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請求書に摘要は必要?摘要の役割や記載における注意点、記載項目を解説
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請求書を発行する際に、「摘要欄に何を書けばよいのか」と迷った経験がある担当者は少なくないでしょう。摘要欄には請求内容の詳細を具体的に記載します。摘要が不明瞭な場合、取引先の担当者が内容を正しく把握できず、支払い手続きが遅延するおそれがあります。
本記事では、請求書における摘要欄の役割や、品目・備考欄との違いについて解説します。摘要の具体的な記載例や、インボイス制度(適格請求書等保存方式)との関連についても触れるため、自社の請求書を見直す際の参考にしてください。
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請求書の摘要とは?品目・備考欄との違い

摘要は、請求書を受け取った側が、その請求が「いつ、何の取引」に基づいているのかを確認するために存在します。具体的には、請求書を受け取った側が社内の発注書や契約書、納品書などの関連書類と請求書を照合する際に使用します。
特に継続的な取引や複数の商品・サービスをまとめて請求する場合は、摘要に取引の区切りや目的を記載して請求内容を明確にします。
品目との違い
品目(名目)の欄には、提供した商品名やサービス名、数量、単価、小計金額などを個別に記載します。この品目欄の役割は、請求額の具体的な内訳と計算根拠を示すことです。
それに対して摘要は、品目欄に書ききれなかった情報を補ったり、複数の品目をまとめて取引の全体像を記載したりする際に使われます。例えば、ごく単純な取引であれば品目欄だけで情報が完結することもありますが、企業間取引では、摘要欄による補足が求められるケースが見られます。
摘要に記載するのは、個別の内訳ではなく、取引の目的、期間、関連プロジェクト名など、請求の全体像と背景情報といった、より包括的な情報が中心です。例えば品目欄で「A社製ボールペン 10本」と詳細を記載した上で、摘要欄に「事務所消耗品(〇〇支社分)」のように記載することで、取引の目的や対象をより明確に示すことができます。
他にも、品目欄が「システム開発費」となっている場合に、摘要欄で「〇〇プロジェクト フェーズ2 UI設計分(契約番号: XXXX)」と記載すれば、どの契約のどの段階に対する請求かが一目瞭然となります。
備考欄との違い
備考欄は、取引内容に直接は関わらないものの、参考情報として書き添える補足事項を記載する欄です。備考欄に記載する情報は、支払い条件の詳細(例:「支払い期日:2025年11月30日」)や振込手数料の負担に関する取り決め、配送に関する事項などが挙げられます。
摘要欄が「何を売買したか」「いつ、誰のために提供されたか」という取引の事実を具体的に示すのに対し、備考欄は「どのように取引が進められるか」という事務的な取り決めや補足を示します。
記載内容が混在すると経理処理の際に混乱を招く可能性があるため、摘要欄には取引内容の詳細のみを記載し、その他の事務的な事項や特記事項は備考欄を利用すると、情報が整理され、内容の把握がしやすくなります。
項目の役割と記載例
項目名 | 役割 | 記載例 |
|---|---|---|
品目欄 | 請求額の具体的な内訳と計算根拠の提示 | 企業サイト制作費用、A商品(5月10日納品分) |
備考欄 | 請求内容に関する補足 | 発行日の翌月末日までに支払いをお願いします。振込手数料は貴社にてご負担をお願いします。 |
摘要欄 | 請求根拠となる取引の明確化 | 〇〇プロジェクト(契約No.137858)、〇〇に関するコンサルティング業務(10月3日) |
請求書の摘要の書き方と記入例

請求書の摘要欄に記載すべき内容について、法律上の明確な規定はありません。
しかし、取引の透明性を高め、税務調査などで証憑書類として認められるためにも、客観的な事実を記載する必要があります。請求書を受け取った担当者が速やかに支払い処理ができるよう、具体的に記載することで、円滑な取引につながります。
摘要欄には、製品を提供している場合は製品名を、サービスを提供している場合は業務内容と稼働月などを組み合わせて具体的に記載します。
また、該当する取引に関連する見積書や契約書がある場合は、品名や表現をそれらの書類と統一することで、内容を正しく把握でき、照合作業の手間を減らすことができます。
具体的には「何のための費用か」「いつ提供されたものか」「どのプロジェクトや部門に関するものか」という3つの視点を意識して記載します。
商品販売の記入例:「商品A(10月1日納品分)」
納品日を記載しておくと、受け取る側は納品書との照合作業をスムーズに行えます。商品名が長い場合は、正式名称を使用しつつ、取引先にも分かりやすい呼称を併用するなどの工夫が求められます。
サービス提供の記入例:「〇〇プロジェクト Webサイト保守管理業務 2月稼働分」
サービスの請求では、どの期間についての対価であるかを明記することが重要です。プロジェクト名や業務名を加えることで、受け取り側の内容確認や会計処理が明確になります。
立替経費の記入例:「〇〇支社への出張にかかる立替交通費(新幹線往復)」
立替金の場合は、どのような目的で、どの費用を立て替えたのかを明記します。これにより、経費の種類や妥当性を確認しやすくなります。
契約に基づく請求の記入例:「月額コンサルティング費用(2025年10月分、契約番号: 2025-C01)」
契約書番号や参照すべき番号を記載することで、取引の根拠がより明確になります。
割引・調整の記入例:「商品B(10個)※特別割引(-10%)適用」
品目欄で割引額を記載する場合でも、摘要欄にその理由や根拠を補足することで、請求内容の透明性が高まります。
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請求書に摘要を書く際の注意点

請求書に摘要を記載する際、経理処理の正確性や効率を高めるために、特に注意すべき点が3つあります。
- 取引内容の詳細を記載する
- 軽減税率の対象が分かるようにする
- 表記は統一させる
取引内容の詳細を記載する
請求書は経理担当者だけでなく、発注を行った部門の責任者も承認プロセスの際に確認します。このため摘要には、誰が見ても理解できるように取引内容を詳細に記載することが大切です。
曖昧な記述は担当者の確認作業を増やし、支払いを滞らせる可能性があります。たとえ同じ商品名であっても、種類が異なったり、サービスの稼働月や提供内容が異なったりする場合は、項目を分けて記載しましょう。
例えば「文房具代」を請求する際、「コピー用紙 A4サイズ 5000枚」「蛍光ペン 3色セット 5組」のように、商品一つひとつを区別して記述します。サービスの請求でも、「コンサルティング費用」ではなく、「新入社員向け研修資料作成業務として」のように具体的な作業内容を摘要欄に記載すると、受け取る側も請求内容の妥当性を検証しやすくなります。
適切な記載はキャンセル料や違約金、相殺取引など、通常とは異なる請求が発生した場合にも当てはまります。
例えば、途中で解約した際に発生するキャンセル料であれば、「〇〇契約の2025年4月1日付解約に伴うキャンセル料」のように、何の契約に対する、どのような費用であるかを明確に記載します。
他にも、過去の未払金と今回の請求金額を相殺する場合は、「〇〇取引における売掛金との相殺分」といった記述を摘要に加えることで、相殺処理の根拠を請求書上で示すことが可能です。また、取引先から指定された発注番号(PO番号)や管理コードがある場合は、それを摘要欄に記載すると、相手方のシステム処理がスムーズに進みます。
軽減税率の対象が分かるようにする
消費税の軽減税率制度により、消費税には標準税率(10%)と軽減税率(8%)の2種類が存在します。またインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、適格請求書には税率ごとに合計した対価の金額と消費税額の記載が必要です。そのため、品目の中に軽減税率の対象品目が含まれる場合、摘要欄でそれが軽減税率の対象である旨を明記します。
例えば、「〇〇食品(軽減税率対象)」のように記載するか、税率ごとに明細行を完全に分けるといった対応になります。
こうした区分記載が不十分だと、請求書を受け取った側が仕入税額控除を受けられなくなることがあります。 適格請求書発行事業者として、税率区分を明確に示すことは発行側の責務であるため、正確に記載することが大切です。
表記は統一させる
請求書を作成する際、半角と全角、漢字とカタカナといった表記を統一させるように意識します。例えば「ウェブサイト」と「Webサイト」、「5本」と「五本」のように、記載が混在していると判読性が下がり、受け取る側は理解に時間がかかります。
特に請求書を電子データで管理し、OCR機能や自動データ集計を利用している企業があるため、表記ゆれがあると、自動集計の際にエラーが発生する可能性も高まります。取引先との間で取り決めた正式な表記がある場合はそれを遵守し、取り決めがない場合でも自社のルールに沿って記載することが、円滑な手続きにつながります。
この一貫性は、単一の請求書内だけでなく、継続的な取引におけるすべての請求書で保つことが重要です。
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まとめ
請求書の摘要欄は、単なる補足情報ではなく、取引の詳細を証明し、経理処理の正確性や効率性を支える重要な項目です。
本記事で解説したように、請求書に摘要を記載する際は、受け取る担当者の立場に立ち、内容がすぐに伝わるよう具体的に記述することがポイントです。
特に複数の取引を記載する場合は、取引ごとや消費税区分ごとに明細行を分けることが望ましいでしょう。ただし、税率ごとに区分した消費税額は、一つのインボイス当たり税率ごとに1回の端数処理となりますので、注意が必要です。また、表記の統一ルールを設けることも、請求内容の正確性を高め、企業の信頼にもつながります。
手書きや表計算ソフトで請求書を作成すると、摘要の記載ミスや表記ゆれが発生しやすく、後からの経理処理に負担がかかるおそれがあります。
請求書を作成する際は、請求書作成システムを使用することで、決められたルールに従った請求書を効率よく、かつ正確に作成することが可能です。
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記事監修者のご紹介
税理士 松崎 啓介
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
保有資格:税理士
昭和59年~平成20年 財務省主税局勤務
税法の企画立案に従事(平成10年~平成20年 電子帳簿保存法・通則法規等担当)
その後、大月税務署長、東京国税局調査部特官・統括官、審理官、企画課長、審理課長、個人課税課長、国税庁監督評価官室長、仙台国税局総務部長、金沢国税局長を経て令和2年8月税理士登録。
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
主な著書「Q&Aでわかる税理士のためのインボイス制度と改正電子帳簿保存法」(第一法規)、「デジタル化の基盤 電帳法を押さえる」 (税務研究会)等
- 本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。なお、本稿は、読みやすさや内容の分かりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。

執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部






