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仮払金の精算と会計処理について解説!業務効率化のポイントも紹介
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仮払金は概算で支払うため、適切な精算手続きと会計処理が必要になります。決算にも影響するため、経理担当者はその管理と会計処理のポイントを押さえましょう。
この記事では、仮払金の具体的な精算方法と会計処理、管理上の注意点を解説します。さらに、仮払金精算を効率化するためのポイントも紹介します。
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仮払金の精算処理の手順

仮払金の精算処理を正しく行うには、申請から精算までの流れを把握することが重要です。ここでは、仮払金の申請から精算完了までの4つのステップを解説します。
- 申請者が仮払金申請書を作成する
- 経理が申請を基に仮払金を出す
- 申請者が仮払金精算書を作成する
- 経理が精算書を確認し、仮払金精算の仕訳を入れる
1.申請者が仮払金申請書を作成する
まず経費の支払いが発生する前に、費用を使用する申請者が仮払金を申請します。申請者は、所定の仮払金申請書に、仮払金の使用日や使用目的、概算額などを具体的に記載します。例えば「出張費」や「取引先の開店への贈り物」など、何のためにいくら必要なのかを明記します。
申請書を提出する際は、見積書などの計算根拠を添付することも求められます。申請内容や金額の妥当性を客観的に示すためです。
申請書を作成した後、承認者が内容をチェックし、問題がなければ承認します。
2.経理が申請を基に仮払金を出す
承認された仮払金申請書は、経理部へ回されます。
経理担当者は申請内容を確認し、支給に問題がないかを判断します。妥当と判断できた場合は、申請者に現金を支給します。
現金を支給したら、いつ、誰に、いくら支払ったかという記録を、申請書とともに残します。これは、後に仮払金精算を行うための重要な情報となります。
この時点での仕訳は、仮払金という資産が増え、現金という資産が減るため、以下のようになります。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
仮払金 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
3.申請者が仮払金精算書を作成する
申請者は仮払金を使用後、速やかに精算処理を行います。使用目的と金額を明記した仮払金精算書を作成し、使用内容と実際に支払った費用を記載します。
精算書には、仮払金を使用したことを証明する領収書やレシートを添付しなければいけません。電車代など、領収書が出ない交通費は、利用明細や移動区間、金額を確認できるものを代わりに添付します。
精算書ができたら、承認者が内容を確認し、経費として適切に使用されたことをチェックします。
4.経理が精算書を確認し、仮払金精算の仕訳を入れる
承認済みの仮払金精算書を受け取った経理担当者は、精算内容を確認します。
精算書と添付された領収書を照合し、使途や金額に誤りがないかをチェックします。もし釣銭がある場合は、その処理も合わせて行います。
精算手続きが完了したら、経理担当者は会計処理を行います。具体的には仮払金を帳簿から取り崩し、実際に発生した費用(旅費交通費や接待交際費など)を適切な勘定科目で計上する仕訳を行います。
仮払金の精算処理の仕訳方法

仮払金精算時の仕訳は、実際に使った経費の金額と、事前に渡した仮払金の金額との間に、過不足があるかどうかで異なります。ここでは、具体的な仕訳例を用いて解説します。
仮払金が経費と同額だった場合
事前に渡した仮払金の金額と、実際に使った経費の金額が同額だった場合です。このパターンでは、精算時に金銭のやりとりは発生しません。
例えば出張のために仮払金として30,000円を渡しており、実際に使った金額も30,000円だった場合の仕訳は以下のようになります。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
旅費交通費 | 30,000 | 仮払金 | 30,000 |
仮払金が余った場合
実際に使った経費の金額が、事前に渡した仮払金よりも少なかった場合です。この場合、申請者は余った現金を経理に戻し、経理担当者は現金を小口現金や口座に戻します。
例えば仮払金として50,000円を渡しており、実際に使った接待交際費が45,000円だった場合、申請者は5,000円を返金します。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
接待交際費 | 45,000 | 仮払金 | 50,000 |
現金 | 5,000 | ||
借方では発生した経費と返金された現金を計上し、貸方では仮払金の全額を取り崩します。
仮払金が不足した場合
実際に使った経費の金額が、事前に渡した仮払金よりも多かった場合です。この場合、経理は不足している金額を申請者に支払います。
例えば仮払金として20,000円を渡しており、実際に使った消耗品費が23,000円だったとします。経理が仮払金との差額3,000円を従業員に現金で渡す場合の仕訳は、以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
消耗品費 | 23,000 | 仮払金 | 20,000 |
現金 | 3,000 | ||
借方では発生した経費の全額を計上し、貸方では仮払金を取り崩して不足分の現金を計上します。
仮払金と混同しやすい勘定科目

仮払金の処理では、立替金・未払金・前払金など紛らわしい勘定科目があります。これらを仮払金と適切に区別することは、正確な財務諸表作成に不可欠です。
立替金
立替金は、企業が従業員や取引先の代わりに一時的な費用を支払ったときに用いる勘定科目です。
立替金が仮払金と最も異なる点は、支出内容が明確であることです。例えば、親会社が子会社の費用も合わせて支払った場合や、取引先のために送料を立て替えた場合などが挙げられます。立替金は後日費用が回収できた際に取り崩します。
未払金
未払金は、企業の仕入以外の取引、とくに単発的な取引で発生した費用を後払いする際に使用する科目です。具体的には事務用品などの消耗品費や、業務を外部委託した際の外注費などが挙げられます。
仮払金は将来の支出に備えた資産、未払金は既に発生した費用等への支払義務を示す負債で、性質が異なります。
前払金
前払金は、商品の仕入れやサービスの提供を受ける際、事前に対価の一部を支払う場合に使用する勘定科目です。主に材料の手付金や家賃、航空券の予約金などに使われます。
前払金は、将来的に商品やサービスを受け取る権利を示すため、仮払金と同じく資産の部に属します。しかし前払金は、何に対する支払いなのかが特定されているのに対し、仮払金は最終的な用途や金額が未確定であるという違いがあります。
仮払金の精算を行う際の注意点

仮払金精算は、不正やミスが発生するリスクを伴うため、いくつか注意すべき点があります。
使用できる範囲・手続き方法を明確化する
仮払金の目的外使用や不当に高額な仮払金の申請は、不正利用や現金の盗難につながる可能性があります。
これらのリスクを防ぐため、仮払金を使用できる範囲や金額、手続き方法をルール化することが必須です。例えば「仮払金の最大支給額は5万円までとする」「仮払いから3日以内に精算する」といった規則を設けておきましょう。手続きを詳細に定めることで、精算漏れや精算遅延を防ぐ効果も期待できます。
また承認者や経理担当者のために、「申請内容が出張旅費規程などの規程に即しているか」「現金の確認は複数名で行う」などのチェックポイントや手続きをまとめると、業務の効率化と標準化につながります。
仮払金の精算記録や領収書を必ず保管する
「誰が申請し、誰が承認し、誰がいくら支払ったか」という仮払金の支払いや精算の記録は、必ず詳細に残す必要があります。これらは企業の資金がどのように使われたかを示す重要な証拠となるためです。
また領収書は、その支出が経費であることを証明する重要な証拠です。法人税法に基づき、領収書などの証憑書類は 7年間(欠損金がある場合は 10年間)の保存が義務付けられています。
仮払金の残高管理を行う
仮払金は、一時的な支出を記録する勘定科目です。そのため、仮払金が長期間にわたって帳簿に残っている場合は、精算が行われていない可能性が考えられます。
経理部門は仮払金の残高を定期的にチェックし、未精算分がないかを確認する必要があります。未精算の仮払金を発見した場合は、申請者に速やかに精算を促すなど、長期化しないように対応しましょう。
決算日までに仮払金を精算し、適切な勘定科目に振り替える
仮払金は一時的な勘定科目であり、最終的には決算日までに精算を完了させ、実際に使用された適切な勘定科目へ振り替える必要があります。
決算日までに仮払金精算が完了しなかった場合、企業は以下の2つのリスクを負うことになります。
税務上の指摘を受けるリスク
未精算の仮払金が長期間にわたって多額に残っている場合、税務調査で厳しくチェックされる可能性があります。これは、仮払金が役員や社員への実質的な給与や貸付金として扱われるケースがあるためです。
使途が不明確、または業務関連性を示せない仮払金は、業務外支出として疑われるおそれがあります。
未精算の仮払金が給与とみなされた場合、企業は源泉所得税の追徴を受ける可能性があります。さらに法人税申告に虚偽があったと見なされ、過少申告加算税や延滞税などの追徴課税を受けるリスクもあります。
融資を拒否されるリスク
金融機関が企業に融資を行う際は、企業の決算書や財務状況を詳細に分析します。
その際、、仮払金残高が多い企業は資金管理や内部統制の面で課題を抱えていると見なされることがあります。結果として、貸し倒れリスクが高いと判断され、当該企業は融資審査で不利になる可能性もあります。
仮払金の精算を効率化する方法

仮払金精算は、経理担当者・申請者双方にとって手間と時間がかかる業務です。ただし、制度やシステムを見直すことで、業務効率化やミス削減が期待できます。
仮払金制度を廃止する
業務効率化を目的として、仮払金制度自体を廃止するのも一つの方法です。制度を廃止することで、現金の授受や申請・精算といった手続きを大幅に省ける可能性があります。
ただし、仮払金制度を廃止する際は、法人カードの利用や立替金精算を基本とするなど、代替手段の導入が必要です。
法人カードを使用する
経費支払いに法人カードを活用すれば、現金を事前に渡す必要がなくなり、仮払金の精算業務を省けます。
また法人カードの利用明細がそのまま支払い記録として残るため、誰が、いつ、どこで、いくら使ったのかが明確になります。これは、企業の資金管理における内部統制の強化にも役立ちます。
法人カードを導入する際は、不正利用を防ぐために、あらかじめ使用ルールや限度額を設定しておくことが大切です。
経費精算システムを使用する
経費精算システムの導入も、仮払金精算の効率化に有効です。申請者は外出先からスマートフォンで精算申請でき、領収書の写真を添付するだけで完了します。紙の書類を作成する作業がなくなり、領収書紛失のリスクが軽減されます。
経理担当者もシステム上で仮払金残高を随時確認できます。また、承認プロセスや振込手続きを一括で実施できるため、精算の正確性が高まり、業務全体のスピードアップにもつながります。
まとめ
仮払金精算は、企業の資金管理と経理の正確性を保つ上で重要な業務です。このプロセスを正しく進めるには、申請から精算に至るまでの一連の手順をきちんと整備しておくことが大切です。
経理担当者は、立替金など類似勘定科目との違いを理解しておきましょう。仮払金は一時的な勘定科目のため、決算日までに適切な経費へ振り替える必要があります。処理を怠ると、追徴課税や融資審査での信用低下につながるおそれがあります。
これらのリスクを回避しつつ、業務を効率化するためには、法人カードの導入や経費精算システムの活用を検討することが有効です。
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記事監修者のご紹介
税理士 松崎 啓介
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
保有資格:税理士
昭和59年~平成20年 財務省主税局勤務
税法の企画立案に従事(平成10年~平成20年 電子帳簿保存法・通則法規等担当)
その後、大月税務署長、東京国税局調査部特官・統括官、審理官、企画課長、審理課長、個人課税課長、国税庁監督評価官室長、仙台国税局総務部長、金沢国税局長を経て令和2年8月税理士登録。
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
主な著書「Q&Aでわかる税理士のためのインボイス制度と改正電子帳簿保存法」(第一法規)、「デジタル化の基盤 電帳法を押さえる」 (税務研究会)等
- 本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。なお、本稿は、読みやすさや内容の分かりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。

執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部





