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海外出張の経費精算のやり方を解説|為替レートの対応や注意点、効率化する方法を紹介

海外出張の経費精算のやり方を解説|為替レートの対応や注意点、効率化する方法を紹介

海外出張から帰国した後には、出張にかかった経費を精算する必要があります。

海外出張における経費精算の対応は、為替レートや現地通貨での支出、領収書の扱いなど、国内とは異なる点も多く、戸惑うこともあるでしょう。

本記事では、海外出張における精算の基本的な考え方と、精算をスムーズに進めるための具体的な方法をわかりやすく解説します。

法人カードで経費精算を効率化

海外出張における経費精算の基本ルール

海外出張に伴う経費精算には、国内出張とは異なる特有のルールや注意すべき点があります。この項目では、海外出張時の経費精算を行う上での基本的な考え方と、特に重要なポイントについて解説します。

国内出張との主な違い

国内出張と比べて、海外出張では外貨による支払いが中心となるため、為替レートの適用が不可欠です。出張先の通貨や為替相場を正確に把握し、適切なレートで日本円に換算することが、精算における大きな鍵となります。また、現地の商習慣としてチップを支払う場面も多く、これらの支出の取り扱いにも留意しなければなりません。

さらに、領収書は国によって形式や言語が多岐にわたるため、証憑として認められるかどうかの判断を慎重に行う必要があります。精算時のトラブルを未然に防ぐためにも、事前に社内規定を確認し、有効な証憑の取り扱い方について十分に理解しておくことが重要です。

なお、出張旅費の消費税の扱いについては、国内出張に要した費用については課税仕入に該当して仕入税額控除ができますが、海外出張の場合は、航空運賃、宿泊費、食費等のほとんどは輸出免税又は国外取引等に当たるため課税仕入に該当しないことから、仕入税額控除の対象とならないことに留意しておく必要があります。

経費として認められる費用の範囲

海外出張で経費精算の対象となる費用は、一般的に交通費や宿泊費のほか、通信費、ビザ申請費用、現地でのチップなど、多岐にわたります。

出張の目的に直接関係する費用であれば原則として認められますが、判断に迷うケースも少なくありません。例えば、接待費や雑費といった費用は、社内規定によって取り扱いが異なるため、必ず事前にルールを確認することが不可欠です。

経費の適用範囲が不明確なまま処理を進めると、精算の差し戻しや否認といったリスクが生じます。経費精算の信頼性を保つためにも、個別の費用について規定に基づいた慎重な判断が求められます。

海外出張の経費精算は何日の為替レートで計算すべき?

海外出張における経費精算では、外貨建ての支出を円換算する際にどの為替レートを、いつの時点で適用するかが大きなポイントになります。為替レートには複数の種類があり、それぞれに適用される場面が異なります。ここでは、経費精算に用いる為替レートの種類と、適用日の基本ルールについて解説します。

為替レートの種類

為替レートには主に3つの種類があり、それぞれ用途が異なります。

為替レートの種類

目的

TTS(Telegraphic Transfer Selling rate)

銀行が顧客に外貨を販売する際に用いるレートで、円から外貨へ両替する場面で適用される。

TTB(Telegraphic Transfer Buying rate)

外貨を円に戻す際のレートであり、顧客が外貨を銀行に売却する取引に用いられる。

TTM(Telegraphic Transfer Middle rate)

TTSとTTBの中間にあたるレートで、一般的な参考値として企業の経費精算などで広く使用されている。

精算においては、どのレートを基準とするかを社内で明確にしておくことが、誤差や混乱を避ける上で不可欠です

経費精算における為替レートの適用日と種類

経費精算で用いる為替レートの適用日については、法人税法上原則として「取引日」のTTM(仲値)を使用することが求められていますが、継続適用を条件として一定の場合にはT.T.B(買相場)又は T.T.S(売相場)を用いることも認められています。

実務においては処理の簡便性や一貫性を重視し、TTS(売値)レートを採用している企業も少なくありません。どのレートを使うかは、社内規定や運用ルールによって明確に定めておくことが重要です。

また、事前に外貨を両替して現地で使用した場合には、その両替時点の為替レートを基準として円換算するのが適切とされています。レートの選定と適用日は、トラブルを防ぐためにも明確に運用することが求められます。

海外出張における領収書・証憑の扱いと注意点

海外出張中の経費精算では、領収書や証憑類の取り扱いが極めて重要なポイントとなります。ここでは、実務上よくある疑問に触れながら、証憑管理における注意点と対応策を整理します。

言語が異なる領収書はどう扱う?

海外出張先で受け取る領収書には、英語や出張先の言語で記載されたものが多く含まれます。これらは原則として証憑として使用できますが、経費の内容が明確でない場合には、支出の目的や品目を補足する注釈を加えておくと、経理処理が円滑に進みます。

また、企業として翻訳の有無や形式について基準を設けておくと、出張者ごとの対応にばらつきが生じにくくなります。たとえば、簡易な和訳を領収書に添付する、費目をメモで補足するなど、負担の少ない運用を定めておくことが望ましいでしょう。

領収書が出ない支出の処理

すべての支出に領収書が発行されるとは限りません。特に海外出張では、現地のタクシーやバスといった交通手段、あるいは飲食店でのチップなど、領収書を取得できない支出も少なくないのが実情です。このようなケースでは、支出メモによって補完することが一般的です。日付・金額・支出内容を簡潔に記録し、経費精算書に添付することで、証憑としての要件を満たすことができます。

加えて、こうした支出に対しては、あらかじめ社内で上限額や用途の範囲を定めておくことが重要です。運用ルールを明確にしておけば、経理処理の属人化や不正のリスクも回避できます。

海外出張における経費精算の方法

海外出張における経費精算の3つの方法を示す図

海外出張時の経費精算には、いくつかのやり方があります。ここでは、代表的な3つの精算方法について、それぞれの仕組みと注意点を整理してお伝えします。

仮払金を支給し帰国後に精算

仮払金による精算は、海外出張で一般的に使われる経費の処理方法です。これは、出張前にあらかじめ見込まれる経費分として、外貨または日本円を渡しておくものです。そして、帰国後に実際の支出内容と照らし合わせて最終的な精算を行います。

この方法の利点は、出張者が個人的に多額の費用を立て替える必要がない点です。そのため、特に長期出張や高額な費用が見込まれる場合に適しています。精算時には、渡した金額と実際の支出額との差を正確に確認し、不足があれば追加で申請、余剰があれば速やかに返金してもらうことになります。なお、差額の処理方法や必要な書類については、企業のルールに従うことが基本です。

立替払いで帰国後に精算

現地での支払いを、出張者が一時的に個人で立て替えておき、帰国後に企業に請求する方法です。立替方式は、短期の出張や急な出費が発生した場合によく使われます。この方法を選択する場合、支出の明細を正確に記録し、領収書などの証拠を必ず保管しておくことが大前提です。また、企業が定めた精算期限を厳守することも非常に大切です。

もし期限を過ぎてしまうと、経費として認められなかったり、税務上の問題につながったりする可能性があります。特に大きな出費が予想される場合は、立て替える個人の負担を減らすためにも、仮払金との併用も視野に入れるべきでしょう。

クレジットカード利用

クレジットカードを使って経費を精算する方法は、現金を扱わずに支払いを済ませられるため、非常に便利です。特に法人カードや企業指定の個人カードを活用すれば、支出の記録が明確に残るため、領収書の管理も効率的になります。

ただし、精算時には、カード会社が適用する為替レートや手数料が加算されることがあります。そのため、実際にカードを利用した日の金額と、後日請求される金額との間に差額が生じる可能性があります。この差額が経費として認められるかは、企業の規定によって判断が異なるため、あらかじめ確認しておくことが重要です。

また、為替レートは常に変動しているため、実際の支出額に差異が生じることもあります。これを防ぐには、クレジットカードの明細と、現地で受け取った領収書を丁寧に照合することが不可欠です。この精算方法のメリットを最大限に生かすには、事前の運用ルールの整備と、利用時の注意が必要になります。

海外出張の経費精算を効率化する仕組み

海外出張に伴う経費精算は、手間がかかりやすく、処理ミスや確認漏れのリスクもつきものです。ここでは、事前準備から精算処理までをスムーズに進めるための、下記の3つの仕組みを紹介します。

  • 手間のかからない精算のフローを構築する
  • 法人クレジットカードを使用する
  • 経費精算システムを導入しカード明細を連携する

手間のかからない精算のフローを構築する

海外出張における経費精算の負担を軽減するためには、出張に伴う一連のフローを社内であらかじめ整備し、出張者に周知しておくことが重要です。

出張前には、目的や予算、仮払申請など必要な申請項目を明確にし、承認手続きをスムーズに進められるよう整備します。出張中は、領収書や証憑の保管・記録方法を統一し、紛失や記載漏れを防ぐルールを定めておくことが求められます。出張後には、「5営業日以内に申請・承認を完了する」といった明確な期限を社内ルールとして設け、精算遅延や差し戻しを防ぎます。

こうしたフローを文書化し、出張者へ事前に案内しておくことで、社内全体で効率的な精算体制を構築できます。

法人クレジットカードを使用する

現金精算の煩雑さを軽減する手段として、法人クレジットカードの活用は非常に有効です。出張者にカードを持たせることで、現地での支払いを個人で立て替える必要がなくなり、精算に関わる心理的・事務的負担を抑えることができます。

加えて、利用履歴は明細として自動的に記録されるため、支出の根拠が明確になり、領収書の整理や手入力の手間を減らす効果もあります。精算処理の正確性が向上するだけでなく、不正使用や支出の記録漏れのリスクも軽減されます。

なお、法人カードの利用に当たっては、使用対象の経費範囲や上限額、明細提出の期限などを明文化しておくことが、円滑な運用の前提となります。

経費精算システムを導入しカード明細を連携する

経費精算の効率化を図る上で、経費精算システムの導入とクレジットカード明細の自動連携は非常に効果的な手段です。カードの利用履歴をシステム上に取り込むことで、手入力の手間が不要になり、入力ミスや転記漏れのリスクを大幅に削減できます。さらに、為替レートの自動適用機能により、外貨建ての支出も正確に円換算され、出張者・経理担当双方の負担が軽減されます。

近年では、OCR機能を活用して領収書を読み取り、カード明細と照合する工程まで自動化できるシステムも登場しています。こうした仕組みを活用することで、属人的な処理を減らし、精算業務全体のスピードと正確性を向上させることが可能となります。システム導入は初期整備こそ必要ですが、長期的には高い業務効果をもたらします。

まとめ

海外出張における経費精算は、為替レートや証憑の取扱い、精算方法の選定など、国内出張とは異なる多くの実務的な論点を含んでいます。手続きを確実かつ効率的に行うには、社内ルールの整備とともに、日々の運用を支える仕組みづくりが欠かせません。特に、法人カードや精算システムを活用することで、業務の属人化を防ぎ、処理ミスや負担を大幅に軽減できます。

こうした業務効率化の取り組みは、経費処理のスピードだけでなく、内部統制やガバナンス強化にもつながります。経理部門にとっては、より本質的な業務にリソースを振り向けるための土台となるでしょう。

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松崎 啓介

記事監修者のご紹介

税理士 松崎 啓介

松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員

保有資格:税理士

昭和59年~平成20年 財務省主税局勤務
税法の企画立案に従事(平成10年~平成20年 電子帳簿保存法・通則法規等担当)
その後、大月税務署長、東京国税局調査部特官・統括官、審理官、企画課長、審理課長、個人課税課長、国税庁監督評価官室長、仙台国税局総務部長、金沢国税局長を経て令和2年8月税理士登録。
松崎啓介税理士事務所 所長、一般社団法人租税調査研究会主任研究員
主な著書「Q&Aでわかる税理士のためのインボイス制度と改正電子帳簿保存法」(第一法規)、「デジタル化の基盤 電帳法を押さえる」 (税務研究会)等

  • 本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。なお、本稿は、読みやすさや内容の分かりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。
「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務、経費精算、債権管理や経理業務における法対応など、さまざまな業務の課題を解決に導く情報をお届けします。

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