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未収金の回収方法|発生時の対処法から予防策、法的措置までを解説
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未収金の回収は、資金繰りの悪化を防ぐうえで重要です。取引関係を考慮すると強く催促しづらい一方、長期放置は貸倒リスクを高めます。
本記事では、回収手順・時効や相殺の注意点・督促状や法的措置までを整理し、あわせて有効な予防策を解説します。
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未収金の回収方法

未収金が発生したら、状況を把握し段階的に対応します。
- 自社の不備ではないかを確認する
- 取引先に確認を依頼する
- 支払い予定日を確認する
- 入金を確認する
1. 自社の不備ではないかを確認する
未収金が発生した際、最初に確認すべきことは、自社が原因ではないかです。請求書の送付漏れや記載ミスがないか、契約書やメールの履歴を細かく確認します。
例えば請求書に記載の単価や支払い期限、振込先口座などの情報に誤りがあると、先方が支払い手続きに時間がかかっていたり、支払いを後回しにしていたりする可能性があります。
また担当者の異動などで、請求書がきちんと届いていないケースも考えられます。自社の不備が原因であれば、速やかに正しい請求書を再送するなどの対応が必要です。
2. 取引先に確認を依頼する
自社に不備がないことが確認できたら、取引先に連絡して状況を確認します。
連絡方法は電話やメールが一般的です。まずは「〇月〇日にお送りした〇〇のご請求について、お支払いの確認ができておりません。お手続きの状況はいかがでしょうか」といった形で、事実を淡々と伝えます。今後の取引を考慮し、連絡する際はあくまで丁寧な言葉遣いを心がけてください。
3. 支払い予定日を確認する
取引先に連絡して未払いを確認できたら、支払い予定日を確認します。たとえ先方が支払い手続きを忘れていた場合も、丁寧な対応をすることで今後の関係性を維持できます。
場合によっては、請求書を紛失している可能性もあるため、必要に応じて請求書を再送します。送付履歴を残すため、原則としてメールで請求書を再送します。
4. 入金を確認する
取引先から新しい支払い予定日を教えてもらったら、必ずその期日に入金がされているかを確認します。
もし期日を過ぎても入金がない場合は、再度取引先に連絡を取り、状況を確認しましょう。入金確認を徹底することで、未収金回収の長期化を防ぐことができます。
未収金回収における注意点

未収金の回収を進める上で、知っておくべき注意点があります。事前に注意点を理解しておけば、よりスムーズに、かつトラブルを避けて対応を進められます。
債権には5年の時効がある
未収金のような債権には、時効があります。民法改正により、2020年4月1日以降に発生した債権の時効は原則として一律5年となりました。
時効を迎えると、債権を回収する権利を失うため注意が必要です。請求書の再発行だけでは時効は更新されません。時効が迫る場合は、法的措置など適切な更新手続きを検討します。時効が迫っている場合は、訴訟などの更新手続きを検討することになります。
未収金は買掛金と相殺できる
取引先に対する未収金(自社の債権)がある場合でも、同じ取引先に対して自社が買掛金(債務)を抱えていれば、相殺できるケースがあります。
相殺とは、お互いが債権と債務を持っている場合に、互いの債権を消滅させる手続きのことです。金銭の受け渡しがなくなるため、手数料や振込手続きの手間を省けるメリットがあります。
取引先に対する未収金がある場合、法的に定められた条件を満たせば、買掛金と相殺することが可能です。契約で相殺を禁止していない限り、双方の合意がなくても一定の範囲で相殺できます。実務上は、金額や対象を確認し、合意内容は書面に記録しておくことが望ましいです。
取引先に連絡する際は丁重に行う
未収金の連絡は、取引先との関係を損なわないよう、終始丁重に行うことが重要です。
経理担当者からすると「なぜ支払ってくれないのか」と怒りを感じるかもしれませんが、それを態度に出すべきではありません。多くの場合、取引先の手違いによる支払い漏れであり、意図的に支払いを拒否しているケースが非常に少ないからです。
連絡時は「入金が確認できていないため、状況をご教示ください」といった事実ベースの表現を用います。丁寧な対応は、今後の良好な取引関係を維持する上で不可欠です。
未収金を確実に回収するためのポイント

未収金の回収は、発生してからの対応も重要ですが、発生しないようにするための対策を講じることも同じように大切です。ここでは、未収金を確実に回収するために、取引の各段階でできるポイントを紹介します。
【取引前】信用調査を十分に行う
未収金リスクを減らすためには、取引を始める前の信用調査が重要です。取引先の経営状態や支払い能力を事前に確認することで、将来の未収金トラブルを未然に防げます。信用調査は、企業の登記簿や決算公告を参照するだけでなく、民間企業の信用調査サービスを利用するとより詳しく調べられます。
例えば、帝国データバンクや東京商工リサーチ等のレポートを活用し、財務・役員・取引履歴などを客観的に確認します。
また、必要に応じて、インターネットでの企業の評判やニュースを調べることも有効です。企業の経営者に関する情報や、過去の訴訟歴なども確認しておくことをおすすめします。
【契約段階】支払い条件を明確に取り決める
契約書を作成するときは、支払い条件を細かく決めます。締め日や支払い日、振込先口座などを明記し、双方が合意した上で契約を締結しましょう。特に、契約書に支払い期日を明確に記載することは、法的措置をとる際にも重要な証拠となります。
また、万が一返品や中途解約が発生した場合の手続きや、精算方法についても具体的に定めておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます。
例えば「納品物の〇%に不備があった場合は、代金を〇%減額する」といった具体的な取り決めをしておくことで、後々の交渉がスムーズになります。支払い条件について書面で確認し、お互いの認識を合わせることが大切です。
【請求段階】請求書は正確・迅速に発行する
請求書に記載ミスや遅れがあると、未収金が発生する原因となります。請求書の発行は、正確かつ迅速に行うようにしましょう。
請求書を迅速に発行することは、取引先の支払い手続きを早めることにつながります。締め日を過ぎたら、早急に請求書を作成・送付する体制を整えましょう。
また請求書の記載ミスは、未払いの正当な理由を与えてしまうため、請求金額やその内訳、支払い期日などを複数人で確認することが大切です。
取引先や案件数が増えると、請求業務の管理が煩雑になり、人為的なミスも増加します。その場合は、請求書発行システムや代行業者などを利用すると、業務の正確性を高められます。とくにシステムの導入は、請求書の自動作成や送付、入金管理まで一元的に行えるため、業務効率の改善にもつながります。
【支払い期日前後】フォローとリマインドを徹底する
支払い期日前のフォローや、期日を過ぎた際のリマインドを徹底することも、未回収リスクを減らす上で効果的です。
支払い期日の1〜2日前に「〇〇の件、明日がお支払い期日となっております。ご確認のほどよろしくお願いいたします」といった連絡を入れることで、取引先が支払い手続きを忘れるのを防ぐことができます。これは、取引先が多忙で請求書を見落としていた場合に有効です。
支払い期日を過ぎてしまった場合は、放置せずすぐに電話やメールで連絡を取り、督促を行いましょう。この際も、あくまで入金状況の確認を目的とした丁寧な連絡を心がけます。
未収金リスクが高い取引先の見分け方

取引先の中には、未収金を期日通りに回収できないリスクが高い企業もあります。以下のような兆候が見られる場合は、注意して取引を進めるようにしましょう。
支払いが遅れることが多い
過去に何度も支払いが遅れたことがある取引先は、今後も同様の事態が起こる可能性があります。過去の支払い履歴を記録しておき、遅延の回数や傾向を把握しておきます。
とくに毎回のように支払い期日を数日過ぎて入金がある、または「担当者不在」「経理のミス」といった理由で遅延が繰り返される場合は要注意です。
これは単なる人為的ミスではなく、資金繰りが苦しい状況の表れである可能性があります。定期的に支払い履歴を確認し、支払い遅延が常態化している場合は、取引額を制限したり、代金前払いに切り替えたりするなど、対策を検討する必要があります。
連絡対応に不自然な変化がある
これまでスムーズに連絡が取れていたにもかかわらず、急に電話がつながらなくなったり、メールの返信が大幅に遅れたりする場合、取引先の財務状況に問題を抱えているかもしれません。
取引先の担当者が頻繁に変わる、言い訳が増える、あるいは連絡先が急に変わるなどの不自然な変化も、経営状況が不安定になっている兆候です。
特にこれまですぐに返信があった担当者から連絡が途絶えるようになった場合は、倒産や事業閉鎖の可能性も視野に入れて、今後の取引を検討する必要があります。
条件変更や支払い猶予の申し出が増える
支払い期日の延長や、分割払いへの変更を頻繁に依頼される場合は注意が必要です。これは、取引先の資金繰りが苦しい状況に陥っている可能性も考えられます。
安易に条件変更に応じるのではなく、なぜ変更が必要なのか、具体的な理由を確認した上で、慎重に判断する必要があります。
例えば「今月は大きな出費があったため」「売上が予想より少なかった」といった漠然とした理由を述べられた場合、その裏には単発的な問題ではなく、継続的な資金繰りの悪化が隠れている可能性があります。
こうした申し出が短期間に増えている場合は、取引先の経営状態がかなり厳しいと推測できます。
信用調査で財務状況に不安がある
先述した信用調査機関のレポートで、財務状況に不安な点が見つかる場合も、リスクが高いと判断できます。
信用調査レポートでは、企業の財務諸表や銀行取引状況、過去の倒産歴なども確認できます。
特に直近の業績が急激に悪化していたり、資本金の変動や借金の増加、経営者の頻繁な変更があったりする場合は、回収が滞る可能性があるため、契約内容を慎重に検討します。定期的にチェックすることで企業の潜在的なリスクを早めに把握し、取引量を調整したり、より厳しい支払い条件を提示したりするなどの対策が取れます。
未収金が回収できない場合の対処法

未収金が発生し、通常の連絡で回収が難しい場合は、次の法的手続きを検討します。
- 督促状を送る
- 支払督促や訴訟を実施する
- 強制執行を実施する
1. 督促状を送る
まずは内容証明郵便を用いて、督促状を送ります。督促状とは、支払いを促すための書類で、支払い期日や未収金の詳細を明記し、支払いを要求します。督促状自体に強制力はありません。
内容証明郵便は、差出人・宛先・差出日・内容を日本郵便が証明する制度で、後日の「受領していない」といった主張を防止できます。
2. 支払督促や訴訟を実施する
督促状を送っても取引先が支払いに応じない場合は、支払督促や訴訟といった法的措置を検討します。法的措置は、弁護士に相談した上で実施します。
支払督促
支払督促とは、債権者の申し立てに基づき、簡易裁判所が相手方に支払いを命じる手続きです。書類審査のみで手続きが進むため、比較的費用や時間を抑えられます。
訴訟
取引先が支払督促に応じない場合や、争点が多い場合には、訴訟を起こすことになります。未収金の額が60万円以下であれば、原則として1回の審理で判決が出る「少額訴訟」を利用できます。
訴訟は費用や時間の負担がある一方、法的拘束力のある判決を得られるため、最終的な回収手段として有効です。
3. 強制執行を実施する
裁判所による判決や支払督促が確定したにもかかわらず、相手方が支払いに応じない場合は、強制執行の手続きをとります。
強制執行は、判決・支払督促の仮執行宣言などの債務名義が前提です。これに基づき、預金・不動産・給与債権などを差し押さえ、回収します。
まとめ
未収金の回収は、企業経営に直結するため、経理担当者にとって重要な業務です。未収金の回収が遅れている場合はまず自社のミスではないかを確認した上で、丁寧な姿勢で取引先に連絡を取り、早期の回収を目指します。
債権には5年の時効があり、買掛金との相殺処理も可能ですが、最も重要なのは、未収金が発生しないような管理体制を整えることです。取引前の与信管理、請求書の正確な発行、期日前後のフォローを徹底することが、貸倒リスクを減らす第一歩です。
万が一、通常の対応で未収金が回収できない場合は、弁護士に相談し、法的措置を検討しましょう。適切な対応を取ることで、未収金による自社の損失を最小限に抑えることができます。
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記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、グローバル事業の支援を得意とし、「国際ビジネス法務サービス」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部





