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AI OCRとは?従来のOCRとの違いと業務別の活用事例、ツール選定のポイントを解説
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AI OCRは、手作業によるデータ入力の負担やミスを軽減する技術として注目されています。AIの中核技術である「ディープラーニング(深層学習)」を活用することで、従来のOCRでは困難だった手書き文字や複雑な帳票にも対応できるようになっています。
本記事では、AI OCRの基礎知識から従来OCRとの違い、具体的な業務での活用事例、そして自社に最適なツールを選ぶためのポイントまで、丁寧に解説します。
OCRで請求書の業務を効率化
AI OCRの基礎知識

AI OCRは、従来のOCR技術にAIを組み合わせることで、文字認識の精度と柔軟性を大幅に向上させた技術です。単純な文字の読み取りにとどまらず、文書全体の構造や文脈を理解し、より高度な情報処理を可能にします。
AI OCRとは?
AI OCRは「OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)」に「AI(人工知能)」の技術を組み合わせたものです。
従来のOCRがあらかじめ決められたパターンに基づいて文字を認識するのに対し、AI OCRは機械学習によって膨大な文字データから特徴を学習し、より柔軟で高精度な文字認識を実現します。
AI OCRは文字の読み取りにとどまらず、文書のレイアウトや文脈を理解します。そのため、手書き文字や複雑な帳票でも内容を正確に把握し、データ化できます。
従来のOCRとの違い
従来のOCRは、あらかじめ設定されたテンプレートやルールに基づいて文字を認識する技術です。定型的な活字には高い精度を発揮しますが、手書き文字や非定型の帳票では精度が不安定でした。
AI OCRの中核を担う「ディープラーニング(深層学習)」は、人間の脳の構造を模したニューラルネットワークを用い、大量のデータから自動的にパターンを学習します。
これにより、さまざまな文字パターンや書式に柔軟に対応でき、運用での学習を通じて認識精度が向上する点が特徴です。
以下の比較表で、それぞれの特徴を整理しました。
比較項目 | 手入力 | 従来のOCR | AI OCR |
|---|---|---|---|
読み取り精度 | 100% (人による) | 活字:90%程度 手書き:対応が難しい場合がある | 活字:99%以上 手書き:90%以上 |
手書き文字への対応 | ◎ | × | ○ |
多様なフォーマットへの対応 | ◎ | △(事前設定が必要) | ○(自動対応) |
事前設定の要否 | 不要 | 必要(テンプレート作成) | 最小限 |
導入後の精度向上 | なし | なし | あり(学習機能) |
処理速度 | 遅い | 速い | 速い |
コスト | 高い(人件費) | 中程度 | 中程度〜高め |
従来のOCRの詳細については、以下の記事もお読みください。
AI OCRの認識精度
AI OCRは高精度な技術ですが、すべての文書に完全対応できるわけではありません。認識精度は、文書の状態や文字形状に左右されます。
AI OCRがとくに得意とするのは、活字印刷された文書や整った手書き文字、定型フォーマットの帳票などです。
一方、極端なくせ字や乱筆、画質の悪いスキャン画像、かすれや汚れのある文書などは、AI OCRでも正確に読み取るのが難しい場合があります。そのため、重要な業務では人の目による最終確認が不可欠です。
ただし、従来OCRと比較するとAI OCRの認識精度は高く、導入によって業務負担の軽減が期待されます。
AI OCRがもたらす3つの効果

AI OCRを導入すると、企業は業務効率化・品質向上・デジタル変革という3つの効果を得られます。これらは単なるコスト削減にとどまらず、競争力の向上にも直結します。
メリット1. データ入力業務の大幅な効率化
AI OCRを導入することで、これまで人手で行っていたデータ入力作業の大幅な効率化が可能です。
たとえば、1枚の請求書を手入力する場合、確認作業を含めて5〜10分程度かかることが一般的ですが、AI OCRを使えば数秒で処理が完了します。月間1,000枚の帳票を処理する場合、約80〜160時間の作業時間を数時間に短縮できる計算です。
担当者は単純な入力作業から解放され、データ分析や業務改善など付加価値の高い業務に集中できます。これにより、繁忙期の残業削減や人員配置の最適化が進み、働き方改革の推進にも寄与します。
メリット2. 人為的ミスの防止とガバナンス強化
AI OCRは高精度の文字認識により、大量の帳票を正確に処理できるため、人為的ミスの削減に効果的です。
人間による手作業では、どんなに注意していても転記ミスや読み間違いといったヒューマンエラーを完全に防ぐことはできません。AI OCRを活用すれば、似たような数字が並ぶ帳票でもデータの正確性を確保でき、誤った情報に基づく意思決定や手戻りのリスクを減らせます。
さらに、処理履歴が自動的に記録されるため、監査対応が容易になり、内部統制(ガバナンス)の強化につながる点も大きなメリットです。
メリット3. ペーパーレス化の促進と情報資産の活用
AI OCRを活用して紙の書類を電子データ化することで、物理的な保管スペースや印刷コストを大幅に削減できます。
一般的なオフィスでは、書類保管が全体スペースの約20〜30%を占めるとされます。AI OCRを導入すれば、このスペースを有効活用できる点も大きなメリットです。
とくに重要なのは、データ化された情報を「情報資産」として活用できることです。紙では困難だった全文検索や条件別抽出、過去データとの比較分析も瞬時に行えます。
これにより、経営判断に必要な情報を迅速に取得でき、データドリブンな意思決定を実現できます。
【業務シーン別】AI OCRの活用事例

AI OCRは多様な業務シーンで活用され、部門ごとの課題解決に貢献しています。ここでは、代表的な3部門での活用事例を解説します。
経理部門:請求書・納品書・領収書の処理
経理部門では、取引先ごとにフォーマットが異なる請求書や納品書の処理に、多くの時間を費やす傾向があります。
AI OCRを活用すれば、「請求元」「金額」「品目」「支払い期限」などの項目を自動で抽出・データ化でき、非定型帳票にも柔軟に対応可能です。
たとえば、ある製造業の企業では、月間約3,000枚の請求書処理にAI OCRを導入し、処理時間を従来の5分の1に短縮しました。会計システムと連携することで仕訳入力が自動化され、月次決算の早期化も実現しています。
この結果、経理担当者は単純な入力作業から解放され、財務分析や予算管理といった戦略的な業務に注力できるようになりました。
営業・マーケティング部門:手書きの申込書やアンケートの集計
展示会やセミナーで収集した手書きのアンケートや顧客からの申込書は、営業・マーケティング活動における重要な情報源です。しかし、これらを手作業で入力・集計するには多くの時間がかかり、タイムリーな対応が難しい場面もあります。
AI OCRを活用すれば手書きのアンケート回答や申込書の内容を即座にデータ化し、CRMシステムへ自動登録することが可能です。
たとえば、ある不動産会社では、物件見学会で収集した約500枚のアンケートをAI OCRで処理し、従来3日かかっていた集計作業を半日で完了できるようになりました。これにより、見込み顧客への迅速なフォローアップが実現し、成約率の向上にも寄与しています。
受発注・物流部門:FAX注文書や出荷指示書のデータ化
製造業や卸売業では、現在も多くの企業がFAXで注文書をやりとりしています。しかし、FAXで受信した注文書を受発注システムに手入力する作業は、ミスが起きやすく処理も遅れがちでした。
AI OCRを導入すれば、FAX受信と同時に注文内容をデータ化し、受発注システムへ自動連携することが可能です。
たとえば、ある食品卸売業者では、1日当たり約200件のFAX注文をAI OCRで処理することで、受注から出荷指示までのリードタイムを平均2時間短縮しました。入力ミスによる誤出荷もなくなり、顧客満足度の向上にもつながりました。
AI-OCRで請求書の業務を効率化
失敗しないAI OCRツールの選び方

AI OCRツールには多様な種類があり、それぞれ特徴が異なります。自社に最適なツールを選ぶには、段階的なアプローチで検討を進めることが大切です。
ステップ1. 自社の帳票を分析する
ツール選定の第一歩は、自社で扱う帳票の種類や枚数を正確に把握することです。どのような帳票を、月に何枚程度、どの部門で処理しているのかを具体的に整理しておきましょう。
次に、以下の3タイプから、自社の帳票に最も適したAI OCRを選定します。
汎用×定型フォーマット型
決まった形式の帳票を大量に処理する場合に適したAI OCRです。社内の申請書や定型的な注文書など、レイアウトが統一された文書の処理に強みを持ちます。
汎用×非定型フォーマット型
さまざまな形式の帳票を処理する場合に向いたAI OCRです。取引先ごとにレイアウトが異なる請求書や、さまざまな種類の契約書などにも柔軟に対応できます。
業務特化×非定型フォーマット型
「請求書処理」や「契約書管理」など、特定の業務に特化して高い精度を求める場合に最適なAI OCRです。業界特有の用語や書式にも対応しており、後続業務との連携もスムーズです。
ステップ2. 導入目的を明確にする
次に、AI OCRツールの導入目的を明確にして、それに応じて重視すべき評価ポイントを整理しておきましょう。
読み取り精度
自社で扱う帳票、特に手書き文字や低解像度の画像を正確に読み取れるかどうかは、最も重要なポイントです。導入を検討する際は、あらかじめ実際の帳票を使って事前にテストすることをおすすめします。
操作性とサポート体制
ITの専門知識がなくても直感的に操作できるインターフェースであるかを確認します。また、導入後に不明点を相談できるサポート体制の有無も重要です。特に初期設定や運用開始時のサポートの充実度はスムーズな立ち上げに直結します。
セキュリティー
機密情報を扱うため、通信の暗号化やアクセス制限、データ保管場所、ISO27001(ISMS)認証の有無など、セキュリティー対策が十分かを確認することが重要です。
料金体系
初期費用、月額固定料金、従量課金など、提供される料金体系が自社の処理量に見合っているかを確認しましょう。将来的な利用拡大に備えて、スケーラビリティの柔軟性も評価ポイントとなります。
ステップ3. 費用対効果を試算する
実際の業務で使用する帳票をもとに、AI OCR導入による具体的な効果を数値化しましょう。
たとえば、人件費削減や処理時間の短縮による機会損失の低減、ミスによる手戻りコストの削減などを定量化し、導入コストと比較して投資回収期間を試算することが重要です。
請求書と検収・納品データの照合を効率化
RPAとの連携でAI OCRの効果を最大化

AI OCRをRPA(Robotic Process Automation)と連携させることで、データ化から後続処理までの業務プロセス全体を自動化できます。
たとえば、「AI OCRが請求書からデータを抽出」→「RPAがそのデータを会計システムに自動入力」→「承認ワークフローの起動」→「支払い処理の実行」という一連の流れを、人の介入なしに自動で実行できます。
こうした連携により、単なるデータ化だけでなく業務全体の自動化が実現し、処理速度の向上とミスの削減を同時に達成できるようになります。
RPAの詳細については、以下の記事もお読みください。
まとめ
AI OCRは、従来のOCRの限界を打ち破り、企業のデジタル変革を加速させる強力なツールです。手書き文字や非定型帳票にも対応できる高い認識精度を備えており、幅広い業務シーンで活用が進んでいます。
導入を成功させるためには、自社の帳票特性を分析し、導入目的を明確にした上で、最適なツールを選定することが重要です。また、RPAとの連携により、さらなる業務効率化も期待できます。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部




