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法人カードは本当に必要?必要な会社と不要な会社の違い、メリット・デメリットを徹底解説!
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近年、多くの企業が経費支払いに法人カードを導入しています。とはいえ「本当に必要なのか」「導入メリットやデメリットは何か」と疑問を抱く経営者や経理担当者も少なくありません。
法人カードには、経費精算の効率化など多くのメリットがある一方で、不正利用リスクといったデメリットもあります。
本記事では、法人カードの仕組みを解説し、導入のメリット・デメリットを徹底比較します。自社にとって本当に必要かを判断するために、ぜひ参考にしてください。
法人カードは必要か?法人カードの基本的な仕組み

法人カードは、企業にとって経費管理や業務効率化に役立つツールの一つです。しかし、その仕組みや個人向けカードとの違いを正しく理解していないと、導入の判断を誤る可能性もあります。まずは法人カードの基本をしっかりと押さえておきましょう。
法人カードの定義
法人カードとは、法人企業や個人事業主を対象に発行されるビジネス専用のクレジットカードのことです。主に業務上の経費の支払いに使われ、企業の経理処理やキャッシュフローの管理に役立ちます。
導入により経費の可視化や不正利用の抑止にもつながるため、近年では企業規模を問わず活用が進んでいます。
個人向けクレジットカードとの違い
個人向けクレジットカードと法人カードの最大の違いは、利用目的と管理方法にあります。法人カードは法人名義で発行され、支払いも法人の銀行口座から行われます。これによって経費を私的利用と明確に区分することが可能です。
さらに、経費精算の効率化にも大いに役立ちます。社員が立て替える必要がなくなるため、経理処理の手間を大幅に削減できます。
その他にも、空港ラウンジの利用や旅行傷害保険、マイルの優遇制度など、法人カードにはビジネスシーンに特化した特典が多く付帯されています。
こうしたサービスを活用することで、企業活動をより快適かつ効率的に進めることができるのも法人カードならではの魅力です。
法人カードの種類
法人カードには、企業規模や利用目的に応じて主に3つの種類があります。
- ビジネスカード
- コーポレートカード
- パーチェシングカード
まず「ビジネスカード」は、中小企業や個人事業主を対象としたカードです。年会費が比較的安く、代表者個人の信用情報を基に発行されることもあるため、創業間もない事業者でも利用しやすいのが特長です。
「コーポレートカード」は、大企業向けに設計されており、利用枠が大きく、追加カードの発行枚数も多いため、社員の多い組織での利用に適しています。
「パーチェシングカード」は、企業の仕入れや定期的なサービス利用など、特定の支払いに特化したカードで、部署単位や費目別に管理しやすく、経費の可視化と合理化に役立ちます。
こうした違いを理解し、自社の運用目的に応じて適切なカードを選ぶことが重要です。
法人カードが必要な企業・不要な企業

法人カードの導入がすべての企業に必要とは限りません。ここでは、法人カードを導入することで大きなメリットを享受できる企業と、必ずしも必要としない企業の特徴について具体的に解説します。自社の状況に照らし合わせながら、導入の検討材料にしてください。
法人カードを導入すべき企業
特定の業務環境や経営課題を抱える企業にとって、法人カードは大きな助けとなるツールです。ここでは、法人カードの導入によって特に導入のメリットが大きい企業タイプを5つの視点から紹介します。

出張・外出が多く経費精算が煩雑な企業
営業職や出張が多い企業では、交通費や宿泊費などの立替精算が頻繁に発生するため、申請者と経理担当者の双方に大きな負担となります。
法人カードを導入すれば、個人の仮払いや現金管理が不要になり、支出の記録も自動化されます。精算ミスの防止や作業時間の短縮が可能となり、業務効率が大幅に向上します。
社員数が多く、経費管理が複雑な企業
社員数が多い企業では、部署ごとに多様な経費が発生し、経理部門の管理負担が大きくなりがちです。交通費や備品購入などの支出が増えるにつれて個別の立替処理や精算ミスのリスクも高まります。
法人カードを導入し、必要に応じて追加カードを配布すれば、誰がいつ何に使ったかを明確に記録できます。利用履歴をリアルタイムで確認できるため、不正使用の早期発見にもつながり、ガバナンス強化にも有効です。
経理業務の効率化を目指す企業
経理業務の効率化を図りたい企業にとって、法人カードの導入は有効な手段の一つです。手作業による経費精算は、入力ミスや処理の遅延を招く要因にもなりますが、法人カードを使えば取引データが自動で記録され、経費の透明性も高まります。
さらに、会計ソフトと連携することで、仕訳や帳簿への転記作業も簡略化され、作業時間の短縮が期待できます。人為的なミスを防ぎ、スピーディな月次決算にも貢献するでしょう。
キャッシュフローを安定させたい企業
キャッシュフローの安定を図りたい場合に、法人カードは非常に有効です。多くの法人カードでは、支払いを締日から1カ月以上先に設定できるため、実際の出費と資金の移動にタイムラグを持たせることができます。
また、急な出張や設備購入など、予期せぬ支出にも即時対応できるため、資金繰り全体の柔軟性も高まります。
外部からの信用力を高めたい企業
法人カードを保有していることは、外部からの信用力を高める一つの要因です。特に取引先や金融機関は、法人カードを通じて企業の経営基盤や資金管理体制を評価することがあります。
法人としての口座開設や契約が完了していること自体が、企業の信頼性を示す材料にもなり得るため、初対面の相手との商談でも好印象を与えやすくなります。さらに、法人カードの利用履歴が信用情報として蓄積されることで、将来的な与信判断にも有利に働くことが期待できます。
法人カードが不要な企業

法人カードは非常に便利なツールですが、すべての企業にとって必須というわけではありません。業種や事業規模、取引形態によっては、法人カードを導入しなくても業務が問題なく回るケースもあります。ここでは、法人カードをあえて導入しなくてもよいと考えられる企業の特徴について整理します。
現金取引がメインの小規模事業者
現金での取引が中心となる小規模事業者にとっては、法人カードの必要性は低いといえます。市場での仕入れや日々の現金精算が業務の大半を占める場合、クレジットカードを使う機会がほとんどありません。そのため、カードの導入に伴う年会費や管理コストが無駄になってしまう可能性もあります。
むしろ、現状の現金精算や簡易な帳簿管理で十分に経営が成り立つ場合には、無理にキャッシュレス化を進める必要はないでしょう。
クレジットカード決済ができない業界や業務形態
クレジットカードによる決済に対応していない仕入先や委託業者を多く抱える業界では、法人カードの導入メリットが限定的です。
支払い方法が現金や銀行振込に限られている場合、カードを利用する機会が自然と減ってしまいます。そうなると、年会費や管理の手間に見合うほどの恩恵を受けにくく、導入そのものがコスト負担になることもあります。
経費処理がシンプルで手間がかからない企業
経費の発生頻度が少なく、処理内容も限定的な企業にとっては、法人カードの導入が必須とは限りません。例えば、数名で運営されている小規模事業者では、交通費や備品購入などの支出が少なく、手書きやExcelでの精算でも大きな負担にならないケースが多いです。
会計処理も外部に委託している場合には、カード明細の取り込みなどの自動化も不要となるため、かえって導入コストや管理手間が増える可能性もあります。現状の運用で支障がなければ、無理に導入する必要はないでしょう。
設立間もなく、審査通過が難しい企業
企業設立直後は、事業実績や財務基盤が整っていないため、法人カードの審査を通過するのが難しいケースがあります。特に法人与信が重視されるカードでは、直近の決算書の提出が求められることもあり、スタートアップ企業にとっては大きなハードルとなるでしょう。
そのような状況では、代表者の個人信用情報を基に審査が行われるビジネスカードの利用が現実的な選択肢です。
キャッシュレスに不慣れな業界・顧客層を相手にしている企業
高齢者を主な顧客とするサービス業や地域密着型の小売業では、いまだ現金決済が主流です。このような業態では、法人カードの導入によるメリットは限定的となるでしょう。仮にキャッシュレス化を急速に進めた場合、顧客とのトラブルや混乱が生じるおそれもあります。
また、社内の従業員もキャッシュレスに不慣れであると、カード管理や精算処理が負担になることも考えられます。業務実態や顧客層に合わせた柔軟な決済方針が重要です。
法人カードを導入するメリット

法人カードを導入することで、経費精算の手間を削減できるだけでなく、キャッシュフローの安定やポイント還元によるコスト削減効果も期待できます。ここでは、法人カードの導入によって得られる主なメリットについて、具体的に解説していきます。
経費精算の効率化
法人カードを導入すると、従業員が個人カードで経費を立て替える必要がなくなり、精算業務の負担を大幅に軽減できます。カード利用履歴が明細として自動で残るため、領収書の管理もスムーズになります。経費支払いをカードに集約することで振込回数も減り、振込手数料のコストカットにも貢献できます。
キャッシュフローの改善
法人カードは、引き落とし日を決済日から数週間〜1カ月後に設定できる場合が多く、資金繰りの調整がしやすくなります。支払い猶予が生まれることで、突発的な出費にも柔軟に対応しやすくなり、経営の安定化に寄与します。
また、分割払いやリボ払いに対応したカードを選べば、急な高額支出も段階的に支払うことが可能です。こうした仕組みを活用することで、キャッシュフローにゆとりを持たせながら、安定した事業運営をサポートできます。
ポイント還元や特典の活用
法人カードを活用すれば、毎月発生する公共料金や通信費、広告費などの支払いで効率的にポイントを貯めることができます。貯まったポイントはオフィス用品や備品と交換でき、実質的な経費削減にもつながります。
さらに、空港ラウンジの無料利用や海外旅行保険の付帯、航空マイルの還元といった特典が充実しているカードもあり、出張の多い企業には特に大きなメリットがあります。
不正利用・経費の透明性確保
法人カードを導入することで、すべての支出が明細に記録され、誰が・いつ・何に使ったのかを明確に把握できます。これにより、経費の使途が可視化され、透明性の高い経費管理が可能となります。
また、カードごとに利用限度額や使用目的の制限を設定できるため、従業員による私的利用や不正使用のリスクも最小限に抑えられます。経費の見える化は、ガバナンス強化や内部統制の面でも大きな効果を発揮するでしょう。
法人カードのデメリットと注意点

法人カードは多くのメリットがある一方で、導入前に知っておくべきデメリットや注意点も存在します。ここでは、法人カードを導入する際に押さえておきたい主なデメリットと、それに伴う対策について詳しく解説していきます。
年会費・手数料が発生
法人カードの多くは、年会費や発行手数料といった固定費が発生します。特にゴールドカードやプラチナカードなど上位ランクのカードは、年会費が1万円〜数万円にのぼることも珍しくありません。こうした高額な年会費に対して、実際に活用する特典やサービスが見合っているかどうかを慎重に検討する必要があります。
見栄えやブランド力だけで選ぶと、費用対効果が悪くなる可能性があります。事業規模や用途に合ったカードを選ぶことが重要です。
審査が厳しい場合がある
法人カードを申し込む際には、カード会社による審査が必ず行われます。設立して間もない企業や、売上規模が小さく実績が乏しい企業は、法人としての信用力が十分でないと判断され、審査を通過できないケースが少なくありません。
このような場合は、代表者の個人信用情報を基に審査される「ビジネスカード」を選ぶことで、発行のハードルを下げることが可能です。ただし、個人信用に依存するリスクもあるため、慎重に検討することが求められます。
追加カードの管理が必要
法人カードを社員に持たせる場合、追加カードの管理体制を整えることが不可欠です。全社員の利用履歴をチェックしないままでは、不適切な用途での使用や不正利用につながる恐れがあります。そのため、カードごとの利用限度額の設定や、使途を部門ごと・目的別に制限するなど、明確なルールを設けておくことが重要です。
法人カードの選び方

法人カードは多種多様なサービスが存在するため、自社にとって最適な1枚を選ぶには明確な選定基準が必要です。ここでは、失敗しない法人カード選びのポイントをわかりやすく解説します。
利用目的を明確にする
法人カードを選ぶ際は、まず「どのような用途で使うか」を明確にすることが重要です。
経費管理を効率化したい場合は、会計ソフトと連携可能なカードや明細の自動仕分け機能があるものが適しています。頻繁に出張がある企業であれば、マイル還元率が高く、旅行保険や空港ラウンジ特典が付帯したカードを選ぶと良いでしょう。
資金繰りに余裕を持たせたい場合は、引き落としまでの猶予期間が長いカードを検討することで、キャッシュフローの改善につながります。
年会費と特典のバランスを考える
法人カードを選ぶ際は、年会費と付帯サービスのバランスを慎重に見極めることが必要があります。無料で発行できるカードは初期コストを抑えられますが、特典やサポートが限定的な場合があります。
一方、有料カードは、空港ラウンジの利用や旅行保険の充実、マイルの高還元率など、ビジネスをサポートする付帯サービスが豊富です。自社のニーズに合ったサービスが含まれているかを確認し、年会費分の価値があるかを総合的に判断することが大切です。
追加カードの発行枚数を確認
法人カードを複数の社員に持たせたい場合、追加カードの発行可能枚数を事前に確認しておく必要があります。カードによっては数枚しか発行できないものもあれば、大企業向けに100枚以上発行できるものも存在します。
発行上限を超えると別契約が必要になるケースもあるため、利用予定人数とのバランスを踏まえて選ぶと安心です。また、カードごとの利用制限が設定できるかも確認しておくと、管理がしやすくなります。
経理システムとの連携
会計ソフトや経費精算システムとの連携機能の有無も大きな判断材料となります。自動で利用明細が取り込める仕組みがあれば、手入力の手間を減らし、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
特に取引件数が多い企業にとっては、経理業務のスピードと正確性を高めるために欠かせない要素といえるでしょう。
法人カードを導入する際の注意点

法人カードは経費精算や業務効率の向上に役立つ反面、運用ルールが不明確なままだとトラブルの原因にもなります。スムーズに活用するには、事前に導入時の注意点を把握し、適切な管理体制を整えることが重要です。ここでは、導入に当たって押さえておきたいポイントを紹介します。
利用ルールを社内で徹底する
法人カードの導入に当たっては、社内での利用ルールを明確にし、全社員に周知することが欠かせません。業務目的以外の利用を未然に防ぐため、使用範囲や申請手続き、承認フローを文書化しておくと安心です。加えて、利用状況の定期的なモニタリングを行えば、不正や過剰な支出も早期に発見できます。
経費精算ルールと連携させる
法人カードを導入するのであれば、経費精算ルールと連携させることが不可欠です。例えば、会計ソフトとカード情報を自動で連携させれば、仕訳や入力作業の手間を大幅に省けます。
また、領収書の保存方法についても、電子帳簿保存法に準拠した運用が容易にできるようになり、監査や税務調査への備えも万全になります。
与信枠の適正管理
与信枠の適正管理も重要なポイントです。まず、使いすぎを防ぐために、カードごとに利用限度額を明確に設定しておくことが重要です。さらに、利用明細を定期的にチェックし、不正利用や不適切な支出がないかを確認する体制を整える必要があります。
カードを複数運用する場合には、部門ごとや社員ごとの使用状況を一覧で管理できる仕組みを導入することで、より安全かつ効率的な運用が可能になります。
まとめ
本記事では、法人カードは本当に必要かについて、必要な企業と不要な企業の違い、メリット・デメリットを解説しました。
法人カードには、経費精算の効率化など多くのメリットがある一方で、不正利用リスクなどのデメリットもあります。自社のニーズを十分検討し、法人カードの導入を考えることが重要です。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部