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【2024年最新】経費精算をExcelで効率化する方法とは
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手作業による経費精算は多くの工数がかかりますが、Excelを活用することで作業工数を大幅に削減できます。さらに、Excelの高度な関数やカスタマイズ可能なテンプレートを駆使することで、精度と処理速度を両立した効率的な経費精算プロセスを構築できます。
本記事では、Excelを用いた効果的な経費精算の方法について詳しく解説します。
Excelを活用した経費精算のメリット
まずは、経費精算をExcelで行うメリットとして以下の3つについて解説します。
- 柔軟なカスタマイズが可能
- システム連携が容易
- コスト削減
1.柔軟なカスタマイズが可能
Excelは大量データの管理と即時計算を可能にする高機能な表計算ソフトウエアであり、その特性を生かして柔軟なカスタマイズが可能です。
最適化されたテンプレートを構築することで、単純なデータ入力だけで複雑な自動計算が実現し、多岐にわたる業務ニーズに対応できます。経費精算書の作成においても、既存のテンプレートを自社の要件に合わせて微調整するだけで、煩雑な作業プロセスを効率化し、大幅に時間短縮を図ることができます。
2.システム連携が容易
Excelの強みの一つは、CSVファイル形式への対応により実現する、他システムやサービスとのシームレスな連携機能です。
通常、Excelデータは「.xlsx」拡張子を持つ専用ファイル形式で保存されますが、この形式は互換性に制限があり、主に表計算ソフトでのみ利用可能です。一方、CSVファイルは単純なテキスト形式で構成されているため、軽量かつ高い互換性を誇ります。
Excel上では両形式のファイルを問題なく扱えますが、CSVファイルは他の経理・会計ソフトウェアにスムーズにデータをインポートできます。異なるオペレーティングシステム間でのデータ交換においても、互換性の問題が生じにくく、業務プロセス全体の効率化につながります。
3.コスト削減
Excelを経費精算に活用することで専用ソフトウエアを導入しなくても済み、コストの削減につながります。既存のライセンス内で運用できるため、追加費用が発生せず、また専用システムに付随する保守・点検の手間や費用も軽減されます。
近年、多くの企業が従来の買い切り型(オフライン版)Excelから、クラウドベースの「Microsoft 365」へ移行しています。月額課金制ではありますが、Excel以外のOfficeスイート全体やサポート機能を包括的に利用できる点で優れています。
Excelで経費精算を行う手順
Excelで経費精算を行う手順について、以下の4つのステップに分けて解説します。
- ステップ1: Excelファイルの準備
- ステップ2: カテゴリ別の費用入力
- ステップ3: 自動計算の設定
- ステップ4: 経費精算書の作成
ステップ1.Excelファイルの準備
まずは経費を入力するためのExcelファイルを準備します。ネット上にはさまざまなサンプルデータがありますが、Microsoftが公開しているテンプレートを使用すると便利です。
このテンプレートは、必要事項や金額を入力すれば自動的に計算が行われ、経費精算書が完成するようになっています。社内規定に則った様式になるように注意しながら、必要に応じてレイアウトや記載内容を変更しましょう。
ステップ2.カテゴリ別の費用入力
Excelファイルの準備ができたら、費用を入力していきます。ここでは、費用の記載方法をカテゴリ別に解説します。
1.交通費
交通費とは、従業員が営業・出張で公共交通機関を使った際に発生した費用のことであり、経費精算できる項目の一つです。
交通費を経費精算する際には、基本的に次の項目を記載します。
- 利用した交通手段
- 発生した費用(実費)
- 交通手段を利用した日付
- 利用区間
- 経費精算を申請した日付
交通費を経費として計上する際には、必ずかかった費用だけでなく移動手段と移動目的、利用区間も明確にしましょう。交通系電子マネーを利用した場合は、利用履歴を用いて正確な金額を記載することが必要です。
2.宿泊費
宿泊費とは、出張等でビジネスホテルや旅館等に宿泊する際に発生する費用のことであり、経費として精算できる項目の一つです。
ただし、すべてを「宿泊費」とするのではなく、以下のように分類するのが一般的です。
- 旅費交通費:業務に伴う施設への宿泊で発生した費用
- 研修費:社員が参加する研修・合宿で発生した費用
- 福利厚生費:社員が参加する社員旅行等で発生した費用
- 交際費:主に取引先との会食・旅行で発生した費用
上記の宿泊費を経費として計上する際には、次の項目を忘れずに記載する必要があります。
- 宿泊施設を利用した日付
- 宿泊したホテル・旅館名
- 費用が発生した内容
- 発生した金額
金額だけでなく目的や宿泊先も記載します。正確な金額を記載するために、施設を利用した際のレシートや領収書は必ず保管しておきましょう。
ただし、宿泊施設で食事が出る場合の取り扱いは会社ごとに異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
3.飲食費
飲食費とは、文字通り業務上で発生した飲食に関わる費用のことです。これには社内の打ち合わせで飲食店を利用したときに発生した費用や、取引先と会食した際に発生した費用などが含まれます。
飲食費を経費精算する際には、基本的に次の項目を記載する必要があります。
- 店舗を利用した日付
- 利用した店舗名
- 飲食にかかった費用(実費)
- 店舗を利用した目的
- 店舗を利用した人数
飲食費を経費精算する際には、飲食にかかった金額だけでなく、その店舗を利用した目的や人数も正確に記載する必要があります。
4.通信費
通信費とは、電話・FAX料金やインターネット契約料、郵便・メール便代金など、業務で「通信」が発生した際にかかる費用のことです。
通信費を経費精算する際には、次の項目を含めるように注意します。
- 取引(支払い)を行った日付
- 取引(支払い)の金額
- 取引(支払い)の内容
- 支払先の社名・サービス名
通信費を個人が負担した(個人の通信機器を仕事に使った)場合、社内規定で負担割合が決められている場合は、そのルールに則って記載してください。
ステップ3.自動計算の設定
経費精算書のテンプレートを作成・使用する場合は、自動計算の設定を行いましょう。具体的には、項目ごとに金額を入力することで合計金額も自動的に算出されるように設定します。
また、Excelにはさまざまな関数や機能があり、それらを組み合わせることでより高度な自動計算が可能となります。以下は、経費精算書でも使える関数の一例です。
合計金額の自動算出
合計金額の算出にはSUM関数を使用します。
例:=SUM(A1:A10)
かっこ内で選択した範囲の金額が足され、合計金額を自動的に算出できます。
経費上限の設定
経費として承認できる金額に上限を設けたい場合には、IF関数が便利です。
例えば「金額が5000以下の場合は承認、5000円を超える場合は非承認」と自動で表示する場合、以下のように記載をします。
=IF(式, [真の場合に出力する文言], [偽の場合に出力する文言])
例:=IF(A2>5000, 承認, 非承認)
カテゴリ別に自動集計
勘定科目ごと、または精算者ごとのように、特定のカテゴリ別に自動で集計する場合にはSUMIF関数を使用します。
=SUMIF(検索範囲,検索条件,合計範囲)
- B列:勘定科目
- C列:金額
- D2:検索条件である「交通費」
上記のようなシートにおいて、B列にある勘定科目の中で「交通費」のみの合計金額を算出したい場合は以下のように設定します。
例:=SUMIF(B1:B10,D2,C1:C10)
税額の小数点の計算
税額の計算で小数点が入る場合、小数点以下の切り捨てや四捨五入などを自動で計算するのに役立つ関数があります。
- 小数点以下を切り捨て:INT関数
- 例:=INT(A1*1.1)
- 指定された桁数で四捨五入:ROUND(数値, 桁数)
- 例:=ROUND(A1*1.1,0)
これらの機能を実装することで、人為的ミスを最小限に抑え、経費精算プロセス全体の効率と正確性が向上します。また、データの一貫性が確保され、後続の分析や監査作業も容易になります。
ステップ4.経費精算書の作成
支払い項目の入力をすべて完了したら、経費精算書の申請日や申請者の氏名、その他重要事項があれば備考欄などに記載します。
また、内容が社内規定に沿っているか、計算に誤りがないかを丁寧に確認しましょう。もし計算ミスを見つけた場合は、Excelの関数を使って素早く修正できます。提出前には、経理部門に直接提出するのか、上司を通すのかなど、提出方法(経理部門直接か上司経由か)を事前に確認しファイルのバックアップを取ってから提出します。
Excel経費精算の効率化ポイント
次はExcelでの経費精算を効率化する、3つのポイントについて解説します。
- データ入力の自動化
- マクロの活用
- 定期的なバックアップ
1.データ入力の自動化
関数で計算を自動化してもデータの「入力」には時間がかかるため、この入力プロセスを簡略化したり自動化することで業務効率化に直結します。
具体的には、文字を入力せず選択できるドロップダウンリストや、連続したデータを自動生成するオートフィル機能、また最新のOffice製品に搭載されているAI機能などを活用できます。
2.マクロの活用
Excelの主要機能である「マクロ」を活用することで、毎回のように行っている作業を省略できます。
マクロとは、あらかじめ特定の操作・作業を「記録」させることで、次回からその作業を自動的に「再生」してくれる機能のことです。たとえば「表の並び替え」を記録させることで、データ入力後に毎回同じ条件で自動的に並び替えることが可能となります。
3.定期的なバックアップ
Excelは画面が閉じても作業が失われないように、定期的に「上書き保存(Ctrl+S)」をするのが以前は常識でしたが、今は自動保存機能やクラウドへのバックアップ機能があるため、データが損なわれるのを回避できます。
「Microsoft 365」に加入していれば、変更内容が定期的にクラウドに保存されるため、利用者はバックアップを意識する必要すらありません。
まとめ
Excelは経費精算において柔軟性と汎用性に優れたツールとして広く活用されています。追加コストなしで導入でき、多くの企業にとって有用なソフトです。本記事で紹介した手法やテンプレートを活用することで、効率的な経費精算プロセスの構築が可能です。
しかしながら、従業員が多い企業や、さらなる効率化を目指す企業にとっては、経費精算用の専門ツールの導入が有効な選択肢となります。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部