- 経費精算
経費精算のよくある課題と解決策|システム活用や効率化のポイントを解説
公開日:

経費精算にまつわる一連の業務は、現場で働く従業員と経理部門の双方にとって、大きな負担となりがちです。このような課題を放置することは、単に時間やコストの無駄を生じさせるだけでなく、企業全体の統制や透明性にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
本記事では、経費精算プロセスにおいて頻繁に見られる課題と、その根本的な原因を詳細に整理します。さらに、これらの問題に対する解決策として、システムの導入と運用の改善を通じて具体的なアプローチを解説します。
立替経費をなくす新しい経費精算スタイル
経費精算に関するよくある課題とは

経費精算は、一見すると単純な事務作業のように見えますが、実際には多くの課題が潜んでいます。以下に、企業が直面しやすい代表的な経費精算の課題を整理します。
- 申請内容の不備や記入ミスが多い
- 申請・承認フローの遅延
- 領収書の回収や管理が煩雑
- 仕訳・会計ソフトへの転記作業の負担
- 全体のコストが見えづらい
申請内容の不備や記入ミスが多い
手書きやExcelなどの表計算ソフトで経費精算を管理している場合、申請内容に不備が生じやすくなります。たとえば、金額の入力ミスや領収書の添付漏れ、必須項目の記入漏れなどがよく発生します。
手作業が中心の運用では、チェック体制が甘くなりやすく、その結果、経理担当者が申請内容を一件ずつ再確認する手間が増えます。このようなヒューマンエラーが、申請書の差し戻しや承認の遅延を招き、結果として業務全体の非効率につながります。
申請・承認フローの遅延
経費精算プロセスでは、申請者、承認者、経理担当者の間で連携が取れていないと、フロー全体の停滞を招きやすくなります。たとえば、承認者が提出された申請書に気づかず放置されたり、承認後の連携が遅れたりすることで、最終的な支払い処理に時間がかかるケースがあります。
このような状況が継続すると、立替経費を負担している従業員の不満が高まるほか、経理業務全体に混乱を招くおそれもあります。精算の遅延は、従業員の士気や企業の資金繰りにも悪影響を及ぼす可能性があります。
領収書の回収や管理が煩雑
紙の領収書を回収・管理する運用を続けている企業では、提出の遅れや紛失といったトラブルが発生しやすくなります。従業員が出張や外出から戻るまで、原本を提出できないケースも多くあり、これにより経理部門の処理が滞って、月次や年次の締め処理に深刻な影響を与えることも少なくありません。
また、紙の領収書を保管するためのスペースが必要となる点や、仕分け作業に手間がかかるという課題も存在します。さらに、過去の書類の検索性が著しく低いことも、必要な情報を迅速に引き出せないという点で、業務効率を阻害する大きな要因となります。
仕訳・会計ソフトへの転記作業の負担
経費精算後の仕訳や会計ソフトへの転記作業は、多くの企業で大きな負担となっています。特に手書き伝票やExcelによる管理をしている場合、経理担当者が一件ずつ内容を確認し、手入力する必要があるため、時間と労力がかかります。
こうしたケースでは、入力ミスや二重計上といったリスクも避けられません。このような作業の非効率は、締め処理や月次決算の遅延にもつながります。
全体のコストが見えづらい
経費精算業務が属人的な方法で行われている企業では、部門ごとの支出や特定の費目の傾向を正確に把握することが困難になります。たとえば、交通費や接待費、備品購入費などが個別の申請書やシステムでそれぞれ処理されているだけでは、企業全体として「どこに」「どれだけの」資金が使われているのかを詳細に把握することは困難です。
このような状態では、予算の過不足に気付くのが遅れるといった事態が発生したり、各費用項目に対する費用対効果の分析が適切に行えなかったりする恐れがあります。コストの「見える化」が不十分な状態では、経営判断に必要なデータの精度も低下し、意思決定を誤るリスクが高まります。
経費精算の課題の根本的な原因

経費精算プロセスに存在する多様な課題の背景には、共通するいくつかの原因があります。表面的な問題に対処する前に、その根源を理解することが重要です。ここでは、経費精算業務が抱える構造的な問題について解説します。
アナログな作業に依存している
経費精算業務を依然として紙媒体や表計算ソフトに依存している企業では、入力ミスや記入漏れといったヒューマンエラーが発生しやすくなります。特に手作業が中心の環境では、申請内容の確認や修正に多くの手間と時間を要するため、全体の処理スピードが低下しがちです。また、個々の担当者によって対応にばらつきが生じやすく、業務全体の一貫性を欠く原因にもなります。
アナログな運用は、単なる非効率にとどまらず、入力情報の正確性や経費処理の透明性を損なう要因にもなります。
運用ルールが属人的で曖昧
経費精算の運用において、明確なルールや統一されたマニュアルが整備されていない企業では、従業員ごとの対応にばらつきが生じる傾向があります。たとえば、領収書の提出時期や申請書類の記入方法が人によって異なることで、経理担当者の確認作業が煩雑になります。
こうした属人的な運用体制は、業務の標準化を妨げるだけでなく、ヒューマンエラーやトラブルの要因となりかねません。結果として、経費精算業務の効率が低下するおそれがあります。
管理体制がシステム化されていない
経費精算システムを導入していない、または一部機能しか活用していない場合、情報が分断され、手作業による処理が残ることで業務全体の効率が低下します。
たとえば、紙で経費申請を行い、仕訳処理は手作業で入力するといった運用では、データの一元管理が困難となり、確認作業が煩雑になりがちです。さらに、申請の承認状況や処理進捗が見えづらいため、部門間の連携ミスや処理の遅延を招く可能性も高まります。このような状況は、組織全体の生産性にも影響を及ぼしかねません。
経費精算の運用改善ポイント

経費精算の課題を解消するためには、表面的な対応だけでなく、運用全体の見直しが欠かせません。業務フローやルール、ツールの整備を通じて、ミスや非効率の原因を根本から取り除くことが求められます。ここでは、改善に向けた具体的なポイントをご紹介します。
社内ルールの見直しとマニュアル整備
曖昧なルールは、トラブルや処理の遅れを招く要因にもなりかねません。経費精算の運用を標準化するには、社内ルールやマニュアルの整備が不可欠です。担当者によって対応がばらつく状況も改善され、属人化の防止にもつながります。
その上で定期的に見直しを行い、現場の実態に合わせたマニュアルを維持することが重要です。
フローの見直し
経費精算の効率化を図るためには、申請から承認、最終確認までのフローを明確に定義することが重要です。誰がどの段階で処理を行うのかを社内で明確に共有しておけば、対応漏れや二重確認といった無駄を防ぐことができます。
役割分担が曖昧なままでは、申請の停滞や責任の所在の不明確さを招くおそれがあります。全体の流れを可視化することで、関係者間の連携も円滑になります。
定期的な運用見直しとフィードバック体制
経費精算の仕組みは、一度整備すれば終わりというものではありません。実際の運用状況に即して定期的な見直しを実行し、継続的な改善点を特定していくことが求められます。
現場で実際に業務を行う従業員からの声を積極的に収集し、申請の手間や不明点といった具体的な課題を正確に把握することによって、ルールをより実用的で効果的なものに近づけることができます。継続的なフィードバックを受け、それに基づいて運用ルールを柔軟に調整することで、経費精算のルールが形骸化することを防ぎ、実効性を保つことが可能となります。
経費精算システムを導入
経費精算システムを導入すると、申請から承認、仕訳処理、会計ソフト連携までの業務を一括で自動化できます。これにより手作業によるミスや処理の遅延が大幅に減少し、経理担当者の業務負担も軽減されます。
また、領収書のデータ化や、申請・承認状況のリアルタイムでの可視化によって、経費精算業務全体のスピードと精度が飛躍的に向上します。
結果として、単なる経理部門の効率化にとどまらず、全社的な業務効率化や企業のガバナンス強化にもつながる大きなメリットとなります。
経費精算をシステム化するメリット

経費精算業務をシステム化することで、手作業に依存していた業務プロセスを抜本的に効率化できます。ここでは、システム化によって企業が得られる主要なメリットについてご紹介します。
ペーパーレス化によって領収書管理の合理化ができる
経費精算システムを導入することで、領収書管理のペーパーレス化が実現できます。たとえば、従業員がスマートフォンで領収書を撮影し、その画像をシステムにアップロードするだけで、紙の領収書の提出は不要となります。
このような仕組みを取り入れることで、経費申請書類の提出が早まり、経理部門の処理もスムーズに進行可能です。
また、従業員が紙の領収書を持ち歩く必要がなくなることで、紛失や破損といったリスクも低減されます。
さらに、すべての領収書がデジタルデータとして一元管理されることで、精算履歴の検索や確認が容易になり、結果として領収書管理業務全体の効率化にもつながります。
会計システムとの連携で仕訳が自動化できる
経費データを会計システムと連携させることは、仕訳作業の大幅な削減を可能にします。申請された経費情報は自動的に会計ソフトへと取り込まれるため、経理担当者が手動で勘定科目を選択・入力する必要がなくなります。
結果として、入力ミスや勘定科目の誤分類といったヒューマンエラーを防ぎやすくなり、月次決算までの時間短縮にもつながります。
また、データがリアルタイムで同期されるため、経営陣は常に最新の財務状況を迅速に把握しやすくなり、経営の判断材料として活用しやすくなります。
社外からの経費精算が容易になる
クラウド型の経費精算システムを導入することで、インターネット環境さえあれば、オフィス外からでも経費申請を行うことが可能になります。たとえば、出張先や移動中でも、スマートフォンやノートPCで領収書を撮影し、その場で申請を完了できるため、申請漏れや提出遅延が起きにくくなります。
また、紙の書類を持ち帰る必要がなくなることで、従業員の負担も軽減されます。このように、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方への対応が可能になる点が、クラウド型システムの大きな特長です。
法人カードとの連携で立替経費がなくなる
経費精算システムと法人カードを連携させることで、従業員が個人で経費を立て替える必要がなくなります。これにより、立替金の精算申請や振込処理といった事務作業が大幅に削減され、申請から承認に至るまでのフローも簡素化されます。
さらに、法人カードの利用明細が自動でシステムに連携されるため、経理担当者の確認や仕訳作業の負担も軽減されます。
結果として、ミスの防止や経費処理の精度とスピードの向上にもつながります。
システム導入時の注意点と成功のコツ

経費精算システムの導入を成功させるためには、単にツールを導入するだけでは不十分です。業務フローの見直しや社内の体制づくりなど、事前準備と段階的な進め方が重要となります。ここでは、導入時に押さえておくべき以下のポイントについて解説します。
- 現状業務の棚卸と課題の可視化
- 関係者を巻き込んだ導入体制の構築
- 段階的な導入でスムーズに定着
現状業務の棚卸と課題の可視化
経費精算システムを導入する前には、まず現行の業務フローを棚卸しし、全体像を把握するプロセスが欠かせません。どの工程に時間がかかっているのか、どこでミスが発生しやすいのかといった課題を明確にすることで、改善すべきポイントが見えてきます。
無計画にシステムを導入しても、運用上の課題が解消されなければ十分な効果は得られません。現場の声を取り入れながら、現実に即した改善策を検討することが成功への第一歩です。
関係者を巻き込んだ導入体制の構築
経費精算システムの導入を成功させるには、経理部門だけでなく、実際に申請や承認を行う他部署の協力が不可欠です。現場に適した運用ルールが整備されていないと、システムが定着せず形骸化する恐れがあります。
そのため、導入段階から現場の意見を取り入れ、全社的な合意形成を図ることが重要です。IT部門や管理部門との連携も強化し、部門をまたいだプロジェクト体制を構築することが、スムーズな定着につながります。
段階的な導入でスムーズに定着
経費精算システムの導入は、一度に全社へ展開するのではなく、段階的に進める方が定着しやすくなります。まず、一部の部署を選定し、そこでの試験運用を通じて潜在的な課題や改善点を事前に洗い出します。これにより、本格的な全社導入時における混乱を未然に防ぐことが可能となるでしょう。
テストとして小規模な運用から取り組むことで、従業員がシステムの操作を習得し、定着がよりスムーズに進みます。このような段階的なアプローチが、システムの安定した導入を実現し、早期に目に見える効果へと結びつく鍵となります。
まとめ
本記事では、経費精算業務における代表的な課題と、その根本的な原因を紹介しました。それに対する解決策として、システム導入と運用改善の観点から解説しました。
経費精算システムを導入することは、手作業に依存していた業務プロセスの効率化を実現する有効な手段です。ペーパーレス化や各種業務の自動化といった取り組みが進むことで、業務全体のスピードと精度が向上します。
ただし、単にツールを導入するだけでは、十分な効果は得られません。システムの特性を最大限に生かすためには、導入前に社内体制や業務フローを見直し、準備を整えておくことが重要となります。
クラウド経費精算サービス「Bill One経費」は、専用のビジネスカードで立替払いをなくし、これまでにない経費精算を実現します。
全社員の経費の支払いをBill Oneビジネスカードで行うことで、経費精算に必要な対応をオンラインで完結し、企業から立替経費をなくすことができます。
Bill One経費・Bill Oneビジネスカードの特長
- 全社員へのBill Oneビジネスカード配布によって立替経費をなくせる
- 99.9%*の精度で領収書をデータ化し、自動で利用明細と突合
- 電子帳簿保存法やインボイス制度への対応
- 1カ月当たりの利用限度額が最大1億円
- カードごとの利用限度額設定が可能
- 年会費・発行手数料無料
*Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合のデータ化精度
Bill One経費は専用のビジネスカードによって経費精算にかかる工数を削減し、月次決算の加速に役立ちます。ぜひBill One経費の導入をご検討ください。


3分でわかる Bill One経費
立替経費をなくし、月次決算を加速する
クラウド経費精算サービス「Bill One経費」について簡単にご説明した資料です。



執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部