- 生産性向上
経理業務フローとは?基本的な流れや効率化のポイントをわかりやすく解説
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経理業務フローの効率化は、会社全体の効率化や生産性向上に直結します。煩雑な経理業務を見直し、効率を上げるためには、何が必要か?本記事では、経理担当者が知っておくべき基本的なポイントと、具体的な改善策について解説します。
経理の業務フローとは?

まずは、経理業務フローとは何かの定義を解説し、日次・月次・年次の業務フローを詳しく紹介します。
経理業務フローの定義
経理の業務フローとは、経理部門における一連の業務手順やプロセスを体系的に整理し、業務を効率的に進めるための流れを指します。
日々の現金出納や伝票処理、月末の売掛金や買掛金の管理、年次決算や税務申告など、経理業務全体がどのように進められているかを明確にします。
フローを整理することで、無駄な作業や重複を防ぎ、業務の標準化・効率化が可能です。また、業務の属人化を防ぎ、担当者が変わってもスムーズに業務を行えるようになります。
日次・月次・年次別の経理業務フロー
経理で取り扱う業務は、日・月・年の単位でそれぞれ流れがあります。ここでは、日次・月次・年次それぞれの経理業務フローを解説します。
日次の経理業務
日次の経理業務には、現金出納、伝票処理、仕訳入力、経費の記録、入出金管理などが含まれます。経費の記録や入出金の管理が中心です。企業における資金の動きを日々チェックし、正確な記録を行うことが求められます。
日次業務 |
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月次の経理業務
月次の経理業務では、売掛金や買掛金の確認、給与計算、銀行口座の残高調整など、データの集計と確認業務が行われます。月ごとの収支状況を正確に把握し、経営判断に必要な財務データを提供する重要なプロセスです。
月次業務 |
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年次の経理業務
年次の経理業務は、年度末に行われる決算業務が中心です。財務諸表の作成、税務申告、決算報告などが含まれ、会社の財政状況を明確に示します。また、外部監査や株主総会における報告資料の基礎となるため、正確さが求められます。
年次業務 |
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経理業務フローが最適化されていない場合に発生しやすい課題

経理業務フローが整備されていない場合には、下記のような課題が発生しやすくなります。
- 業務が属人化する
- 無駄な作業や二重処理が発生する
- 承認プロセスが複雑で時間がかかる
- ミスが多発し、業務の信頼性が低下する
それぞれについて解説します。
1.業務が属人化する
業務フローが標準化されていないと、業務の進め方や知識が担当者個人の経験や判断に依存することが増え、属人化が発生しやすくなります。特定の担当者にしかわからない作業が増え、その担当者が不在になると業務が停滞してしまうリスクが高まります。
また、担当者が異動や退職すると業務の継続性が損なわれ、引き継ぎに多くの時間や労力をかける必要が出てきます。
こうした状況では、会社全体の業務の安定性や柔軟性が低下し、業務の遅れやミスの発生が増える可能性が高いです。
2.無駄な作業や二重処理が発生する
経理業務の標準的なフローが確立されていない場合、作業手順やルールが不明確になります。このため、同じ内容の作業を複数回行ったり、別々の担当者が同じ情報をチェックするなど、無駄な作業が発生することが多いです。
同じデータを複数回入力したり、異なるシステム間で手動でデータを転記する必要があったりすると、それだけミスが発生する確率が高くなります。
こうした重複処理は、業務の効率を大幅に下げるだけでなく、作業時間が長引く要因です。
また、二重入力による矛盾が発生するとその修正にも余分な時間がかかるため、全体の業務フローに遅れが生じることがあります。
3.承認プロセスが複雑で時間がかかる
業務フローに問題がある企業では、承認プロセスが複雑になっているケースがよく見られます。
承認段階が複数あると、上司や管理者の対応待ちで業務が停滞することがしばしば発生します。承認プロセスの複雑さは、特に繁忙期には経理処理の遅れを引き起こし、全体の業務の流れを阻害する大きな要因です。
また、経理業務の進行が遅くなるだけでなく、支払いや取引に影響が出るリスクも高まります。
経理業務の効率化を進めるには、承認プロセスの見直しを行い、迅速な処理ができる体制を整える必要があります。
4.ミスが多発し、業務の信頼性が低下する
業務の流れが系統立っておらず、手作業が中心の経理業務の場合、人為的なミスが発生しやすくなり、後の工程にも悪い影響を及ぼします。
例えば、仕訳やデータ入力での単純な誤りは、後の大きな問題に発展するリスクです。
こうしたミスが頻発すると、財務データの信憑性が低下し、経営判断の誤りにつながる可能性が高まります。
さらに、取引先や顧客からの信頼も失いかねず、企業全体の評判を損なうかもしれません。
経理業務は企業の信頼を支える基盤であるため、ミスを未然に防ぐ体制を整えることが不可欠です。
経理業務フローを効率化する流れ

経理業務を確実に効率化するためには、段階を踏んで進めていく必要があります。その際には、下記のような流れで進めていくのがおすすめです。
- 業務フローの現状分析
- 作業工程ごとのタスクを確認する
- 問題点の洗い出しとボトルネックの特定
- 改善案の提案・実施
- 業務の標準化の推進
ここでは、それぞれの手順について解説します。
手順1.業務フローの現状分析
業務フローを効率化する第一歩は、現状を把握することです。部署内にどのような業務があり、誰が担当してどれだけの時間がかかっているのか、各手順の流れを丁寧にチェックします。
現状分析は、経理業務のボトルネックや非効率な部分を明確にするための重要な作業です。
この段階で得られる情報が、その後の効率化施策の成否を左右することになるため、現状分析は徹底的に行う必要があります。
手順2.作業工程ごとのタスクを確認する
現状分析の結果を基に、各作業工程で発生している具体的なタスクを整理します。このプロセスを踏むことで、どの工程に無駄があるのか、どの作業が重複しているのかを確認できます。実際に行っているタスクを明確にするので、効率化のポイントを見つけ出すことが可能です。
また、工程ごとにどの作業が他の作業と連携しているかを把握することで、フロー全体の最適化を進める助けになります。
手順3.問題点の洗い出しとボトルネックの特定
タスクの整理が完了したら、現状の業務フローで問題となっているボトルネックを特定します。
時間がかかっている工程やミスが発生しやすい箇所を重点的に分析し、効率化の妨げとなっている原因を洗い出します。
手作業が多いプロセスや、承認待ちの時間が長い部分などがよくあるケースです。
これらの問題点を明確にすることで、具体的な改善策を講じる基礎が整います。
手順4.改善案の提案・実施
洗い出した問題点に対して具体的な改善案を提案し、段階的に導入していきます。
例えば、手作業が多い工程には自動化ツールの導入を検討し、承認プロセスが複雑な場合には、承認フローの見直しをします。
こうした施策を段階的に進めていくことで、現場の負担を最小限に抑えながら効果的に改善できるでしょう。
手順5.業務の標準化の推進
改善された業務フローを標準化し、全従業員が同じ手順で業務を進められるようにするのが最終段階です。
標準化には、業務マニュアルの作成、チェックリストの導入、ツールやシステムの統一が含まれます。標準化することで業務のばらつきを減らし、誰が担当しても同じ品質で作業を行える環境が整います。
また、業務の引き継ぎがスムーズに行えるようになり、属人化リスクの軽減が可能です。標準化されたフローを活用することで、業務の効率が最大化し、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
経理業務フローを改善する具体的な方法

経理業務フローを改善する際には、下記の4つの方法を念頭に置いて進めていくと良いでしょう。
- ペーパーレス化の促進
- キャッシュレス化の促進
- ツールの導入
- 経理アウトソーシングの活用
1.ペーパーレス化の促進
近年の経理業務フローの改善において、ペーパーレス化は欠かすことができない要素です。これによって経理業務全体の効率化が図られ、作業スピードも向上します。
また、電子化されたデータは検索が容易で、必要な情報に瞬時にアクセスできるため業務の透明性が増し、情報共有もスムーズに行うことが可能です。
さらに、保管スペースの削減にもつながり、オフィス環境を改善する効果も期待できます。
2.キャッシュレス化の促進
キャッシュレス化を促進することで、立替経費や現金の管理にかかる手間が大幅に削減されます。
取引の記録が自動でシステムに登録されるため、手入力によるミスが減り、経理業務がスムーズになります。
特に、法人用クレジットカードの導入は、支払い履歴がデジタルで記録されるため、経費の集計や精算作業が簡略化されて効果的です。現金を扱う必要が減り、管理の負担が軽減されて経理担当者は他の重要な業務に集中できるようになります。
キャッシュレス化は、業務の効率化とともに不正や紛失のリスクも減らし、企業の全体的な経営管理にも貢献する効果的な方法です。
3.ツールの導入
経理業務の効率化を図るためには、業務を支援するツールの導入が効果的です。
手作業が多い経理業務はミスが発生しやすいため、会計ソフトや経費精算ツール、給与計算ソフトなどを導入することでこれらのリスクを減らし、業務全体をスムーズに進めることができます。
データの一元管理が可能になると複数のシステムに手入力する手間が減り、情報の正確性も向上します。
ツールを活用して自動処理が促進されると確認作業などの負担も軽減され、より重要な業務に時間を割けるようになるでしょう。
4.経理アウトソーシングの活用
経理業務の一部をアウトソーシングすることは、経理担当者の負担を軽減し業務を効率化する手段の一つです。
例えば、記帳や給与計算、税務申告といった定型的な業務を専門の業者に委託することで、日常の作業量を減らし経理部門がより重要な業務に集中できる環境が構築できます。
経理業務フローの効率化で得られる7つのメリット

経理の業務フローが効率化されると、以下のようなメリットがあります。
- 業務時間の短縮
- ミスの削減
- リアルタイムでの情報把握
- コスト削減
- 承認スピードの向上
- 従業員満足度の向上
- 業務の透明性の向上
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.業務時間の短縮
経理業務の効率化によって得られる大きなメリットが業務時間の短縮です。
手作業が減り、自動化やデジタル化が進むことで、これまで時間がかかっていた処理がスムーズに進むようになります。その結果、経理担当者は煩雑な作業から解放され、もっと重要な業務や戦略的なタスクに時間を使えるようになるのです。
こうした効率化は、担当者一人ひとりの負担を軽減し、チーム全体のパフォーマンス向上にもつながります。
2.ミスの削減
手作業でのデータ入力や計算では、数字の打ち間違いや項目の選択ミスなど、人為的なミスが避けられません。しかし、自動化されたシステムでは、こうしたミスが大幅に減少します。システムがあらかじめ定められたルールに基づいて処理を行うため、データの一貫性が保たれ、二重処理や記録漏れといったエラーも防止されます。
3.リアルタイムでの情報把握
システムを導入した場合、業務フローが改善されるだけでなく、経営陣も常に最新の財務状況が確認できるようになります。
月末や四半期ごとにレポートを待つ必要がなく、必要な時にすぐに正確なデータを参照できるため、経営戦略を即座に見直したり、適切なタイミングで対策を講じることが可能です。
また、データの見える化によって、現状の問題点や改善点をいち早く発見することができ、効率的な対応が取れるようになります。
4.コスト削減
無駄な作業が減り、不要な手間が省かれることで、業務全体の運用コストが削減されます。特に、自動化された処理により、手作業による確認や修正の時間が減ることで、作業にかかる人件費の抑制が可能です。
これに加えてペーパーレス化が進むことで、印刷費や書類の保管にかかるコストも大幅に削減されます。
5.承認スピードの向上
従来の紙ベースでの承認プロセスでは、書類の確認に時間がかかり、上司が不在の場合にはさらなる遅延が発生することもありました。しかし、デジタル化されたシステムでは、承認がオンライン上で簡単に行えるため、場所や時間に縛られることなく迅速な対応が可能です。
6.従業員満足度の向上
経理業務の効率化は、従業員の満足度の向上にもつながります。例えば、経費精算や給与の支払いがスムーズに行われることで、従業員のストレスが大幅に軽減されます。また、複雑な手続きや煩雑な書類作業から解放されるシステムが整備されれば、さらに満足度が高まるでしょう。
ストレスの軽減だけでなく、業務がスムーズに進むことで、従業員は本来の業務に集中でき、効率的な働き方が実現します。
7.業務の透明性の向上
システムの導入をすると業務プロセスが整備されるだけでなく業務の透明性が向上し、経費や支出の状況が一目で把握できるようになります。経営層や監査担当者にも重要な情報をすぐに提供することが可能です。
さらに、経費の流れや支出の状況が明確になることで、経理の各処理に不正が紛れ込む余地が少なくなり、不正防止に大きく貢献します。
まとめ
本記事では経理業務フローの効率化について解説しました。業務フローが適切でない職場では、業務の属人化や承認プロセスの複雑さなどの課題が発生します。
業務フローの効率化を進める手段としては、ペーパーレス化やツールの導入、業務の自動化などが効果的です。効率化することで、業務時間の短縮やミスの削減、コスト削減など、さまざまなメリットがあります。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部