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クレジットカードで経費精算するには?領収書や明細の扱いと注意点

クレジットカードで経費精算するには?領収書や明細の扱いと注意点

近年ではクレジットカードを利用した経費精算を行う企業が増えています。現金精算と比べて利便性が高い一方で、適切なルールを理解していないとトラブルの原因にもなります。

例えば、「クレジットカードの利用明細書は領収書の代わりになるのか?」「法人カードを導入するとどのようなメリットがあるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、クレジットカードを経費精算に活用するメリットや注意点、領収書の扱い方について詳しく解説します。また、法人カードの導入による業務効率化のポイントも紹介します。

法人用クレジットカードで経費精算を効率化

クレジットカードで経費精算を行うメリットとは

クレジットカードを活用した経費精算には、現金払いでは得られない多くの利点があります。ここでは、クレジットカード経費精算の主なメリットを4つの観点から詳しく解説します。

経理業務の効率化

クレジットカードを活用することで、現金精算に比べて経理業務の効率が格段に向上します。個人のクレジットカードを使った場合でも、利用明細が証憑となるため、手入力を減らせますが、支払いは個人口座から行われるため、立替経費としての精算手続きが必要です。

法人カードを導入すれば、さらに効率化が可能です。経費は企業の法人口座から直接引き落とされるため、従業員による立て替えが不要になり、精算処理の負担も大幅に軽減されます。

さらに、経費精算システムと連携すれば、明細データの自動取り込みや仕訳の自動化が可能となり、人為的ミスの防止にもつながります。

経費の透明化

クレジットカードを利用した経費精算は、支出の記録が明細として自動で残るため、不正利用や不明瞭な支出の抑止につながります。

特に法人カードを導入すれば、利用履歴が従業員ごとに管理でき、法人口座からの引き落としにより、経費の流れが明確になります。立替処理も不要となるため、精算の手間が省けるだけでなく、経理の透明性が大きく向上します。

一方、個人カードでの立替精算では、私的な支出との区別が難しい場面もあるため、チェック作業が煩雑になる恐れがあります。この点でも法人カードの導入は、経費管理の明確化において優位といえるでしょう。

キャッシュフローの改善

クレジットカードを利用すると、決済から実際の引き落としまでに一定の猶予期間があるため、資金の流出を後ろ倒しにできます。これにより、当月の支出がすぐに現金として出ていかない分、月末の支払い準備に余裕が生まれ、資金繰りが安定しやすくなります。

特に売上の入金タイミングと支出のズレがある業種では、このタイムラグを活用することでキャッシュフローを最適化できます。現金払いや即時振込に比べて、資金の管理がしやすくなる点は大きな利点です。

ポイント還元やマイルの活用

クレジットカードを使って経費を支払うことで、ポイントやマイルが自動で貯まる点も大きな魅力です。これらは航空券や商品券、キャッシュバックなどに交換できるため、間接的に企業のコスト削減につながります。

例えば、出張時の航空券をマイルで手配すれば、実質的な経費削減が実現可能です。ポイントは年間の利用額に比例して蓄積されるため、日常的な支出をカードに集約すれば、還元効果もより高まります。

クレジットカードの経費精算で領収書や利用明細書は必要?

クレジットカードで経費を精算する場合でも、証憑書類の提出は欠かせません。ここでは、領収書と利用明細書の違いや、領収書の代わりに明細書を使用する際の条件など、実務に直結するポイントをわかりやすく解説します。

領収書が必要な理由

経費精算においては、支出の正当性を証明するために領収書や請求書などの書類が不可欠です。こうした書類は税務処理や会計監査の際に根拠資料となるため、提出が求められます。

クレジットカードを利用した場合、現金支払いとは異なり、店舗によっては領収書を発行しないケースも見られます。そのため、代替として利用明細書やレシートなど、内容が確認できる書類を用意しなければなりません。証憑が不足していると、経費として認められないリスクがある点には注意が必要です。

領収書と利用明細書の違い

領収書と利用明細書は、いずれも支出を証明する書類ですが、税務上の取り扱いには明確な違いがあります。領収書は、取引先が代金を受け取った事実を証明する正式な書類として扱われ、経費として計上する際の根拠になります。

しかし、クレジットカードの利用明細書は、あくまで決済の履歴を示すものにすぎません。単独では税務上の証憑として不十分とされるケースがあります。

そのため、経費処理の場面では、レシートと利用明細書をあわせて保管することが推奨されます。両方を揃えることで、取引の信ぴょう性が高まり、税務調査にも対応しやすくなります。

利用明細書を領収書代わりにできる条件

クレジットカードの利用明細書を領収書の代わりとして使うには、一定の記載があることが望まれます。明細書の内容が不十分な場合、税務上の証憑として認められない可能性があるため注意が必要です。一般的には、以下の5つの情報が記載されていることが望まれます。

  • 決済年月日:取引が行われた正確な日付が確認できること
  • 取引内容:購入した商品やサービスの名称・用途が明記されていること
  • 発行者情報:店舗名や企業名など、発行元が明示されていること
  • 宛名:購入者の氏名または法人名が記載されていること(省略可のケースもあり)
  • 利用金額:購入した商品やサービスの金額

これらすべての項目が揃っている明細書であれば、領収書が発行されていなくても経費証明として活用できる可能性があります。

ただし、クレジットカード明細書は原則としてインボイス(適格請求書)には該当しないため、仕入税額控除を適用するには別途、適格請求書の保存が必要です。

クレジットカード払いでの収入印紙の取り扱い

クレジットカードでの支払いは、現金の授受が発生しない信用取引に該当するため、原則として領収書に収入印紙を貼る必要はありません。これは印紙税法上、課税対象が「現金などの受取」に限定されているためです。

ただし、領収書に「クレジットカード払い」や「カード決済」などの記載がない場合、税務上は現金取引とみなされる可能性があります。

その結果、5万円以上の取引に対しては印紙税の課税対象となることがあるため注意が必要です。領収書を受け取る際には、必ず決済手段が明記されているか確認しておくことが重要です。

クレジットカードを使った経費精算の注意点

クレジットカードによる経費精算は非常に便利ですが、正しく運用しないとトラブルの原因になることもあります。ここでは、クレジットカードを使って経費を精算する際に押さえておきたいポイントや、ミスを防ぐための対策について詳しく解説します。

二重計上のリスクに注意

クレジットカードでの経費精算では、利用明細と領収書を個別に処理してしまうことで、同一の支出が重複して計上されるリスクがあります。これは特に、手作業で伝票入力を行っている場合に起こりやすいミスです。二重計上は決算の正確性を損ね、結果として税務上のトラブルに発展する可能性があります。

こうしたリスクを回避するためには、経費精算システムや会計ソフトと連携し、明細と証憑の情報を一元管理することが効果的です。統一されたフローにより、処理の正確性が格段に向上します。

領収書や明細書の保管義務

クレジットカードを利用した経費精算においても、領収書や利用明細書の保管は法的に義務づけられています。

法人の場合、原則として7年間の保存が必要と定められています。これらの書類は税務調査時の重要な証拠となるため、適切な管理が不可欠です。また、紙だけでなく電子帳簿保存法に対応した電子保存も認められており、スキャンデータによる保管やクラウドサービスの活用で業務効率化も図れます。

法人用クレジットカードの導入メリット

法人用クレジットカードの導入メリットを示す図

法人用クレジットカードの導入は、経費管理の効率化など、企業運営のさまざまな場面で役立ちます。ここでは、法人カードの具体的な利点について解説していきましょう。

経費精算を自動化

法人用クレジットカードと経費精算システムを連携させることで、「効率化」を超えて、経費精算業務をほぼ自動化した状態に近づけることが可能になります。

従業員が法人カードを使用すると、利用情報が即時にシステムへ反映され、経費申請画面に自動で明細が生成されるため、申請者は補足情報を入力するだけで済みます。利用明細の入力、添付ファイルの手動アップロード、申請書類の作成といった作業はほとんど不要になります。

一方、管理者はリアルタイムで利用履歴を確認しながら承認作業を行えます。さらに、承認されたデータは自動で仕訳され、会計ソフトに連携されるため、経理部門による再入力も不要になります。

このように、申請から仕訳までの全工程が連動・自動化されることで、業務プロセスそのものを変革し、手間や時間、ミスのリスクまでも削減できるのです。

追加カードの発行が可能

法人用クレジットカードは、従業員ごとに追加カードを発行できるのが大きな特徴です。

さらに、誰がいつ・どこで・いくら使ったかといった詳細な情報を管理画面でリアルタイムに確認できるため、経費の一元管理が可能になります。利用用途や部署ごとに利用制限を設定することもでき、不要な支出や使いすぎを防止する上でも有効です。

このように、従業員ごとにカードを割り当てることで、経費精算の手間が減るだけでなく、内部統制の強化にもつながります。

ポイントやマイルの活用

法人用クレジットカードを利用するメリットの一つが、経費支出によってポイントやマイルが自動的に貯まる点です。日々の出張費や備品購入、オンラインサービスの支払いなど、あらゆる経費の決済でポイントが蓄積され、企業活動の中で自然と還元を受けられます。

貯まったポイントは、航空マイルやギフト券、事務用品への交換、キャッシュバックなどに活用でき、実質的な経費削減につながるのが魅力です。

加えて、ポイント還元率の高い法人カードを選ぶことで、効率的な経費活用が可能となり、キャッシュフローの最適化にも寄与します。

まとめ

本記事では、クレジットカードを経費精算に活用するメリットや注意点、領収書の扱い方について解説しました。

クレジットカードで経費精算することには、業務効率化などの面で多くのメリットがあります。ただし、利用明細と領収書の違いを十分に理解し、電子帳簿保存法などの要件に沿って書類を保管する必要があります。

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小野 智博

記事監修者のご紹介

弁護士 小野 智博

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士

保有資格:弁護士

慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、グローバル事業の支援を得意とし、「国際ビジネス法務サービス」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

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「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務、経費精算、債権管理や経理業務における法対応など、さまざまな業務の課題を解決に導く情報をお届けします。

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