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電子帳簿保存法に対応したクレジットカードの利用法|利用明細・領収書の保存方法とは?
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2024年の電子帳簿保存法の改正により、電子取引を行う企業で電子帳簿保存法への対応が求められるようになりました。経費精算で利用されるクレジットカードの領収書や利用明細も、電子帳簿保存法に則った保存が求められます。
本記事では、電子帳簿保存法に対応したクレジットカードでの経費精算について、分かりやすく解説します。
経費精算の電子化で業務工数削減
電子帳簿保存法に基づくクレジットカードの利用明細書・領収書の保存方法

クレジットカードの利用明細書や領収書も、電子帳簿保存法の対象です。データ・紙それぞれの保存ルールを理解し、適切な対応を取ることが求められます。
ここでは、電子帳簿保存法に基づくクレジットカードの利用明細書・領収書の保存方法について具体的に解説します。
データで受け取った場合の保存ルール
クレジットカードの利用により、レシートや領収書をメールやクラウドサービスを通じて電子データとして受け取るケースは一般的になりました。これらは「電子取引データ」として電子帳簿保存法の対象となり、紙に印刷して保管するのではなく、電子データのまま保存することが義務付けられています。
電子取引データの保存要件とは?
電子帳簿保存法の規定によると、保存には「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。真実性とは、タイムスタンプの付与や訂正・削除履歴の記録を残すことで、データの改ざんを防止する仕組みです。一方、可視性とは、取引日・金額・取引先名などで検索できる状態にあることを指し、ファイル名のルール設定やフォルダ分類の整備が該当します。
これらの要件を満たしていないと、法的な証憑として認められない可能性があるため、データ保存の方法には注意が必要です。
紙で受け取った場合の保存ルール
紙の領収書やレシートを受け取った場合でも、電子帳簿保存法に則ってスキャナ保存することで電子化が可能です。
その際には、受領後おおむね7営業日以内、または業務処理サイクルの期間(最長2カ月以内)経過後おおむね7営業日以内にスキャンを行い、保存する必要があります。また、スキャンした画像は、改ざんされていないことが保証され、帳簿データと相互に関連付けられる状態であることが求められます。
スマートフォンや複合機を用いた撮影・スキャンでも対応可能ですが、保存形式や管理方法には一定のルールがあるため、制度上の要件を満たさなければなりません。
クレジットカードの利用明細書・領収書の保存期間
クレジットカードの利用明細書や領収書は、電子データ・紙媒体いずれも法人の場合は7年間の保存が必要です。これは、事業年度の申告書提出期限の翌日から起算されます。なお、青色申告の法人で繰越欠損金がある場合は、保存期間が10年間に延長されます。
電子帳簿保存法におけるクレジットカードを使った経費処理のポイント

クレジットカードを使った経費処理でも、電子帳簿保存法の保存要件を満たす必要があります。個人利用と法人利用では求められる対応が異なるため、それぞれの実務上の違いを押さえておきましょう。
個人のクレジットカードで支払った場合
個人のクレジットカードで経費を支払った場合は、会社への立替精算となるため、証憑の保存が特に重要です。必ず領収書やレシートを受け取り、紙で受領した領収書やレシートを電子保存する場合はスキャナ保存の要件(受領後おおむね7営業日以内、または業務処理サイクルの期間経過後おおむね7営業日以内の保存、改ざん防止、検索性の確保)を満たす必要があります。また、私的な支出と業務上の経費が混在しやすいため、帳簿との関連性や用途の明確化が求められます。
正確な証憑管理ができていないと、経費としての支出を証明できず、税務署から否認される可能性があるため、区分整理と適切な保存体制の構築が不可欠です。
法人のクレジットカードで支払った場合
法人のクレジットカードを利用すれば、経費処理の記録が法人名義で一元管理できるため、電子帳簿保存法への対応がスムーズになります。
多くの会計ソフトで連携可能なので、クレジットカードの利用明細を自動取得し、帳簿付けと証憑保存を同時に行えます。この仕組みがあることで、ヒューマンエラーの防止や業務の効率化が期待できます。
ただし、仕入税額控除を適用するには、インボイス制度に基づく適格請求書の保存が必要となるため、明細書だけでなく領収書や請求書の取得・保存も忘れずに行うようにしましょう。
クレジットカード利用による電子帳簿保存法と会計処理のメリット

クレジットカードを使った経費処理は、電子帳簿保存法の要件に適合しやすく、実務上の利点も多くあります。帳簿の正確性やペーパーレス化の観点から、その具体的なメリットを見ていきましょう。
クレジットカード利用で帳簿入力ミスや転記ミスを防止できる
クレジットカードを経費支払いに活用することで、取引内容がカード会社の利用明細として自動的に記録され、会計ソフトと連携すればそのまま帳簿データとして取り込むことが可能です。
手入力の手間が省け、入力漏れや転記ミスといったヒューマンエラーを大幅に防ぐことができ、結果として、帳簿の正確性が高まって電子帳簿保存法が求める整合性のある記録管理にも適合しやすくなります。
特に仕訳作業の多い企業にとっては、経理業務の効率化と品質向上を同時に実現できる大きなメリットとなるでしょう。
クレジットカードのWeb明細活用でペーパーレス化が進められる
クレジットカードのWeb明細を活用すれば、紙の明細書を出力・保管する手間が不要となり、業務のペーパーレス化を大きく促進できます。電子帳簿保存法では、電子取引に関するデータは電子のまま保存することが原則とされており、Web明細はその形式に適合しやすいのが特徴です。
PDFなどでダウンロードした利用明細を、検索機能や改ざん防止措置を備えた形でクラウド上に保存すれば、法的要件にもスムーズに対応できます。紙の管理から解放されるだけでなく、検索性や共有性も向上するため、経理業務全体の効率化にもつながります。
クレジットカードを使った経費処理は、電子帳簿保存法の要件に適合しやすく、実務上の利点も多くあります。帳簿の正確性やペーパーレス化の観点から、その具体的なメリットを見ていきましょう。
クレジットカード利用で帳簿入力ミスや転記ミスを防止できる
クレジットカードを経費支払いに活用することで、取引内容がカード会社の利用明細として自動的に記録され、会計ソフトと連携すればそのまま帳簿データとして取り込むことが可能です。
手入力の手間が省け、入力漏れや転記ミスといったヒューマンエラーを大幅に防ぐことができ、結果として、帳簿の正確性が高まって電子帳簿保存法が求める整合性のある記録管理にも適合しやすくなります。
特に仕訳作業の多い企業にとっては、経理業務の効率化と品質向上を同時に実現できる大きなメリットとなるでしょう。
クレジットカードのWeb明細活用でペーパーレス化が進められる
クレジットカードのWeb明細を活用すれば、紙の明細書を出力・保管する手間が不要となり、業務のペーパーレス化を大きく促進できます。電子帳簿保存法では、電子取引に関するデータは電子のまま保存することが原則とされており、Web明細はその形式に適合しやすいのが特徴です。
PDFなどでダウンロードした利用明細を、検索機能や改ざん防止措置を備えた形でクラウド上に保存すれば、法的要件にもスムーズに対応できます。紙の管理から解放されるだけでなく、検索性や共有性も向上するため、経理業務全体の効率化にもつながります。
クレジットカードの利用明細書の扱い方

クレジットカードの利用明細書は、必ずしもそのまま証憑として通用するわけではありません。電子帳簿保存法やインボイス制度に適合させるための正しい扱い方を確認しておきましょう。
利用明細書と領収書の違い
クレジットカードの利用明細書は、取引の履歴を一覧化したものであり、あくまでカード会社が発行する記録です。一方、領収書は取引先が発行する正式な証憑であり、「取引先名」「取引日」「購入内容」「金額」などが明記されています。利用明細書にはこれらの情報が十分に記載されていないことが多く、電子帳簿保存法上の証拠書類としての効力は限定的です。
特に税務上では、内容の特定ができない利用明細書は経費として認められない可能性があるため、領収書との併用が基本となります。
利用明細書を領収書の代わりにできる場合とは?
クレジットカードの利用明細書は、一定の条件を満たしていれば領収書の代わりとして証憑として認められることがあります。
具体的には、利用明細に「取引日」「金額」「利用店舗名」「商品やサービスの内容」「発行者名(カード会社)」の5項目がすべて記載されていることが必要です。これらの情報が揃っていれば、税務署でも証憑として受け入れられる可能性があります。
ただし、いずれかの項目が欠けている場合は証憑としての信頼性が不十分と判断されるため、領収書との併用が推奨されます。経費処理の正確性を保つためにも、証憑の内容は必ず確認しましょう。
仕入税額控除には利用明細では不十分な場合も
インボイス制度の開始により、消費税の仕入税額控除を受けるためには、「適格請求書(インボイス)」の保存が義務付けられました。しかし、クレジットカードの利用明細書はあくまで支払い履歴を示すものであり、発行者が取引先ではなくカード会社であるため、適格請求書の要件を満たすことができません。
そのため、仕入税額控除を確実に受けるには、取引先から発行された領収書または適格請求書を別途取得し、保存する必要があります。
電子帳簿保存法におけるクレジットカードを使った経費処理のポイント

電子帳簿保存法への対応では、クレジットカードの使い方にも正しいルールが求められます。ここでは、個人カードと法人カードそれぞれの経費処理における留意点を解説します。
個人のクレジットカードで支払った場合
個人のクレジットカードで経費を支払った場合は、立替精算として処理されるため、適切な証憑の提出と保存が欠かせません。
電子帳簿保存法の観点からは、クレジットカードの利用明細書だけでは不十分であり、領収書やレシートの取得と保存が原則必要です。スキャナ保存を行う場合は、保存期限や改ざん防止措置などの要件を満たす必要があります。
また、個人のクレジットカードは私的な支出と混在しやすいため、業務に関連する取引のみを明確に区分し、記録を整理することが重要です。証憑の信頼性を高めることが、税務リスクを防ぐ鍵となります。
法人のクレジットカードで支払った場合
法人のクレジットカードを利用すると、経費処理と電子帳簿保存法対応の両面で業務効率が向上します。多くのカードは会計ソフトと連携でき、取引明細を自動で取得・仕訳できるため、入力ミスや手間を削減できます。さらに、Web明細は「電子取引」として保存できるので、電子データのまま管理すれば法令要件を満たすことが可能です。
ただし、仕入税額控除を受けるには、利用明細書だけでは不十分で、適格請求書(インボイス)の保存が必要になります。利用明細書とインボイスを組み合わせた運用が、正確で実務的な対応につながります。
まとめ
本記事では、電子帳簿保存法に対応したクレジットカードでの経費精算について、利用明細書・領収書の扱いや保存方法を中心に解説しました。
クレジットカードを活用することで、電子帳簿保存法への対応や経費処理の効率化が期待できます。
一方で、利用明細書だけでは証憑として不十分な場合があり、領収書やインボイスの取得・保存が欠かせません。運用に当たっては、法的な要件を満たす保存方法やツールを導入することが重要です。
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記事監修者のご紹介
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
保有資格:弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、グローバル事業の支援を得意とし、「国際ビジネス法務サービス」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部



