• 経費精算

小口現金の仕訳を徹底解説 【税理士監修】勘定科目の選び方や効率化する方法を紹介

小口現金の仕訳を徹底解説 【税理士監修】勘定科目の選び方や効率化する方法を紹介

小口現金の仕訳は、日常業務で頻繁に発生します。消耗品の購入や従業員が立て替えた交通費などをその場で精算できるため、小口現金の制度を取り入れている企業は多いでしょう。

本記事では、小口現金の仕訳方法や管理方法について解説します。また、小口現金の抱える課題や解決手段として経費精算のキャッシュレス化についても紹介します。

経費精算の電子化で業務工数削減

小口現金の仕訳と勘定科目の基本

小口現金の管理には、会計上のルールを押さえておくことが大切です。ここでは、仕訳の基本ルールと支出内容に応じた勘定科目の使い分けについて解説します。

「小口現金」は資産科目として処理する

小口現金は帳簿上、企業が保有する資産として扱われ、資産科目に分類されます。通常は「小口現金」または「現金」という勘定科目を使って管理され、経費支払いに充てられた分は定期的に補充されます。

補充の際には、企業の預金口座などから小口現金用に現金を移動するため、「当座預金」や「現金」から「小口現金」への振替仕訳を行います。こうした処理を通じて、現金の流れを正確に記録し、資産の管理を徹底することが重要です。

支出内容に応じた勘定科目で記録する

小口現金から支出された金額は、支払い内容に応じて適切な勘定科目で仕訳をする必要があります。たとえば、郵便料金の支払いは「通信費」、電車やバスの運賃は「旅費交通費」、文房具やコピー用紙などの購入は「消耗品費」として処理します。

このように、支出の実態に合わせて勘定科目を使い分けることで、帳簿の正確性が保たれ、経費の内訳を明確に把握することが可能になります。

領収書の電子保存に対応!経費精算システム

小口現金を仕訳する4つのステップ

小口現金の管理では、日々の入出金だけでなく、仕訳処理を正確に行う必要があります。ここでは、小口現金を仕訳する上で基本となる4つのステップについて、具体例を交えて解説します。

ステップ1:小口現金を前渡しする仕訳を計上する

小口現金を運用する際は、初めに一定額を銀行口座から引き出して、小口現金係などに前渡しします。このときの仕訳では、「小口現金」を借方に、「預金(当座預金や普通預金)」を貸方に記帳します。

小口現金5万円を銀行口座から引き出し、小口現金係に渡したときの仕訳は、以下のようになります。

借方

貸方

小口現金  50,000円

預金  50,000円

ステップ2:小口現金の入出金を記録する

小口現金の管理には、「小口現金出納帳」や「現金出納帳」といった専用の帳簿を使用します。出金のたびに支出内容・金額・日付・使用した勘定科目などを記録し、現金の残高を把握できるようにしておくことが重要です。

ステップ3:小口現金で経費を支払う仕訳をする

小口現金から経費を支払った場合は、その内容に応じて適切な勘定科目を使って仕訳します。たとえば、小口現金から交通費5,000円、通信費4,000円、福利厚生費16,000円を支払った場合の仕訳は下記のようになります。

借方

貸方

交通費  5,000円

通信費  4,000円

福利厚生費  16,000円

小口現金  25,000円

ステップ4:小口現金の補充の仕訳をする

小口現金を一定額に保つために、使用した金額分を定期的に補充します。たとえば、5万円の小口現金から25,000円を使用した場合、その金額を銀行口座から補充して元の残高に戻します。このときの仕訳は、下記の通りです。

借方

貸方

小口現金  25,000円

預金  25,000円

小口現金の管理方法

小口現金は少額支出のたびに日常的に使われるため、適切な管理が不可欠です。ここでは、小口現金の保管に関する具体的なルールから、資金の補充方法に至るまで、管理の要点を詳しく解説していきます。

小口現金の管理ルール

小口現金を運用する際、企業は定められた管理ルールに従い、入出金の記録と現金の保管を徹底する必要があります。このルールは、透明性を確保し、不正やミスを防ぐために非常に重要です。

小口現金出納帳の作成

各部署で小口現金を扱う場合、担当者は「小口現金出納帳」や「現金出納帳」といった帳簿を必ず作成しなければなりません。そして、現金の入出金が発生するたびに、その日付、金額、支出内容、さらには該当する勘定科目などを詳細に記録していきます。

こうした記録作業は、後々の確認作業の基礎となるため、正確性が求められます。記録された内容は定期的に経理部門へ報告され、経理部門の帳簿との整合性が確認されることで、現金残高の正確性が保たれます。

小口現金出納帳は10年間保管

作成された小口現金出納帳は単なる記録というだけでなく、将来的な税務調査や会計監査に対応するための重要な証拠書類として位置づけられます。したがって、適切な期間にわたって厳重に保管する必要があります。

保管期間については、税法上は7年間の保存が義務付けられている一方、会社法においては10年間の保管が義務づけられています。企業はこれらの法的要件を満たす期間、確実に書類を保管しなければなりません。

小口現金の補充方法

小口現金は日常的に使用されるため、残高が減少します。そのため、適切なタイミングでの定期的な補充が不可欠です。小口現金の補充方法には、大きく分けて「定額資金前渡制度(インプレストシステム)」と「随時補給制度」の2つの方式が存在します。それぞれの特徴を理解し、自社の業務に合った方法を選択します。

定額資金前渡制度(インプレストシステム)

定額資金前渡制度(インプレストシステム)は、あらかじめ一定の金額を各部署や担当者に前渡しし、日常の支払いはその範囲内で行うという仕組みです。そして、一定期間が経過した時点、あるいは設定された金額を使用した時点で、使用した分だけを補充し、常に当初の一定額を維持する方式です。

この方式の大きな特徴は、支出額と帳簿記録が一致しやすいことにあり、残高管理が比較的容易であるという利点があります。管理のシンプルさから、多くの企業で採用されています。

随時補給制度

一方、随時補給制度は、定額資金前渡制度とは異なり、前渡しする金額を固定せず、小口現金が必要になったタイミングで都度補充を行う方式です。

この制度の利点は、その柔軟性にあります。突発的な支出が多い場合や、部署によって小口現金の利用頻度が大きく変動する場合などには、この柔軟性が有利に働くことがあります。その反面、現金の残高が頻繁に変動するため、より厳密で正確な記録と残高管理が常に求められます。

どちらの補充方式を採用するかは、企業の小口現金の利用頻度、支出のパターン、そして管理体制の特性などを総合的に考慮した上で判断することが望ましいです。

小口現金管理をなくす新しい経費精算

小口現金の課題

「小口現金の課題」を4つ挙げた図

小口現金は、少額の支出を迅速に処理するための便利な仕組みとして、長く利用されてきました。しかし、その運用にはいくつかの課題が潜んでいます。

ここでは、小口現金の運用における問題点について、整理していきましょう。

担当者の業務負担

小口現金を用いた経費精算、とりわけ消耗品の購入や交通費の支払いといった立替業務は、多くの企業で頻繁に発生します。このため、経理部門の担当者、あるいは各部署で小口現金を管理する担当者は、その都度、自身の主要な業務を中断して対応する必要があります。

担当者が行う業務は、現金の出し入れ、金庫内の残高確認、そして小口現金出納帳への細かな記入、これらに加え、従業員が提出する領収書のチェックなど、その作業量は決して少なくありません。事務負担が非常に大きいだけでなく、常に現金を扱う緊張感や心理的な負担も小さくありません。

盗難や紛失のリスク

小口現金は、現金を手元で管理する性質上、盗難や紛失といったセキュリティー上のリスクを完全にゼロにすることはできません。たとえ金庫で厳重に保管している場合でも、夜間の施錠忘れや鍵の管理ミスといった、些細なヒューマンエラーが原因で、現金がなくなる可能性も否定できません。

万が一、手元の現金残高と小口現金出納帳の記録が一致しない事態が発生した場合、その原因を特定し、不足分を補填する調査をするには、担当者に非常に大きな負担がかかります。

このようなトラブルは、単に現金が失われるという直接的な損失に留まらず、不一致の原因を解明し、再発防止策を講ずるなど、業務全体の効率を著しく低下させる要因となります。

管理ミスの発生

小口現金の管理業務は、その性質上、手作業に依存する部分が多く残っています。このため、人為的なミスが発生しやすいという問題が常にあります。

たとえば、出納帳へ金額や日付、勘定科目を誤って記載してしまうといった帳簿記入のミス、あるいは現金の数え間違いなどが挙げられます。こうしたミスが発生してしまった場合、その原因を特定し、帳簿を修正する作業には多くの時間と労力がかかります。

経費精算を申請する従業員の負担

小口現金を用いた経費精算は、経理担当者だけでなく、実際に業務で経費を立て替えた従業員側にも、少なからぬ負担がかかります。

特に、消耗品の購入など、頻繁に少額の支払いが発生する業務では、その都度、会社が負担すべき費用を従業員がいったん立て替え、その後、煩雑な精算申請プロセスを行うことになります。これにより、申請件数も多くなり、申請書の記入や領収書の添付といった作業が、本来の業務の妨げとなり、従業員にとって大きな負担となります。

また、インボイス制度の観点では、原則として、領収書等に仕入税額控除を行う事業者以外の従業員の氏名が記載されている場合、仕入税額控除を適用することはできません。

従業員が社員であることが明らかとなる従業員名簿等を併せて保存するか、従業員名簿等がなく、立替払を行った従業員を特定できない場合には、宛名に従業員名が記載された領収書等と、従業員が作成した立替金精算書の交付を従業員から受け、その保存をする必要があります。

なお、従業員の立て替えによる領収書などを電子データで受領した場合には、電子帳簿保存法で保存が義務付けられている電子取引データとなりますので、会社が従業員個人のパソコンやスマホ等から収集して会社が保存・管理する必要があります。

小口現金の仕訳を効率化する方法

小口現金は、少額経費の管理方法としては便利である一方、実際の運用においては業務効率の面で多くの課題を抱えています。ここでは、小口現金の仕訳作業を効率化するための具体的な手段を紹介します。

定額資金前渡制度(インプレスト)と月次一括仕訳の導入

「定額資金前渡制度(インプレスト方式)」は、小口現金の管理における負担を軽減するための仕組みです。これは、毎月、あるいは一定期間ごとに決まった金額を各部署に前渡しし、その期間中に使用した分だけを後日精算・補充することで、常に一定額の現金を維持するという方式です。この方式を採用する最大の利点は、支出が発生するたびに個別で現金を補給する必要がなくなる点にあります。

これに加えて「月次一括仕訳」を併用すると、日々の細かな仕訳を都度行う必要がなく、月末にまとめて一括処理できます。この方法により、記帳作業の負担が軽減され、ミスも減少します。

この2つの仕組みを組み合わせることで、日々の仕訳件数を大幅に削減できるため、記帳業務の効率が大幅に向上します。担当者の作業負担が軽減されるのはもちろんのこと、帳簿の整理・管理が格段にしやすくなるという相乗効果も期待できます。

領収書の読み取りを自動化

小口現金の仕訳作業を効率化するための非常に強力な手段として、OCR機能を搭載した経費精算システムの導入が挙げられます。この技術を活用すれば、従業員がスキャナーやスマートフォンのカメラで領収書を読み込むだけで、そこに記載されている日付、金額、支払先といった必要な情報をシステムが自動で正確に読み取り、そのまま仕訳データとして活用できるようになります。

これにより、手入力で発生していた記載ミスや、煩雑な記帳の手間を大幅に削減できるため、経理業務の正確性とスピードが飛躍的に向上します。さらに、社内全体でデジタル化が進むことで、将来的に電子帳簿保存法への対応もスムーズに進めやすくなります。

立替精算を活用する

小口現金の使用頻度を減らすための実用的なアプローチとして、従業員による立替精算の活用があります。これは、従業員が一時的に自身の資金で経費を支払い、後日会社に精算を求めるという、多くの企業で既に導入されている仕組みです。

小口現金の物理的な受け渡し回数を減らせる点はメリットですが、一方で、経理部門には従業員への振込処理や、提出された申請内容の確認といった新たな事務作業が別途発生します。特に従業員数が多い企業では、それに伴う手間も増大するため、単なる立替だけでなく、経費精算システムとの連携による効率化が強く求められます。

キャッシュレス化を進めて小口現金を減らす

経費の支払いについて、全体的にキャッシュレス化する体制を構築することは、人為的ミスや現金の盗難・紛失リスクを大幅に低減できるだけでなく、経理業務全体の効率化に直結する方法です。

ここでは、代表的なキャッシュレス決済の活用方法を紹介します。

プリペイドカードを利用する

社員にプリペイドカードを支給し、事前にチャージした金額の範囲内で経費を支払う方法です。これにより、利用上限の管理が非常にしやすくなり、意図しない使いすぎや不正利用の抑止にも有効に機能します。また、利用履歴がデータとして残るため、経理処理の透明性が大きく向上します。

交通系ICカードを利用する

通勤や出張時の交通費精算には、交通系ICカードの活用が非常に効果的です。ICカードを使えば、電車やバスの乗降履歴が詳細な明細として記録に残るため、正確な精算が可能になります。さらに、多くの経費精算システムはICカードのデータを自動で取り込む機能を持っており、これを連携させれば、従業員による手入力の手間を省き、交通費精算業務の劇的な効率化が図れるでしょう。

法人クレジットカードを導入する

法人クレジットカードを部署や従業員ごとに配布することで、経費支払いを一元管理できます。個別の小口経費精算が不要になるケースが増え、それに伴う仕訳作業も大幅に削減されます。

多くの法人カードは、その利用情報を経費精算システムと連携させることで、カード利用データを自動的に取り込むことが可能です。これによって、経理業務のデジタル化と効率化を強力に後押しします。

経費精算をキャッシュレスで効率化

まとめ

少額の経費支払いのために小口現金の制度を取り入れている企業は少なくありません。消耗品の購入や従業員が立て替えた交通費などをその場で精算できるという利便性がある一方で、実際の現場では、多くの課題を抱えているのが実情です。

本記事では、小口現金の仕訳方法や管理方法について深く掘り下げて解説しました。加えて、小口現金管理が抱える課題、その解決手段として、経費精算のキャッシュレス化やシステムの導入が有効であるかについても紹介しました。

自社の業務内容や規模に最も適した方法を選び、経理業務の効率向上を目指しましょう。

クラウド経費精算サービス「Bill One経費」は、専用のビジネスカードで立替払いをなくし、これまでにない経費精算を実現します。

全社員の経費の支払いをBill Oneビジネスカードで行うことで、経費精算に必要な対応をオンラインで完結し、企業から立替経費をなくすことができます。

Bill One経費・Bill Oneビジネスカードの特長

  • 全社員へのBill Oneビジネスカード配布によって立替経費をなくせる
  • 99.9%*の精度で領収書をデータ化し、自動で利用明細と突合
  • 電子帳簿保存法やインボイス制度への対応
  • 1カ月当たりの利用限度額が最大1億円
  • カードごとの利用限度額設定が可能
  • 年会費・発行手数料無料

*Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合のデータ化精度

Bill One経費は専用のビジネスカードによって経費精算にかかる工数を削減し、月次決算の加速に役立ちます。ぜひBill One経費の導入をご検討ください。

3分でわかる Bill One経費

立替経費をなくし、月次決算を加速する
クラウド経費精算サービス「Bill One経費」について簡単にご説明した資料です。

松崎 啓介

記事監修者のご紹介

税理士 松崎 啓介

松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員

保有資格:税理士

昭和59年~平成20年 財務省主税局勤務
税法の企画立案に従事(平成10年~平成20年 電子帳簿保存法・通則法規等担当)
その後、大月税務署長、東京国税局調査部特官・統括官、審理官、企画課長、審理課長、個人課税課長、国税庁監督評価官室長、仙台国税局総務部長、金沢国税局長を経て令和2年8月税理士登録。
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
主な著書「Q&Aでわかる税理士のためのインボイス制度と改正電子帳簿保存法」(第一法規)、「デジタル化の基盤 電帳法を押さえる」 (税務研究会)等

  • 本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。なお、本稿は、読みやすさや内容の分かりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。
「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務、経費精算、債権管理や経理業務における法対応など、さまざまな業務の課題を解決に導く情報をお届けします。

請求書受領、経費精算、債権管理など
さまざまな業務領域の
課題を解決します

サービスの詳しい説明や<br />デモを希望する
サービスの詳しい説明や
デモを希望する
各サービスの内容や料金体系などを<br />まとめて紹介します
各サービスの内容や料金体系などを
まとめて紹介します
業務フローに合わせた<br />最適なプランの作成を依頼する
業務フローに合わせた
最適なプランの作成を依頼する