- 経費精算
法人向けETCカードの種類と選び方|リスク管理と経理業務の効率化を両立させる方法も紹介
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法人向けのETCカード導入は、交通費精算をデジタル化し、経理業務を効率化するための一歩です。しかし、適切なETCカードを選び、正しく運用しなければ、かえって管理が煩雑になるリスクも潜んでいます。
本記事では、3種類の法人向けETCカードの比較から、選定時に考慮すべきポイントと導入の流れ、ガバナンス強化と経理処理の自動化を両立させる運用方法まで解説します。
交通費精算を効率化する経費精算システム
法人向けETCカード導入によるメリット

法人向けETCカードを導入することで、高速道路料金の割引によるコスト削減、経理事務の効率化、経費利用の透明性向上といった複数のメリットが期待できます。ここではそれぞれの内容を見ていきます。
高速道路料金のコスト削減
ETCカードで高速道路を利用すると、時間帯や曜日に応じた各種割引制度が適用されます。主な割引としては、以下のようなものが挙げられます。
制度名 | 対象 | 割引内容 |
|---|---|---|
深夜割引 | 毎日 0時〜4時 | 高速道路が30%割引 |
休日割引 | 土曜日・日曜日・祝日 | 地方部の高速道路が30%割引 |
平日朝夕割引 | 平日 6時〜9時/17時〜20時 | 月の利用回数に応じて最大50%還元 |
参照:NEXCO東日本|「割引情報・ETC」(2026年4月時点)
こうした割引制度を組み合わせて活用すれば、車両移動が多い企業のランニングコストを抑えることも可能です。
なお、利用条件や割引率は制度改定により変更される可能性があるため、実際に利用する際は、公式ホームページなどで最新情報を確認しましょう。
経理事務の負担軽減
法人用のETCカードを導入することで、従業員が高速道路料金を立て替える必要がなくなります。
現金の受け渡しや領収書の回収・保管にかかる手間が軽減され、利用料金は後日まとめて法人口座から引き落とされるため、精算業務の簡素化につながります。特に、出張や外回りが多い企業では、立替精算にかかっていた工数を削減できる点は大きなメリットです。
経費精算の透明性向上
ETCカードの利用明細には、通行日時、利用したインターチェンジ、金額といった情報が記録されます。
これにより、「いつ・誰が・どこで」高速道路を利用したかが可視化され、手書きの記録や自己申告に頼る方法と比べて、経費の透明性と正確性を高める効果が期待できます。
法人向けETCカード3つの種類

法人向けETCカードは、大きく3種類に分けられます。それぞれ発行元や審査方法、コスト体系、適用される割引制度が異なるため、自社の規模や走行頻度に応じた選択が必要です。各カードの主な違いは上記の通りです。
法人カード付帯型(クレジットカード連携型)
クレジットカード会社が、法人カードの追加発行として提供するETCカードです。
法人カード付帯のETCカードの大きな特長は、他の経費(備品購入や交際費など)と支払いを法人カードに一元化できる利便性です。
法人カードによっては、ETC利用分に対してポイントが貯まるものもあります。
また、クレジットカードのため支払いは後日となり、キャッシュフロー的にもメリットがあります。
すでに法人カードを所有している場合、手続きが比較的スムーズであることもメリットです。
法人カードについては、以下の記事をお読みください。
法人ETCカード(協同組合発行型)
ETC協同組合などが発行する、クレジット機能のないETC決済専用のカードです。
このタイプの最大の特徴は、独自の審査基準を設けているため、設立間もない新設法人や個人事業主でも審査に通りやすく、導入のハードルが低い点にあります。
クレジットカードの審査に不安がある場合や、クレジット機能そのものが不要な企業に適したカードといえるでしょう。
参照:ETC協同組合|「法人ETCカード申し込みならカード発行率No.1のETC協同組合」
ETCコーポレートカード(大口・多頻度割引特化型)
東/中/西日本高速道路株式会社(NEXCO3社)が発行する、大口・多頻度割引制度に特化したカードです。
毎月の利用額が大きい企業ほど高い割引率が適用されるため、配送業など頻繁に高速道路を利用する企業にとってメリットの大きいカードといえます。ただし、カードと車両が1対1で登録される「車両限定」であるため、登録した指定車両以外では利用できない点に注意が必要です。
参照:ETC利用参照サービス|「ETCコーポレートカードとは」
法人向けETCカードを比較検討する際のポイント

自社に合ったETCカードを選ぶには、コスト、審査条件、発行枚数、利用範囲、管理機能などの観点から総合的に比較することが大切です。ここでは、検討時の主なポイントを整理します。
トータルコスト
検討時には、表面上の割引率だけでなく、維持にかかるトータルコストを算出することが大切です。
年会費や発行手数料に加え、特に協同組合系のカードでは、走行料金に応じた「事務手数料」が発生する場合があります。ETCコーポレートカードの場合は、利用見込月額に応じた保証金が必要です。
こうした費用を加味した上で、実質的なコスト削減効果がどの程度かをシミュレーションする必要があります。
カード審査
導入を急ぐ場合は、審査の有無と発行までにかかる期間も重要なポイントになります。
法人カード付帯型のETCカードは、クレジットカード申込時にカード会社の与信審査があるため、発行までに時間がかかる傾向にあります。
組合系カードなどは審査が通りやすく、比較的スムーズに発行されるケースが多いものの、それでも申し込みから利用開始まで、数週間〜1カ月程度は見込んでおく必要があります。
発行枚数
社用車の台数や利用する従業員の人数に合わせて、必要な枚数を柔軟に発行できるかも確認すべき重要なポイントです。
法人カード付帯型や法人ETCカードの場合は、1台の車載器ごとに複数枚のカードを発行できる場合もありますが、ETCコーポレートカードの場合は車両とカードがひも付いており、1台につき1枚しか発行できません。
自社の運用が「車両固定」なのか「担当者持ち回り」なのかなど、車両運用の実態に合わせてカードを選ぶ必要があります。
利用範囲
ETCカードを利用できる車両に制約があるかどうかも重要な判断基準となります。
法人カード付帯型や法人ETCカードはレンタカーや代車などでも利用できますが、ETCコーポレートカードを利用できるのは特定の登録車両のみです。
自社の車両運用の実態や、ガバナンスの観点などから、どのカードを選ぶべきか検討が必要です。
管理のしやすさ
不正検知やコスト管理において、管理のしやすさ、特に利用明細の「見える化」は重要なポイントです。
具体的には、車両別、部署別、あるいは利用者別で明細を集計できるか、月次の締め処理に必要な粒度のデータが取得できるかを確認します。
明細データが不十分だと、経費の按分作業や不正のチェックが困難になります。自社の経理フローに合わせて、最適なカードを選ぶことが大切です。
法人向けETCカード導入の流れ

ETCカードの導入は、カードの選定・申し込みから社内の運用体制づくりまで、段階的に進めることが大切です。ここでは、一般的な導入の流れを紹介します。
申し込みから利用開始まで
一般的な導入ステップは以下の通りです。
ステップ | 内容 | |
|---|---|---|
1 | カードの選定 | 自社の利用頻度や目的に合ったカード種別を選択する |
2 | 必要書類の準備 | 登記事項証明書、印鑑証明書、車検証の写し、本人確認書類など、発行元が指定する書類を揃える |
3 | 申し込み | Webサイトや郵送にて申込手続きを行う |
4 | 車載器のセットアップ | 車両にETC車載器が未設置の場合は、取り付けとセットアップ(再セットアップを含む)を行う |
5 | カードの受取・利用開始 | 手元に届いたカードを車載器に挿入し、正常に作動することを確認する |
カードの種類によっては、申し込みから利用開始まで数週間〜1カ月程度かかるケースがあります。利用開始日から逆算し、余裕を持ったスケジュールで手続きを進めましょう。
社内運用ルールの策定
複数枚のETCカードを運用する場合、管理ルールの策定が重要です。たとえば、以下のような項目が挙げられます。
- カードの管理方法(車両ごとに固定するか、利用者ごとに貸与するか)
- 業務外利用の禁止に関する規定
- 紛失・盗難時の報告フローと利用停止手続き
- 利用明細の確認頻度と承認プロセス
加えて、利用可能な時間帯や区間の制限、締め日の扱い(月次精算のタイミング)なども事前に定めておくとよいでしょう。
このようなルールを就業規則や社内マニュアルに明記しておくことで、運用上のトラブルを未然に防ぎやすくなります。
法人向けETCカードを効果的に運用するポイント

ETCカードの導入後も、運用方法を継続的に見直すことで、経費管理の精度と業務効率をさらに高めることができます。ここでは、効果的な運用の観点から3つのポイントを紹介します。
利用履歴の可視化による不正・私的利用の防止
複数枚のカードを運用する場合、誰がいつどの区間を通行したかを定期的に確認できる体制を整えることが、ガバナンス強化に直結します。
利用明細を月末にまとめて確認するだけでなく、週次や隔週など定期的にチェックする運用を設けることで、業務外利用や不審な利用パターンの早期発見につなげることができます。
たとえば、深夜帯や休日の利用が業務実態と合致しているか、通行区間が業務上の目的地と整合しているかなどを確認するチェックリストを作成しておくと、管理者が利用実績を効率的に把握しやすくなるでしょう。
利用明細データと会計ソフトのシームレスな連携
ETCカードを導入しても、利用明細を手作業で会計ソフトに転記する運用のままでは、事務負担の本質的な削減にはつながりません。
カードの利用明細データを経費精算システムや会計ソフトに自動で取り込める仕組みを構築できれば、入力ミスの防止と処理時間の短縮を同時に実現できます。
導入するカードがどのようなデータ形式で明細を出力できるかを事前に確認し、自社の会計システムとの連携可否を検討しておくことが大切です。
管理コストを抑える「一元管理」の仕組みづくり
車両や部署ごとにバラバラに管理されていた支払い情報や利用明細を一つのシステムに集約することで、月次決算の早期化やデータの整合性確保に効果が期待できます。
ETCカード導入のゴールは、目の前のコスト削減(割引率の最大化)だけではなく、通行料データを一元管理できる体制を整えることです。導入時からシステム連携を見据えた運用設計を行うことで、将来的な管理コストの抑制にもつながります。
経理システムの選び方については、以下の記事をお読みください。
まとめ
法人向けETCカードの導入は、単なる通行料金の支払い手段を確保することではなく、コスト削減と経理業務のデジタル化を同時に推進するための重要な施策です。法人カード付帯型、法人ETCカード、ETCコーポレートカードの中から、自社の状況に合わせて最適なものを選びましょう。
ETCカードを導入したら、データをいかに効率的に経理処理に結びつけるかも重要です。せっかくカードを導入しても、明細と経費精算システムが連動していなければ、データ入力の手間が残り続けてしまいます。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部






