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AIで仕訳を効率化 | 仕訳業務を自動化する仕組みとメリット・デメリットを解説
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経理部門では、日々の取引を仕訳入力する作業に多くの時間と労力がかかっています。
人為的なミスの発生や確認作業の負担も大きく、効率化が長年の課題となってきました。
こうした背景の中で注目されているのが、AIを活用した仕訳の自動化です。AIは過去のデータを学習し、取引内容に応じて勘定科目を自動で提案します。手作業の負担を減らし、正確性とスピードを両立する新しい経理体制の実現が期待されています。
本記事では、AIを用いた仕訳の仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説し、導入を検討する企業に役立つ情報をご紹介します。
請求書の一元管理で仕訳を効率化
AIを用いた仕訳とは?

経理業務における仕訳は、取引の内容を「借方」「貸方」に分類して記録する基本的な会計処理です。正確な仕訳は財務データの信頼性を支える要素であり、企業経営に欠かせません。
AIを用いた仕訳は、この処理を人の判断に頼らず自動化する仕組みです。AIが過去の仕訳データや修正履歴を学習し、取引内容を分析して最適な勘定科目を提示します。
仕訳の基本と従来の仕訳
仕訳とは、企業の取引を会計帳簿に記録する際に、金額や内容を「借方」と「貸方」に振り分ける処理です。売上や経費といった日々の取引を正しく分類することで、財務状況を正確に把握できるようになります。
従来は経理担当者が取引内容を一件ずつ確認し、勘定科目を判断して手作業で仕訳を入力するのが一般的でしたが、近年は、設定条件に基づいて自動処理する「自動仕訳」機能も普及しています。
AIを用いた仕訳の概要
AIを用いた仕訳は、人が行っていた仕訳作業を人工知能が自動で行う仕組みです。AI仕訳の仕組みは、過去の仕訳データや修正履歴を学習し、取引内容や文脈をもとに最適な勘定科目を自動で推定します。
たとえば、取引先名や支払い内容から経費の種類を判断したり、新たな取引にも柔軟に対応したりできます。
さらに、自然言語処理や機械学習の技術を活用することで、ルールに頼るだけでは対応しにくかった複雑なケースにも精度の高い仕訳を提案できる点が大きな特徴です。
AIを用いた仕訳の特徴

AIを活用した仕訳は、単なる手作業の代替ではありません。過去データの学習により判断精度を高め、取引内容を自動解析して勘定科目を提案するなど、従来の自動仕訳にはない高度な機能を備えています。ここでは、AI仕訳ならではの特徴を具体的に見ていきます。
学習による精度の向上
AIによる仕訳の大きな特徴の一つは、利用を重ねるほどに判断の精度が高まっていく点です。過去の仕訳データや担当者が行った修正履歴を継続的に学習し、その結果を次の処理に反映させることで、より的確な勘定科目を提案できるようになります。
単純なルールに従うだけの自動仕訳と異なり、AIは経験を蓄積しながら判断基準を改善していくため、実務に近い精度での提案が期待できます。これにより、仕訳作業全体の品質向上が図れます。
勘定科目の自動推定
AIによる仕訳は、ただデータを読み取って科目を当てはめるだけの単純な仕組みではありません。取引先の名前や支払い理由といった情報だけでなく、摘要欄の短いメモのような記述からも背景を読み取り、内容に応じた勘定科目を導き出せるようになっています。
たとえば、経費であれば「交際費」や「通信費」といった候補を自動で提示してくれます。
担当者が行っていた判定作業をAI仕訳が支援することで、手作業の手間が大きく減るだけでなく、判断のばらつきを防ぐ効果も期待できます。結果として、作業全体を安定的に進められるようになり、確認業務の質も向上します。
クラウド会計システムとの連携
AI仕訳は、それ単体でも便利ですが、クラウド会計システムと一緒に使うと実務面での価値が一段と高まります。銀行口座の入出金データやカードの明細、請求書の情報などを自動で取り込み、それを基にAIが仕訳を提案・登録する仕組みが整えば、入力作業そのものにかける時間がほとんど不要になります。
この環境が整うと、会計データは日次ベースで更新され、月次決算までの工程が短縮されます。資金繰りの把握や経営判断にも、迅速に着手できるようになります。
AIによる仕訳の仕組み

AIを活用した仕訳は、単純な作業の自動化から始まり、運用を重ねるほど過去のデータを学習して判断精度を高めます。ここでは、その仕組みを実務の流れに沿って解説します。
1. データ入力の自動化
AIによる仕訳の最初の工程が、領収書や請求書などの証憑をデータ化する工程です。以前は経理担当者が一枚ずつ内容を確認し、地道に入力していましたが、最近ではAI-OCRが大きく進化し、手書き文字や形式の異なる書類にも対応できるようになり、自動で読み取れる範囲が広がっています。
こうした仕組みを導入すると、単純な入力作業にかけていた時間を減らせるだけでなく、転記ミスの防止にもつながります。結果として、後の仕訳処理がスムーズに進み、作業全体の流れにも余裕が生まれるようになります。
2. 取引内容の解析と勘定科目の推定
データ化された情報は、AIが取引内容を解析する工程に進みます。取引先名や支払い目的、摘要欄の文面を照合し、自動で判断します。
このときAIは、過去に蓄積された仕訳データや修正履歴を参考にしながら判断を下します。利用を重ねるほど提案の精度が高まり、人の判断に近い処理が可能になります。
これによって担当者が手動で判断する場面が減り、仕訳業務のスピードと正確性が一段と高まるのです。
3. 学習による精度向上
AIによる仕訳は、利用を重ねるほど判断精度が向上する仕組みです。過去の仕訳データや処理結果を蓄積・分析し、経理担当者が行った修正内容を学習に取り込むことで、次回以降の判断に反映されます。
初期段階では難しかった複雑な取引の判定も、時間の経過とともにより的確な提案が可能になります。人の知識とAIの分析力を組み合わせることで、実務に即した仕訳処理が実現し、業務全体の品質向上にもつながります。
4. 人間による確認と再学習
仕訳精度の向上に欠かせないのが、人による確認とフィードバックです。AIが自動で提案した仕訳内容を経理担当者が確認し、必要に応じて修正を加えることで、そのデータが再び学習に取り込まれます。
このサイクルを繰り返すことで、AIは判断基準を少しずつ磨き、次回以降の精度を向上させていきます。人の知識と経験がAIの成長を後押しすることで、実務により適した仕訳処理が可能となり、業務全体の完成度も高まります。
AIで仕訳をするメリット

AIによる仕訳は、単なる業務自動化にとどまらず、経理業務全体の効率化と精度向上に寄与しています。ここでは、4つの主なメリットを解説します。
- 仕訳作業の効率化
- 人為的ミスの削減
- リアルタイム経営管理
- リソースの有効活用
仕訳作業の効率化
AIを導入した仕訳システムは、これまで膨大な時間を要していた入力作業を大きく減らすことができます。取引データを自動で読み取り、勘定科目を推定・登録する仕組みにより、担当者が一件ずつ手入力する作業は大幅に削減されます。
その結果、単なる事務処理に追われることが少なくなり、経理担当者はより本質的な業務に集中できるようになります。たとえば、経営判断のためのデータ分析や部門間の調整といった付加価値の高い業務に時間を振り向けられるようになり、チーム全体の生産性向上にもつながります。
人為的ミスの削減
AIを用いた仕訳は、ヒューマンエラーの防止にも大きな効果を発揮します。人の手による作業では、どうしても入力の誤りや勘定科目の選定ミスが発生しやすくなりますが、AIは過去の処理履歴や設定ルールを踏まえて自動で判断を行うため、そうしたリスクを大幅に低減できます。
同様の仕訳が繰り返し発生する業務では効果が明確で、仕訳データの精度が高まり、後工程での修正や確認の手間も減ります。
リアルタイム経営管理
AIを活用して仕訳処理を自動化すると、取引データがシステムに読み込まれた時点で会計情報へ反映されるようになります。従来は月末や決算期にまとめて財務状況を把握するケースが一般的でした。
AI仕訳を導入することで、日々の数値をより早く反映できるようになり、経営判断の精度向上に役立ちます。
その結果、経営層は「今、会社がどのような状態にあるか」を把握しやすくなり、売上の変動やコストの増減に合わせて迅速な方針転換を行うことが可能です。スピード感のある意思決定は、競争環境が激しい市場において特に大きな価値を持つといえるでしょう。
リソースの有効活用
AIによる仕訳が定型的な作業を肩代わりしてくれるようになると、経理担当者はこれまで膨大な時間を費やしていた入力作業から解放されます。
その分、分析や予測、経営戦略の検討といった、企業にとってより重要な役割に時間を充てることができるようになります。
こうした人材の使い方の変化は、単なる効率化の範囲を超えて、経理部門全体の価値を高めるきっかけとなります。企業の数字を処理する部署から、経営判断を支える存在へと役割が広がっていくケースも少なくありません。
AIで仕訳をするデメリット

AIでの仕訳には多くのメリットがある一方、デメリットとなる点もあります。ここでは、次の4つのデメリットを解説します。
- 誤判定のリスクがある
- 初期導入コスト・運用コストがかかる
- 法制度対応の不安がある
- セキュリティーとデータ管理のリスクがある
誤判定のリスクがある
AIを使った仕訳は多くの場面で役立ちますが、あらゆる状況に完全対応できるわけではありません。過去のパターンにない特殊な取引や複数の要素が絡む処理では、意図しない勘定科目が選ばれるケースもあります。
そのため、最終確認は担当者が行う体制を維持し、AIは補助ツールとして活用します。
初期導入コスト・運用コストがかかる
AIによる仕訳の導入には、単なるソフトの利用料だけでなく、初期設定やマニュアル整備、社員研修といった準備にも費用が発生します。既存システムと連携する場合は、追加開発費が必要な場合があります。
運用後もアップデート対応やサポート契約といったランニングコストが発生するため、投資回収期間を試算し、自社に合った導入計画を策定します。
法制度対応の不安がある
AI仕訳を導入したからといって、法制度の変更に自動で追随できるとは限りません。会計や税務のルールは数年単位で細かく変わることが多く、更新を怠ると、古い基準のまま仕訳が進んでしまう可能性もあります。
特にインボイス制度や電子帳簿保存法のように実務への影響が大きい改正では、対応の遅れがミスや業務停滞につながることもあります。最新の法改正を継続的に把握し、AIの設定・ルールを定期的に見直す体制が必要です。
セキュリティーとデータ管理のリスクがある
AIを利用した仕訳では、会計データや取引記録がクラウド上に保管されるケースがほとんどです。利便性は高い一方で、情報漏えいや不正アクセスといったリスクが発生する可能性もあります。
アクセス権限の管理、通信の暗号化などの基本対策に加え、内部不正への監視体制を整えることも重要です。さらに、万が一のインシデントに備えて復旧手順を事前に策定しておけば、被害を最小限に抑えることができます。
AIを用いた仕訳の導入ステップ

AIを使った仕訳は、単に新しいシステムを入れれば終わりという話ではありません。実際には、どの業務を任せるのか、どの部分を人の判断に残すのかといった検討が欠かせず、準備が不十分だと想定していた成果が得られないこともあります。ここでは、その進め方を具体的なステップごとに見ていきます。
1. 自社の業務フローの分析
最初に行うべきことは、自社の経理業務がどのような流れで動いているのかをしっかりと把握することです。月ごとの仕訳件数や担当者の作業量を調べるだけでなく、手間がかかっている工程やミスが起こりやすい部分も洗い出します。
こうした整理を行うと、AIに任せると効果が高い箇所と、引き続き人が判断すべき箇所が明確になります。最初の見直しが不十分だと、その後の工程すべてに影響するため、この段階で丁寧な準備をしておくことが重要です。
2. AI仕訳に対応するシステムやサービスの比較検討
現状の整理が終わったら、次は導入するシステムを選ぶ段階です。自社の規模や取引件数、既存の会計ソフトとの連携状況などを踏まえた上で、複数のサービスを比較します。単純なコストや機能の多さだけではなく、使いやすさや運用後のサポート体制、アップデート対応の有無なども確認しておくと安心です。
導入後に想定と異なる事態を避けるためにも、選定段階では現場の意見を踏まえながら、丁寧に検討を進めましょう。
3. 試験導入
最初から全社的に運用を開始するのではなく、まずは一部の部門や限られた範囲でAI仕訳を動かしてみる段階を設けると安全です。実際の伝票データや日常的な処理を使って、精度・処理速度・運用コストが想定内かを検証します。
この段階で出てきた課題や気づきは、後に大きなトラブルを防ぐ貴重な材料になります。試験運用を軽視せず、現場の意見を丁寧に拾い上げておくことが、スムーズな本格導入への近道です。
4. 社内ルール・体制整備
システムの性能だけに頼るのではなく、社内側の準備も不可欠です。具体的には、どのタイミングで誰が確認するのか、誤判定があったときにどう修正し、どこへ報告するのかといった手順をあらかじめ定めておくことが大切です。
また、運用マニュアルを作成しておくと、新任担当者でも迷わず対応でき、属人的な運用になりにくくなります。AIの精度を高く保つためにも、ルールと教育体制は早い段階で整えておくとよいでしょう。
5. 全社展開・本格導入
試験段階での知見を踏まえ、問題点を解消した上で全社的な運用へと移行します。部門ごとの進め方を整理し、周知や研修の計画も含めて丁寧に準備することがポイントです。
導入後は、一度設定して終わりではなく、運用状況に応じてルールや設定を定期的に見直すことが大切です。運用状況を振り返り、改善を重ねることで、AI仕訳が本来持つ効果を最大限に発揮できるようになります。
まとめ
AIによる仕訳の自動化は、一部の先進企業だけの取り組みではありません。膨大な取引データを自動で読み取り、勘定科目を推定・登録する仕組みは、人為的ミスの削減や業務スピードの向上といった従来の課題を解消し、経理部門の役割を拡張しつつあります。
手作業に費やしていた時間を分析や戦略立案といった付加価値の高い業務へ振り向けられる点も大きな魅力です。
ただし、AIはあらゆるケースを完全に判断できるわけではありません。例外的な取引や判断を伴う処理については人の確認が不可欠です。AIの特性を理解し、業務内容に応じて適切に使い分けることが重要です。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部





