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会社の経費をクレジットカードで個人立替する時の対応を解説 | 領収書や仕訳のやり方を紹介

会社の経費をクレジットカードで個人立替する時の対応を解説 | 領収書や仕訳のやり方を紹介

会社経費を個人のクレジットカードで立て替えるケースは多くの企業で見られます。しかし、個人名義での立替は、支払いの主体が一時的に社員個人となるため、仕訳や証憑管理が複雑になりやすい傾向があります。さらに、インボイス制度開始以降は、領収書や利用明細の扱いが複雑化し、税務リスクも高まっています。

本記事では、クレジットカードによる個人立替の処理に必要な証憑や仕訳方法、メリットと注意点、社内ルールの整備ポイントなど、実務に役立つ知識を丁寧に解説します。

法人用クレジットカードで経費精算を効率化

会社の経費をクレジットカードで個人立替しても問題ない?

従業員による経費の個人立替は、出張費や会議費など、業務上の支出で日常的に行われています。ここでは、法律・会計上の位置づけ、立替が発生する具体例、潜在リスクを確認します。

法律・会計上の位置づけ

個人カードによる会社経費の立替払いは、法律・会計上、一般的に禁止されていません。会計は「取引の事実」を記録するため、支払い手段自体は問題となりません。

重要なのは、支出が事業に必要な経費であると証明できることです。適切な証憑と業務関連性があれば、会計処理上の問題は生じません。

ただし、税務調査の際には、私的利用との区別を明確にする必要があるため、証憑の管理や社内ルールの整備が不可欠です。

立替が発生する典型的なケース

個人カードによる立替は、特に法人カードがまだ発行されていない、あるいは法人カードを導入している企業でも、全従業員への支給が行き届いていない場合や、利用範囲が限定されている場合に発生します。たとえば、以下のようなケースです。

  • 出張時の交通費・宿泊費
  • 取引先との会食費用
  • 営業活動に伴う移動費や交際費
  • 文具や日用品などの事務用品購入費

また、オンラインサービスの利用料金や海外サイトでの購入などで、法人カードが利用できない場合は、個人カードの利用が必要になることもあります。

立替利用のリスク

個人立替は従業員ごとの支出を後から確認する仕組みのため、私的利用などの不正や、精算時の誤処理がリスクとなります。従業員ごとの申請を目視確認する必要があるため処理が煩雑化し、チェック負担も増えます。個人立替を認める場合は、管理体制の整備が不可欠です。

クレジットカードで個人立替する時に必要な証憑

インボイス制度の導入により、経費精算における証憑の要件はより厳格になりました。個人のクレジットカードで立替払いをする際も、適切な証憑を取得・保管することが税務上の要件を満たすために重要です。

証憑として認められるための記載要件

2023年10月開始のインボイス制度では、仕入税額控除の適用に適格請求書(インボイス)の要件を満たす証憑が必要です。

個人立替の経費精算においても、従業員から提出される領収書やレシートが以下の要件を満たしているか確認する必要があります。

記載が必要な項目

内容

適格請求書発行事業者の氏名または名称

領収書を発行する事業者の正式名称

適格発行事業者の登録番号

「T」から始まる13桁の番号

取引年月日

実際に取引が行われた日付

取引内容

購入した商品やサービスの具体的な内容

適用税率

8%(軽減税率)または10%(標準税率)

税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および消費税額

税抜または税込金額と、それぞれの消費税額

請求書を受領した者の氏名または名称

自社の企業名(「上様」は原則不可)

立替経費処理で利用できる証憑

立替経費の処理において必要となるのは、原則として「領収書」です。領収書は、商品やサービスの提供者が発行する正式な証憑であり、税務上最も信頼性の高い書類として扱われます。

一方、クレジットカードの利用明細やレシートは、カード会社や店舗が発行する取引記録ですが、それだけでは税法上正式な証憑と認められない場合があります。

特に、登録番号や税率区分などの記載がない利用明細では仕入税額控除を受けることができません。そのため、クレジットカード決済であっても、インボイスの要件を満たす領収書を必ず受け取っておく必要があります。

クレジットカード決済における領収書発行の詳細は、以下の記事をお読みください。

領収書がない場合に認められる代替書類

出張費やオンラインでの決済など、領収書の発行が難しいケースもあります。その場合、以下の書類が代替証憑として認められる可能性があります。

経費精算に使える書類についての詳細は、以下の記事もお読みください。

クレジットカード利用明細書

VISAやMastercardなどのカード会社が発行する利用明細は、カード利用日、利用先、金額が記載されているため、取引の事実を証明する書類として一定の証明力があります。

ただし、利用明細には登録番号・適用税率・消費税額などが記載されないことが多いため、仕入税額控除にはインボイス要件を満たす領収書(または対応レシート)が別途必要です。電子明細・PDFは電子帳簿保存法の要件に沿って電子保存します。

店舗が発行するレシート

コンビニエンスストアやスーパーマーケットで発行されるレシートは、店舗名、所在地、日付、購入内容、消費税額が明記されていれば、領収書と同等の証憑として認められます。

なお、インボイス対応のレジスターで発行されるレシートには登録番号も記載されるため、特に少額の経費精算では領収書の代わりとして広く利用されています。

クレジットカード売上票(お客様控え)

レストランやホテルでカード決済した際に渡される「お客様控え」は、店舗名、金額、決済日が明確に分かるため、取引の証明書類として利用できます。

ただし、これもインボイスの要件を満たしていないことが多いため、別途レシートなどを保管しておく必要があります。

オンラインサービスの利用明細(電子データ)

航空券予約サイトやECサイトから発行されるPDF形式の明細書は、発行者名、金額、日付、取引内容が明記されていれば証憑として有効です。

なお、これらの電子データは電子帳簿保存法の対象となるため、法律の要件に沿った形で電子保存する必要があります。

電子帳簿保存法の保存要件についての詳細は、以下の記事をお読みください。

法人カードで経費精算を効率化

クレジットカードによる個人立替の仕訳方法

クレジットカードによる個人立替の経理処理は、通常の経費精算とは異なります。ここでは、立替発生から精算完了までの仕訳方法を、事例を交えて解説します。

立替発生時の仕訳例

従業員が個人のクレジットカードで企業の経費を立て替えた場合、次のように仕訳します。

たとえば、営業担当者が取引先との会食費30,000円を個人カードで支払った場合は次の通りです。

借方

貸方

接待交際費

30,000円

未払金

30,000円

また、出張時の新幹線代15,000円を立て替えた場合は以下のように仕訳をします。

借方

貸方

旅費交通費

15,000円

未払金

15,000円

貸方科目は「未払金」を使用しますが、会計方針によっては「立替金」とする場合もあります。重要なのは、立替発生時に経費を計上し、月次決算の正確性を保つことです。

精算時の仕訳例

立替金を従業員へ精算する際は、支払い方法に応じて仕訳します。以下では、前項のケースを例に説明します。

【現金で精算する場合】

借方

貸方

未払金

30,000円

現金

30,000円

【銀行振込で精算する場合】

借方

貸方

未払金

30,000円

普通預金

30,000円

給与と合算して精算する場合は、給与計算時に未払金を加算し、次のとおり仕訳します。

借方

貸方

給料手当

250,000円

普通預金

280,000円

未払金

30,000円

会社経費を個人のクレジットカードで立て替えるメリットと注意点

個人のクレジットカードによる立替払いにはメリットがある一方で、適切に管理しなければリスクが発生します。ここでは、実務上のメリットと注意点を整理します。

メリット

会社の経費を個人のクレジットカードで立て替えるメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

キャッシュフローの改善

支払いサイト(通常1〜2か月後)分だけ現金支出を先延ばしにでき、資金繰りを改善できる

利用明細による管理

従業員の利用明細提出により、経費使用状況を把握しやすくなる

緊急時の柔軟な対応

現金の持ち合わせがない場合や、急な出費が発生した場合でも、柔軟に対応できる

上記のうち、「キャッシュフローの改善」と「利用明細による管理」は企業側のメリットですが、3番目の「緊急時の柔軟な対応」は、企業と従業員双方にとってのメリットです。

注意点

一方、個人名義のクレジットカードを使用する場合は、以下の点に注意が必要です。

私用利用との区別が困難

個人用のクレジットカードのため、どれが私的な支払いで、どれが企業の経費なのか明細だけでは区別がつきにくいことがあります。

証憑の不備による税務リスク

従業員が領収書やレシートを受け取り忘れたり紛失したりすると、経費として認められず、仕入税額控除が受けられないおそれがあります。

経理担当者のチェック負担増

従業員ごとに異なるタイミングで提出される経費精算書と、添付された多数の証憑を一件ずつ確認する作業は、経理担当者にとって大きな負担となります。

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クレジットカードによる立替ルール整備のポイント

クレジットカードによる立替ルール整備のポイントを説明する図

個人カードによる立替払いを適切に管理するには、明確な社内ルールの整備が欠かせません。ここでは、実効性のあるルールづくりのポイントを解説します。

立替利用を許容する際のルールを決める

まず、どのような場合に立替を認めるのかを、就業規則や経費精算規程で明文化します。定めておくべき項目の例は以下の通りです。

項目

内容

立替を認める経費の範囲

「旅費交通費」「接待交際費」「会議費」「事務用品費」など、対象となる経費科目を具体的に明示する

1回当たりの上限金額

不正利用や高額な私的利用を防ぐため、1回の決済ごとに上限金額を設定する

精算申請の期限

経費の発生から「1カ月以内」など、申請の提出期限を明確にする

必要な証憑の種類

インボイス要件を満たす領収書やレシートの提出を原則とし、代替書類を認める場合の条件も定めること

事前申請・承認フロー

一定金額を超える場合は、経費を使用する前に上長の承認を得るなどのフローを導入する

証憑管理と不正防止の仕組みを取り入れる

ルールを定めたら、それを確実に運用するための仕組みづくりも必要になります。まず、経費申請内容と証憑(領収書・レシート・カード明細)を照合する仕組みを整えることが重要です。金額・日付・利用先が一致しているかを確認し、不明点があれば担当者へ説明を求める体制を整えます。

領収書やレシートをスキャンした画像やPDFで保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たさなければなりません。ファイル名の付け方やタイムスタンプの付与など保存ルールを徹底し、証憑の保管期間を遵守する管理体制を整えます。

まとめ

個人のクレジットカードによる経費立替は、適切に管理すれば企業の柔軟な運営を支える有効な手段です。ただし、インボイス制度への対応や証憑管理、不正防止など、注意すべき点も多く存在します。

本記事で解説した仕訳方法や証憑要件を理解し、明確な社内ルールを整備することで、税務リスクを回避しながら効率的な経費精算を実現できるでしょう。

なお、立替払いが常態化している企業では、根本的な解決策として法人カードの導入を検討することも有効です。法人カードと経費精算システムを連携させることで、立替払いの煩雑さを解消し、経理業務の大幅な効率化が期待できます。

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小野 智博

記事監修者のご紹介

弁護士 小野 智博

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士

保有資格:弁護士

慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、グローバル事業の支援を得意とし、「国際ビジネス法務サービス」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

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「月次決算に役立つ情報」編集部

執筆・編集

「月次決算に役立つ情報」編集部

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