には法的な書式の規定はありませんが、必須項目を漏れなく記載することが重要です。
特に、「請求日」と「支払期限」は取引先と事前に合意した日付を確実に記載しましょう。
4.取引先への送付
事前に確認した方法で取引先に請求書を送付します。紙の請求書を送る場合は、封筒に入れて切手を貼って郵送します。一般的にはA4用紙を三つ折りにして入れられる「長形3号」が使用されます。
電子請求書の場合は、PDF形式に変換した請求書を取引先のメールアドレスに送信します。ただし、PDF請求書をメールでやり取りする際は、電子帳簿保存法で定められた保存要件を満たす必要があります。
5.原本控えの保管
請求書は、受領したものと送付したものを別々に保管することが重要です。受領した請求書は「未払い」と「支払い済み」に分けて保管することで、支払い漏れを防止しやすくなります。
送付した請求書については、「未入金」と「入金済み」に分けて原本を保管する必要があります。
未入金の請求書は、取引先への催促が必要になる場合があるため、自社で確実に管理できるようにしておきましょう。
請求金額の回収手順
請求金額の回収手順は、以下の3つのステップで行います。
- 支払い期日に請求金額が振り込まれているか確認
- 記帳済みの「売掛金」を消込
- 未払いの場合の催促
それぞれのステップについて解説します。
1.支払い期日に請求金額が振り込まれているか確認
請求書に記載された支払い期日に取引先からの振込が完了しているかを確認します。同時に、振込金額が正確かどうかも必ずチェックしましょう。
もし金額に誤りがあった場合は、速やかに取引先に連絡する必要があります。その際には、相手を不快にさせないように注意を払いましょう。
2.記帳済みの「売掛金」を消込
振込金額が正確であることを確認したら、請求書発行時に記帳した売掛金の消込を行います。消込を行う際には、金額だけでなく取引先の情報も必ず確認しましょう。金額だけで判断すると、同じ金額の売掛金が存在する場合に誤りが生じる可能性があるため注意が必要です。
3.未払いの場合の催促
支払期日に振込が確認できない場合、取引先に催促を行う必要があります。しかし、まずは自社のミスがないかを事前に確認することが重要です。送付先の間違いや支払期日の誤りなど、自社で確認できる事項は全てチェックしておきましょう。
自社に問題がないことを確認した後、取引先に催促を行います。その際は、強い口調にならないように気をつけ、丁寧な文章を心掛けましょう。
請求書の管理方法
請求書の管理方法は、おもに以下の三つがあります。
- 請求月別に管理する
- 取引先別に管理する
- 状況別に管理する
それぞれを順に説明します。
請求月別に管理する
一つ目は、請求月別に管理する方法です。月ごとに請求書をまとめて管理することで、各月の支払い状況や支出の傾向を把握しやすくなり、経理処理や予算管理などの業務を効率化できます。
一方でデメリットもあります。例えば、特定の請求書を見つけるには、12カ月分の請求書の中から探さなければなりません。取引先が多い場合や請求書の数が多い場合は、時間や労力がかかる可能性があります。
取引先別に管理する
二つ目は、取引先別に管理する方法です。取引先別に請求書を整理しておけば、取引先ごとの請求実績を把握しやすくなります。
ただしこの方法は、一定期間の支払い総額をチェックしにくいというデメリットがあります。全体の状況を把握して経理処理を効率的に行えるようにするには、月単位での支払い情報を簡単に取得できるような工夫が欠かせません。
ステータス別に管理する
三つ目は、請求書を「請求書未発送」「請求書発行・送付済み」「未入金」「入金済み」「回収困難」などの状況別に管理する方法です。
この方法であれば、請求管理業務が現時点でどのフェーズにあるのかがすぐにわかります。反面、前述した二つの管理方法に比べるとやや複雑であり、ミスが発生しやすいので注意しましょう。
「請求書をまだ送っていなかった」「未入金なのに入金済みにしてしまった」といった事態が起きないよう、管理体制を整える必要があります。
Excelで請求書管理する方法と課題
請求書を手作業で管理する場合、Excelを活用すると効率化できますが、管理の手順をしっかり決めておかないと、かえって効率が悪くなることもあります。
ここでは、Excelで請求書を管理する方法と課題について、詳しく解説します。
Excelでの請求書管理方法
Excelで請求書を管理する方法について、順を追って説明します。
- 請求先リストの作成
- 記帳済みの「売掛金」を消込
- 未払いの場合の催促
それぞれについて解説します。
1.請求先リストの作成
まず、請求先のリストをExcelで作成します。このリストを作成する目的は、主に以下の2点です。
- 請求先を一目で確認できるようにする
- 請求書の作成数を把握する
これにより、請求書の作成漏れや入金漏れに気づきやすくなります。
必要な情報だけに絞って、会社名、部署名、住所などの項目で「請求先リスト」を作成しましょう。現状を正確に把握するため、管理ステータスは状態ごとに色分けするのが効果的です。また、「請求先リスト」は取引先の増減に応じて定期的に更新し、常に最新の情報にするようにしましょう。
2.請求書テンプレートの準備
請求作業が発生するたびに毎回請求書を一から作成するのは非常に手間がかかります。そのため、請求書のテンプレートを作成することで効率的に請求書を作成することをおすすめします。
テンプレートを準備する際には、ステップ1で作成した「請求先リスト」と連動する項目を設けると作成時やチェック時に管理がしやすくなります。
3.管理フォルダの作成
次に、請求書を効率的に管理するためのフォルダを作ります。フォルダを作る際には、月ごとや取引先ごとに分けるやり方が一般的です。また、請求書番号を使用している場合は、その番号をフォルダ名に使うとさらに効率よく管理ができます。
4.運用開始
フォルダ分けが完了したら、請求書業務の運用を開始します。その際に特に重要なのは、ステータスの更新です。
ステータスを適切に管理することで入金漏れを早期に発見できたり、トラブルの防止につながります。更新作業は手間がかかりますが、ミスがあると会社の信頼を損なう可能性があるため、しっかり管理することが重要です。
Excel管理の課題
Excelは請求書の管理に特化したツールではありません。そのため、下記のような課題があります。
- 手入力ミスの可能性
- 同時編集ができない
- データ量増加による処理速度の低下
それぞれについて解説します。
1.手入力ミスの可能性
Excelで請求書を管理する際によくあるのが、手入力によるミスです。特に大量のデータを入力する場合、入力欄を誤ったり誤字脱字などの入力ミスが発生しやすいです。
また、ミスがあると修正に時間と労力がかかるため、業務効率の低下にもつながってしまいます。
2.同時編集ができない
Excelは基本的に一人のユーザーが一度にファイルを開いて編集することを前提としています。そのため、複数の担当者が同時に請求書のデータを更新することができません。
同時編集ができないため、更新の遅れや二重入力のリスクが高まり、全体の作業効率が低下する可能性があります。
3.データ量増加による処理速度の低下
処理速度が低下する傾向があります。大量の請求書データを管理する場合、Excelのファイルが重くなり、開く時間や保存にかかる時間が長くなることがあります。
また、大量のデータを扱う際にファイルが破損しやすくなるリスクもあり、データの安全性と信頼性の上でも問題です。
よくある請求書管理の悩み
請求書管理に悩む経理担当者は多くいるでしょう。ここでは、請求書管理のよくある悩みを3つ紹介します。
- 請求の取りまとめや確認に時間がかかる
- 複雑な請求金額の計算でミスが発生しやすい
- 見積書の内容を請求書に手作業で転記する必要がある
1.請求の取りまとめや確認に時間がかかる
請求書管理において、請求の取りまとめや確認に多くの時間がかかることは大きな悩みです。特に、多数の取引先や請求書がある場合、各請求書の内容を一つ一つ確認し、取りまとめる作業は非常に時間がかかります。
さらに、手動での確認作業は、見落としやミスが発生しやすいため、最終的に二度手間となることが多いです。このため締め切りに間に合わせるために残業が増えたり、他の重要な業務に割く時間が減ったりします。
2.複雑な請求金額の計算でミスが発生しやすい
請求書作成時には、複雑な計算が必要となることが多く、ミスが発生しやすいです。特に、手動で計算する場合、計算ミスやデータ入力の誤りが生じやすく、誤った請求書が送付されるリスクがあります。
ミスが発生すると大事な取引先との信頼関係が損なわれる可能性があるため、何度も確認するようになり、膨大な作業時間を要します。
3.見積書の内容を請求書に手作業で転記する必要がある</h3>
見積書の内容を請求書に転記する作業は、時間と労力がかかる上に、ミスが発生しやすい点が悩みの種です。
手作業での転記は、特に大量の見積書がある場合や内容が複雑な場合には大変な作業となります。転記ミスが発生すると、誤った請求書を取引先に送付することにつながり、訂正や再発行の手間がさらに増えてしまいます。
請求書を効率的に管理するポイント
最後に、請求書を効率的に管理するポイントとして、以下の二つを紹介します。
- 業務フローを見直す
- システムで請求書を一元管理する
1.業務フローを見直すための手順
業務フローを見直すことで課題や問題点を改善し、請求書をより効率よく管理することができます。ここでは業務フローを見直すための手順を紹介します。
- 現状の業務プロセスを書き出す
まずは現在の請求書管理の手順を詳細に書き出し、各ステップを可視化します。 - ボトルネックの特定
業務のどの部分が時間や労力を浪費しているかを特定し、ボトルネックを明確にします。 - 無駄な作業の洗い出し
省略できる手順や重複している作業を洗い出し、無駄な工程を排除します。 - 改善案の検討
発見した課題に対する具体的な改善案を考えます。これには、作業の自動化や担当者の見直しなどが含まれます。 - 新しい業務フローの設計
改善案を基に、より効率的な業務フローを設計します。新しいプロセスを図にするとよりフローが明確になり、従業員の理解が深まります。 - 実行とフィードバック
新しい業務フローを運用し、実際に運用してみて気づいた点や改善点などのフィードバックを基にさらに調整を行います。
2.システムで請求書を一元管理する
近年注目が集まっているのが、システムで請求書を一元管理する方法です。専用のソフトウエアやクラウドサービスを利用することで、請求書発行と受領業務を1つのプラットフォームで完結させることができます。
これにより、手作業による入力ミスや紛失のリスクが軽減され、データの正確性と安全性が向上するほか、複数の担当者が同時にアクセスでき、リアルタイムで情報を共有できるため、業務の効率化とスピードアップにつながります。
さらに、自動化機能により請求書の作成や送付、入金管理などの作業が簡略化され、担当者の負担が大幅に軽減されます。
まとめ
請求書管理について、発行方法から受領の流れ、管理の課題や効率化のポイントをご紹介しました。
請求書の管理は、
- 発行した請求書の管理
- 受け取った請求書の管理
の2つの側面で考える必要があります。
特に請求書の受け取りについては取引先によって紙や電子など形式が異なることや、フォーマットもさまざまなため、一元管理するにはハードルが高くなります。
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- 適格請求書発行事業者番号が事業者名と一致しているかも自動で照合
- 電子帳簿保存法に対応した保存要件で受領した請求書データを適切に保管
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部
記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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