- 生産性向上
バックオフィス業務を効率化するには?業務一覧から課題、効率化方法を解説
公開日:

バックオフィス業務の効率化は、人手不足や生産性向上の観点から多くの企業が取り組むべき重要な課題となっています。
この記事では、バックオフィス業務の定義や主な内容、効率化のメリット、そして具体的な改善方法について解説します。
自社のバックオフィス業務の現状を見直し、効率化したいと感じている企業は、ぜひ参考にしてみてください。
バックオフィスの業務とは?主な業務一覧

バックオフィスとは、企業の活動をスムーズに進めるために裏からサポートをする業務や部署を指します。
企業の売り上げなど、利益との直接的な関わりはありませんが、スムーズな活動のために欠かせない業務と言えるでしょう。
バックオフィスは、主に以下の5つの部門があります。
- 経理・財務部門
- 人事・労務部門
- 総務部門
- 法務部門
- 情報システム部門
バックオフィスのそれぞれの業務について解説していきます。
1.経理・財務部門の主な業務
経理・財務部門の主な業務は以下の6つです。
- 収支管理
- 決算業務
- 給与計算
- 融資の手続き
- 税務申告
- 財務報告
経理・財務部門は企業の財務状態を正確に把握し、適切な意思決定を支援する重要な役割を担っています。また、コンプライアンスの観点から正確な会計処理と適切な税務申告を行うことで、企業の健全性を確保しています。
2.人事・労務部門の主な業務
人事・労務部門の主な業務は以下の5つです。
- 採用活動
- 社員の教育
- 給与計算
- 労務管理
- 社会保険の手続き
人事・労務部門は、企業の持続的な成長に不可欠な人材の採用・育成から、労務管理、福利厚生まで幅広い業務をカバーしています。従業員が最大限の能力を発揮できる環境づくりを通じて、企業価値の向上に貢献しています。
3.総務部門の主な業務
総務部門の主な業務は以下の6つです。
- 社内規定の管理
- 福利厚生
- オフィス管理
- 備品・設備管理
- 環境保護活動
- 安全管理
総務部門は、社内の各部門が円滑に業務を遂行できるよう、施設管理からコンプライアンス対応まで、企業活動の基盤となる業務を担当します。社内外との調整役として、企業全体の業務効率向上に寄与しています。
4.法務部門の主な業務
法務部門の主な業務は以下の4つです。
- 契約書の作成・管理
- 法的リスクの管理
- 知的財産管理
- コンプライアンス対応
法務部門は、企業活動に関わる法的リスクの管理と、各種契約の適切な締結・管理を通じて企業を守ります。近年の法規制強化に伴い、その重要性は一層高まっています。
5.情報システム部門の主な業務
情報システム部門の主な業務は以下の5つです。
- 社内システムの運用・保守
- セキュリティー管理
- ITインフラの整備
- システムの開発・導入
- ユーザーサポート
情報システム部門は、企業のデジタルインフラを支える要として、業務効率化とセキュリティー確保の両立を図ります。DXの推進において中心的な役割を果たし、企業の競争力強化に貢献しています。
バックオフィス業務の課題

バックオフィスは、企業が安定してスムーズに業務を進めるうえで欠かせません。しかし、労働環境や時代の変化にともない、以下の4つの課題があります。
- 業務の属人化が進みやすい
- 紙文書や手作業が多く非効率
- システム間の連携が不十分
- コンプライアンスリスクへの対応が難しい
バックオフィス業務が抱える課題についてしっかりと理解し、改善へつなげるヒントにしましょう。
1.業務の属人化が進みやすい
バックオフィス業務では、特定の担当者に業務知識やノウハウが集中する「属人化」が大きな課題となっています。具体的には以下のような問題が発生します。
- 担当者不在時の業務停滞:休暇取得や急な欠勤時に対応できる人がいない、退職時の引継ぎに膨大な時間がかかる
- 業務品質の不安定化:手順やルールが明文化されていない、個人の経験や勘に依存した業務進行、標準的なプロセスが確立されていない
- 業務改善の機会損失:従来のやり方が固定化、新しいツールや手法の導入が進まない
属人化が進むことで、業務の効率性や継続性に影響を及ぼす可能性があります。
2.紙文書や手作業が多く非効率
バックオフィス業務では、デジタル化が進む現代でも紙ベースでの文書管理や手作業による入力作業などが多く、業務が非効率であることが課題です。
手作業での業務は、入力ミスやデータの損失などが起きやすく、結果的に業務全体の効率性を下げることにつながります。

例えば、交通費などの経費の立替と精算業務について、Sansan株式会社が会社員1000人を対象に行った調査によると、およそ7割以上が課題があると感じていると回答しています。

さらに、「精算処理が面倒」と回答した339人に具体的に面倒だと感じる処理を聞いたところ、「システム上で手入力する」(46.6%)、「システム上で領収書やレシートをアップロードする」(41.3%)といった手作業による処理に多くの回答が集まりました。
参照:Sansan株式会社|「Sansan、「経費精算業務に関する実態調査」を実施〜会社員の7割以上が精算や領収書管理に「課題あり」。約半数が「立替経費精算が通常業務の妨げになっている」と回答〜」
システム間の連携が不十分
バックオフィス業務では、業務の特性に応じて経費精算システム、人事管理システム、会計システムなど、複数のシステムを併用することが一般的です。しかし、これらのシステム間でデータ連携が不十分な場合、以下のような非効率が生じます。
- データの二重入力による手間
- 手作業での転記による人為的ミス
- 各システムでのマスターデータの不一致
- リアルタイムでの情報共有が困難
このようなシステム間の連携不足は、業務効率の低下だけでなく、経営判断に必要なデータの収集・分析にも支障をきたす可能性があります。
コンプライアンスリスクへの対応が難しい
バックオフィス業務におけるコンプライアンスリスクへの対応は、年々複雑化・高度化しています。具体的な課題として以下が挙げられます。
- 法改正への迅速な対応
- 業務プロセスの見直しと従業員教育
- コンプライアンス対応に必要な証跡の収集・保管
- 複数の規制・ガイドラインへの同時対応
これらの課題に適切に対応できない場合、法令違反による罰則や社会的信用の失墜といったリスクが生じます。一方で、対応のための業務負荷が増大することで、本来の業務効率が低下するというジレンマも抱えています。
バックオフィス業務を効率化する方法
企業のバックオフィス業務は、事業活動を支える重要な基盤であるにもかかわらず、多くの企業で非効率な業務プロセスが残されています。特に紙文書の管理や手作業による処理は、人的リソースの無駄遣いとなっているだけでなく、ミスのリスクも高めています。
これらの課題を解決し、バックオフィス業務の生産性を向上させるため、以下の5つの方法を具体的に見ていきましょう。
- 業務プロセスの可視化と標準化
- クラウドサービスの活用
- RPAの導入
- ペーパーレス化の推進
- 部門間の連携強化
1.業務プロセスの可視化と標準化
バックオフィス業務を効率化する第一歩は、現状のプロセスを可視化し、標準化することです。具体的には以下のような取り組みが重要です。
- 既存の業務フローを図式化・文書化
- 無駄な作業工程や重複業務の洗い出し
- 担当者による作業手順のばらつきの是正
- 業務マニュアルの整備と定期的な更新
- 作業時間や工数の定量的な把握
- 業務の優先順位付けと整理
標準化により、誰でも一定の品質で業務を遂行できる環境を整えることができます。
2.クラウドサービスの活用
クラウドサービスの導入は、バックオフィス業務のデジタル化を推進する有効な手段です。
以下のメリットがあり、特に経理・人事・総務などの定型業務において、クラウドサービスは大きな効果を発揮します。
- 場所や時間を問わない業務遂行が可能
- データの一元管理による情報共有の円滑化
- 自動化機能による作業負荷の軽減
- システム保守・管理の外部委託によるIT負担の軽減
- 業務の進捗状況のリアルタイム把握
- セキュリティー対策の強化
3.RPAの導入
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入は、定型業務を自動化し、以下のような手作業での業務にかかる時間を短縮できるメリットがあります。
- データ入力や転記作業
- 定期的なレポート作成
- 各種申請書類の作成
- システム間のデータ連携
- スケジュール管理や通知
- 請求書や領収書の処理
RPA導入時には、効果測定が可能な指標を設定することが重要です。成果が目に見えて分かるように、現在の作業時間やミスの発生率などを数値化しておき、導入後に比べてみましょう。
4.ペーパーレス化の推進
ペーパーレス化は、単なる紙の削減だけでなく、業務プロセス全体の改革につながります。
主な施策として以下が挙げられます。
- 電子文書管理システムの導入
- 電子承認ワークフローの構築
- 電子契約サービスの活用
- 請求書・領収書の電子化
- オンライン会議・研修の活用
- 社内文書の電子配布
ペーパーレス化を進める際は、法令要件や情報セキュリティーに留意しながら、段階的に推進することが重要です。
5.部門間の連携強化
部門間の連携強化は、バックオフィス業務の効率化において重要な要素です。以下のような施策が効果的です。
- 情報共有プラットフォームの構築:部門横断的なナレッジベースの整備やリアルタイムでのコミュニケーションツールの活用
- データの一元管理:マスターデータの統合管理や各部門のデータを横断的に分析可能な環境整備
- 業務プロセスの標準化:部門間で共通する業務の手順統一や承認フローの簡素化と統一化
これらの施策により、情報の即時共有が可能となり、重複作業の削減や意思決定の迅速化を実現できます。また、部門間の相互理解が深まることで、組織全体の業務効率向上にもつながります。
バックオフィス業務を効率化するメリット

バックオフィスは企業利益に直接関与しないため、改革が後回しにされがちですが、効率化による恩恵は全社に波及します。
ここでは、バックオフィス業務を効率化するメリットを4つ紹介します。
- コスト削減につながる
- 生産性が向上する
- 人為的ミスを防止できる
- 従業員の満足度が向上する
1.コスト削減につながる
バックオフィス業務の効率化は、直接的・間接的なコスト削減をもたらします。紙の文書をデジタル化することで印刷費や保管スペースのコストが削減でき、業務の自動化によって人件費の最適化も実現できます。
また、ミスの減少による手戻り作業の削減や、データの一元管理による情報共有の効率化なども、長期的なコスト削減につながります。
2.生産性が向上する
業務プロセスの効率化によって、これまで手作業や単純作業に費やしていた時間を大幅に削減できます。
例えば経理部門での請求書処理や経費精算、人事部門での採用業務や勤怠管理では、自動化やシステム化をすることで大きく生産性をあげることができます。
効率化によって空いた時間を戦略的な業務や分析業務に向けることで、部門全体の生産性が向上します。
3.人為的ミスを防止できる
システム化やデジタル化を進めることで、これまで手作業によって生じていたミスを減らすことができます。
特に経費精算システムや勤怠管理システムなどでは、データのダブルチェックや整合性の確認が自動で行われ、不正や誤りを未然に防ぐことができます。
これにより、修正作業の削減だけでなく、コンプライアンス面でのリスク低減にもつながります。
4.従業員の満足度が向上する
業務効率化は、従業員の働き方を大きく改善します。単純作業や反復作業から解放されることで、より創造的な業務や専門性の高い業務に注力できるようになります。
また、時間外労働の削減やリモートワークの実現にもつながり、ワークライフバランスの向上に寄与します。結果として、従業員のモチベーション向上や人材定着率の改善が期待できます。
まとめ
バックオフィス業務にはさまざまな業務があり、後回しにされがちな課題が多く存在しています。業務フローを見直すことで、効率化できる作業やシステムに任せられる作業が見つかるでしょう。
企業活動を裏からサポートするバックオフィス業務の効率化は、コスト削減や生産性の向上が見込めるなどさまざまなメリットがあります。特に、経理部門においてシステムの導入は効率化に大きく役立ちます。
「Bill One」は、請求書の受領・発行、経費精算などの経理業務を効率化できるサービスです。
請求書受領業務では、あらゆる形式の請求書をオンラインで受け取り、クラウド上で一元管理することができます。
債権管理業務では、請求書の発行から入金消込まで、請求業務を自動化し、全社で債権の状況を把握できます。
経費精算業務では、全社員の経費の支払いをBill Oneビジネスカードで行うことで、経費精算に必要な対応をオンラインで完結し、企業から立替経費をなくすことができます。
これらを1つのサービスで実現できるのが「Bill One」です。
Bill One(請求書受領)の特長
- 紙や電子などあらゆる形式の請求書をオンラインで受領し、99.9%の精度*で正確にデータ化する
- 受領した請求書データを一元管理できる
- インボイス(適格請求書)の要件を満たしているかを自動チェック
- 適格請求書発行事業者番号が事業者名と一致しているかも自動で照合
- 電子帳簿保存法に対応した保存要件で受領した請求書データを適切に保管
- 暗号化やPMSの構築などの高度なセキュリティー対策を設けている
*Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合のデータ化精度
Bill One(債権管理)の特長
- 請求先ごとに固有のバーチャル口座を振込先として請求書を作成・発行
- 名義不一致や複数の請求分を一括した合算入金も自動で消込処理
- 現在利用中の基幹システムとも柔軟に連携可能
- 発行済みの請求書と入金状況をリアルタイムに一覧表示・管理可能
- 請求書の作成・発行から入金消込、社内での照会・共有までをBill One上で完結
Bill One(経費精算)の特長
- 全社員へのBill Oneビジネスカード配布によって立替経費をなくせる
- 領収書の受け取りから承認、仕訳、保管まで、経費精算に必要な対応をオンラインで完結
- 99.9%*の精度で領収証をデータ化し、自動で利用明細と突合
- 電子帳簿保存法やインボイス制度への対応
- カード利用状況のリアルタイム把握と不正利用の防止
- 1カ月あたりの利用限度額が最大1億円
- カードごとの利用限度額設定が可能
- 年会費・発行手数料無料
*Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合のデータ化精度
Bill Oneは経理業務にかかる工数を削減・効率化し、月次決算の加速に役立ちます。ぜひBill Oneの導入をご検討ください。


3分でわかる Bill One
請求書受領から、月次決算を加速する
インボイス管理サービス「Bill One」について
簡単にご説明した資料です。




3分でわかる Bill One債権管理
請求業務から、入金消込を自動化する
クラウド債権管理サービス「Bill One債権管理」について簡単にご説明した資料です。




3分でわかる Bill One経費
立替経費をなくし、月次決算を加速する
クラウド経費管理サービス「Bill One経費」について簡単にご説明した資料です。



執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部