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経費精算×AIで業務を効率化 | AI-OCRとAIエージェントの違い・選び方を解説

経費精算×AIで業務を効率化 | AI-OCRとAIエージェントの違い・選び方を解説

経費精算業務の効率化に向け、AIの活用が注目されています。その背景にあるのは、手入力や差戻し、膨大な目視チェックに加え、インボイス制度や電子帳簿保存法対応により業務が複雑化しているという現状です。

近年はAI-OCRによる入力自動化に加え、申請内容の判定や仕訳推定まで担うAIエージェントが登場し、経費精算プロセス全体の効率化と精度の向上が進みつつあります。本記事では、両者の違いや導入メリット、自社に最適なシステムの選び方について解説します。

法人カードで経費精算を効率化

経費精算業務においてAIが注目される背景

多くの企業が経費精算システムの導入を検討する背景には、現場が抱える深刻な課題があります。ここでは、AI活用が求められる主な3つの理由を解説します。

慢性的な長時間労働

経費精算業務に時間がかかり、労働時間が長くなっている...。そんな現状はありませんか?そのような状況の場合、主な原因となっているのは、アナログな作業工程かもしれません。多くの企業では、いまだに紙の領収書を見ながら手入力を行ったり、Excelへ転記したりする作業が行われています。

こうした手作業は、申請者による入力ミスや勘定科目の間違い、領収書の添付漏れなどを引き起こしがちです。その結果、経理担当者はその都度内容を確認し、修正や差戻しを行わなければなりません。この修正と再申請の繰り返しが、経理部門の残業を助長する「負のループ」となっているのです。

特に経費精算は月末や月初に業務が集中しやすく、担当者にとって精神的・肉体的な負担となっています。

法対応による確認工数の増加

近年の法改正により、経理担当者が確認すべき項目は大幅に増加しました。単に申請金額が合っているかを確認するだけでなく、「適格請求書発行事業者の登録番号が正しいか」「領収書の要件を満たしているか」「電子帳簿保存法の保存要件を満たしているか」など、多岐にわたるチェックが必要です。

これらすべての項目を、人の目だけで完璧に確認することは大きな負担となります。また、見落としなどのヒューマンエラーが発生する可能性も否めません。人手に頼る運用には限界があるため、リスク管理の観点からも、AIを活用した正確なチェック体制が求められています。

業務の属人化

「この経費処理については、○○さんでないと判断できない」「過去の慣習に基づいて処理している」といった業務の属人化も、組織にとって大きなリスク要因です。

特定の担当者に依存した体制では、その担当者の退職や異動によって業務が停滞する恐れがあります。また、特定の人間しかチェックを行わない環境は、内部不正の温床となり、ガバナンスの欠如につながる可能性もあります。AIを活用して判断基準を標準化することは、こうした属人化のリスクを解消する上でも有効だと考えられます。

経費精算の自動化で業務工数削減

経費精算業務で活用されるAIとは?

一口に「AI」といっても、経費精算システムに搭載されている技術にはいくつかの種類があります。まずは、それぞれの特徴を理解することが重要です。

経理業務におけるAI活用の詳細については、以下の記事もお読みください。

AI-OCR

AI-OCRとは、従来のOCR(光学文字認識)技術にディープラーニング(深層学習)を組み合わせた技術です。

最大の特徴は、手書き文字や、スマートフォンで斜めに撮影された画像、折り目がついたレシート、あるいは取引先ごとに異なるレイアウトの請求書であっても、高精度に文字を読み取れる点にあります。

単に文字をデータ化するだけでなく、日付や金額、支払い先(店舗名)、さらにはインボイス制度の登録番号までを自動で抽出することが可能です。

従来のOCRとAI-OCRの違い

比較項目

従来のOCR

AI-OCR

読み取り精度

活字は読み取れるが、手書きや不鮮明な文字は苦手

手書き、くせ字、低画質の画像でも高い精度で認識可能

フォーマット対応

定型帳票(固定レイアウト)の設定が必要

非定型帳票(さまざまなレイアウト)にも対応可能

学習機能

基本的になし

読み取り結果を学習し、精度が向上していく

AI-OCRなどで請求書の読み取りを効率化する方法については、以下の記事をお読みください。

生成AI

生成AIを利用すれば、読み取ったデータを基に、より高度な処理を行うことが可能です。例えば、OCRで読み取った「品目」や「摘要」のテキストデータについて、「会議費」として処理すべきか、「交際費」に該当するかといった、文脈依存の判断を支援してくれます。

また、大量のデータを読み込んで集計したり、Excelやスプレッドシートで使用する複雑な関数を生成AIに作成させたりすることで、管理業務を効率化することも可能です。さらに、過去のデータ傾向から逸脱した申請を検知し、不正の予兆を発見することにも強みを発揮します。

AIエージェント

AI-OCRがデータの読み取りという「目」の役割を果たすのに対し、AIエージェントは判断や実行を行う「頭脳」と「手」の役割を果たします

AIエージェントは、読み取った内容から適切な勘定科目を自動で推論して仕訳を行ったり、社内規定(上限金額や禁止品目など)と照らし合わせて、自動でOKやNGを判定することが可能です。

また、申請内容に不備があった場合には、経理担当者を介さずに、AIが直接申請者へチャットなどで修正依頼を出すこともできます。これは、経理担当者の負担となるコミュニケーションコストの削減につながります。

AI搭載型の経費精算システム

最新のクラウド型経費精算システム(SaaS)には、これまでに挙げたAI-OCR、生成AI、AIエージェントといった技術が統合されています。

こうしたシステムの中には、単に申請・承認を電子化するだけでなく、使えば使うほど賢くなる学習機能を備えているものもあります。過去の仕訳データや承認パターン、修正履歴をAIが学習することで、自社特有のルールや、頻繁に利用する取引先への対応精度が向上します。

その結果、導入初期だけでなく、運用フェーズにおいても継続的な業務効率の向上が可能です。

AIの活用で実現できる経費精算のガバナンスと法対応

AI活用は効率化だけでなく、ガバナンス強化や法対応の確実性を高める上でも大きな効果を発揮します。

不正経費や二重申請の自動検知

AIであれば、膨大な経費データの中から、人間では見落としてしまいがちな「不正の兆候」を瞬時に検知することが可能です。

例えば、「同じ領収書の使い回し(二重申請)」や「休日の接待交際費」「定期区間と重複した交通費申請」「過去の傾向と比較して不自然な高額出費」などをAIが検知し、アラートを出します。

これにより、経理担当者は全件を目視チェックするのではなく、AIが怪しいと判断したものだけを重点的に確認する運用へと切り替えることが可能です。

インボイス登録番号の即時照合

インボイス制度への対応においてもAIは有用です。AI-OCRが読み取った適格請求書発行事業者の登録番号を国税庁のデータベースと自動で照合し、事業者が実在するか、登録が有効かを瞬時に確認できます。

これにより、手作業で国税庁のサイトを検索・照合していた手間が解消されるのと同時に、インボイス制度への対応に抜け漏れやミスが発生するのを未然に防ぐことが可能です。

インボイス制度の登録番号についての詳細は、以下の記事をお読みください。

電子帳簿保存法要件への対応

AIによってデータ化された情報は、電子帳簿保存法の保存要件を満たす状態で保存できます。具体的には、タイムスタンプの自動付与や、訂正・削除履歴の記録といった「真実性の確保」要件や、検索しやすいデータ形式に整える「可視性の確保」要件を確保することが可能です。

これにより、税務調査などの監査時にもスムーズな対応が可能です。

電子帳簿保存法の要件についての詳細は、以下の記事をお読みください。

経費精算のDXで業務工数削減

AI搭載型経費精算システムを選ぶ際のポイント

AI搭載型経費精算システムを選ぶ際の3つのチェックポイントをまとめた図

AI搭載型の経費精算システムは非常に便利です。ここでは、自社に合ったシステムを選ぶための3つのポイントを紹介します。

  1. 自社の課題を把握
  2. 会計ソフトや既存システムとの連携
  3. システムのUIと導入サポート体制
  4. AIの特性と注意点を理解する

自社の課題を把握

まずは自社の課題を明確にし、それに適した機能を持つシステムを選ぶことが大切です。AI搭載であればどのシステムでも良いわけではありません。

自社の課題(ニーズ)

システム選定のポイント

入力の手間を減らしたい

外出先からでも申請しやすいスマホアプリの使い勝手や、AI-OCRの読み取り精度の高さ

チェック業務を減らしたい

勘定科目の自動仕訳機能や、社内規定違反をチェックする「エージェント機能」の充実度

ガバナンスを強化したい

高度な不正検知機能や、操作ログの管理機能などが充実しているか

なお、AIはあくまで課題解決の手段の一つです。自社の課題に照らしてみた上で、AIの活用が本当に必要かどうか、しっかりと見極めましょう。

会計ソフトや既存システムとの連携

経費精算システムは単体で完結するものではありません。既存の会計ソフトや、全銀データ(FBデータ)との連携がスムーズに行えるかどうかも重要な選定基準です。

具体的には、API連携が可能か、あるいはCSVデータのインポート・エクスポートが柔軟に行えるかを確認しましょう。この連携がスムーズでないと、最終的に手作業でのデータ加工や転記が発生してしまい、AIによる効率化の効果が半減してしまうリスクがあります。

システムのUIと導入サポート体制

どれほど高機能なAIを搭載していても、現場の社員が使いこなせなければ意味がありません。具体的には、直感的に操作できるUIであることや、領収書の撮影・アップロードが簡単に行えることが重要になります。

また、AIの精度を高めるための初期設定(学習データの登録など)や、新しい運用ルールの策定において、ベンダーからのサポート体制が充実しているかどうかも確認すべきポイントです。

AIの特性と注意点を理解する

自社に合ったシステムを選ぶ上では、搭載されているAIの特性を正しく理解しておくことも重要なポイントです。

特に、経費精算のような正確性が求められる業務でAIを活用する際は、AIの種類や設計によって適性が大きく異なります。

例えば、生成AIは高い汎用性を持つ一方で、経費精算への適用には慎重な判断が求められます。生成AIは一般的な知識をもとに勘定科目を判断しようとするため、企業固有の仕訳ルールに合わない科目を提案する場合があり、AIを活用することが混乱やチェックを増やす原因になる可能性もあります。

また、同じ入力であっても処理結果が変わることがあり、「毎回同じ条件なら同じ結果が出る」という再現性の面で課題が生じることも考えられます。

加えて、判断の根拠がブラックボックス化しやすいという点も留意が必要です。

処理結果に誤りがあった際に原因を特定・改善しにくくなる場合があり、業務上のリスク管理が難しくなることも考えられます。経費精算業務におけるAI活用では、このようなAIの特性や注意点を理解して選ぶことが大切です。

まとめ

本記事では、経費精算業務におけるAI活用のメリットや、AI-OCRとAIエージェントの違い、システム選定のポイントについて解説しました。

業務効率化とガバナンス強化を両立するためには、自社の課題とAIの特性を理解し、AIに任せるべき業務と人が判断すべき業務を適切に切り分けることが重要です。入力や照合作業、不正検知といった業務はAIの活用を検討しながら、重要な判断は人が担う体制を構築しましょう。

また、経費精算業務の効率化を進めるうえでは、AI活用だけでなく、証憑管理や承認フロー、カード利用明細との照合などを効率化できる仕組みの整備も欠かせません。

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「月次決算に役立つ情報」編集部

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