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統制経費とは?非統制経費との違いと勘定科目の具体例、管理のポイントについて解説
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統制経費とは、管理者の判断でコントロールできる経費のことです。「コストを削減したいが、どこから手をつければよいかわからない」「予算と実績が合わず、経営判断に活かせるデータがない」といった悩みの多くは、この統制経費の管理と関係しています。
本記事では、統制経費の定義、非統制経費との違い、代表的な勘定科目、そして利益に直結する管理方法を解説します。経費管理の精度を高め、自社の成長を加速させるための第一歩として、ぜひご一読ください。
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統制経費とは「企業がコントロールできる経費」のこと

統制経費を正しく理解することは、企業の経営管理において重要な第一歩です。ここでは、統制経費の基本的な概念から、その特徴、具体的な勘定科目まで解説します。
統制経費の定義
統制経費とは、管理者の裁量で支出の金額・時期を調整できる経費を指します。統制可能経費や管理可能経費と呼ばれることもあります。
統制経費は業績や市場環境の変化に合わせて迅速に配分を見直せるため、収益性の改善に直結し、経営管理の主要管理対象となります。
統制経費の特徴
統制経費には、主に3つの特徴があります。
管理者が直接コントロールできる
統制経費は、現場の状況を最もよく理解している管理者が必要性を判断し、支出の可否や金額を決定できます。
これにより、営業部門なら商談に必要な接待交際費の調整、製造部門なら生産状況に応じた消耗品の購入量の変更など、本社での一律の管理では見落とされがちな、各部門特有のニーズに対応した経費運用が実現できます。
短期的な調整が可能
統制経費は、オフィスの賃料や正社員の給与といった固定費のように契約に縛られないため、必要に応じて迅速な調整が可能です。
例えば、月末に予算の80%を消化していることが判明した場合、残り20%の予算で乗り切るために、翌月に予定していた事務用品の購入を先送りするなど、状況に応じた柔軟な対応ができるのも、統制経費の特徴です。
経営環境に応じて柔軟に変動できる
統制経費は、新規参入企業が現れた際に広告宣伝費を増額する、顧客からDX推進の要望が増えた際にIT関連の研修費を強化する、景気後退局面では接待交際費を抑制するといったように、市場動向や顧客ニーズの変化、競合他社の動向などに応じて必要な投資を行ったり、コスト削減を図ったりすることが可能です。
こうした柔軟性を取り入れることによって、企業は競争力を持続的に高められます。
統制経費の勘定科目
統制経費に該当する勘定科目は多岐にわたります。以下に、主要なカテゴリーごとに具体例を紹介します。
オフィス関連の統制経費
勘定科目 | 具体例 |
|---|---|
消耗品費 | 文房具、コピー用紙、プリンターインク |
事務用品費 | ファイル、バインダー、デスク周り用品 |
備品費 | 少額備品の購入(例:机・椅子・棚など。社内規程の資産計上基準未満) |
営業活動関連の統制経費
勘定科目 | 具体例 |
|---|---|
広告宣伝費 | 新聞広告、Web広告、パンフレット作成費 |
販売手数料 | 代理店手数料、紹介料 |
接待交際費 | 取引先との会食、お中元・お歳暮 |
旅費交通費 | 出張旅費、営業活動の交通費 |
人材関連の統制経費
勘定科目 | 具体例 |
|---|---|
採用教育費 | 求人広告費、研修費用、セミナー参加費 |
人材派遣費 | 派遣社員の利用料金 |
福利厚生費 | 社員旅行、懇親会費用、健康診断費用(法定外) |
外部サービス関連の統制経費
勘定科目 | 具体例 |
|---|---|
外注費 | 業務委託費、制作外注費 |
支払い手数料 | 振込手数料、各種サービス利用料 |
通信費 | 電話料金、インターネット利用料 |
なお、経費の仕訳に使われる勘定科目の詳細については、以下の記事をお読みください。
統制経費と非統制経費の違い

統制経費を理解するためには、非統制経費との違いを明確に把握することが重要です。ここでは、両者の違いについて解説します。
非統制経費の定義と勘定科目の具体例
非統制経費とは、法令・契約などにより金額や支払いが拘束され、管理者の裁量で短期的に調整しにくい経費です。具体的には、オフィスの家賃や従業員の給与、社会保険料など、法律や契約によって基準が定められているものが該当します。
固定的費用の具体例
勘定科目 | 具体例と特徴 |
|---|---|
地代家賃 | オフィスや店舗の賃料。賃貸借契約により金額が固定 |
リース料 | コピー機、車両などのリース契約料金 |
減価償却費 | 固定資産の価値減少分を費用計上したもの |
支払い保険料 | 火災保険、損害保険などの保険料 |
法的・義務的費用の具体例
勘定科目 | 具体例と特徴 |
|---|---|
租税公課 | 固定資産税、事業税などの税金 |
法定福利費 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの企業負担分 |
支払い利息 | 借入金に対する利息支払い |
統制経費と非統制経費の比較表
統制経費と非統制経費の違いを、以下の比較表で整理します。
項目 | 統制経費 | 非統制経費 |
|---|---|---|
管理の裁量 | 管理者の判断で調整可能 | 法律・契約により固定または制限 |
変動要因 | 経営判断、業績、市場環境 | 法改正、契約更新、外部要因 |
調整期間 | 短期的(即時~数カ月) | 長期的(年単位) |
予算管理 | 柔軟な配分・調整が可能 | 固定費として計画的に確保 |
削減の難易度 | 比較的容易 | 困難(契約変更などが必要) |
統制経費は経営環境の変化に応じて機動的に調整でき、企業の収益性に直接影響を与えるため、予算管理において重要な管理対象となります。
管理者の立場によって分類が変わるケース
同じ勘定科目でも、責任者の権限範囲によって、統制経費と非統制経費の分類が変わる場合があります。
一例として、広告宣伝費について考えてみましょう。全社的な広告宣伝費の予算は与えられた枠内での執行となるため、部門長レベルでは、コントロールできない非統制経費となります。しかし、広告宣伝費の総額自体を決定できる経営層の視点では、統制経費として扱われます。
人件費の場合も同様です。正社員の給与は、現場管理者にとっては非統制経費ですが、賞与の支給額や昇給率を決定できる経営層にとっては、部分的に統制経費となります。
このように、経費の分類は絶対的なものではなく、管理階層や責任範囲によって相対的に決まるものです。
統制経費の管理が経営に与える効果

統制経費を適切に管理することは、企業の経営改善に直結します。ここでは、統制経費の管理によって得られる具体的な効果を解説します。
精度の高い予算管理と予実分析が可能になる
経営環境の変化に応じて機動的に調整できるという統制経費の特性を生かすことで、予算管理の精度を大幅に向上させることができます。
例えば、統制経費は予算計画における「調整弁」の役割を果たします。売り上げが予想を下回った場合、統制経費を適切に削減することで利益を確保できます。逆に、売り上げが好調な場合は、統制経費を戦略的に増やして更なる成長投資を行うことも可能です。
予実差異発生時は、統制経費の推移分析により原因特定と即応策の立案が可能です。例えば、広告宣伝費の投資対効果を月次で分析し、効果の低い媒体への支出を削減して、効果の高い媒体に再配分するといった機動的な対応ができます。
また、月次や四半期などの一定期間ごとに、予算と実際の支出を照らし合わせて数値を比較することで無駄な経費を削減し、事業への影響を最小限に抑えながら利益を最大化することも可能です。
データに基づいた客観的な経営分析につながる
統制経費のデータを体系的に収集・分析することで、経営の実態を客観的に把握できるようになります。具体的な分析手法としては、以下のような指標が活用できます。
売上高統制経費率の分析
売上高統制経費率(=統制経費÷売上高)を算出し、業界平均や過去実績と比較すれば、コスト構造の妥当性を評価できます。この指標が上昇傾向にある場合は、売り上げの伸びに対して経費の増加が過大である可能性が考えられます。
部門別経費効率の比較
各部門の統制経費を売上貢献度や人員数で割って比較すると、部門ごとの経費効率を可視化できます。これにより、効率のよい部門の経費管理方法を、他部門でも実施することが可能になります。
時系列比較による傾向分析
過去3年間の統制経費の推移を勘定科目別に分析することで、増加傾向にある経費項目を特定し、その要因を深掘りできます。例えば、採用教育費が継続的に増加している場合、人材育成の投資効果を検証する必要があるでしょう。
これらのデータに基づいた客観的な視点が、事業の強みや課題の発見につながり、より精度の高い経営判断を可能にします。
戦略的なコスト削減と利益創出を実現する
統制経費の分析は、単なるコスト削減だけでなく、戦略的な資源配分による利益創出を実現します。
例えば、デジタルマーケティングへの投資を増やす一方で、効果の薄い従来型広告を削減するといった、メリハリのある予算配分が可能です。また、外注費を分析することで、内製化によるコスト削減機会を発見したり、逆に専門性の高い業務は外注化して効率化を図ったりすることもできるでしょう。
投資対効果(ROI)を意識した経費管理に基づいて、限られた経営資源を最も効果的な分野に集中させることは、企業の競争力強化と持続的な利益の創出につながります。
統制経費を効果的に管理する3つのポイント

統制経費の管理には、仕組み化と組織的な運用が不可欠です。以下の3点を解説します。
- 定期的な見直しで経費利用の現状を可視化する
- 予算遵守の文化を作り、全社的なコスト意識を高める
- 経費精算システムで管理業務を効率化する
ポイント1.定期的な見直しで経費利用の現状を可視化する
経費管理では定期的な見直しの実施が肝要です。
予算は本来、実現可能な数値を設定しますが、市場動向の変化などで、当初計画どおりにならない場合があります。月次レビューで以下を確認します。
予算達成率の確認
各勘定科目の予算消化率を確認し、進捗に課題があれば期末見通しを更新します。
前年同月比の分析
前年の同時期と比較して、大幅増減項目を特定し、増加は妥当性、減少は投資不足の可能性を検証します。
勘定科目ごとの増減要因の把握
特に変動の大きい項目について、その要因を詳細に分析します。一時的な要因なのか、構造的な変化なのかを見極めることで、今後の対応方針を決定できます。
ポイント2.予算遵守の文化を作り、全社的なコスト意識を高める
経費管理は経理部門だけの仕事ではなく、全社で取り組むべき課題です。組織全体でコスト意識を醸成するためには、以下の取り組みが効果的です。
現場への予算情報の見える化
各部門が自部門の予算と実績をリアルタイムで把握できる仕組みを構築します。クラウドベースの経費管理システムを活用すれば、スマートフォンから予算状況を確認でき、現場の行動転換を促します。
予算超過時のルール明確化
予算を超過しそうな場合の報告・承認プロセスを明確にします。例えば、月次予算の80%に達した時点で上長への報告を義務付け、100%を超える場合は事前承認を必要とするなど、段階的なルールを設定します。
成功事例の共有
コスト削減や効率化に成功した部門の事例を全社で共有します。成果指標(削減額・削減率など)と取り組み内容を併記し、他部門の参考にします。
インセンティブの設定
予算を適切に管理し、コスト削減に貢献した部門や個人に対して、表彰制度や報奨金などのインセンティブを設けることも効果的です。
ポイント3.経費精算システムで管理業務を効率化する
Excelや手作業による経費管理は、入力ミスのリスクや承認プロセスの遅延、データ集計・分析の手間など、多くの課題を抱えています。これに対し、経費精算システムの導入には、以下のようなメリットがあります。
申請から承認までの自動化
申請から承認のワークフローを自動化し、処理時間を短縮。承認ルートの自動設定で承認漏れ・遅延を防止します。
リアルタイムでの予算管理
申請時点で予算残高をチェックし、超過する場合はアラートを表示する機能により、予算オーバーを未然に防止できます。
正確なデータ収集と分析
手入力によるミスが削減され、正確なデータが蓄積されます。また、多様な切り口での分析レポートを自動生成でき、経営判断に必要な情報をタイムリーに提供できます。
属人化の解消
システム化により、特定の担当者に依存しない業務プロセスが構築され、引き継ぎもスムーズになります。
自社に合った経費精算システム導入についての詳細は、以下の記事をお読みください。
統制経費の管理を行う際の注意点

統制経費の管理では、コスト削減だけを追求するのではなく、バランスの取れたアプローチが必要です。ここでは、管理上の重要な注意点を解説します。
投資とのバランスを取る
統制経費の削減は重要ですが、将来の成長に必要な投資まで削ってしまうと、中長期的な競争力の低下を招きかねません。
例えば、採用教育費を過度に削減すると、人材育成が滞り、組織力の低下につながります。また、広告宣伝費を一律カットすると、ブランド認知度が低下し、売り上げの減少を招く恐れがあります。
重要なのは、各経費項目の投資効果を適切に評価し、削減すべき無駄と維持・増額すべき投資を見極めることです。社員のモチベーションや顧客満足度への影響も考慮し、短期的な利益と長期的な成長のバランスを取ることが求められます。
社内での透明性を重視する
統制経費の管理では、透明性の確保が不可欠です。経費使用に関する情報を社内で共有し、オープンな環境を作ることで、不正や私的流用のリスクを低減できます。
具体的には、月次の経費レポートを全社員に公開し、部門別の経費実績を社内ポータルに掲載することが効果的です。経費削減の理由や方向性を明確に説明することで、社員の不安や不満を軽減し、理解と協力を得やすくなるでしょう。
経費の使用状況が透明になることで、全社一体となった取り組みが可能になります。
まとめ
管理者の判断でコントロールできる統制経費は、企業の持続的な成長を支える戦略的経営管理の要となります。適切に管理することで、精度の高い予算管理やデータに基づく経営分析、戦略的なコスト削減が実現できます。
一方、統制経費を効果的に管理するためには、定期的な見直しによる状況の可視化、全社的なコスト意識の醸成、経費精算システムの活用が不可欠です。「Bill One」のような経費精算システムを導入することで、管理業務の効率化と経営品質の向上を同時に実現できます。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部




