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請求漏れはなぜ起こる?原因・リスク・4つの防止策、支払い拒否への対応方法を解説

請求漏れはなぜ起こる?原因・リスク・4つの防止策、支払い拒否への対応方法を解説

請求漏れは、企業の経理や営業を担当する方なら、一度はヒヤリとした経験があるのではないでしょうか。請求漏れを放置すると、企業の経営を揺るがす深刻な事態を引き起こす可能性があります。

今回は、請求漏れが引き起こすリスクや主な原因を解説し、具体的な防止策や債権管理システムの選定ポイントをご紹介します。また、万が一請求漏れが発生してしまった場合や、取引先から支払いを拒まれた場合の対応方法についても解説します。

請求書発行から入金消込まで!業務を効率化

請求漏れが引き起こす4つのリスク

請求漏れが引き起こす4つのリスクを説明する図

請求漏れを放置すると、資金繰りの悪化や取引先との関係に支障をきたすなど、さまざまな問題に発展する可能性があります。

1. キャッシュフローの悪化

請求漏れが引き起こす最も大きなリスクは、キャッシュフローの悪化です。当然ながら、請求しなければ売上金は入金されません。本来入るはずだった資金がなければ、仕入れ代金や従業員の給与、オフィスの賃料といった経費の支払いが滞る可能性があります。

2. 取引先からの信頼失墜

請求漏れは、取引先との信頼関係に影響を及ぼす原因となります。単発のミスであれば大きな問題にはならない場合もありますが、請求漏れや金額の誤りが繰り返されると、取引先に「経理体制に問題がある企業」という印象を与えてしまいます。こうした状況が続くと、企業としての信頼性にも疑念を抱かれる可能性があります。

その結果、取引条件が厳格化されたり、最悪の場合は契約の見直しに至ったりする可能性もあります。

3. 時効による回収不能

請求漏れを長期間放置してしまうと、最終的に代金を回収できなくなるリスクがあります。代金を請求する権利、すなわち債権には時効が存在し、原則として5年と定められています。

つまり、取引の支払い期日から5年が経過すると、時効が成立し、代金を回収する権利を失うおそれがあります。手遅れにならないよう、請求の進捗状況は常に正確に管理することが重要です。

4. 取引先からの支払い拒否

請求漏れに気づいて後日請求した場合でも、取引先から支払いを拒否される可能性があります。もちろん法的には支払い義務があるものの、取引先によっては「今さら請求されても対応が難しい」「すでに社内の会計処理が完了している」といった理由で、支払いに応じてもらえないケースもあります

このような場合、未収解消に向けた協議や対応が必要となり、場合によっては法的手続きに発展する可能性もあります。請求の遅延という自社側の落ち度がある場合、協議が円滑に進まないおそれもあります。

請求漏れが起こる4つの原因

請求漏れは、なぜ起きてしまうのでしょうか。ここでは、主な原因として考えられる4つの要素を解説します。

  1. 債権管理ができていない
  2. 複雑な契約形態
  3. 請求業務のフローが曖昧
  4. 部門間の連携不足

1. 債権管理ができていない

請求漏れが起こる根本的な原因の一つに、債権管理の不備が挙げられます。取引先や案件ごとに、いつ、いくら請求すべきか、入金予定日はいつかといった情報を正確に管理できていない状態では、どの案件の請求書が発行済みで、どれが未発行なのかを誰も把握できなくなってしまいます。

特に業務が属人化していると、資料や請求状況が担当者以外に共有されず、企業としてリスクの高い状態になります

2. 複雑な契約形態

取引先ごとの契約形態が複雑であることも、請求漏れの原因となります。例えば複数のプランやオプション、締め日の違いなどが挙げられます。このような場合、取引先ごとに請求額が変動したり、締め日が異なったりするため、請求業務が煩雑になりやすくなります

結果として、オプションの請求を忘れたり、業務を後回しにして失念したりするミスが起こりやすくなります。契約内容が多岐にわたるほど、請求書の正確な作成が難しくなる傾向にあります。

3. 請求業務のフローが曖昧

請求業務に関する明確なルールや業務フローが定まっていないことも、請求漏れの一因となります。例えば「月末までに請求書を作成し、翌月3営業日以内に発送する」といった具体的なスケジュールがなければ、担当者の判断に委ねられ、作業が後回しになりやすくなります。その結果、請求書の発行自体を忘れてしまうリスクが高まります。

また、作成した請求書の確認フローが標準化されていない場合、内容に不備があっても気づかずに発送してしまう可能性もあります。

4. 部門間の連携不足

営業部門と経理部門など、社内の部署間での連携が不足していると、請求漏れのリスクは高まります。営業担当者が新規契約や追加オプションの受注をしても、その情報が経理担当者に正確に伝わらなければ、経理は請求すべき案件の存在に気づけません。

同様に、取引先の担当者変更や送付先の住所変更といった重要な情報が共有されないと、請求書が相手に正しく届かない事態も起こり得ます。請求業務は経理部門だけで完結せず、関連部署とのスムーズな情報共有も必要です。

請求漏れを防ぐ4つの対策

請求漏れは、企業の信頼とキャッシュフローに直結する重要な問題です。ただし、適切な対策を講じることで未然に防ぐことが可能です。ここでは、請求漏れを防止するための具体的な4つの対策を紹介します。

  • 請求業務のフローを整える
  • 請求書にナンバリングを行う
  • 債権管理表を作成する
  • システムの導入

請求業務のフローを整える

請求漏れを防ぐためには、まず請求業務のフローを明確に定めることが重要です。誰が、いつ、何をするのかを具体的にルール化し、社内で共有します。例えば、「毎月20日に営業部門が経理部門へ請求情報を連携する」「経理担当者は25日までに請求書を作成し、上長が承認する」「月末の最終営業日に全件を発送する」といったスケジュールを決めます。

また、作成者と確認者を分けるダブルチェック体制を導入することで、人為的なミスを減らす効果が期待できます。業務フローを標準化し、属人化をなくすことが、安定した請求業務の基盤となります

請求書にナンバリングを行う

請求書に管理番号(ナンバリング)を付与することも効果的です。とくに見積書や納品書と共通した通し番号を用いることで、案件の進捗を管理しやすくなります

また、取引先から請求書に関する問い合わせがあった場合も、管理番号があれば対象の情報をすぐに特定できます。社内の関連部署との情報連携もスムーズになり、業務全体の効率化にもつながります。

債権管理表を作成する

請求状況を正確に把握するためには、債権管理表の作成と運用が効果的です。Excelを活用し、取引に関する情報を一覧で管理します。管理表には「取引先名」「案件名」「請求日」「請求額」「入金予定日」「ステータス(未請求・請求済・入金済など)」といった項目を設けるのがおすすめです。

重要なのは、この管理表を特定の担当者のみが管理するのではなく、経理部門や営業部門など、関連するメンバー全員が閲覧・更新できるように共有することです。請求状況をチーム全体で可視化することで、請求の未払いや漏れにいち早く気づけます。

システムの導入

取引件数が多い場合には、請求管理システムの導入が有効です。システムを活用すれば、請求書の作成から承認、送付までを一元的に管理することが可能です。

請求管理や請求書の送付業務をシステム化することで、手作業によるミスを減らすことができます。また、各請求のステータスがリアルタイムで可視化されるため、管理業務の負担も大幅に軽減されるでしょう。

自社に合ったシステムの選び方

請求管理システムの導入は、業務効率化や人為的なミスの削減などさまざまな効果をもたらします。ただし、多種多様なシステムの中から自社に最適なものを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

業務範囲の確認

システムを選定する際には、その対応可能な業務範囲を必ず確認しましょう。一口に請求管理システムといっても、その機能はさまざまです。請求状況の管理に特化したシンプルなシステムもあれば、見積書の作成から請求書の発行、さらには自動送付や入金消込までを網羅する高機能なシステムもあります。

まずは自社が抱える課題は何かを明確にした上で、現行の業務フローと照らし合わせ、必要な機能を持つシステムを選ぶことが重要です。

既存システムとの連携可否

現在使用している他の業務システムとの連携が可能かどうかも重要です。例えば、販売管理や顧客管理システムと連携できれば、営業担当者が入力した受注情報を基に請求データが自動で生成されるため、業務はより正確かつ効率的になります。

一方で、既存システムとの連携が困難な場合は、手作業での転記やデータ加工が必要となり、かえって業務が煩雑になる可能性があります。

十分なセキュリティー対策

請求管理システムは、取引先の情報や取引金額といった機密性の高いデータを扱います。そのため、セキュリティー対策が万全であるかは必ず確認しなければならない項目です。具体的には、データの暗号化やIPアドレスによるアクセス制限、担当者ごとの操作権限設定などが挙げられます。

他にも、第三者機関によるセキュリティー認証(例:ISMS認証)を取得しているかどうかも、信頼性を判断する上で重要な指標です。安心して企業の重要情報を預けられる、強固なセキュリティー基盤を持つシステムを選びましょう。

請求漏れが発生してしまった場合の対応フロー

ここでは、請求漏れに気づいた後に取るべき具体的な対応フローを解説します。

  1. 請求状況を確認する
  2. 取引先に請求漏れのお詫びをする
  3. 速やかに請求書を発行して送付する

1.請求状況を確認する

最初に、本当に請求書の送付が漏れているのかを社内で確認します。債権管理表や会計システムを確認し、該当する案件の請求ステータスをチェックします。

請求書が発行済みと判明した場合は、メールの送信履歴や郵便の発送記録などを確認し、実際に送付されたかどうかの裏付けを取ります。また、担当者にヒアリングも行い、請求書の作成や送付の有無について確認することも忘れないようにしましょう。

2.取引先に請求漏れのお詫びをする

社内調査の結果、請求漏れが事実であると確認された場合は、速やかに取引先へ連絡し、丁重にお詫びをします。可能であれば電話で直接連絡するのが望ましいですが、担当者が不在の場合もあるため、まずはメールで一報を入れるのが確実です。

お詫びメールの例文(発行を忘れた場合)

(件名)【重要】ご請求書遅延のお詫び

(宛先)

株式会社◯◯

経理部 ◯◯様

いつもお世話になっております。株式会社◯◯の◯◯です。

平素より弊社のサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

この度は弊社の不手際により、請求書の発行が漏れていることが発覚いたしました。

多大なるご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。

遅れております請求書につきましては、◯月◯日中に必ず送付いたします。

今後は、社内のチェック体制を強化し、再発防止に取り組む所存です。

改めまして、この度は誠に申し訳ございませんでした。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

お詫びメールの例文(発行が遅れた場合)

(件名)【重要】請求書の送付遅延について

(宛先)

株式会社◯◯

経理部 ◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社◯◯の◯◯です。

平素より弊社のサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

請求書につきまして、本来◯月◯日までに送付すべきでしたが、社内の確認不足により遅延が発生いたしました。

ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。

大変恐れ入りますが、明日◯時までにメールにて送付させていただきますので、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。

今後は、社内のチェック体制を強化し、再発防止に取り組む所存です。

改めまして、この度は誠に申し訳ございませんでした。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

3.速やかに請求書を発行して送付する

お詫びの連絡と並行して、速やかに請求書を発行し、送付します。送付する請求書には、改めてお詫びの文言を添えると丁寧です。

通常は、PDF化した請求書をメールで送付する方法が最も迅速でかつ確実です。その際、メール本文にもお詫びの文面を明記しておくと、誠意が伝わりやすくなります。取引先から原本の郵送を求められた場合には、メールで送付後に郵便対応を行います。

支払い拒否された場合の対応

請求漏れを謝罪し、請求書を再送付したにもかかわらず、取引先から支払いを拒否されるケースもあります。ここでは、支払い拒否に対する法的な考え方と、具体的な対処法について解説します。

請求漏れでも支払い義務は生じる

たとえ自社に請求漏れというミスがあった場合でも、取引の事実が存在する限り、取引先には代金を支払う法的義務が発生します。請求漏れを理由に、支払い義務が消滅することはありません。

前述の通り、代金を請求する権利には時効があり、原則として5年です。この期間内であれば、法的には請求が可能です。したがって、相手から「支払わない」と言われたとしても、毅然とした態度で、事実に基づき冷静かつ適切に交渉を継続することが重要です。

督促状の送付や法的手段を実施する

話し合いによって解決しない場合は、より強固な手段を段階的に検討します。まずは、支払いを促す「督促状」を送付します。それでも支払いがない場合は、法的な効力を持つ「内容証明郵便」を利用して請求します。内容証明郵便は、誰が、いつ、どのような内容の文書を送付したかを郵便局が証明してくれるため、後の法的手続きにおいて有力な証拠となります。

こうした手段を講じても未払いが解消されない場合は、「支払督促」の申し立てや民事訴訟といった、正式な法的手段を検討することになります。ただし、裁判には多くの時間と費用がかかるため、あくまで最終手段とするのが望ましいでしょう。

まとめ

請求漏れは、キャッシュフローの悪化や取引先からの信頼低下など、企業経営に大きな影響を与えるリスクがあります。その主な原因は、債権管理の不備や業務フローの曖昧さ、部門間の連携不足など、組織的な課題に起因している場合が少なくありません。

このようなリスクを回避するためには、業務フローの整備や債権管理表の活用といった日常的な取り組みが不可欠です。取引件数が多い場合は、請求管理システムの導入がおすすめです。

万が一請求漏れが発生してしまった場合でも、誠実な謝罪と迅速な対応によって信頼回復を図ることができます。この記事で紹介した内容を参考に、自社の管理体制を見直し、請求漏れを防ぎましょう。

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小野 智博

記事監修者のご紹介

弁護士 小野 智博

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士

保有資格:弁護士

慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。特に、グローバル事業の支援を得意とし、「国際ビジネス法務サービス」を提供している。また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

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「月次決算に役立つ情報」編集部

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