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経費の仕訳に使われる勘定科目とは?経費精算業務を効率化する方法も紹介

経費の仕訳に使われる勘定科目とは?経費精算業務を効率化する方法も紹介

日々の業務の中で発生する経費の仕訳は、正確な会計処理を行う上で欠かせない作業です。しかし、仕訳のルールや勘定科目の種類が煩雑なため、初めての方にとっては難しいと感じることも多いのではないでしょうか。

本記事では経費仕訳の基礎知識から、クレジットカードや回数券の使用といった特殊なケースの仕訳方法まで、わかりやすく解説します。仕訳業務を正確に行うためのツールも紹介しますので、ぜひ業務効率化の参考にしてください。

経費仕訳とは

まずは経費仕訳とはどのようなものか、定義と目的から見ていきましょう。

経費仕訳の定義

経費仕訳とは、 企業が事業活動を行う上で発生した費用を、勘定科目ごとに分類し、複式簿記のルールに従って帳簿に記録することです。

簡単に言うと、お金を何に使ったのかを記録し、会社の財務状況を把握するために行う作業のことです。

たとえば、1,000円のボールペンを事務用品として購入したとします。この場合の経費仕訳は次のようになります。

  • 借方:消耗品費 1,000円
  • 貸方:現金 1,000円

これは、「消耗品費」という勘定科目で1,000円の費用が発生し、「現金」が1,000円減少したことを意味します。

経費仕訳の目的

経費仕訳には、以下のような目的があります。

  • 正確な財務諸表の作成:正しい経費仕訳により会社の経営状態を正確に把握できる
  • 税務申告:税務申告の基礎資料になる
  • 経営管理:経費仕訳を分析することで、無駄な費用の削減や経営改善に役立つ

経費仕訳に使われる勘定科目の解説

経費精算を行うには、適切な勘定科目で仕訳を行う必要があります。ここでは経費仕訳でよく使われる主要な勘定科目と、それぞれの仕訳方法について解説します。なお、わかりやすくするため、消費税や源泉所得税の取扱いは考慮しないで単純化した仕訳の例としています。

主な勘定科目

  • 旅費交通費
  • 交際費
  • 会議費
  • 消耗品費
  • 福利厚生費
  • 雑費

旅費交通費の仕訳方法

旅費交通費は、従業員が出張などで移動する際に必要な交通費や宿泊費、日当などを計上する勘定科目です。具体的には、電車賃、バス代、タクシー代、航空券代、宿泊費、出張手当などが含まれます。

これらの費用は、出張や営業活動など業務遂行に直接関連するため、事業経費として計上されます。

旅費交通費の仕訳例

たとえば従業員が出張に際して電車で移動した場合(交通費は5,000円)、その交通費を精算するための仕訳は以下の通りです。

借方

貸方

旅費交通費

5,000円

現金(または預金)

5,000円

交際費と会議費の違いと仕訳方法

交際費と会議費は、どちらも社外の人と接する際に発生する費用です。ただし両者は以下のように目的が異なります。

  • 交際費:得意先や取引先との接待や贈答など、良好な関係を築くための費用

    (例:得意先との飲食代、贈答品代)

  • 会議費:社内会議や打ち合わせ、研修など、業務遂行に必要な費用

    (例:会議室のレンタル料、研修講師への謝礼、会議でのお茶代など)

交際費の仕訳例

得意先と会食し、飲食代として50,000円を現金で支払った場合の仕訳例は以下の通りです。

借方

貸方

交際費

50,000円

現金(または預金)

50,000円

会議費の仕訳例

社外講師を招いて研修を行い、講師料として100,000円を現金で支払った場合の仕訳例は以下の通りです。

借方

貸方

会議費

100,000円

現金(または預金)

100,000円

消耗品費の仕訳方法

消耗品費は、使用期間が1年未満、または取得価額が10万円未満の什器備品や消耗品を計上する勘定科目です。具体的には、文房具、コピー用紙、プリンターインク、事務用消耗品などが含まれます。

消耗品費の仕訳例

ボールペンを10本、1,000円で購入した場合の仕訳は以下の通りです。

借方

貸方

消耗品費

1,000円

現金(または預金)

1,000円

福利厚生費の仕訳方法

福利厚生費は、従業員の福利厚生のために支出する費用を計上する勘定科目です。これには社員旅行、忘年会、健康診断、慶弔見舞金などが含まれます。

ただし、従業員一人当たり年間1,000円以下の少額な物品の購入費用は、福利厚生費ではなく雑費として処理される場合があります。

福利厚生費の仕訳例

従業員の健康診断費用として50,000円を現金で支払った場合の仕訳は以下の通りです。

借方

貸方

福利厚生費

50,000円

現金(または預金)

50,000円

雑費の仕訳方法

雑費は、他の勘定科目に該当しない費用を計上する勘定科目です。具体的には新聞代、ゴミ処理費用、少額の修繕費など、業務に直接関係しない小さな支出や臨時の出費が含まれます。

雑費の仕訳例

業務中に購入した掃除用品の費用が500円だった場合の仕訳は以下の通りです。

借方

貸方

雑費

500円

現金(または預金)

500円

クレジットカードを使った経費仕訳

法人のクレジットカードを利用した経費処理は、企業にとって効率的な支払い方法の一つです。ここではクレジットカード利用時の経費仕訳の方法について解説します。

クレジットカード利用のメリットとリスク

クレジットカードによる経費処理では、支払時に現金を用意する必要がなく、キャッシュフローを効率的に管理できます。

加えて、従業員が経費を立て替える必要がないため従業員の負担を軽減できること、経費の使用状況をクレジットカードの明細で把握しやすくなること、ポイントが貯まるなどクレジットカードの特典を利用できる点もメリットといえるでしょう。

一方で使いすぎによる支出の増加や、利用明細の管理や仕訳処理が煩雑になるリスクもあります。特に経費の使いすぎには注意が必要で、会社としての予算管理や利用ガイドラインの設定が不可欠です。

クレジットカードによる経費の処理方法

クレジットカードで経費を支払った場合、現金で支払った場合とは異なる仕訳が必要になります。

具体的には、クレジットカードで支払った時点では「未払金」という勘定科目を使い、後日クレジットカード会社に支払う際に「未払金」を消し込む形で仕訳を行います。

クレジットカード仕訳の具体例

クレジットカードを利用した際には、購入時と支払い時の仕訳を分けて行う必要があります。たとえば、クレジットカードで5,000円の旅費交通費が発生した場合、以下のように仕訳します。

購入時の仕訳

借方

貸方

旅費交通費

5,000円

未払金

5,000円

この段階で、発生した経費は未払金として処理され、後日支払いが必要な状態となります。

支払い時の仕訳

借方

貸方

未払金

5,000円

現金(または預金)

5,000円

このようにカード会社に対する支払いが完了した時点で、未払金が消されます。

クレジットカードで経費処理する場合、クレジットカード明細と仕訳帳を定期的に照合することで記録ミスを防ぐことが重要です。特に明細と仕訳内容が一致しているか確認する作業は、経費処理の正確性を保つための有効な方法です。

この照合作業により、処理漏れや記録ミスを早期に発見でき、経理業務の精度を上げることができるでしょう。

クレジットカード払いで注意しておきたいのがインボイスの扱いです。

クレジットカード利用明細書は、そのカード利用者の取引相手であるインボイス発行事業者が作成・交付した書類ではなくクレジットカード会社が作成したものです。したがって、取引の内容や適用税率など、インボイスの記載事項を満たしていないのが一般的ですので、インボイスには該当しません。

領収書などと合わせて保存しておくことにより記載事項を満たした書類を保存しておく必要があります。

回数券やお土産など迷いやすい場合の経費仕訳

回数券やお土産のように、一度に購入して複数回に分けて使用したり、誰かに渡したりするものは仕訳方法で迷うことがあります。ここでは回数券やお土産の正しい経費仕訳方法について解説します。

回数券の仕訳方法

回数券を購入した場合、使用するタイミングによって仕訳方法が異なります。まず、回数券を購入した際には、その金額を前払費用として計上します。たとえば10,000円の交通費用の回数券を購入した場合の仕訳は以下の通りです。

購入時の仕訳

借方

貸方

前払費用

10,000円

現金(または預金)

10,000円

次に、実際に回数券を使用した際には、使用分を前払費用から旅費交通費に振り替えます。たとえば、2,000円分の回数券を使用した場合の仕訳は以下の通りです。

使用時の仕訳

借方

貸方

旅費交通費

2,000円

前払費用

2,000円

このように、回数券を購入時と使用時に分けて仕訳することで、経費が発生したタイミングで正確に処理できます。

なお、旅費交通費を支払うため専用の交通系ICカード使用する場合には、チャージした時点で借方に旅費交通費として費用計上し、期末に未使用金額について、借方:前払費用、貸方:旅費交通費として振り替え、翌期首にその反対仕訳をして戻す方法も考えられます。また、使用した内容を確認できるように利用履歴の保存が必要です。

お土産の仕訳方法

お土産を経費として計上する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 業務上必要な範囲内であること
  • 個人的な目的で購入したものは経費として計上できない
  • 高額な場合は、贈答の記録を残しておく

交際費との区別については、目的によって判断されます。得意先や取引先との関係を維持・強化するためのものであれば交際費、従業員の慰安や福利厚生を目的としたものであれば福利厚生費または雑費となります。

得意先や取引先への贈答品としてのお土産

この場合は、「交際費」として仕訳を行います。たとえば得意先に5,000円のお土産を現金で購入した場合、以下の仕訳を行います。

借方

貸方

交際費

5,000円

現金(または預金)

5,000円

従業員へのお土産

従業員へのお土産は、福利厚生費または雑費として仕訳します。たとえば社員旅行で従業員に10,000円のお土産を現金で購入した場合は、以下の仕訳を行います。

借方

貸方

福利厚生費

10,000円

現金(または預金)

10,000円

出費が少額の場合は「雑費」として仕訳します。たとえば出張帰りに従業員にお菓子などの少額のお土産を1,000円で購入した場合の仕訳は以下の通りです。

借方

貸方

雑費

1,000円

現金(または預金)

1,000円

経費精算システムを使った経費仕訳の効率化

経費仕訳や精算業務を効率化するために、経費精算システムの導入を検討する企業が増えています。ここでは経費精算システムを活用するメリットや、システムの選び方について解説します。

経費精算システムを活用するメリット

経費精算システムを利用するメリットは、経費処理のスピードと精度の向上です。

一般的な経費精算システムには、自動仕訳機能や領収書のデジタル管理、経費申請・承認ワークフローといった機能が含まれており、経理担当者の業務を効率化できます。

特に自動仕訳機能は、経費項目や勘定科目を自動で判別し、仕訳処理を行ってくれるため、手動入力によるミスの軽減や、業務時間の短縮につながります。

さらに、経費精算システムと法人カードを連携させることで現金による立替処理が不要になる点もメリットです。

法人カードで経費を支払えば、経費の発生から仕訳までが一貫してデジタルで管理されるため、経理担当者の負担軽減につながるとともに、経費処理全体の効率が大幅に向上します。

経費精算システムの選び方

自社に適した経費精算システムを選ぶには、以下のポイントを考慮する必要があります。

機能

自社の業務に必要な機能が備わっているか

操作性

従業員にとって使いやすいシステムか

費用

導入費用や月額利用料が予算に合っているか

セキュリティー

セキュリティー対策がしっかりしているか

サポート体制

導入から導入定着までのサポート体制が充実しているか

拡張性

将来的な事業拡大に対応できるシステム

他システムとの連携

会計ソフトや給与計算ソフトとの連携が可能か

上記の他にも、法人カードなどの付帯サービスについても確認しておきましょう。

まとめ

この記事では、経費仕訳の基本から、クレジットカードや回数券、お土産といった特殊なケースの仕訳方法まで解説しました。

経費仕訳は、企業の財務状況を正しく把握し、適切な税務申告を行うために非常に重要です。経費仕訳を正しく行わないと、以下のようなリスクがあります。

  • 税務調査で指摘を受け、追徴課税や加算税が発生する
  • 会社の財務状況を正しく把握できず、経営判断を誤る
  • 不正経理や横領のリスクが高まる

また、現金での立替精算は、従業員の負担が大きくなるだけでなく、紛失や盗難のリスクもあります。

経費精算システムを導入することで、経費仕訳を自動化し、正確かつ効率的に行えます。さらに、法人カードと連携することで、現金での立替を減らし、従業員の負担軽減と経理業務の効率化を同時に実現できます。

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「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務全般の課題や法対応など、経理課題の解決に導く情報をお届けします。
松崎 啓介

記事監修者のご紹介

税理士 松崎 啓介

松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員

保有資格:税理士

昭和59年~平成20年 財務省主税局勤務
税法の企画立案に従事(平成10年~平成20年 電子帳簿保存法・通則法規等担当)
その後、大月税務署長、東京国税局調査部特官・統括官、審理官、企画課長、審理課長、個人課税課長、国税庁監督評価官室長、仙台国税局総務部長、金沢国税局長を経て令和2年8月税理士登録。
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
主な著書「Q&Aでわかる税理士のためのインボイス制度と改正電子帳簿保存法」(第一法規)、「デジタル化の基盤 電帳法を押さえる」 (税務研究会)等

  • 本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。なお、本稿は、読みやすさや内容の分かりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。

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