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もう紙は不要? 電子請求書の作り方を徹底解説!メリットや注意点、導入手順まで
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「請求業務を効率化したいけど、電子請求書の導入は難しそう…」
そのように感じている方も多いのではないでしょうか?実際、電子請求書の作成方法や導入手順、法律やセキュリティー対策など、不明点が多いと感じている方も少なくありません。
一方で、2024年10月に行われた郵便料金の値上げをきっかけに、これまで請求書を紙で送っていた企業が電子請求書に切り替える動きも進んでいます。
本記事では、電子請求書の作成方法について、誰でも理解できるよう丁寧に解説していきます。これを機に、電子請求書の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
電子請求書とは?導入のメリットや種類を解説
「電子請求書」とは、紙ではなく電子データの形式で作成・送付する請求書のことです。電子請求書には、主に以下の3つの種類があります。
電子請求書の種類
電子請求書には、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- メール型
- ダウンロード型
- システム型
1.メール型
メール型は、請求書データをPDFなどのファイル形式に変換し、メールに添付して送付する方法です。
WordやExcelなどの一般的なソフトで作成できるため、特別なシステムやソフトを導入する必要がなく、低コストで手軽に導入できるのが特徴です。
PDF化することで、内容が改ざんされる心配が少ないというメリットもあります。
2.ダウンロード型
ダウンロード型は、請求書データをWebサイトやオンラインストレージにアップロードし、取引先がURLにアクセスしてダウンロードする方法です。
メールの容量制限を気にせず送信できることから、請求書に加えて大容量のファイルを送りたい場合にも利用できます。
パスワード設定やアクセス制限などのセキュリティー対策を施せるため、機密性が高い点も特徴です。
3.システム型
システム型は、請求書発行企業と受取企業のそれぞれが専用のシステムを介して請求書データを送受信する方法です。
請求書の作成から送付、受領、管理まで、一連の業務をシステム上で完結できるため、大規模な取引や複雑な請求処理を行う企業に向いています。
システムによっては、会計ソフトや請求書発行ソフトと連携できるものもあり、業務効率化に効果的という特徴もあります。
電子請求書を導入するメリット
電子請求書を導入することで、大幅なコスト削減や業務効率化を実現できます。ここでは以下の4つのメリットについて解説します。
- コスト削減
- 業務効率化
- セキュリティー向上
- 取引先の負担減
1.コスト削減
電子請求書を導入することで、印刷代や郵送費、紙の請求書の保管コストを削減できます。
たとえば紙の請求書を送る場合、1枚あたりの印刷代が5円、郵送料が110円かかるとすると、100枚の請求書を送付するのに合計11500円が必要です。
一方、電子請求書なら印刷の必要はなく、郵送費も発生しません。
有料のオンラインストレージを利用する場合や専用のシステムを使う場合はそれぞれ利用料が発生しますが、印刷代+郵送費よりも安くなるケースがほとんどです。
2.業務効率化
電子請求書を導入すると、請求書の作成から送付、受領、管理まで、一連の業務を効率化できます。
請求書の作成、印刷、封入、発送などの手作業を大幅に削減できるだけでなく、請求データと会計データを連携させることで、転記ミスなどの人為的なミスを防止できます。
また、発行した請求書の発送状況や入金状況をリアルタイムで確認できるため、タイムリーな対応も可能です。
過去の請求書を簡単に検索でき、必要な情報をすぐに見つけ出せる点もメリットです。
3.セキュリティー向上
電子請求書はセキュリティー面でも大きなメリットがあります。
紙の請求書には、紛失や誤廃棄、盗難、災害等による滅失、誤配送といったリスクが伴いますが、電子請求書であれば、こうしたリスクを軽減でき、バックアップを取っておくことで、万が一の場合でもデータを復旧できます。
一方、電子請求書で懸念されることの多い情報漏えいについては、アクセス制限やパスワード設定、通信の暗号化などのセキュリティー対策を講じることでリスクを低減できるでしょう。
4.取引先の負担減
上に挙げたメリットは、発行企業だけでなく取引先にも同じように当てはまります。
電子請求書を導入することで取引先との良好な関係が築かれ、顧客満足度の向上につながるかもしれません。
電子請求書の作り方
電子請求書の作成には、いくつかの方法があります。
電子請求書を作るための基本
電子請求書を作成する前に、まずは以下の3つの基本事項を押さえておきましょう。
- 発行・受領に必要な法的要件
- セキュリティー対策
- 電子請求書における印鑑の扱い
1.発行・受領に必要な法的要件
電子請求書は、インボイス制度の要件を満たして作成・保存する必要があります。具体的には、適格請求書の必要記載項目が必須です。
適格請求書の必要記載項目
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称
- 適格発行事業者の登録番号
- 取引年月日
- 取引内容
- 適用税率
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および消費税額
- 請求書を受領した者の氏名または名称
これらの要件を満たしていないと、電子請求書として認められず、税務調査などで思わぬトラブルに発展する可能性があります。
参照:国税庁「4 適格請求書の記載事項」
2.セキュリティー対策
電子請求書は、紙の請求書と比べて紛失や盗難、誤配のリスクが低いものの、サイバー攻撃やシステム障害によるデータ消失のリスクは存在します。また不正アクセスや内部不正により、情報漏えいが起こる可能性もあります。
これらのリスクを軽減するために、強固なセキュリティー対策を講じることが重要です。具体的には、たとえばアクセス制限やパスワード管理、データのバックアップ、セキュリティーソフトの導入などが挙げられるでしょう。
なお、クラウド型の請求書管理サービスを利用する場合は、サービス提供事業者がどのようなセキュリティー対策を実施しているかを確認することが重要です。
3.電子請求書における印鑑の扱い
電子請求書では、印鑑を押すことが義務付けられていません。しかし商習慣として印鑑を押している企業は多く、取引先から押印を求められるというケースもしばしばあります。
このような場合に使用するのが「電子印鑑」です。電子印鑑は印影画像の添付で手軽に行えます(悪用を避けるため、実印のスキャンは避けた方が良いでしょう)。またExcelのオブジェクト挿入機能を利用して、陰影を簡単に作ることも可能です。
ただし電子印鑑に法的効力を持たせる場合は、AdobeのAcrobatなどを利用して電子署名を電子文書に付与する必要があります。
表計算ソフトを使用して作る
電子請求書は、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトでも作成ができます。特別なソフトやサービスが必要ないため、コストを抑えて電子請求書を作成できる点がメリットです。
ただし手作業で請求書を作成するという点では紙の請求書と違いがないため、効率化には限界があります。また電子帳簿保存法の要件を満たすことが難しい場合がある点にも注意が必要です。
- メリット
特別なソフトやサービスが不要、コストを抑えられる - デメリット
作業が多いため、効率化には限界がある。電子帳簿保存法への対応が難しい場合もある
専用ソフトを使用して作る
請求書作成ソフトや会計ソフトなど、電子請求書の作成に特化した専用ソフトも数多く販売されています。これらのソフトは、電子帳簿保存法に対応しているものが多く、請求業務を効率化できる機能が充実している点がメリットです。
一方で、導入費用やランニングコストがかかる場合がある点がデメリットです。無料ソフトやクラウド型のサービスもあるので、コストを抑えたい場合はそれらを検討するのも良いでしょう。
- メリット
効率的に請求書を作成できる、電子帳簿保存法に対応しているソフトも多い - デメリット
導入費用やランニングコストがかかる場合がある
クラウドサービスを利用して作る
クラウドの請求書発行サービスを利用すれば、インターネット環境があればどこでも電子請求書の作成・送付が可能です。
初期費用やランニングコストが抑えられるうえ、サービスによっては電子帳簿保存法やセキュリティー対策に対応しており、導入後のサポートも充実しています。
ただし、サービスごとに機能や料金が異なるため、自社に合ったサービスを選ぶ必要があります。
- メリット
低コストで導入しやすい、電子帳簿保存法やセキュリティー対策に対応している、サービスが多い、導入後のサポートが充実している場合もある - デメリット
サービスによって機能や料金が異なるため、慎重に選ぶ必要がある
電子請求書を導入する際の注意点
電子請求書を導入する際は、以下の3つの注意点に留意しましょう。
- 受領側への配慮と確認
- 運用ルールの整備
- セキュリティー対策
1.受領側への配慮と確認
電子請求書を導入する前に、取引先に電子請求書を受け取れる環境があるかどうかを確認しましょう。
取引先によっては、電子請求書を受信するためのシステムがない、または電子請求書でのやり取りに慣れていないことも考えられます。事前に確認せずに電子請求書を送付してしまうと、かえって取引先に迷惑をかけてしまう可能性があるため、事前に確認をしておきましょう。
もしも取引先が電子請求書に対応していない場合は、紙の請求書と併用する、電子請求書に対応するためのサポートを行うなどの対応を検討しましょう。
また取引先によっては、ファイル形式や送信方法を指定されることもあります。事前に相手とよく話し合い、円滑なコミュニケーションを心がけましょう。
2.運用ルールの整備
電子請求書をスムーズに運用するためには、社内ルールを明確化しておくことが重要です。
たとえば、紙の請求書と電子請求書の使い分け、電子請求書の保管場所、誰がどのタイミングで送信するかといった、具体的なルールを定めておく必要があります。トラブル発生時の対応についても、あらかじめ決めておきましょう。
こうした運用ルールをマニュアル化し、従業員に周知徹底することで、ミスやトラブルを未然に防ぐことができます。
3.セキュリティー対策
電子請求書には情報漏えいや改ざんのリスクが伴うため、セキュリティー対策を徹底する必要があります。
具体的には、以下のような対策が有効です。
- アクセス権限の設定
請求書データへのアクセス権限を適切に設定し、必要最低限の従業員しかアクセスできないようにする - パスワード管理の徹底
複雑なパスワードを設定し、定期的に変更する - ウイルス対策ソフトの導入
最新のウイルス対策ソフトを導入し、常にアップデートを行う - 不正アクセスの監視
不正アクセスを検知できるシステムを導入し、早期発見・対応に努める
こうしたセキュリティー対策を講じることで、安心して電子請求書を運用できるでしょう。
まとめ
電子請求書は、コスト削減や業務効率化、セキュリティー向上など多くのメリットをもたらします。その作成方法には表計算ソフト、専用ソフト、クラウドサービスなど複数の選択肢があり、自社の状況に最適な方法を選ぶことが重要です。
ただし、導入にあたっては法的要件への対応、セキュリティー対策、取引先との調整など、いくつかの課題に直面することもあります。特に電子帳簿保存法への対応や、取引先の受け入れ態勢の確認は不可欠な要素となります。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部
記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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