• 経費精算

経費管理を効率化するには?ミスを防ぎ業務が楽になるポイントを解説

経費管理を効率化するには?ミスを防ぎ業務が楽になるポイントを解説

経理業務に追われ「経費管理をもっと効率化できないか?」と悩んでいる経理担当者は少なくありません。特に「業務負担の大きさ」「属人化」「ミスのリスク」「監査対応の不安」などは多くの担当者に共通する課題ではないでしょうか。

この記事では、入力ミスや処理の遅れが発生しやすい手作業の経費管理から脱却し、Excelやシステム導入などにより経理業務を効率化する方法を紹介します。自社に最適な管理体制を構築し、経理部門の業務負担を軽減するためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

経費管理とは?

経費管理は、企業活動をする上で欠かせない業務の一つです。まずはその基礎知識から振り返ってみましょう。

経費管理の定義

経費管理とは、企業活動において発生するさまざまな支出を正確に記録し、適切に処理・分析するための一連の管理プロセスです。具体的には、経費の申請・承認・精算・記帳といった一連の流れを管理し、予算との照合や分析を行います。

経理業務全体の中で、経費管理は日常的な取引処理と会計報告の橋渡し的な役割を担います。さらに適切な経費管理によって、経営者は正確な情報に基づく経営判断を下すことが可能です。

経費の種類と分類

企業活動で発生する主な経費は、以下のように分類できます。

経費の主な種類

交通費

出張や営業活動に伴う電車、バス、タクシー、航空券などの費用

交際費

取引先との会食や贈答品などの接待を目的とした費用

通信費

電話代、インターネット回線使用料、郵便料金などにかかる費用

消耗品費

事務用品や日用品など短期間で消費される物品の購入費用

水道光熱費

電気、ガス、水道などのインフラ関連の費用

地代家賃

事務所や店舗の賃貸料

これらの経費は会計上、適切な勘定科目(たとえば「旅費交通費」「接待交際費」「通信費」など)に分類する必要があります。なお、私的な支出や資本的支出(固定資産の取得など)は、経費とは別に処理しなければなりません。

経費管理の具体的な業務

経費管理を構成する3つの主要なプロセスを示す図

企業の経費管理は、主に「経費精算」「予算管理」「決算処理」の3つのプロセスで構成されています。それぞれについて見ていきましょう。

経費精算についての詳細は、以下の記事をお読みください。

経費精算

経費精算とは、従業員が業務上立て替えた費用を企業に精算してもらう一連の手続きです。主に以下の4つのステップで進められます。

STEP1.申請段階

従業員が、業務上で発生した経費について申請を行います。申請内容には以下を含めるのが一般的です。

  • 支出の目的・内容
  • 金額・日付
  • 添付資料(領収書など)

なお多くの企業では、業務効率化を目的として紙の申請書からクラウド型経費精算システムへの移行が進んでいます。

STEP2.承認段階

提出された申請は、上長や経理担当者が申請内容を確認し、社内規定に沿っているかをチェックします。不備があれば差し戻し、問題なければ承認します。

STEP3.精算段階

承認された経費は、従業員への立替金の返金や、企業のクレジットカード利用分の確認が行われます。

STEP4.記帳段階

1~3までのプロセスを経て確認された経費は、最終的に会計システムに記録します。

ここでは、勘定科目への正しい分類や、消費税の区分処理などの税務対応も含まれます。

予算管理

予算管理は、計画的な経費支出を実現するための重要なプロセスです。

部署別またはプロジェクト別に予算を策定する際は、過去の実績データを分析し、事業計画に基づいて適切な予算額を設定します。たとえば、営業部門では交通費や交際費、開発部門では研究開発費や消耗品費などの予算を詳細に設定します。

予算策定後は、定期的に予算と実績の差異分析を行います。予算超過が発生した場合は、その原因を分析し、以下のような対応策を講じます。

  • 支出内容の見直しによるコスト削減
  • 他部門から流用するなどの予算の再配分
  • 追加予算の申請と承認

適切な予算管理をすることで、経費の無駄を抑制し、効率的な資金活用が可能になります。

決算処理

決算処理は、企業の経費支出を財務上正しく反映させるために欠かせないプロセスです。主に「月次決算」と「年次決算」に分かれ、それぞれで目的と役割が異なります。

月次決算では、当月分の経費をすべて計上して正確な月次損益を把握します。ここでは未払計上や前払費用の処理など、正確な期間帰属を意識した会計処理が必要です。これにより、月々の経営状況をタイムリーに把握できます。

年次決算では、期末に経費の棚卸しを行い、計上漏れや重複計上がないかどうか確認します。ここでは税務上の処理(交際費の損金算入制限など)も考慮しながら、最終的な決算書が作成されます。

月次決算についての詳細は、以下の記事をお読みください。

なぜ経費管理が重要なのか

適切な経費管理は、企業の財務健全性の維持だけでなく、コンプライアンス遵守、業務効率の向上など、複数の観点から企業経営において不可欠な要素です。以下では、経費管理がなぜ重要なのか、主に3つの観点から解説します。

企業の財務状況を把握するため

経費管理は企業の財務状況を正確に把握するための基盤です。日々の支出を適切に記録・分類することで、どの部門やプロジェクトにどれだけのコストがかかっているかを明確にできます。これにより、収益性の低い事業や過剰なコストが発生している領域を特定することができます。

また、経費データを分析することは経営判断の重要な指標となります。たとえば固定費と変動費の割合を把握することで、売上変動が利益に与える影響を予測できます。さらに、経費の推移を定期的にモニタリングすることで、異常値の早期発見や資金繰り予測が可能になります。

このように、経費管理は単なる支出の記録にとどまらず、企業経営の羅針盤としての役割を果たす重要な業務です。

ガバナンスを強化するため

経費管理は、税法や会社法などの法令に準拠した正確な処理を行う上で不可欠です。適切な経費処理をすることで、税法や会社法などの法令に則った、正確な納税や適正な財務報告をすることで、税務上のリスク回避につながります。

また、経費管理体制は不正防止の上でも効果的です。承認フローの整備や証憑の厳格な管理により、架空経費の計上や私的流用などの不正リスクを大幅に低減できます。これは内部統制の観点からも重要です。

さらに、正確な経費管理は投資家や取引先からの信頼獲得にも役立ちます。透明性の高い経費管理は、企業のガバナンス体制の健全性を示す指標となるのです。

業務効率を向上させるため

効率的な経費管理体制の構築は、業務プロセス全体の最適化につながります。たとえば、経費申請から承認、精算までのプロセスを電子化・自動化することで、処理時間の大幅な短縮が可能です。

また、経費の動きをリアルタイムで可視化することにより、予算管理の精度が向上します。予算超過の兆候をいち早く察知し、適切な対策を講じることができるため、無駄な支出を未然に防ぐことが可能です。

従業員側の視点では、経費精算の手間が減ることで本来の業務に集中できるようになります。申請手続きの簡素化や、経費精算の迅速化は、従業員満足度の向上につながり、組織全体の生産性向上に寄与するでしょう。

経費管理を効率化する4つの方法

経費管理の煩雑さや非効率さに悩む企業は少なくありません。ここでは、経費管理業務を効率化するための4つの実践的な方法を紹介します。

  • 業務フローの見直し
  • Excelを活用した管理
  • 経費精算システムの導入
  • アウトソーシングの活用

業務フローの見直し

経費管理の効率化の第一歩は、現状の業務フローを可視化し、ボトルネックを特定することです。たとえば紙の領収書を手動でファイリングする作業や、複数の承認者によるチェックの重複など、不要な工程がないか検討します。

具体的な改善策としては、以下が効果的です。

  • 承認フローの簡略化:少額経費は部門長の承認で済ませるなど、段階を見直す。
  • 経費項目の統一:不要なカテゴリを統合し、入力ミスや迷いを防止する。
  • 電子領収書の導入:紙保管の手間を省き、検索性を向上させる。
  • 報告頻度の最適化:業務負荷に応じて日次→週次など柔軟に設定する。

特に、承認フローのデジタル化は大きな効果をもたらします。紙の申請書や押印の代わりにメールやチャットツールでの承認プロセスを導入するだけでも、処理時間を大幅に短縮できるでしょう。

Excelを活用した管理

多くの企業では、経費管理を行うツールとしてExcelを活用しています。Excelを使った経費管理のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 初期投資が少なく、すぐに始められる
  • 自社の業務に合わせたカスタマイズが容易
  • 基本的な関数を使った自動計算が可能

デメリット

  • 手入力によるミスのリスク
  • 複数人での同時編集が難しい
  • データ量が増えると処理が重くなる

なお、無料テンプレートを活用すれば、ゼロからワークシートを作成する手間を省けます。たとえばMicrosoft公式サイトでは、経費精算表や予算管理表など、さまざまなテンプレートが提供されています。これらのテンプレートを自社の業務に合わせてカスタマイズすることで、効率的な経費管理を実現できるでしょう。

Excelを使った経費精算の効率化についての詳細は、以下の記事をお読みください。

参照:Microsoft|「Microsoft Office のテンプレート - 楽しもう Office

経費精算システムの導入

経費管理の大幅な効率化を実現してくれるのが、クラウド型の経費精算システムです。これらのシステムには、主に以下のような特徴があります。

機能

内容

スマホ対応

領収書を撮影してアップロード、自動入力

OCR自動読取

領収書の文字情報を自動で読み取り分類

電子承認

上長承認をクラウド上で完結

会計システム連携

勘定科目仕訳や仕入帳と自動連携

AIによる不正検知

金額の異常値や重複データを検出

  • スマートフォンでの領収書のデジタル化(撮影するだけで自動データ化)
  • OCR技術による領収書情報の自動読み取り
  • 電子承認フローによる迅速な処理
  • 会計システムとの連携による仕訳の自動化

特にAIを活用した最新のシステムでは、領収書の内容から適切な勘定科目を自動判別したり、不正検知機能により異常値を検出したりすることも可能です。これにより、経理担当者の負担が大幅に軽減されるだけでなく、経費データのリアルタイム分析も可能になります。

経費精算システムの利用には初期費用や月額利用料がかかりますが、業務効率化による人件費削減や、分析精度向上によるコスト管理の強化など、長期的なメリットは非常に大きいといえるでしょう。

アウトソーシングの活用

経費管理のアウトソーシングは、社内リソースを本業に集中させるための選択肢の一つです。

たとえば小規模企業や成長途上のスタートアップ企業などでは、経理専任担当者を置くよりも、専門の経理代行サービスを利用し、アウトソーシングするほうが効率的な場合があります。プロフェッショナルによる正確な処理と、最新の会計知識に基づいたアドバイスが受けられる点も大きなメリットといえるでしょう。

特にアウトソーシングに適している業務は以下の通りです。

  • 領収書の仕分けやデータ入力
  • 経費精算処理や振込業務
  • 月次での経費集計・分析
  • 税務処理を含む決算関連業務

アウトソーシングを検討する際は、セキュリティー体制や実績、対応可能な業務範囲などを十分に確認することが重要です。また、すべての業務を委託するのではなく、定型的な業務のみを外部化し、重要な分析や判断は社内で行うといった部分的なアウトソーシングも効果的です。

経理アウトソーシングについての詳細は、以下の記事をお読みください。

経費精算システムの選び方

経費精算システムを導入する際は、自社に適したシステムを選ぶことが成功の鍵となります。特に、以下の点に留意しましょう。

自社の課題を明確にする

経費精算システム導入の第一歩は、現状の業務における具体的な課題の洗い出しです。

  • 経費申請〜承認〜精算の処理が煩雑・遅い
  • 紙の領収書管理に手間がかかっている
  • 予算と実績の管理が部門単位でできていない
  • 入力ミスや不正経費の検知が困難

といった実務上の悩みを言語化し、「解決したい課題の優先順位」を明確にしましょう。

たとえば、経費精算の迅速化を重視するなら承認フローの自動化機能、正確性を重視するならOCR機能の精度が評価軸になります。

必要な機能を検討する

経費精算システムに必要な機能は、自社の業種や規模、業務フローによって異なります。一般的に検討すべき主な機能は以下の通りです。

分類

主な機能例

基本機能

領収書のデジタル化、経費申請・承認フロー、精算処理

連携機能

会計ソフトとの連携、人事システムとの連携、銀行システムとの連携

分析機能

部門別・プロジェクト別集計、予算実績管理、経費分析レポート

管理機能

マスタ設定、権限管理、監査証跡

これらの機能について「必須」「あれば便利」「不要」などと分類し、優先度を明確にしましょう。将来的な事業拡大や、組織変更を見据えた拡張性も考慮することも重要です。

費用対効果を比較する

経費精算システムの費用は、初期費用(導入費、カスタマイズ費)と運用費用(月額利用料、保守料)に分けて検討する必要があります。

一般的にクラウド型は初期費用が抑えられる一方、ユーザー数に応じた月額費用がかかります。費用対効果を判断する際は、特に以下の点を考慮しましょう。

  • 現状の経費管理にかかる人件費
  • システム導入による時間削減効果
  • ペーパーレス化によるコスト削減
  • 経費データの可視化による間接的な効果

複数のシステムを比較検討して、費用面だけでなく、導入後のサポート体制なども含めて総合的に判断することが重要です。

サポート体制を確認する

経費精算システム導入後に運用を定着させるためには、充実したサポート体制が不可欠です。システム選定時には、以下のようなサポート内容を確認しましょう。

  • 導入時の研修支援(管理者/一般ユーザー向け)
  • 問い合わせチャネルの種類(電話・チャット・メール)
  • サポートの対応時間・平均応答時間
  • 専任担当の有無やフォローアップ体制
  • アップデート時の情報提供と支援内容
  • カスタマイズや外部連携対応の柔軟性

これらを事前に比較検討し、「問い合わせ対応の質が高いか」「将来的な拡張に対応できるか」という観点でも評価することが大切です。

まとめ

この記事では、経費管理の基本から効率化の方法、システム選びのポイントまで解説しました。

経費管理は単なる支出記録ではなく、財務状況の把握やガバナンス強化、業務効率向上に欠かせない重要業務です。業務フローの見直し、Excelやクラウドシステムの活用、場合によってはアウトソーシングも検討することで、業務の効率化を進めていきましょう。

クラウド経費精算サービス「Bill One経費」は、専用のビジネスカードで立替払いをなくし、これまでにない経費精算を実現します。

全社員の経費の支払いをBill Oneビジネスカードで行うことで、経費精算に必要な対応をオンラインで完結し、企業から立替経費をなくすことができます。

Bill One経費の特長

  • 全社員へのBill Oneビジネスカード配布によって立替経費をなくせる
  • 領収書の受け取りから承認、仕訳、保管まで、経費精算に必要な対応をオンラインで完結
  • 99.9%*の精度で領収書をデータ化し、自動で利用明細と突合
  • 電子帳簿保存法やインボイス制度への対応
  • カード利用状況のリアルタイム把握と不正利用の防止
  • カードごとの利用限度額設定が可能
  • 1カ月当たりの利用限度額が最大1億円
  • 年会費・発行手数料無料

*Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合のデータ化精度

Bill One経費は専用のビジネスカードによって経費精算にかかる工数を削減し、月次決算の加速に役立ちます。ぜひ導入をご検討ください。

3分でわかる Bill One経費

立替経費をなくし、月次決算を加速する
クラウド経費精算サービス「Bill One経費」について簡単にご説明した資料です。

「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務全般の課題や法対応など、経理課題の解決に導く情報をお届けします。

請求書にまつわる業務の悩みBill Oneなら、解決できます

サービスの詳しい説明や<br />デモを希望する
サービスの詳しい説明や
デモを希望する
サービス内容や代表的な機能、<br />料金体系などを紹介します
サービス内容や代表的な機能、
料金体系などを紹介します
業務フローに合わせた<br />最適なプランの作成を依頼する
業務フローに合わせた
最適なプランの作成を依頼する