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家賃用の請求書を作成するには?基本的な書き方やインボイス制度、滞納時の対応を解説

家賃用の請求書を作成するには?基本的な書き方やインボイス制度、滞納時の対応を解説

家賃用の請求書は、賃貸借契約を円滑に進める上で不可欠な書類です。しかし最近ではインボイス制度への対応や家賃滞納時の法的リスクが注目されるようになり、家賃用の請求書を発行する方法や扱いについて不安を感じる方も増えています。

この記事では、家賃用の請求書の基本的な記載項目やインボイス制度への対応、具体的な書き方に加え、実務で起こりがちなトラブル事例やその対処方法についても解説していきます。

請求書発行から入金消込まで!業務を効率化

家賃用の請求書の基本

家賃の請求書は、貸主と借主の間で発生する金銭取引を明確にし、双方の権利と義務を保護する重要な書類です。法的な発行義務はありませんが、トラブル防止や経理処理の観点から、その役割と必要性を正しく理解しておくことが大切です。

家賃用の請求書の役割

家賃用の請求書は、単なる支払い依頼を超えた、重要な役割を担っています。

第一に、支払うべき家賃の金額、支払い期日、対象期間などを明確に示すことで、貸主と借主の間で認識の相違を防ぐという役割です。

第二に、支払いが完了した後も証拠書類として機能し、将来的なトラブル発生時に双方の主張を裏付ける根拠となります。

第三に、借主が法人や個人事業主の場合、経理処理や税務申告において必要不可欠な証憑書類となり、特にインボイス制度導入後は仕入税額控除の適用を受けるための重要な書類となります。

発行義務の有無

家賃用の請求書について、法的な発行義務は存在しません

民法や借地借家法などの関連法規には、家賃の請求書発行を義務付ける条文はなく、実際の賃貸借実務においても、口座振替や自動引き落としを利用している場合などは請求書を発行しないケースが一般的です。

発行が必要になるケース

家賃用の請求書の発行が必要となるのは、借主側から請求書の発行を依頼された場合です。

借主が法人や個人事業主の場合、経理処理上、請求書が必要となることがあります。特にインボイス制度導入後は、事業用物件の家賃について仕入税額控除の適用を受けるため、適格請求書(インボイス)の発行を求められるケースが増えています。

なお、家賃の滞納が発生した際の督促や、税務調査での証拠書類としても請求書は重要な役割を果たします。

家賃用の請求書の記載項目

家賃用の請求書例と、それに記載すべき項目を解説した図

家賃用の請求書を作成する際は、必要な情報を漏れなく記載することが重要です。ここでは、請求書に記載すべき実務上必須項目と、状況に応じて追加する付加的項目について解説します。

実務上必須記載項目

家賃用の請求書には、以下の項目を必ず記載します。

項目

内容

物件情報

物件名称、所在地、部屋番号など。複数の物件を管理している場合は、どの物件の家賃かを明確に記載します。

貸主と借主の情報

双方の氏名(法人の場合は法人名)、住所、連絡先など。法人の場合は、担当部署や担当者名も併記します。

家賃の金額と支払い期日

金額は税込・税抜を明確にし、共益費や管理費が含まれる場合はその内訳も記載します。支払い期日は「○年○月○日まで」と具体的に記載します。

請求対象期間

「○年○月分」など、どの期間の家賃なのかを明記します。前払いか後払いかによって記載方法が異なるため、契約内容に沿って正確に記載します。

付加的項目

家賃用の請求書には、状況に応じて追加すると良い項目もあります。

項目

内容

領収印欄

手渡しで家賃を受け取る場合などに便利です。請求書と領収書を兼用することで、書類管理を簡素化できます。

振込手数料に関する取り決め

振込手数料の負担者を明記することで、のちのトラブル防止につながります。「振込手数料は借主様負担」と明記されていると、責任範囲が明確になります。

滞納時の延滞金に関する事項

契約書に延滞損害金の定めがある場合、その計算方法や利率を記載します。ただし、法定利率を超える設定は無効となるため注意が必要です。

その他特記事項

駐車場代や水道光熱費の実費精算がある場合の詳細、更新料の支払い時期の案内、修繕や工事に関する連絡事項など、借主に伝えるべき情報を記載します。

家賃の請求書に必要なインボイス制度への対応

2023年10月から開始されたインボイス制度により、事業用物件の家賃請求書についても新たな対応が必要となりました。ここでは、家賃の課税区分とインボイス制度に対応した請求書の作成方法について解説します。

家賃の課税・非課税区分とインボイス発行義務

家賃は用途によって消費税の取り扱いが異なります。

まず、住宅として使用される物件の家賃は非課税となり、インボイスの発行は不要です。一方、事務所、店舗、倉庫など事業用として使用される物件の家賃は課税対象となります。貸主が適格請求書発行事業者で、借主が課税事業者の場合、相手方からの求めに応じて適格請求書を交付することが義務付けられています。

参照:国税庁|Ⅲ 適格請求書発行事業者の義務等

住宅兼事務所のような場合は、事業用部分のみが課税対象です。契約書で用途が明確に定められていない場合は、実際の使用状況に基づいて判断することになりますが、トラブルを避けるためにも契約時に用途を明確にしておくことが必要です。

インボイス制度に対応した家賃用の請求書の書き方

インボイス制度に対応した家賃用の請求書(適格請求書)を作成する際は、以下の項目を必ず記載する必要があります。

項目

内容

適格請求書発行事業者の氏名または名称

請求者の氏名や企業名を、請求書の上部など目立つ位置に記載します。

適格発行事業者の登録番号

「T」から始まる13桁の番号で、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確認できます。請求書の上部など目立つ位置に記載します。

取引年月日

「○月分家賃」のように家賃の対象期間を記載します。

取引内容

「〇〇マンションA棟201号室 事務所家賃(共益費含む)」のように物件名や請求内容を記載することが一般的です。

税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および消費税額

家賃の税抜もしくは税込金額と消費税額をそれぞれ明記します。

複数の税率が混在する場合は、税率ごとに区分して記載します。事業用家賃の税率は10%です。

適用税率

対価の額に「適用税率」を記載します。

請求書を受領した者の氏名または名称

借主の正式名称を記載します。

これらの項目が一つでも欠けていると適格請求書として認められず、借主が仕入税額控除を受けられなくなるため、慎重に作成することが大切です。

適格請求書についての詳細は、以下の記事もご覧ください。

家賃用の請求書の作成方法

家賃用の請求書を実際に作成する際の方法や注意点について、具体的な手順とともに解説します。

手書きとPC作成の違い

家賃用の請求書の作成方法は、大きく分けて手書きとPC作成の2種類です。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。

項目

手書き

PC作成

メリット

  • コストがあまりかからない
  • PCスキルが不要
  • 修正や再発行が容易
  • 計算ミスを防ぎやすい
  • データ保存が簡単

デメリット

  • 手計算によるミスのリスク
  • 修正が困難
  • 保管スペースが必要
  • PCやソフトが必要
  • 操作スキルが必要
  • 電子保存の要件確認が必要

管理戸数が少ない場合は手書きでも対応可能ですが、インボイス制度への対応や業務効率化を考慮すると、PC作成の方が有利といえます。

テンプレートの活用と注意点

ExcelやWordのテンプレートは、請求書作成の効率化と標準化に役立ちます。テンプレートは、Microsoft公式サイトや各種ビジネステンプレートサイトからダウンロード可能です。

テンプレートを利用する際は、まず利用条件を確認しましょう。商用利用が可能かどうか、改変が許可されているかの確認は必須です。

また、マクロが含まれているファイルはセキュリティー上のリスクがあるため、信頼できるサイトからのみダウンロードし、ウイルスチェックを確実に行います。

機能面では、自動計算機能の数式が正しく設定されているか、インボイス制度に対応した項目が含まれているかを確認し、必要に応じて修正を加えましょう。

適切な発行頻度と交付方法

家賃用の請求書は、毎月発行するのが一般的です。ただし、年払いや半年払いの契約の場合は、それに応じた頻度で発行します。支払い期日の1〜2週間前に借主の手元に届くよう、余裕を持って発行しましょう。

交付方法には以下の選択肢があります。

交付方法

メリット

デメリット

郵送

追跡でき、到着の証拠も残る

郵送コストと時間がかかる

手渡し

確実に相手に届けられる

時間と手間がかかる

メール送付

迅速かつ低コストで、電子保存も容易

借主のPC環境などの確認が必要

発行後の保管について

法人が発行した請求書の控えは、原則としてその事業年度の確定申告書の提出期限翌日から7年間(一定の条件を満たす場合は10年間)の保管が必要です。

紙で保管する場合は、年度別・物件別にファイリングし、すぐに取り出せるよう整理します。

電子保存の場合は、電子帳簿保存法の「真実性の確保」と「可視性の確保」の要件を満たす必要があります。

真実性の確保

データの改ざんを防止するため、タイムスタンプを付与したり、訂正削除履歴を残せるシステムを使用したりするなどの措置を行う

可視性の確保

必要な時にすぐに参照できるよう、日付、取引先名称、取引金額で検索できる状態にしておく

電子帳簿保存法への対応についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

家賃滞納時の対応方法

家賃の滞納は賃貸経営において避けるべき課題のひとつです。実際に滞納が起こった場合、適切な対応方法を事前に理解しておくことは大変重要です。ここでは、督促状の作成方法とよくあるトラブル事例への対処法を解説します。

督促状の必要性と書き方

家賃滞納が発生した場合、まずは電話や訪問で支払いを促しますが、それでも支払いがない場合は督促状を送付します。督促状は単なる支払い催促だけでなく、法的手続きを進める際の重要な証拠です。

督促状には、物件情報、滞納している家賃の金額と対象月、支払い期限、振込先情報を明記します。

また、支払いの重要性を伝えるために、法的措置に言及する文言も書き添えます。ただし、脅迫的な文言は避け、事務的かつ丁寧な文面を心がけましょう。

以下は、督促状の文例です。

令和○年○月○日

〒○○○-○○○○

東京都○○区○○1-2-3

山田 太郎 様

〒○○○-○○○○

東京都○○区○○4-5-6

株式会社○○不動産

代表取締役 鈴木 一郎

電話:03-○○○○-○○○○

家賃支払督促状

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、貴殿にご契約いただいております下記物件の家賃につきまして、本日現在、下記のとおり滞納となっております。

物件名:○○マンション301号室

所在地:東京都○○区○○1-2-3

滞納内容:

令和○年○月分家賃  80,000円

令和○年○月分家賃  80,000円

滞納額合計      160,000円

つきましては、令和○年○月○日までに下記口座へお振込みくださいますようお願い申し上げます。

振込先:○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○

    口座名義:カ)○○フドウサン

なお、上記期日までにお支払いいただけない場合は、やむを得ず賃貸借契約の解除および法的措置を検討させていただくことを申し添えます。

ご不明な点がございましたら、上記連絡先までご連絡ください。                    

敬具

よくあるトラブル事例と解決方法

家賃請求書に関するトラブルの多くは、事前の対策によって防ぐことができます。ここでは代表的な事例と解決方法をご紹介します。

請求金額の記載ミス

家賃や共益費の記載に誤りがあり、借主から指摘を受ける事例が散見されます。

このような場合は速やかに借主へ連絡し、誤りを認めて謝罪した上で、正しい請求書を再発行しましょう。訂正の連絡は必ずメールなど記録に残る方法で行い、誤記が生じた経緯も丁寧に説明します。過剰請求していた場合は、差額の返金手続きも迅速に行いましょう。

請求書が届かない・紛失された

郵送した請求書が借主に届かない、または借主が紛失してしまうケースも少なくありません。

このような事態を防ぐため、重要な請求書は追跡可能な方法で送付し、メールでのPDF送付を併用することが効果的です。借主から再発行を求められた場合は、「再発行」と明記した請求書を速やかに発行し、発行履歴を管理しておきます。

請求内容が曖昧

「今月の請求額○○円」とだけ記載されていて、内訳が不明確なために借主から問い合わせを受けることもあります。

請求書には必ず、家賃、共益費、駐車場代などを項目別に明記し、それぞれの金額を明確に示します。特に初回の請求時は、契約内容との整合性を確認し、必要に応じて備考欄で補足説明を加えることが大切です。

まとめ

家賃用の請求書は、法的な発行義務はないものの、賃貸経営を円滑に進める上で欠かせない重要な書類です。適切な請求書の作成は、支払いトラブルの予防、税務対応の適正化、そして貸主と借主の信頼関係構築に影響します。

一方で、インボイス制度への対応や、家賃滞納などのトラブルを防ぐ適切な請求書管理は、多くの家主にとって頭の痛い課題となっています。こうした課題を解消し、請求書発行を効率化する上で役立つのが「Bill One債権管理」です。

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小野 智博

記事監修者のご紹介

弁護士 小野 智博

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士

保有資格:弁護士

慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、グローバル事業の支援を得意とし、「国際ビジネス法務サービス」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

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「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

Bill Oneが運営する「月次決算に役立つ情報」の編集部です。請求書業務、経費精算、債権管理や経理業務における法対応など、さまざまな業務の課題を解決に導く情報をお届けします。

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