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Amazonビジネスでのインボイス対応を解説|一括ダウンロードの手順や注意点も紹介
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Amazonビジネスは、法人や個人事業主が効率的に商品を購入するための専用プラットフォームです。ビジネスに必要な商品を幅広くそろえており、さまざまなメリットがあるため、多くの事業者が利用しています。
本記事では、Amazonビジネスでのインボイス対応について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
Amazonビジネスとは

Amazonは利用したことがあっても「Amazonビジネス」についてはよく知らない、という方もいるかもしれません。
まずは、Amazonビジネスの概要と利用するメリットを、改めて確認しておきましょう。
Amazonビジネスの概要
Amazonビジネスは、法人や個人事業主向けに特化したAmazonの通販サービスで、業務用商品の調達を効率化するためのさまざまな機能が提供されています。一般のAmazonアカウントとは異なり、企業向けの特典が充実しています。
Amazonの発表によると、東証プライム市場に上場する企業の70%以上(2024年3月末時点)がAmazonビジネスを導入しており、多くの企業が業務効率化のために活用しています。
Amazonビジネス「 あらゆるビジネスの 購買を支援」
特に、まとめ買いや数量割引、複数アカウントの管理機能など、企業などの組織で利用することを前提とした機能が豊富に備わっている点が魅力です。
Amazonビジネスを利用するメリット

Amazonビジネスは、法人や個人事業主が業務用商品の調達を効率化できるように設計されており、一般のAmazonアカウントにはないさまざまなメリットがあります。
① 業務用商品の調達がスムーズ
Amazonビジネスでは、オフィス用品やPC周辺機器、消耗品、飲料など、幅広い業務用商品を一括購入可能です。さらに、以下のような特典があります。
- 法人価格の適用
- 数量割引
- 絞り込み検索機能
② 事業者向けの支払い方法が充実
Amazonビジネスでは、通常のクレジットカード決済に加えて、請求書払いが可能です。
③ 購買履歴の管理・分析が簡単
Amazonビジネスでは、過去の購入データを簡単に確認でき、企業の経費管理を効率化できます。
- 購買履歴を一覧で確認
- 従業員の注文状況を管理
- 購買データのレポート化
このように、Amazonビジネスを活用すると、コスト削減・業務効率化・経理作業の簡素化が実現できます。
Amazonビジネスで購入した場合にインボイスは交付されるか

インボイス制度の導入により、適格請求書の取得が必要になりました。では、Amazonで購入した商品はインボイスに対応しているのでしょうか?ここでは、インボイスが交付される条件や、対象となる出品者を確認する方法について詳しく解説します。
インボイス登録事業者ならインボイス交付される
Amazonで購入した商品がインボイス(適格請求書)に対応しているかどうかは、出品者がインボイス登録事業者であるかどうかによります。
Amazonビジネスでは、以下の2つの条件を満たす商品に限り、適格請求書を受け取ることが可能です。
- Amazon自体が販売する商品
- インボイス登録事業者が出品する商品
そのため、購入する商品がインボイス対応かどうかを事前に確認する必要があります。
Amazonでは、媒介者交付特例が適用される場合があります。これは、Amazonが取引の媒介者となり、適格請求書を発行できる仕組みです。
ただし、この特例の適用には、出品者がAmazonと適格請求書発行のための登録番号を連携していることが条件となります。
出品者がインボイス登録業者か確認する方法
Amazonでは、インボイス対応の商品をスムーズに探すためのいくつかの機能が提供されています。以下では、具体的な確認方法について解説します。
絞り込み検索
Amazonビジネスでは、商品を検索する際に「適格請求書発行対象」のフィルターを利用することで、インボイス対応の商品だけを表示させることが可能です。
絞り込み検索の手順は以下の通りです。
- Amazonビジネスの検索バーで商品を検索
- 検索結果の左側にあるフィルターから「適格請求書発行対象」にチェックを入れる
- インボイスの発行が可能な商品のみが表示される
この方法を用いれば適格請求書を取得できる商品を効率よく見つけられます。
購買ルールのインボイス関連項目
Amazonビジネスでは、企業の購買管理をしやすくするために「購買ルール」という機能があります。この機能を利用すればインボイスに対応していない商品の購入を防ぐことが可能です。
購買ルールの設定方法は以下の通りです。
Amazonビジネスには以下の2種類のルールがあります。
- 制限ルール:インボイス非対応の商品を購入しようとした際に、管理者の承認を必要とする仕組み
- 絞り込みルール:インボイス対応商品しか購入できないよう設定が可能
これらのルールを活用することで、適格請求書が発行されない商品を誤って購入するリスクを回避できます。
商品詳細ページの文言表示
商品検索や購買ルールの設定以外にも、個別の商品ページを確認することでインボイス対応かどうかを判断することができます。
商品ページでの確認方法は以下の通りです。
- 商品の詳細ページに「適格請求書の発行対象です」と表示されている場合、その商品は適格請求書が発行可能
- 表示がない場合は、出品者がインボイス登録事業者でない可能性が高いため、購入前に注意が必要
商品をカートに入れる前に、適格請求書発行の対象であるかどうかを必ず確認しましょう。
Amazonビジネスで購入した商品のインボイスを発行する方法

Amazonビジネスでインボイス対応商品を購入した後は、適格請求書を適切にダウンロードして管理することが重要です。ここでは、ダウンロードの方法などについて詳しく解説します。
インボイスのダウンロード方法
Amazonビジネスでは、「一括ダウンロード」と「個別ダウンロード」の2つの方法でインボイスを取得できます。以下で、それぞれの手順を詳しく解説します。
一括ダウンロード方法の手順
大量の取引を一度に処理する場合は、「購買データ」ページから一括ダウンロードするのが便利です。
- Amazonビジネスにログイン
- 「購買データ」ページにアクセス
- 必要な期間を指定
- 「適格請求書を一括ダウンロード」を選択
- ダウンロードされたデータを保存し、必要に応じて会計ソフトなどに取り込む
個別のダウンロード手順
少量のインボイスを取得したい場合や、特定の取引に関する適格請求書をすぐに確認したい場合は、「注文履歴」から個別にダウンロードするとよいでしょう。
- Amazonビジネスにログイン
- 「注文履歴」ページにアクセス
- 該当する注文を検索し、選択
- 「請求書等」の項目をクリック
- 適格請求書をダウンロードし保存
ダウンロード可能なタイミングと保存期間
Amazonビジネスでは、商品が発送されてから24時間以内にインボイスをダウンロードできるようになります。購入直後には取得できないため、発送完了後に注文履歴や購買データページからダウンロードする必要があります。
また、Amazonビジネス利用者の適格請求書は、発行日(商品の発送日)から10年間Amazonに保管されます。
Amazonビジネスでのインボイスをダウンロードする際の注意点

適格請求書を取得した後は、書類の確認や保存方法を理解することが重要です。ここでは、インボイスとして扱われない書類や電子帳簿保存法への対応、個人向けAmazonアカウントとの違いについて解説します。
インボイスとして扱われない書類
Amazonビジネスで発行される書類の中には、適格請求書(インボイス)として認められないものがあるため、注意が必要です。
具体的には、請求書払いで発行される請求書、クレジットメモ、領収書、納品書は適格請求書とは異なります。これらの書類は取引内容を証明するものではあるものの、仕入税額控除を適用するためのインボイスとしては利用できません。
適格請求書として有効なものは、Amazonまたはインボイス登録事業者が発行する「適格請求書」であり、これを注文履歴や購買データページからダウンロードする必要があります。
経理処理を行う際は、どの書類が適格請求書に該当するのかをしっかりと確認し、誤って別の書類を保存しないように気をつけましょう。
インボイス制度における経費精算については、下記の記事をご参照ください。
電子帳簿保存法に沿った保存をする
Amazonビジネスで取得したインボイスは、電子帳簿保存法の要件に沿って適切に保存する必要があります。Amazonでの購入は電子取引に該当するため、発行されたインボイスを紙に印刷して保存するのではなく、電子データのまま保管しなければなりません。
また、電子帳簿保存法では保存場所、保存期間等については各税法の定めるところによるとされていますので、各税法では、保存期間は一般的には7年間と定められており、適格請求書もこの期間内は検索・確認できる状態で保管することが必要です。
個人向けAmazonアカウントとの違い
個人向けAmazonアカウントでは、一括ダウンロード機能が利用できません。 そのため、適格請求書を取得する際は、購入履歴から個別にダウンロードする必要があり、手間がかかります。
インボイス対応のスムーズな処理を求める場合は、Amazonビジネスの利用がおすすめです。
Amazonの請求書払いでもインボイスに対応しているのか

Amazonビジネスでは請求書払いが利用可能ですが、請求書払いとインボイスの関係には注意が必要です。ここでは、請求書払いの仕組みや適格請求書の取得方法について解説します。
Amazonビジネスの「請求書払い」とは
Amazonビジネスでは、請求書払いを利用して商品購入後に1カ月分をまとめて後払いすることが可能です。請求書払いは、購入ごとの決済処理が不要になり、キャッシュフローの管理がしやすくなります。
請求書払いは企業や団体が対象となる決済方法で、一定の審査を経て利用が許可されます。利用者は月ごとにまとめられた請求書を受け取り、設定された支払い期日までに銀行振込などで支払いをします。
請求書払いもインボイスに対応している
Amazonビジネスの請求書払いを利用した場合でも、インボイスを発行することは可能です。しかし、請求書払い時に発行される「請求書」は適格請求書とは異なるため、仕入税額控除の適用を受けるには、別途インボイスを取得する必要があります。
適格請求書を取得するには、Amazonビジネスの注文履歴から該当する取引を選び、「請求書等」から適格請求書をダウンロードする必要があります。これは、請求書払いで発行される請求書には、適格請求書として必要な項目(登録番号や消費税額など)が記載されていないためです。
請求書払いを利用している場合は、定期的に注文履歴を確認し、適格請求書をダウンロード・保存するのを忘れないようにしましょう。
法人カードでインボイスはもらえるのかについては、下記の記事をご参照ください。
まとめ
本記事ではAmazonビジネスでのインボイス対応について解説しました。
Amazonで事業用物品を購入する際、アマゾンジャパン合同会社が販売する商品であればインボイスを受け取ることができます。
一方、Amazonマーケットプレイスの出品者から購入する場合でも、その出品者がインボイス発行事業者であれば適格請求書を取得できます。しかし、すべての出品者がインボイスの発行に対応しているわけではないため、事前に確認することが重要です。
また、Amazonビジネスを利用すると、インボイス対応商品の検索や適格請求書のダウンロードがスムーズになり、企業の経理業務の負担を軽減できます。
特に、経理担当者が立替精算に対して感じている課題として、下記のアンケート結果にあるように「インボイス制度の要件を満たしているかの確認に手間がかかる」点があげられており、効率的なインボイス管理の重要性が高まっています。

参照:Sansan株式会社|「Sansan、経費精算に関する実態調査を実施、~インボイス制度で負担増、一社あたり月1500件の立替が発生。約3割が経費の不正利用を見聞きしたことがあると回答~」
Amazonビジネスを活用することで適格請求書の取得や管理が容易になり、インボイス対応にかかる手間を最小限に抑えることが可能です。
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記事監修者のご紹介
税理士 松崎 啓介
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
保有資格:税理士
昭和59年~平成20年 財務省主税局勤務
税法の企画立案に従事(平成10年~平成20年 電子帳簿保存法・通則法規等担当)
その後、大月税務署長、東京国税局調査部特官・統括官、審理官、企画課長、審理課長、個人課税課長、国税庁監督評価官室長、仙台国税局総務部長、金沢国税局長を経て令和2年8月税理士登録。
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
主な著書「Q&Aでわかる税理士のためのインボイス制度と改正電子帳簿保存法」(第一法規)、「デジタル化の基盤 電帳法を押さえる」 (税務研究会)等
- 本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。なお、本稿は、読みやすさや内容の分かりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。

執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部