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中小企業の経理担当必見!領収書の保管方法とは?電子化のメリット・デメリット、関係法令についても解説

中小企業の経理担当必見!領収書の保管方法とは?電子化のメリット・デメリット、関係法令についても解説

日々の業務に追われる中小企業の経理担当にとって、領収書の整理・保管は後回しになりがちな業務のひとつです。

しかし適切な保管方法を理解していないと、業務の効率を悪化させるだけでなく、思わぬリスクを抱える可能性があります。

本記事では、領収書保管の重要性から具体的な方法、電子化のメリットについてわかりやすく解説していきます。この記事を参考に、適切な領収書管理を実践することで、業務効率化とリスク回避の両立を目指しましょう。

領収書を放置するリスクとは

領収書は、会社の経費を証明する重要な書類です。しかし、その重要性を理解しないまま放置していると、さまざまなリスクに直面する可能性があります。ここでは主なリスクを紹介します。

  1. 紛失
  2. 保管スペースの圧迫

1.紛失

「あの領収書、どこにいったかな…?」そのような経験をしたことはないでしょうか?

領収書をきちんと整理・保管していないと、必要な時に限って見つからない、という事態に陥りやすくなります。税務調査の際に領収書を提出できなければ、経費として認められず、追徴課税が発生する可能性もあります。

領収書の紛失は、金銭的な損失に直結するだけでなく、取引先からの信用を失うリスクもはらんでいます。取引先から確認を依頼された際に紛失して提示できないとなると、取引先に不信感を与えかねません。

また、紛失した領収書に記載されていた個人情報や取引情報が悪用されるリスクも考えられます。

領収書の紛失は、金銭面・信用面・情報セキュリティー面で、企業に大きな損害をもたらす可能性があるので、きちんと保管しておきましょう。

2.保管スペースの圧迫

領収書は、法人の場合、原則として法律で7年間の保管が義務付けられています。そのため、紙の領収書を保管し続けると、その量は膨大になり、オフィススペースを圧迫します。

とくに中小企業では、オフィススペースが限られている場合が多く、領収書の保管場所の確保は悩みの種です。

  • 「オフィスのキャビネットがいっぱいになってきた…」
  • 「領収書を保管するために、新たに倉庫を借りる余裕はない…」

このような悩みを抱えている企業も多くあります。

領収書は、適切に保管しなければ、税務調査などで経費が認められず、追徴課税を受けるリスクもあります。とはいえ、貴重なオフィススペースを領収書の保管に充てるのは非効率的です。

限られたスペースを有効活用するためにも、電子保存など、領収書の保管方法を見直す必要があるといえるでしょう。

電子帳簿保存法とは?知っておくべきポイント

領収書を電子保存する上で、電子帳簿保存法を理解しておく必要があります。

近年、ペーパーレス化の流れが加速し、領収書も電子データで保存する企業が増えています。それに伴い、電子データの改ざんや紛失を防ぎ、税務上の証拠書類として有効性を保つためのルールとして制定されたのが、電子帳簿保存法です。

対象となる企業

電子帳簿保存法の対象となるのは、電子取引を行うすべての法人と個人事業主です。取引の規模や従業員数などは関係ありません。

ここでいう「電子取引」とは、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書、請求書などの書類を、メールやインターネットを介してやりとりすることです。

こうした形態の取引を一切行っていない(すべて紙媒体でやりとりをしている)法人・個人事業主は、電子帳簿保存法の対象になりません。

対象となる書類

電子帳簿保存法の対象となる書類は、大きく分けて国税関係帳簿、国税関係書類、電子取引の3種類です。

  1. 国税関係帳簿
  2. 国税関係書類
  3. 電子取引

1.国税関係帳簿

文字通り「帳簿」と呼ばれる書類が対象です。具体的には、仕訳帳や総勘定元帳など、企業の会計処理を記録するための帳簿が該当します。

これらの帳簿は企業の経営状況を把握し、税金を計算するための基礎資料となるため、正確かつ詳細な記録が求められます。

2.国税関係書類

国税関係書類は、帳簿以外の取引に関する書類が対象です。具体的には、領収書や請求書、契約書、注文書など、取引の証拠となる書類が該当します。

これらの書類は、取引内容や金額を証明するための重要な資料であり、税務調査などで提出を求められることもあります。

3.電子取引

こちらは、電子メールやオンラインシステムなどを通じて行われる電子取引で授受した書類が対象です。具体的には、電子請求書や電子契約書、電子領収書などが該当します。

電子データで保存する際の要件

電子帳簿保存法では、電子データを保存する際に満たすべき要件として「真実性の確保」と「可視性の確保」が定められています。

真実性の確保

これは、電子データが改ざんされていないことを証明するための要件です。具体的には、以下のような方法があります。

  • タイムスタンプの付与
    電子データがいつ作成されたかを証明するタイムスタンプを付与することで、データの真正性を担保します。
  • 訂正削除履歴の保存
    データの訂正や削除を行った場合、その履歴を残すことで、改ざんを防止します。

可視性の確保

これは、電子データをすぐに閲覧できる状態にしておくための要件です。具体的には、以下のような方法があります。

  • 電子計算機等の備え付け
    パソコンやプログラム、ディスプレイ、プリンタ、操作マニュアル等を整然と備え付けることで、保存したデータをいつでも速やかに見られるようにします。
  • システム関係書類の備え付け
    システム概要書やシステム基本設計書などを備え付けることで、電子データの保存方法やシステムの構成などがわかるようにします。
  • 検索機能
    取引年月日、取引金額、取引先で検索できる機能を備えておきます。

法令を遵守するためには、これら2つの要件を満たしておく必要があります。

領収書の保管方法ごとに見るメリット・デメリット

領収書の保管方法は、大きく以下の3つに分けられます。それぞれのメリット・デメリットを把握し、自社に最適な方法を選びましょう。

  1. 紙での保管
  2. 電子データで保管
  3. 領収書管理サービスの活用

1.紙での保管

紙での保管は、従来より行われている方法です。特別な設備投資が不要で、慣れ親しんだ方法である点がメリットといえるでしょう。

しかし、紙での保管には紛失や破損のリスクが伴います。法人の場合、原則として領収書は7年間の保管が義務付けられているため、保管スペースも問題になります。領収書が増えるたびに、収納スペースを増やすわけにもいきません。

また、必要な領収書を探す手間がかかり、業務効率が低下する可能性もあります。紙媒体は共有しにくいため、複数人で確認する必要がある場合に非効率です。

紙での保管を選ぶ際は、ファイル管理を採用し、保管場所を工夫する、定期的に整理整頓を行うなどの対策が必要です。領収書を月別や取引先別に分類し、ファイルに整理することで、必要な領収書をすぐに見つけられるように工夫しましょう。

また、電子化と併用し、重要な領収書のみを紙で保管し、それ以外は電子化することで、紛失や破損のリスクを軽減できます。

2.電子データで保管

電子データでの保管は、紙媒体の保管と比較して、検索性や保存性の向上、保管スペースの削減、災害時のリスク軽減など、多くのメリットがあります。

キーワード検索や日付・金額での絞り込みなど、さまざまな検索方法で必要な領収書をすぐに見つけられるため、業務効率が大幅に向上します。

また電子データは場所を取らないため、保管スペースの削減にもつながります。

さらに、万が一の災害時にもデータが消失するリスクを軽減できます。バックアップを適切に取っておけば、復旧も可能です。

一方で、電子データの作成にはスキャナーなどの初期費用がかかることや、電子帳簿保存法への対応が必要になるといったデメリットもあります。

自社で電子化する場合、スキャナー選びや電子帳簿保存法対応のソフトの活用、セキュリティー対策などをしっかりと行う必要があります。

電子化の手間を省きたい場合は、領収書管理サービスの利用もおすすめです。

3.領収書管理サービスの活用

領収書管理サービスは、領収書の電子化や保管をアウトソーシングできるサービスです。

専門業者による保管であるため、セキュリティー対策も万全で、自社で保管スペースを確保する必要もありません

領収書管理サービスの導入により、電子帳簿保存法への対応やセキュリティー対策といった手間やコストを削減できるだけでなく、原本の郵送やデータ入力の代行など、サービスによっては経理業務を大幅に効率化できるものもあります。

一方で、費用がかかることや、書類のやり取りが発生するといったデメリットもあります。

領収書管理サービスを選ぶ際は、サービス内容、セキュリティー対策、費用などを比較検討し、自社に合ったサービスを選ぶことが重要です。

自社で電子化する場合と比較して、どれほど手間やコストを削減できるのか、セキュリティー面は十分かなどを確認しましょう。

自社に合った領収書保管・管理サービスの選び方

領収書管理サービスは数多く存在するため、自社に最適なサービスを選ぶことが重要です。以下の4つのポイントを参考に、比較検討してみましょう。

  1. 機能
  2. 使いやすさ
  3. セキュリティー対策
  4. サポート体制

1.機能

領収書管理サービスには、OCR機能や自動仕訳機能、会計ソフトとの連携機能など、さまざまな機能があります。自社に必要な機能は何かを明確にした上で、サービス選びを行いましょう。

たとえば、領収書の枚数が多い場合は、領収書の内容を自動で読み取ってデータ化してくれるOCR機能があると便利です。

また、会計ソフトとの連携機能があれば、領収書データと会計データをスムーズに連携できるため、経理業務の効率化につながります。

2.使いやすさ

領収書管理サービスは、直感的に操作できるものがおすすめです。見やすく使いやすいUIであれば、ストレスなく領収書を管理できます。

サービスが提供しているデモなどを利用して、実際に操作感を試してみるのも良いでしょう。

3.セキュリティー対策

領収書には、個人情報や企業情報など、機密情報が含まれることがあります。そのため、領収書管理サービスを選ぶ際はセキュリティー対策がしっかりしているかを確認することが重要です。

とくに、データの暗号化やアクセス制限、不正アクセスの監視などが行われているかを確認しましょう。

4.サポート体制

領収書管理サービスを導入する際は、サポート体制も重要なポイントです。

導入時や運用時に疑問点やトラブルが発生した場合、迅速かつ丁寧に対応してくれるサービスを選びましょう。

電話やメール、チャットなど、複数の問い合わせ方法があると便利です。また、マニュアルやFAQが充実しているかどうかも確認しておきましょう。

まとめ

領収書の保管方法について、紙媒体、電子データ、領収書管理サービスの3つの方法をご紹介しました。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、自社の規模や状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

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「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務全般の課題や法対応など、経理課題の解決に導く情報をお届けします。
小野 智博

記事監修者のご紹介

弁護士 小野 智博

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士

保有資格:弁護士

慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

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