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パーチェシングカードの導入メリット5つ | 法人カードとの違いや導入すべき企業を解説
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パーチェシングカードは、毎月の請求書処理やサプライヤーごとに異なる支払い管理など、経理担当者が抱える「見えない負担」を解消する法人向けのカードです。請求書処理や振込手続きの煩雑さに悩んでいる企業にとって、パーチェシングカードは業務効率化の有力な手段となります。
この記事では、その仕組みや導入メリット、法人カードとの違いまで徹底解説。自社の経理業務を効率化する具体的なヒントをご紹介します。
法人カードで経費精算を効率化
パーチェシングカードとは?

パーチェシングカードは、企業間の取引における購買活動に特化した法人向け決済カードのことです。ここでは、その基本的な仕組みと、多くの企業が抱える経理業務の課題について詳しく解説します。
パーチェシングカードの基本的な仕組み
パーチェシングカードは物理的なプラスチックカードが発行されない「カードレス」が一般的で、主に仕入れやWeb広告費、サーバー利用料といったシステム利用料の支払いなどに利用されています。
従来の請求書払いでは、企業が複数のサプライヤーから個別に請求書を受け取り、その都度振込処理を行っていました。
一方、パーチェシングカードを導入した企業では、それらの支払いをカード会社がまとめてくれます。企業は月に一度、カード会社へ支払うだけで済むため、請求・支払いのフローを大幅に簡素化できます。
多くの企業を悩ませる経理業務の「見えない負担」
パーチェシングカードが注目される背景には、企業が抱える「見えない負担」があります。ここでは具体的に、二種類の負担に注目してみましょう。
サプライヤーごとに違う支払い日と煩雑な請求書処理の負担
企業の経理部門では、複数のサプライヤーから部署ごと・取引ごとに請求書が届き、その都度処理を行わなければなりません。
これらの支払い日は、月末締めの翌月10日払い、20日締めの翌月末払いなど取引先によって異なるため、経理担当者は常に支払い業務に追われている状況です。
パーチェシングカードは、このように煩雑な請求書処理と支払い管理の負担を、一括管理により大幅に軽減してくれます。
積み重なる「振込手数料」と従業員の「立替払い」の負担
請求書払いのたびに発生する振込手数料は、1件当たりは少額でも、年間で見ると大きなコストになります。
また、クラウドサービスの利用料やWeb広告費などを従業員が個人のカードで一時的に立て替えて、その後に経費精算を行うという非効率な業務の流れも、多くの企業に共通する課題です。
パーチェシングカードを導入すれば、これらの振込手数料の削減と立替払いの解消を同時に実現でき、経理業務の効率化とコスト削減の両面でメリットが得られます。
パーチェシングカード導入で得られる5つのメリット

パーチェシングカードの導入により、企業は経理業務の効率化だけでなく、コスト削減やガバナンス強化など、多岐にわたるメリットを享受できます。ここでは、代表的な5つのメリットについて詳しく解説します。
- 支払い先の一本化による業務効率化
- 振込手数料の削減
- 経費処理・キャッシュフローの見える化
- キャッシュフローの改善
- リスクの軽減とガバナンス強化
1.支払い先の一本化による業務効率化
パーチェシングカードを導入するメリットは、支払い先をカード会社に一本化できることです。
これまでサプライヤーごとに個別に行っていた請求書の確認、承認、振込処理といった一連の作業が不要になり、月に一度のカード会社への支払いで完結します。
このように支払い処理の流れがシンプルになることで、経理部門の業務負担が大幅に削減され、より付加価値の高い業務に時間を充てることが可能になります。
2.振込手数料の削減
パーチェシングカードの導入は、振込にかかるコストの削減にも役立ちます。
従来の請求書払いでは、取引先の数だけ振込手数料が発生していました。たとえば、月に50社への支払いがある企業の場合、1件当たり660円の振込手数料として月額33,000円、年間では約40万円ものコストが発生します。
パーチェシングカードを導入すれば、支払い先がカード会社に集約されるため、これまで支払い先ごとに発生していた振込手数料を大幅に削減できます。
3.経費処理・キャッシュフローの見える化
パーチェシングカードの利用明細は、経費管理システムと自動連携するため、部署別・プロジェクト別の支出状況をリアルタイムで把握できるようになります。
また、すべての支払いデータが一元管理されるため、経費の内訳や推移の分析も簡単です。
この「見える化」により、無駄な支出の発見や予算管理の精度向上が実現し、資金繰りの予測も格段にしやすくなります。
4.キャッシュフローの改善
パーチェシングカードを利用すると、実際の購買から引き落としまでに1〜2カ月の支払い猶予期間が生まれます。
たとえば、月初に取引が発生しても、カード会社への支払いは翌月末です。このため、最大で約60日間の支払いサイトを確保できます。
猶予期間中は手元資金を運転資金として有効活用できるため、資金繰りに余裕が生まれ、急な資金需要にも柔軟な対応ができます。
5.リスクの軽減とガバナンス強化
パーチェシングカードはカードレス運用が基本となるため、物理的なカードの盗難や紛失による不正利用のリスクがありません。
また、利用先や利用限度額を部署やプロジェクトごとに細かく設定できるため、従業員による目的外利用や私的流用を防ぐこともできます。
さらに、すべての利用履歴がデジタルで記録・保存されるため、監査対応が容易で内部統制の強化にもつながります。
パーチェシングカードと法人カードの違い

パーチェシングカードと法人カードは、どちらも企業の決済手段として利用されますが、その特徴や用途には大きな違いがあります。ここでは、両者の違いを5つの観点から詳しく比較します。
比較項目 | パーチェシングカード | 法人カード |
---|---|---|
申し込み条件 | 主に大企業向け(資本金や従業員数に基準あり) | 中小企業や個人事業主でも申し込み可能 |
利用できる範囲 | 企業間取引(広告費、サーバー代など)に特化 | 実店舗での利用を含む企業の経費全般 |
カードの名義 | 法人名・部署名(異動時の名義変更不要) | 従業員個人名(異動時の名義変更が必要) |
カードの形態 | カードレスが基本(付帯サービスなし) | 物理カードが基本(ポイントや保険などの付帯サービスあり) |
セキュリティー | カードレスで紛失・盗難リスクが低い。利用先の制限でガバナンス強化 | 物理カードがメインのため紛失・盗難リスクがある |
1.申し込み条件
パーチェシングカードは、主に大企業向けのサービスです。一般的に資本金1億円以上、従業員数100名以上といった一定基準を満たす企業が対象で、審査の際は企業の信用力や取引実績が重視されます。
一方、法人カードは大企業だけでなく中小企業や個人事業主でも申し込みが可能で、審査基準も比較的柔軟です。そのため、規模が小さい企業でも比較的容易に導入できます。
法人カードの審査についての詳細は、以下の記事もご覧ください。
2.利用できる範囲(用途)
パーチェシングカードの用途は、Web広告費、クラウドサービス利用料、公共料金、オフィス賃料など、企業間取引(BtoB)の支払いに特化されています。そして多くの場合、支払い先の事前登録が必要です。
一方、法人カードは出張時の交通費や宿泊費、接待交際費、オフィス用品の購入など、実店舗での利用を含む企業の経費全般に幅広く利用できます。
3.カードの名義と管理の手間
パーチェシングカードは、法人名や部署名義で発行できます。これにより、担当者の異動や退職が発生してもカード名義の変更手続きが不要で、引き継ぎもスムーズです。部署単位での予算管理も容易になり、組織変更にも柔軟に対応できます。
一方、法人カードは従業員個人の名義で発行されるため、人事異動のたびに新規発行や解約といった手続きが必要になるなど、カード管理に手間がかかります。
4.カードの形態と付帯サービス
パーチェシングカードは「カードレス」が基本で、カード番号のみが発行されます。そのため、ポイントプログラムや旅行保険、空港ラウンジサービスといった一般的なクレジットカードの付帯サービスはありません。
一方、法人カードは利用額に応じたポイント還元や各種保険、コンシェルジュサービスなど、充実した付帯サービスが提供されることも少なくありません。
5.セキュリティーとガバナンス
パーチェシングカードは物理的なカードが存在しないため、紛失や盗難による不正利用のリスクを大幅に軽減できます。また、利用先や利用限度額をあらかじめ細かく設定でき、リアルタイムで利用状況を監視できるため、不正な支出の防止にも効果的です。
一方、法人カードには物理カードの紛失・盗難リスクが存在します。また、利用制限の設定も限定的で、従業員による私的利用を完全に防ぐことが困難な場合もあります。
パーチェシングカードと法人カード、それぞれに向いている企業

パーチェシングカードと法人カード、どちらを選ぶべきかは企業の規模や業態、経費の特性によって異なります。ここでは、それぞれのカードに向いている企業の特徴と、両者を併用する選択肢について解説します。
パーチェシングカードの導入に向いている企業
パーチェシングカードは、以下のような特徴を持つ企業に特に適しています。
まず、Web広告費やクラウドサービス利用料など、サプライヤーへの月々のオンライン決済が多い企業です。IT企業やEC事業者など、デジタルサービスへの支出が多い業種では特に効果を発揮します。
また、複数の部署でバラバラに契約・支払いを行っており、経理部門での一元管理が困難な企業にも向いています。
さらに、ガバナンスを強化し、従業員の立替払いをゼロにしたいと考えている企業にとっても、パーチェシングカードは理想的なソリューションです。
法人カードの導入に向いている企業
法人カードは、以下のような企業に適しています。
まず、従業員の出張や接待が多く、交通費や交際費の精算を効率化したい企業です。営業部門が活発な企業や、全国に拠点を持つ企業では、法人カードによる経費精算の簡素化は大きなメリットとなります。
また、実店舗での備品購入や緊急の支出など、物理カードが必要な場面が多い企業にも向いています。建設業や製造業など、現場での資材購入が頻繁に発生する業種では、法人カードの利便性が高く評価されています。
さらに、ポイント還元や付帯サービスを活用して経費を節減したい中小企業にとっても、法人カードは魅力的な選択肢です。
法人カードの選び方についての詳細は、以下の記事もご覧ください。
2枚のカードの「併用」という選択肢
パーチェシングカードと法人カード、どちらか一方を選ぶだけでなく、両方のカードを目的別に使い分ける「併用」も、経費管理の最適化に効果的です。
たとえば、定期的に発生するサプライヤーへの支払いはパーチェシングカードで一元管理し、従業員の出張費や交際費などの変動的な経費は法人カードで処理することで、それぞれのカードのメリットを最大限に活かせます。
ただし、複数のカードを管理する手間も考慮した上で、自社の業務フローに最適な組み合わせを検討することが重要です。
まとめ
パーチェシングカードは、企業間取引の支払いを一元化し、経理業務の効率化とコスト削減を実現する強力なツールです。振込手数料の削減、キャッシュフローの改善、ガバナンスの強化など、導入により得られるメリットは多岐にわたります。
一方で、交通費や交際費などの経費精算を効率化したい企業であれば、法人カードが適しています。実店舗での利用や付帯サービスを重視する場合も同様です。
重要なのは、自社の課題や支出の特性を正確に把握し、最適な決済手段を選択することです。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部