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売掛管理(売掛金管理)の目的と流れを理解しよう!回収のポイントや効率化について解説

売掛管理(売掛金管理)の目的と流れを理解しよう!回収のポイントや効率化について解説

売掛管理とは、取引先からの未回収代金である売掛金を帳簿で整理・管理することです。売掛金の回収が滞ると、資金繰りが悪化し、安定した経営に支障をきたすリスクがあります。

本記事では、売掛金管理の目的や業務フロー、回収率を高めるポイントや管理方法の効率化について解説します。

売掛金を管理する目的

まず売掛管理(売掛金管理)の基本となる「売掛金とは何か」という定義と、それを管理する目的を解説します。

売掛金とはサービス提供の対価として将来的に金銭を受け取る権利

売掛金とは、商品やサービスを提供した際に、その対価として将来的に金銭を受け取る権利です。これは会計上の「債権」の一種です。例えば、ある企業が取引先に10万円の商品を販売し、代金は翌月末に支払われる契約をしたとします。この場合、商品を引き渡した時点で10万円の売上が発生し、同時に「将来10万円を受け取る権利」である売掛金も発生します。

会計の原則として、売上は代金を受け取った時点ではなく、商品やサービスを提供した時点で計上します。これを「発生主義」と呼びます。売掛金はこの発生主義に基づいて記録され、入金時に消し込まれます。

売掛金を管理する目的

売掛金を管理する目的は、発生した売掛金を確実に回収し、安定した資金繰りを維持することです。

企業は売上によって得た資金を元に、仕入れ代金の支払いや従業員の給与、オフィスの家賃などを支払っています。もし売掛金の回収が遅れると、手元の資金が不足する事態に陥ります。たとえ帳簿上は利益が出ている状態(黒字)であっても、資金がショートすれば倒産に至る「黒字倒産」のリスクも高まります。

このような事態を避けるために、どの取引先から、いつ、いくら入金される予定なのかを正確に把握し、期日通りに回収するための売掛金管理が不可欠です。適切な売掛金管理は、健全なキャッシュフローを維持し、企業の成長を支える土台となります。

売掛金管理の流れ

適切な売掛金管理を行うためには、一連の業務フローを確立し、それに沿って着実に実行していく必要があります。

  1. 自社の収益認識基準に従って売掛金を計上する
  2. 売掛金管理表を作成する
  3. 売掛金管理表を基に請求書を発行する
  4. 取引先からの入金を確認する
  5. 売掛金管理表や帳簿に回収を反映する
  6. 滞留債権がある場合は速やかに督促する

1.自社の収益認識基準に従って売掛金を計上する

売掛管理の最初のステップは、売掛金の正確な計上です。企業では、いつの時点で売上を認識するか、「収益認識基準」を定めています。例えば、「商品を出荷した時点」や「取引先が商品を検収した時点」などが基準として設定されます。

この定められた基準に従って売上を計上する際、まだ代金を受け取っていなければ、会計帳簿に売掛金として記録します。この計上がすべての管理業務の起点となるため、正確性が求められます。

2.売掛金管理表を作成する

次に、計上した売掛金の情報をまとめるため、売掛金管理表を作成します。この管理表は売掛金残高を取引先ごとに管理し、「売掛金元帳」とも呼ばれます。取引先名、売上発生日、請求額、入金予定日、入金日、残高といった項目を設けて、各取引の状況が一目で分かるように整理します。

会計ソフトを導入している場合は、日々の取引入力から自動で作成される総勘定元帳のデータを加工して、独自の管理表を作成するのも1つの方法です。

3.売掛金管理表を基に請求書を発行する

作成した売掛金管理表は、請求書発行の基礎データになります。取引先ごとに定められた締め日までの取引内容を管理表から抽出し、それに基づいて請求書を作成して送付します

請求書の記載内容に誤りがあると、取引先からの支払いが遅れる原因になったり、信頼関係を損ねたりする可能性があります。管理表のデータと請求書の内容に相違がないか、送付前にダブルチェックをする体制を整えるのが望ましいです。

4.取引先からの入金を確認する

請求書に記載した支払い期日が来たら、実際に取引先から入金があったかを確認します。預金通帳やインターネットバンキングの取引履歴を照会し、請求額通りの金額が振り込まれているかをチェックします。

このとき、振込手数料が差し引かれて入金されるケースや、複数の請求を一括で振り込んでくるケースもあります。どの取引に対する入金なのかを正確に特定する作業が必要です。もし期日を過ぎても入金が確認できない場合は、速やかに次のアクションに移ります。

5.売掛金管理表や帳簿に回収を反映する

無事に入金が確認できたら、売掛金管理表や会計帳簿に反映させます。この作業を「入金消込」と呼びます。具体的には、売掛金管理表の該当する取引の入金日を記録し、売掛金の残高を減らす処理を行います。

この消込作業を怠ると、すでに入金済みの取引先に誤って督促してしまうミスにつながります。正確かつタイムリーな消込作業が、売掛金管理の精度を高める上で重要です。

6.滞留債権がある場合は速やかに督促する

支払い期日を過ぎても入金がない売掛金は「滞留債権」となります。滞留債権を発見した場合は、放置せずに速やかに取引先に連絡を取り、支払いを促す「督促」を行います

初めは電話やメールで入金状況を穏やかに確認し、それでも支払いがない場合は、督促状を送付するなど段階的に対応を強めていきます。時間が経過するほど回収は困難になる傾向があるため、迅速な初動が肝心です。

売掛金を確実に回収するためのポイント

売掛金を確実に回収するためには、回収漏れを未然に防ぎ、遅延や未回収が発生した場合でも迅速に対応することが重要です。ここでは、そのための具体的なポイントを解説します。

取引前の与信管理を徹底する

まずは取引開始前の与信管理を徹底しましょう。与信管理とは、取引先の支払い能力や信用度を事前に調査し、取引を行うかの判断や、取引上限額(与信限度額)を設定する一連の活動を指します。

新規の取引先に対しては、企業情報を調査したり、信用調査企業のレポートを活用したりして、経営状況を客観的に評価します。支払い能力に不安のある相手との取引を避ける、あるいは取引額を少額に抑えるといった対策を取ることで、将来の滞留債権の発生を防ぐ効果が期待できます。

売掛金の管理体制を明確にする

社内における売掛金の管理体制を明確にすることも、回収漏れを防ぐ上で不可欠です。どのようなフローで請求書を発行するのか、入金確認から管理表の更新まで誰が行うのかといった役割分担をはっきりと定めます。

また請求書発行担当者と入金確認担当者を分ける、作成した請求書は上長が承認するなど、複数人によるチェック体制を導入すると、人為的ミスの削減や不正防止に効果があります。常に最新の入金状況を関係者が共有できる仕組みを作るのが理想です。

売掛金の回収漏れには迅速に対応する

どれだけ注意深く管理していても、取引先による支払い期日の認識違いや資金繰りの悪化など、予期せぬ理由で支払い遅延が発生する場合があります。もし支払い期日後に入金が確認できない場合は、迅速に対応を開始することが重要です。

対応が遅れると、取引先が「支払いを催促されないから後回しでいい」と判断してしまう可能性があります。また相手の経営状態がさらに悪化すれば、回収はより困難になります。遅延を発見したらすぐに状況を確認し、支払いの督促を行うルールを徹底しましょう。

売掛金を管理する2つの方法

売掛金を管理する2つの方法を示す図

売掛金を管理する具体的な方法としては、主に「Excel」を利用する方法と、「専用のシステム」を利用する方法の2つが挙げられます。それぞれにメリットとデメリットがあり、自社の規模や取引量に応じて最適な方法を選択する必要があります。

Excelで管理する

表計算ソフトのExcelは、売掛管理(売掛金管理)にも活用できます。最大のメリットは、初期費用がかからず、すぐに作成ができる手軽さです。関数やマクロを使いこなせば、ある程度集計作業を自動化することも可能です。

一方で、Excelでの管理には注意点もあります。すべての情報を手作業で入力するため、入力間違いや更新漏れといった人為的なミスが起こりやすい傾向があります。また、ファイルが個人のPCに保存されていると情報共有がしにくく、管理業務が特定の担当者に依存するリスクも抱えています。

システムで管理する

もう1つの方法は、会計システムや請求管理システムといった専用のツールで管理する方法です。これらのシステムを使えば、売掛金の発生から請求書発行、入金消込、督促に至るまでの一連のプロセスを、システム上で一元管理できます。

手入力作業の負担が大幅に削減され、リアルタイムで正確な売掛金情報を関係者全員が共有できます。導入には手間とコストがかかりますが、業務の正確性と効率性を高める効果が期待できます。

売掛金管理をシステム化するメリット

ここでは、システムを使った売掛金管理のメリットを解説します。

業務の効率化と人為的ミスの削減

システム化のメリットは、業務効率の向上と人為的ミスの削減です。これまで手作業で行っていた定型業務の多くをシステムが自動で行ってくれます。これにより、担当者は確認作業やイレギュラー対応といった、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。

また、自動化によって請求漏れや金額の計算ミス、消込の誤りといった人為的ミスを減らせます。業務の品質が安定し、手戻りや修正作業にかかっていた時間も削減できるでしょう。

回収率の向上

システム導入は回収率の向上にもつながります。システム上では、全取引先の入金状況がリアルタイムで可視化されます。支払い期日を過ぎた滞留債権は自動でリストアップされるため、経理担当者はすぐに状況を確認できます。

滞留債権の検出と督促のアクションを速やかに行える体制が整うことで、回収のタイミングを逃さず、結果として回収率が高まります。キャッシュフローの予測精度も上がり、より安定した資金繰りが実現できます。

内部統制の強化

システムを導入することは、企業の内部統制を強化する上でも有効です。多くのシステムでは誰が・いつ・どのような操作をしたのかという作業履歴が記録されるため、不正な請求や帳簿改ざんを未然に防ぐ効果があります。

また監査の際には、正確な記録に基づいた資料をスムーズに提出できるため、監査対応の効率化にも貢献します。

まとめ

本記事では、売掛管理の目的から具体的な業務フロー、そして効率化のためのポイントまでを解説しました。売掛金は、企業の健全な経営を支える重要な要素です。その管理を正確かつ効率的に行うことは、安定した資金繰りを実現し、黒字倒産のようなリスクを回避するために不可欠です。

売掛管理する上では、取引前の与信管理や社内体制の整備、迅速な対応を心掛けるのが回収率を高める鍵となります。

管理方法には手軽に利用ができるExcelの他にも、高機能なシステムを導入する選択肢があります。自社の取引量や現在の業務における課題を洗い出し、もし非効率な点やミスが頻発しているのであれば、システムの導入を検討するのも有効です。

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松崎 啓介

記事監修者のご紹介

税理士 松崎 啓介

松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員

保有資格:税理士

昭和59年~平成20年 財務省主税局勤務
税法の企画立案に従事(平成10年~平成20年 電子帳簿保存法・通則法規等担当)
その後、大月税務署長、東京国税局調査部特官・統括官、審理官、企画課長、審理課長、個人課税課長、国税庁監督評価官室長、仙台国税局総務部長、金沢国税局長を経て令和2年8月税理士登録。
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
主な著書「Q&Aでわかる税理士のためのインボイス制度と改正電子帳簿保存法」(第一法規)、「デジタル化の基盤 電帳法を押さえる」 (税務研究会)等

  • 本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。なお、本稿は、読みやすさや内容の分かりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。
「月次決算に役立つ情報」編集部

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「月次決算に役立つ情報」編集部

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