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請求書チェックを効率化したい人必見 | 6つの方法とシステム導入のメリット
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経理業務において請求書は、企業間取引に関わる非常に重要な書類の1つです。そのため、受領時も発行時も請求書の内容をきちんとチェックする必要があります。請求書は確認箇所も多く、チェックに時間がかかりやすいですが、フローを改善したり、システムを活用したりすれば、効率化は可能です。
本記事では、請求書のチェックを効率的に行う方法や、チェック時のポイントを解説します。またシステムを導入するメリットについても、詳しく紹介します。
請求書のチェックをシステムで効率化
請求書チェックの課題

請求書のチェック業務は、企業の経理担当者にとって負担の大きい作業の一つです。ここでは、請求書チェックに潜む主な課題を3つ見ていきましょう。
- 手間がかかる
- 人為的ミスが起きやすい
- 法対応が必要
1.手間がかかる
請求書のチェックには多くの手間がかかります。たとえば請求書に記載された金額、数量、品目などが正しいかの確認に加えて、契約書や発注書といった関連書類との照合も必要です。これらの確認項目が多岐にわたり、いずれも誤りが許されないため、1枚の請求書を処理するだけでも、それなりの時間がかかります。
特に、月末や月初などの締め日直後は、大量の請求書が届くことも少なくありません。限られた時間の中で多くの請求書を処理しなければならず、経理担当者の業務負担が増える要因となります。
2.人為的ミスが起きやすい
手間がかかる作業には、人為的なミスがつきものです。請求書チェックにおいても、数量や単価の入力ミス、計算間違いなどが起こりやすい傾向にあります。
さらに、消費税率や区分の誤り、取引内容の認識違いといったミスは、取引先に直接的な影響を与えます。場合によっては、過払いや未払いが発生し、企業の信頼関係を損なう可能性もあります。ミスが許されないというプレッシャーは、担当者の精神的なストレスにつながります。
3.法対応が必要
請求書に関する業務は、法改正にも対応していく必要があります。
近年では、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入が大きな変化でした。適格請求書発行事業者として登録している場合、請求書に記載すべき事項が細かく定められています。インボイス制度への対応が不十分だと、仕入税額控除が受けられず、消費税の納税額が増えてしまうリスクがあります。
また、電子帳簿保存法の改正により、電子的に受け取った請求書データの保存方法にもルールが設けられました。この改正により、システム導入やフロー変更など、大幅な変更を行った企業も少なくありません。今後も、このような法改正への対応が求められる場面が出てくるでしょう。
受領した請求書チェックを効率化する方法

日々届く請求書のチェック業務を効率化するには、いくつかの方法が考えられます。ここでは、受け取った請求書のチェック作業をスムーズにするための具体的な方法を4つ紹介します。
- 請求書受取を電子的方法に限定する
- Excelで管理する
- 請求書受領をシステム化する
- 外部に業務委託する
1.請求書受取を電子的方法に限定する
請求書の受取方法が紙やメール、PDFなど複数あると、それらをまとめるだけで時間がかかります。そこで、取引先に協力を依頼し、請求書の受取を電子データ(例:特定のシステム経由、指定形式のPDFなど)に統一する方法が有効です。
また電子データに統一することで、書類の紛失リスクを低減できるメリットがあります。そして紙の請求書のような物理的な保管スペースも不要になり、ペーパーレス化と保管問題の解決にもつながります。
2.Excelで管理する
比較的導入しやすい方法として、Excelで請求書を管理する方法があります。受け取った請求書の日付や取引先名、金額、処理状況(確認中、承認済、支払い済)を一覧で管理する方法です。
この管理表により、どの請求書がどのようなステータスにあるか一目で把握でき、支払い漏れなどのミスを防ぐ効果が期待できます。特別なツール導入の手間やコストがかからず、すぐに始められる点がメリットです。
3.請求書受領をシステム化する
本格的に効率化を目指すなら、請求書受領システムの導入が有効です。請求書が届くと、システムで請求内容や支払い条件などを自動で検出し、発注内容と照合します。また国税庁のシステムとAPI連携して適格請求書発行事業者の登録番号を照会します。中には、適格請求書の要件を満たしているか、自動でチェックできる機能を持ちます。
またシステム上で処理状況を一元管理できるため、支払い漏れのリスクが低減します。承認依頼や差し戻しといったワークフローもシステム上で完結でき、スムーズな処理が可能です。さらに、会計システムと連携させれば、確認済みの請求書データを基に仕訳を自動作成するなど、経理業務全体の一元管理と効率化が実現します。
4.外部に業務委託する
請求書業務を外部の専門業者に委託する方法もあります。請求書受領代行サービスなどを利用すれば、請求書の受取りから電子データ化、内容確認、保管までの一連の作業を任せられます。
特に、経理担当者が少人数であったり、ほかの業務と兼務していたりする場合に有効な選択肢です。コア業務に集中したい方や、自社でのシステム導入・運用が難しい際に検討してみるとよいでしょう。
発行時の請求書チェックを効率化する方法

請求書は受け取るだけでなく、発行する際にも正確性が求められます。発行時のチェック作業を効率化し、ミスを防ぐための方法を紹介します。
- フォーマットを統一する
- 入力する事項を減らす
- システムを導入する
1.フォーマットを統一する
まずは発行する請求書のフォーマットを統一しましょう。フォーマットを定めることで、記載が必要な項目(請求日、取引内容、金額、支払い期日、振込先、インボイス制度対応の登録番号など)を漏れなく記載できます。
毎回ゼロから作成する手間が省け、記載漏れのリスクも抑えられます。結果として、発行前のチェックにかかる時間を短縮でき、請求書のチェック効率化につながります。
2.入力する事項を減らす
請求書を作成する際、担当者が手入力する項目をできるだけ減らす工夫も有効です。例えば、Excelやスプレッドシートでフォーマットを作成する場合、金額の計算式をあらかじめ組み込むことで、計算ミスを防ぐことができます。
また、商品名や取引内容などをプルダウンリストから選択できるようにしておくと、入力の手間が省けるだけでなく、担当者ごとの表記の揺れも防げるでしょう。
3.システムを導入する
請求書発行システムを導入すれば、必須項目の入力漏れや計算ミスなどを自動的にチェックしてくれるので、初めて使う人でも簡単に作成できます。
また作成した請求書は、そのままシステム上で承認フローに進めることができ、発行までの時間短縮が期待できます。さらに、販売管理システムや顧客管理システムと連携させれば、受注情報や契約内容と請求内容を自動で突合させ、より効率的かつ正確な発行が可能です。
請求書をチェックする時のポイント

請求書のチェックは、受け取る側も発行する側も細心の注意が必要です。ここでは、それぞれの立場で特に確認すべきポイントと、間違いやすい点を解説します。
請求書の受領時に確認すべきポイント
取引先から請求書を受け取った際に、必ず確認しておきたい項目です。
- 社内の事前申請を経た取引か
- 請求内容に誤りがないか
- 適格請求書発行事業者であるか、記載内容は十分か
1.社内の事前申請を経た取引か
まず、受け取った請求書が、社内で正式に承認された取引に基づいているかを確認しましょう。具体的には稟議書や発注書など、関連する社内手続きの記録と照合します。承認されていない取引や、身に覚えのない請求でないかを確認するのは基本的なチェック項目です。
2.請求内容に誤りがないか
事前に申請された取引だった場合、請求書に記載された商品名や数量、単価、合計金額などが、事前に取り交わした契約書や発注書の内容と一致しているかを確認します。納品された商品や提供されたサービスの検収が完了しているかも併せて確認しましょう。
3.適格請求書発行事業者であるか、記載内容は十分か
取引先がインボイス制度における適格請求書発行事業者である場合、受け取った請求書が必要な記載要件(登録番号、適用税率、消費税額など)を満たしているかを確認します。要件を満たしていない場合、仕入税額控除が受けられない可能性があるため注意が必要です。
請求書の発行時に間違えやすいポイント
自社で請求書を発行する際に、特に間違いが発生しやすい点を紹介します。
- 取引内容の不一致
- 請求の重複や漏れ
- 税金の誤記載
1.取引内容の不一致
発行する請求書の内容が、顧客との契約内容や受注内容と異なっているケースです。特に、金額や数量の間違いはトラブルの原因になりやすいため、慎重な確認が求められます。
2.請求の重複や漏れ
同じ取引に対して誤って二重に請求書を発行してしまったり、逆に請求すべき項目(例えば、適用されるはずの割引など)が漏れていたりするミスです。これは請求データの管理体制や他部署との連携ミス、契約書・受注書の確認不足が原因で発生します。
3.税金の誤記載
消費税の区分(標準税率か軽減税率か)や税額計算、源泉所得税の計算などを誤ってしまうケースです。税金に関する計算ミスは、自社の税務申告にも影響を及ぼすため、正確な処理が求められます。
請求書チェックを効率化する5つのステップ

請求書チェックの業務負担を軽減し、効率化を推進するためには、段階的に取り組むことが効果的です。ここでは、効率化を実現するための具体的なステップを紹介します。
- 現状の課題を明確にする
- 社内のチェック体制やフローを見直す
- システム導入や外部委託を検討する
- 新しいサービスを使ってテスト運用する
- 本格導入と運用管理
1.現状の課題を明確にする
まず、現在の請求書チェック業務において、どこに問題があるのかを明確にすることが重要です。たとえば、時間のかかっている作業や、頻繁に発生しているミス、不要と思われる作業を行っていないかを洗い出し、具体的に整理していきます。
2.社内のチェック体制やフローを見直す
次に、明確になった課題に対して、現在の社内体制や業務フローを改善することで対応できる箇所がないか検討します。例えば、チェック項目をリスト化して確認漏れを防いだり、ダブルチェック体制を導入したり、承認プロセスを見直して不要なステップを削減したりといった改善策が考えられます。
業務フローを変更する場合は、小規模な範囲で試験的に運用し、効果を確認しながら改善を進めるのがよいでしょう。
3.システム導入や外部委託を検討する
社内の工夫だけでは課題解決が難しい場合や、より抜本的な効率化を目指す場合は、システムの導入や外部委託を検討します。現在は、請求書受領システムや経理業務のアウトソーシングサービスなど、さまざまな選択肢があります。これらはコストが発生しますが、業務の正確性向上や大幅な効率化が期待できます。
検討する際は、自社の課題解決につながる機能やサービスを提供しているか、費用対効果が見合うかなどを複数のシステムや委託先で比較することが重要です。資料請求や問い合わせを通じて、詳細な情報を収集することが有効です。
4.新しいサービスを使ってテスト運用する
システムや外部委託サービスを選定する際には、可能な限りテスト運用やトライアル期間を利用しましょう。実際に自社の業務フローに組み込んで試してみることで、本当に課題が解決できるか、導入に当たってどのような準備が必要か、ほかの部署への影響はどの程度かなどを具体的に確認できます。
5.本格導入と運用管理
テスト運用を経て本格導入が決定したら、まずは関係部署や取引先へ変更内容を周知し、協力を得られるように準備を進めます。必要であれば、他システムとの連携も設定しましょう。
システム導入後も、実際に運用していく中で新たな課題や改善点が見つかる場合があります。その際は、システム提供企業や委託先に連絡し、相談しながら運用方法を改善していく姿勢が求められます。
システム導入のメリット

請求書チェック業務の効率化において、システムの導入は有効な手段の一つです。システムを活用することで、どのようなメリットが得られるのかを具体的に見ていきましょう。
1.請求書に関する業務の効率化
システムを導入する大きなメリットは、請求書関連業務の大幅な効率化です。請求書のフォーマット作成支援、入力内容の自動チェック、承認フローの電子化などにより、請求書の作成から受領した請求書の内容確認、承認手続きにかかる手間と時間を削減できます。
発行した請求書や受け取った請求書データもシステム上で一元管理できるため、ファイリングや保管といった作業が不要です。会計システムなどほかのシステムとデータ連携させれば、手作業による転記や集計などがさらに減り、経理担当者はより付加価値の高い業務に時間を充てられるようになります。
2.人為的ミスの予防
人の手で作成された書類は、どれほど注意して確認しても、人によるチェックだけでミスを完全に防ぐことは難しいでしょう。システムを導入し、入力規則のチェックや計算の自動化、マスターデータとの照合などを任せることで、ミスの発生を抑制し、業務の正確性を高めることができます。
また、特定の担当者の経験や判断に頼っていた作業を標準化できるため、業務の属人化を防ぐ効果も期待できます。
3.法改正への迅速な対応
インボイス制度や電子帳簿保存法のように、請求書業務に関連する法律は改正される場合があります。多くの請求書関連システムは、法改正に合わせて機能がアップデートされるため、利用企業は自社だけでスムーズに対応可能です。
法改正に関する専門知識がなくても、システムを利用することで法令に準拠した業務運用を維持しやすくなるでしょう。
4.テレワークも可能になる
請求書の作成、送付、受領、承認、保管といった一連の業務をシステム上で完結できるようになれば、オフィスに出社しなくても業務を進められます。これにより、テレワークやサテライトオフィスなど、柔軟な働き方が可能になります。
多様な働き方が可能な環境は、育児や介護といったライフステージの変化にも対応しやすく、従業員の満足度向上につながります。結果として、優秀な人材の確保や定着にも寄与します。
まとめ
請求書チェックは手間の多さや記載ミス、法対応が課題となります。
効率化を図るには、フォーマットの統一や業務フローの見直し、請求書管理システムの導入などが有効です。なかでもシステムの活用は業務全体の効率化に加えて、人為的ミスの削減や法改正への迅速な対応、多様な働き方の推進にも寄与します。
まずは自社の課題を明確にし、体制見直しやシステム導入を検討することで、請求書チェックの効率化を目指しましょう。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部