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請求書の照合方法は? 効率的なやり方や管理手順を解説
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企業の経理業務において、請求書の照合は非常に重要なプロセスです。請求書の照合は、支出の管理や不正防止に欠かせません。
本記事では、請求書の照合方法とその効率的な管理手順について詳しく解説します。手順を理解し実践することで、作業の精度と効率を大幅に向上させることができます。
請求書照合とは
請求書照合は、受け取った請求書が正しいかを確かめる大切な作業です。この作業では、請求書の内容を、商品を受け取った時の書類(納品書)や注文した時の書類(発注書)と見比べます。
この確認作業は、企業の資金の出入りを正確に記録し、誤りのない支払いを実施するために欠かせません。今のビジネスでは、取引が複雑になり、扱う情報も多くなっているため、ミスや間違いが起きやすくなっています。請求書照合は、そういったミスを防ぎ、企業の資金を守る重要な役割があります。
請求書照合を行うメリット
請求書照合は、企業の財務管理において極めて重要な役割を果たします。この作業により、企業は財務処理の正確性と一貫性を確保し、多くのメリットがあります。
具体的なメリットとしては、次のような内容です。
1.エラーの削減
請求書照合は、会計処理におけるミスを大幅に減らすことができます。特に手作業で作成された請求書は人為的ミスが起きやすいため、注意が必要です。請求書には取引内容、発行日、宛名など多くの項目があり、これらの誤りを見逃すと会計処理の整合性が崩れてしまいます。
照合作業を適切に行うことで、データの再入力や会計処理のやり直しといった無駄な労力を省くことができます。請求書を受け取ったら、まず内容をしっかりとチェックしてから処理を進めましょう。
2.効率的な管理
請求書照合は、文書管理の効率化にもつながります。まず、請求書を「支払い未完了」と「支払い済み」に分けることで、未払いの請求書は内容確認を優先し、支払い済みの請求書は月や取引先ごとに整理できます。
さらに、請求書を電子化すると運用効率がさらに上がります。専用ソフトウエアやツールを使うことで、請求書を自動で分類したり、素早く検索できるようになります。また、請求書を電子化することで紙の使用量が減り、オフィスのスペース節約や環境保護にも貢献できます。
照合プロセスの手順
請求書照合は、請求書の内容に誤りがないか確認する重要な作業です。以下に、その具体的な手順を解説します。
ステップ1:請求書の受領
請求書は、郵送や電子データ(システムやメール)など、取引先がどの方法を使って請求書を送ってくるか把握しておくことが大切です。
通常は取引担当者が請求書を受け取り、経理担当者に集約します。受け取った後は、素早く内容を確認して処理しましょう。
ステップ2:適格請求書の要件を確認
インボイス制度では、仕入税額控除を行うために、適格請求書の要件を満たしているかの確認が必要となります。この適格請求書は、適格請求書発行事業者によって発行されるもので、適格請求書発行事業者の登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの消費税額などが明記されています。
事業者は受領した請求書が適格請求書(インボイス)の要件を満たしている際に、仕入税額控除を受けることができます。また、適格請求書を発行する事業者も、適格請求書発行事業者として登録する必要があり、適切な書類管理が求められます。適格請求書の要件としては、次の項目が必須です。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称と正しい登録番号が記載されている
- 取引年月日が記載されている
- 取引内容(軽減税率対象品目についてはその旨)が記載されている
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)と適用税率が記載されている
- 税率ごとに区分した消費税額等が記載されている
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称が記載されている
ステップ3:データの入力
受け取った請求書の情報を会計システムに取り込みます。その際、請求書の形式に応じて、効率の良い入力方法を選びます。
電子データの請求書なら、専用ソフトを使って自動的に取り込めます。PDFやExcelファイルから直接データを読み取る機能を活用すれば、さらに効率が上がります。
紙の請求書は、まずスキャンしてデジタル化します。そして、OCR技術を使って画像からテキストデータを抽出することで、手作業の入力が大幅に減ります。
効率的なデータ入力を行うことで照合作業がスムーズになります。最新技術を活用することでより正確で迅速な請求書処理が可能になり、経理業務を効率化できます。
ステップ4:照合の実施
関連した発注書、納品書などと、請求書に不一致がないか照合します。また、実際のサービスや商品を受領していることも確認することが重要です。主な確認事項としては次のようになります。
確認項目 | 説明 |
---|---|
宛先 | 請求書の宛先名が正しいことを確認します |
請求書発行者 | 請求書の発行者名が正しいことを確認します |
取引日付 | 取引した日付の記載が正しいことを確認します |
取引内容 | 取引した内容が正しいことを確認します |
金額 | 取引金額が正しいことを確認します |
消費税 | 消費税、適用税率が正しいことを確認します |
期限 | 金額の支払い期限に問題がないか確認します |
振込口座 | 金額を振り込む口座に変更がないか確認します。またどちらが振込手数料を負担するのかも確認します |
添付資料 | 請求書と添付資料の内容が一致しているか確認します |
ステップ5:不一致の解決
請求書の内容に不一致を発見したら、まずその原因を突き止めます。入力ミスや古いデータの使用など、さまざまな可能性を検討し、原因が判明したらすぐに修正作業に取り掛かります。
関係者との連絡を取り、必要であれば事実確認や必要書類の収集を行い、不一致の内容を明確にします。修正が完了したら修正結果を関係者に報告して承認を得ます。また、確認作業と合わせて再発防止策も検討することで、現在の問題解決だけでなく、将来的な不一致も防ぐことができます。
ステップ6:記録と保存
最終段階では、取引内容を会計システムに記録します。不一致があった場合は、その内容と解決方法も併せて記録しておくと、後の監査や見直しに役立ちます。
請求書の原本は法律で定められた期間保存する必要があり、一般的には「原則7年」ですが、法人の場合、保存期間の開始日は「確定申告提出期限の翌日」となることに注意が必要です。これらの手順を確実に実施することで、正確な会計処理と適切な記録管理が可能になり、企業の財務健全性を維持することができます。
照合におけるよくある問題と解決策
請求書の照合作業では、さまざまな問題が出てきます。以下は、よくある問題と解決するためのヒントを紹介します。
1.データの不一致
前述した通り、請求書は、紙媒体であったり電子データであったり、複数の形式があります。そのため請求書を受け取った後に入力ミスや入力漏れなどが発生しやすく、データの不一致が発生することがあります。
データの不一致が起きないようにダブルチェックを行なったり、ツールを利用して自動化することでミスを防ぐことができます。
2.重複請求
重複請求とは、同一の取引に対して2枚以上の請求書が届くことです。このような場合でも受領した請求書を適切に管理していれば、「支払い未完了」と「支払い済み」が判断できるため、重複に気づくことができます。
逆に自社から取引先へ請求書を送付する際も、重複請求が発生しないように管理を徹底し、取引先に迷惑をかけないよう細心の注意を払いましょう。
3.支払遅延
支払遅延とは、請求書に記載されている支払期限内に支払いを行なっていないことを言います。よくある原因としては、取引先と「支払期限」や「支払金額」の認識に不一致があったり、請求書受領後の事務手続きの不備によるものです。
このような問題が発生しないように、請求書を受領した際の手続きや管理方法の手順を決め、確実に実行する必要があります。
請求書照合における効率化ポイント
請求書照合作業は、手間のかかる作業で、人為的なミスが発生したり時間を要したりするため、効率化したいと考えている人は多いでしょう。
ここでは、効率化の方法の一つとして、請求書をOCRによってデータ化する方法について紹介します。
OCRによる請求書のデータ化
OCR(Optical Character Recognition/Reader)とは、印刷物や手書きの文字をデジタル化する技術です。OCRを活用することで、紙媒体の請求書を自動でデジタルデータに変換できます。そのため人手で入力する手間が省けたり、入力ミスを防止したりすることが可能です。請求書の照合作業を、迅速に対応できるようになるでしょう。OCRを活用するメリットとしては、次の通りです。
メリット | 説明 |
---|---|
作業時間の短縮が図れる | 請求書の内容を人手で入力していた時間を、自動で読み取れるようになるため、時間の短縮、人的コストの削減が可能となります |
人為的なミスを防止 | ケアレスミス、入力ミスなどを防止することができます |
ペーパーレスを促進 | 紙媒体の請求書をデータ化することで、ペーパーレスを可能にします。紙媒体のようにファイリングする必要はなく、保管場所の確保も不要です |
他のシステムと連携できる | 他のシステムやツールとデータを共有することで、連携が可能となります。手入力でデータを移行する必要は無くなるので、人為的なミスの防止が可能です |
まとめ
本記事では、請求書照合とその効率的な管理手順について解説しました。請求書照合は正確性が求められる重要な作業です。
請求書照合は非常に煩雑な作業でありミスが起こりやすいのも課題ですが、OCRを活用することで、請求書の照合を効率よく実施することが可能です。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部
記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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