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法人カードを複数枚導入するメリットと注意点とは?賢い使い分けとカード選びのコツを解説
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法人カードを導入する企業は年々増加しており、最近では1枚ではなく、複数枚を上手に使い分けるケースが注目されています。特に経費精算業務の効率化や資金繰りの面でメリットが大きく、業務効率の向上にもつながるため、業種・規模に関わらずおすすめの手法です。
本記事では、法人カードを複数枚持つことで得られるメリット、導入時の注意点、そして効果的な使い分け方や選び方まで、実務に役立つ情報を詳しく解説します。
法人カードで経費精算を効率化
法人カードを複数枚導入するメリット

法人カードを1枚に集約するのではなく、複数枚を目的や組織体制に応じて導入することで、経理業務の効率化や社員への柔軟な対応などが実現できます。ここでは、同一カードを複数発行するケースと、異なる法人カードを併用するケースの両面から、企業にとっての導入メリットを詳しく紹介します。
経理業務の効率化
法人カードを複数枚発行し、社員一人ひとりに配布することで、立替精算が不要になります。経費申請や承認の手間を大幅に削減でき、経理業務の効率化が実現します。
また、用途別にカードを分ければ、勘定科目ごとの仕訳も自動的に分類され、帳簿への反映もスムーズになります。こうした仕組みを構築することで、人為的なミスの防止や業務の属人化解消にもつながります。
利用限度額の柔軟な設定
法人カードを複数枚導入することで、利用限度額の設定にも柔軟に対応できます。同一カードを追加発行すれば、社員ごとに個別の上限額を設定できるため、予算管理や不正防止にも効果的です。
また、別のカード会社の法人カードを併用すれば、それぞれの与信枠が独立しているため、合計の利用可能額を実質的に拡張することが可能です。急な出費や資金需要に対応しやすくなり、資金繰りの安定にも貢献します。状況に応じて発行方法を選ぶことで、より戦略的な運用が期待できます。
異なる特典やサービスの併用
異なるブランドの法人カードを複数枚保有することで、カードごとに異なる特典やサービスを活用できます。たとえば、出張が多い社員には海外旅行保険が手厚いカードを、仕入や備品購入にはポイント還元率の高いカードをあてがうなど、用途に応じた最適な選択が可能です。
また、特典を目的別に使い分けることで、無駄なく機能を引き出せるのも大きな利点です。さらに、特定のカードにしかない優待や付帯機能を併用することで、ビジネスの利便性やコストパフォーマンスも向上します。
ETCカード・追加カードの枚数を増やせる
法人カードを複数枚導入することで、ETCカードや追加カードの発行枚数を柔軟に増やすことができます。特に社員数が多い企業では、1枚の法人カードに対する発行上限に達してしまうケースも珍しくありません。こうした場合でも、カードを複数枚運用することで、必要な人数分のカードを確保できます。
営業車を多く保有する企業や出張が頻繁な部署では、社員ごとにETCカードを配布できる点が実務上の大きな利点です。業務の円滑化にもつながる施策と言えるでしょう。
国際ブランドの使い分け
複数の法人カードを導入する際、国際ブランドを分けて保有することで、より多くの決済シーンに対応できるようになります。たとえば、国内ではJCB、海外ではVISAやAmexといったように、ブランドごとに使い分けることで、取引先や利用店舗に応じた柔軟な決済が可能です。
特定ブランドに非対応の場面でも、別ブランドのカードでカバーできるため、業務の停滞を防ぐ点でも効果的です。
法人カードを複数枚導入する際の注意点

法人カードを複数枚導入することは多くのメリットをもたらしますが、同時にいくつかのリスクや注意点もあります。ここでは、複数枚の法人カードを運用する際に押さえておきたい主要な注意点を解説します。
年会費・維持コストの増加
法人カードを複数枚導入すると、それぞれに年会費が発生するため、トータルの維持コストが増加します。特に異なるカード会社のものを組み合わせた場合、割引を受けたり統一管理したりするのが難しく、支出が分散しやすくなります。
コスト面でのメリットを生かすには、予算計画の段階で年会費の総額をしっかり把握し、無駄のないカード構成を選ぶことが重要です。使用頻度の低いカードの見直しも検討しましょう。
管理の煩雑化
法人カードを複数枚導入すると、カードごとに利用明細や引き落とし日が異なる場合があり、確認作業に手間がかかります。管理が煩雑になることで、経費処理の漏れや遅延が発生しやすくなります。
さらに、社内ルールが整備されていないと、カードの誤用や不正利用のリスクも高まる恐れがあります。導入時には、管理体制や運用ルールの整備が欠かせません。
紛失・盗難・不正利用のリスク
法人カードを多数発行すると、使用頻度の低いサブカードの存在が管理の盲点になりやすくなります。特に、従業員による不正利用のリスクや、紛失・盗難への注意が必要です。枚数が増えることで全体の管理負荷も高まり、トラブル発生時の対応が後手に回る恐れがあります。
安全に運用するためには、使用状況の定期的なチェックと適切な管理体制の構築が不可欠です。
ポイントの分散
異なるカード会社の法人カードを併用すると、ポイントが個別に付与されるため、効率的に貯めるのが難しくなります。統一して利用すればまとまった特典を得やすいのに対し、分散すると交換可能なポイント数に届かないこともあります。ポイント制度の違いにも注意が必要です。
費用対効果を最大化するには、メインカードを決めて集中的に利用すると良いでしょう。
短期間の多重申込による信用への影響
短期間に複数の法人カードを申し込むと、信用情報に申込履歴が集中して記録されます。この情報はカード会社間で共有されており、資金繰りに問題があると判断されるおそれがあります。結果として、新たなカードの審査に通りにくくなるケースも想定されるため、申し込みは計画的に行うことが重要です。
賢い使い分け方の実例と活用シーン

法人カードを複数枚活用する際は、ただ持つだけでなく、シーンや目的に応じて適切に使い分けることが効果的です。ここでは、実際の企業で見られる使い分けの例や活用シーンを紹介し、どのような場面で複数枚のカードが効果を発揮するのかを具体的に解説します。
用途別で分ける
経費の用途に応じて法人カードを使い分けることで、仕訳や経費処理が格段に効率化されます。たとえば、交通費はAカード、広告費はBカード、交際費はCカードと分類しておけば、明細を確認するだけで支出の目的が明確に把握できます。
こうした使い分けによって経理担当者の仕訳作業が軽減されるうえ、勘定科目の自動振り分けもスムーズに行えます。加えて、予算管理や不正検知も容易になる点がメリットです。適切な使い分けにより、全体の業務効率が底上げされるでしょう。
拠点別/部門別で分ける
拠点別や部門別に法人カードを分けて運用することで、支出の可視化と管理がより明確になります。たとえば、本社にはAカード、地方支店にはBカード、営業部にはCカード、総務部にはDカードと割り当てることで、各部署ごとの経費状況を個別に把握しやすくなります。
この方法であれば、部門別の予算実績比較も迅速に行えるうえに、支出傾向の分析にも役立ちます。管理アプリと連携させれば、カードごとの使用履歴もリアルタイムで確認できます。
出張・海外用と国内決済用で分ける
出張や海外決済の頻度が高い企業では、用途に応じてカードを分けて使うことが有効です。海外出張時には旅行保険や空港ラウンジサービスが充実したカードを利用すれば、従業員の安心感も高まります。
一方で、国内での仕入れや交際費などの決済には、ポイント還元率や使いやすさを重視したカードを選ぶとコスト効率が上がります。シーンに応じて最適なカードを活用することで、効率的に付帯サービスを享受できるのがメリットです。
全従業員に配布して立替精算を廃止
全従業員に法人カードを配布すれば、立替精算や仮払処理といった手間が不要になります。また、現金の授受や申請書のやりとりが減り、経費精算のスピードが大幅に向上します。
加えて、利用先や金額に制限をかけられるカードを選べば、不正使用のリスクも抑制可能です。カード管理機能を活用することで、各従業員の利用状況をリアルタイムで把握できるため、経理の負担軽減にもつながります。
複数枚の法人カードの管理ルール例

法人カードを複数枚導入する際には、明確な管理ルールを定めることが不可欠です。まず、カードの利用に当たっては承認フローを設け、上長の事前承認を義務づけることで不正利用を防ぎやすくなります。
加えて、利用明細のチェック体制を構築し、経理担当者と部門管理者が役割を分担することで、確認漏れや入力ミスのリスクを低減できます。また、経費精算システムとの連携も有効です。カード利用明細が自動で取り込まれる仕組みを活用すれば、紙の申請書を廃止でき、業務の効率が飛躍的に向上します。
こうした仕組みを整えておけば、カード枚数が増えても運用が煩雑になることはありません。社内規定と運用体制の両面からガバナンスを強化することが、法人カードの多枚数運用における重要なポイントです。
複数枚導入する場合の法人カードの選び方

法人カードを複数枚導入する際は、単に追加するだけでなく、目的に応じたカードの選定が鍵となります。社員に配布する前提であれば、発行可能枚数や管理機能、セキュリティー面まで含めて慎重に比較検討する必要があります。
追加発行の上限と運用コストのバランスで選ぶ
複数の社員に法人カードを配布する場合、まず確認すべきなのが追加発行枚数の上限です。発行可能な枚数が少ないと、必要な人数分をカバーできず、運用に支障をきたします。また、1枚ごとに発行手数料や年会費が発生するカードもあるため、トータルコストにも注意が必要です。
コスト負担を抑えつつ、柔軟な運用が可能なカードを選ぶことが、経費精算の効率化や業務負担軽減につながります。選定時は導入後の運用を具体的に想定して検討しましょう。
社員ごとの利用上限・用途制限が設定できるカードを選ぶ
法人カードを複数の社員に配布する場合、不正利用や使いすぎを防ぐための対策が不可欠です。そこで重要になるのが、たとえば、月間や1回当たりの利用金額に上限を設けることや、交通費や宿泊費などカテゴリを限定することでリスクを軽減できます。
また、特定の加盟店にしか使えないように設定できるカードも存在し、より厳密な管理が可能です。柔軟な制御機能は、安心してカードを運用するための鍵といえるでしょう。
管理機能が整ったカードを選ぶ
法人カードを複数の社員に配布する際には、経理部門での一元管理が不可欠です。管理機能が充実したカードを選べば、運用負荷を大幅に軽減できます。
管理者専用のダッシュボードから、各カードの利用状況をリアルタイムで把握可能です。カード別や社員別の明細を即座に確認できるため、不正利用や使途の確認もスムーズに行えます。さらに、CSV出力やAPI連携に対応していれば、経費精算システムとの連携も容易になり、業務全体の効率が向上します。
機能補完できるカードを検討する
法人カードを複数枚導入する際は、同じ機能のカードを並べるだけでなく、補完的な機能を持つカードを組み合わせることも選択肢です。
たとえば、1枚は高還元率のポイント重視、もう1枚は海外旅行保険が充実したカードといった形で用途に応じて選ぶと、全体の利便性が向上します。
まとめ
法人カードを複数枚導入することは、単なる決済手段にとどまらず、経費精算の効率化や管理体制の強化、さらには資金繰りの安定にもつながる有効な手段です。用途・部門・社員別の使い分けにより、仕訳の自動化や不正防止にも寄与します。
一方で、カードの枚数が増えることで管理やコスト面の課題も生じるため、導入にはルール整備と適切なツールの活用が不可欠です。
こうした運用を実現するには、カードの発行・制御・管理を柔軟に行える仕組みが必要です。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部