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経理アウトソーシングで失敗しないためのポイント3つ|メリットや選び方も解説
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煩雑な経理業務に追われながらも、経理の人材不足への対策や、非効率でアナログな業務などへの対応に悩んでいる企業は少なくありません。
人手不足を解消し経理業務の効率化を図るために、経理アウトソーシングを導入する企業が増えています。ただし導入するにはメリットだけでなくデメリットも把握し、注意点や選び方も理解することが重要です。
本記事では、経理アウトソーシングの概要からメリット・デメリット、選び方や注意点まで詳しく解説します。
経理アウトソーシングとは

経理業務を外部の専門業者に委託することで企業の負担を軽減し、業務の効率化を図る手法です。多忙な経理担当者の負担軽減やコスト削減が期待できます。
なお、経理代行についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ご参照ください。
経理アウトソーシングの概要
経理アウトソーシングとは、企業の経理業務を外部の専門業者に委託するサービスのことです。通常、企業が内部で行う記帳、仕訳、給与計算、税務申告、決算書作成といった業務を専門的な知識と豊富な経験を持つプロフェッショナルが代行します。経理アウトソーシングに委託することで、企業は経理業務の負担を軽減しつつ、高い正確性と効率性を確保することが可能です。
サービスを活用することによって、企業は経営資源をコア業務に集中させ、ビジネスの成長を促進できるようになります。
経理アウトソーシングと記帳代行との違い
経理アウトソーシングと記帳代行は一見似たようなサービスに見えますが、対象範囲や提供するサービスの内容に大きな違いがあります。記帳代行は、主に帳簿の作成に特化したサービスです。企業が提供する領収書や請求書などの取引データを基に、正確な記帳や仕訳を行います。
一方、経理アウトソーシングは記帳代行の範囲を大きく超えた包括的なサービスです。記帳に加えて、給与計算、資金管理、税務申告のサポート、決算業務の補助など、多岐にわたる経理関連業務を外部に委託することが可能です。
記帳代行 |
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経理アウトソーシング |
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経理アウトソーシングで委託できる業務
経理アウトソーシングでは、企業のニーズに応じて幅広い経理業務に対応できます。具体的な業務としては、下記のような業務があげられます。
- 仕訳入力
- 帳簿作成
- 請求書・領収書の発行
- 売掛金・買掛金管理
- 給与計算
- 税務申告のサポート
- 月次・年次決算業務 など
これらの業務は企業規模や業種によりニーズが異なるため、アウトソーシング業者は企業の状況や要望に応じた柔軟な対応を行います。
経理アウトソーシングの費用相場

経理業務のアウトソーシング費用は、業務内容によって大きく異なります。主な業務ごとの相場は下記のとおりです。
業務内容 | 費用相場 |
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記帳業務 |
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給与計算業務 |
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決算業務 |
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記帳業務
最も基本的な記帳代行では、1仕訳あたり50~100円が一般的な単価です。また、100仕訳までなら1万円程度、200仕訳で1万5千円程度、300仕訳で2万円程度といったように、月間の仕訳数に応じた段階的な料金体系が採用される場合が多いようです。領収書整理を含めると、基本料金にプラス2~3万円ほどの追加料金が加算されます。
給与計算業務
給与計算の代行は、従業員1人あたり1000~2000円が相場です。具体的には従業員10人で月額1.5~2万円、50人で4~6万円、100人規模になると8~10万円程度となっています。年末調整を行うなどのオプションを追加する場合には、1人あたり500~2000円の追加料金が発生します。
決算業務
決算代行の費用は、企業規模によって大きく異なり、売上500万円未満の小規模企業で7~8万円程度、売上1000~3000万円の規模で15~25万円が目安です。また、会計士に依頼する場合や法定調書等の追加書類が必要な場合は、さらに10~20万円ほどの追加費用が発生します。
なお、経理業務全般を一括でアウトソーシングする場合、売上規模の小さい中小企業で月額15万円前後、売上1億円規模の企業では50万円前後が相場となっています。
経理アウトソーシングのメリット

経理アウトソーシングを導入することで得られる、主なメリットを紹介します。
- 人手不足を解消できる
- 内部不正・人為的ミスを防止できる
- 制度変更や法改正などに柔軟に対応できる
- コア業務に集中できる
- 経理業務にかかるコストを削減できる
人手不足を解消できる
経理アウトソーシングは、経理担当者が不足している企業にとって効果的な解決策です。特に急成長中の企業や中小企業では、経理業務を担う専任スタッフを確保することが難しい場合があります。しかし、外部の専門家に業務を委託することで、人手不足による業務の停滞を防ぐことができます。
また、繁忙期や決算期など、特に業務量が増えるタイミングでの一時的な(もしくは短期間での)依頼もでき、状況にあわせて柔軟に対応することも可能です。
内部不正・人為的ミスを防止できる
経理業務の属人化を防ぎ、内部不正のリスクを低減する効果も期待できます。経理業務を少人数で行う場合、専門性の高い業務特性上、一部の社員に業務が集中しやすく、業務が属人化してしまうことで不正が発生しやすい状況になることがあります。しかし、アウトソーシングを利用することで、経理業務が属人化しにくくなり、さらに外部の専門家によるチェックが入るため透明性が高まり、不正の抑制にもつながります。
また、専門的な知識とスキルを持った、経験豊富な経理のプロフェッショナルが業務を担うため、ヒューマンエラーの発生を大幅な減少も期待できます。
制度変更や法改正などに柔軟に対応できる
経理アウトソーシングの導入によって、、税制改正や法令変更に対し迅速かつ適切に対応できるというのも大きなメリットです。税法や労働関連の規制は頻繁に変更されるため、企業がこれらを常に把握し対応するのは容易ではありません。
しかし、アウトソーシング業者には最新の法改正や制度変更に関する知識を持つ専門家も在籍しているため、必要な対応を確実に実施してもらえます。そのため、企業は法令違反のリスクを抑制することができ、安心です。
コア業務に集中できる
経理業務は正確性だけでなく細やかな対応が求められるため、対応が求められ、多くの時間や労力を必要とします。経費精算・請求書発行業務などを外部に委託することで、内部リソースを業績管理・予算管理・決算業務といったコア業務に振り向けることが可能です。また、経理業務にかける人的・時間的コストを削減することで、経営資源を最適化できる点も大きなメリットです。
請求書業務は人件費や郵送代、管理コストなど多くの負担が伴うため、アウトソーシングや自動化ツールの活用が有効です。
経理業務にかかるコストを削減できる
経理業務にかかるコストを大幅に削減できます。通常、社内で経理業務を行う場合、専任スタッフの人件費、採用コスト、そして経理スキル習得のための教育コストが発生します。アウトソーシングを利用することは、これらの費用を削減できるだけでなく、専門的なスキルを持ったプロによる効率的な作業によって従業員の負担軽減や業務品質の向上も実現可能です。
経理アウトソーシングのデメリット

メリットの多い経理アウトソーシングですが、デメリットもあります。メリットとデメリットの両方を把握・理解したうえで経理アウトソーシングを検討することが大切です。
社内にノウハウが蓄積されない
業務の大部分を外部業者に委託することで、社内に経理のノウハウが蓄積されにくい点がデメリットのひとつとして挙げられます。社内スタッフが経理業務の詳細なプロセスや専門知識を学ぶ機会が減少した結果、経理人材が育成されず、将来的に外部業者に依存せざるを得ない状況になるリスクがあります。
情報漏えいのリスクがある
取引データや給与情報などの機密性の高い情報を外部業者に提供する必要があるため、情報漏えいのリスクが伴います。万が一、情報が漏えいした場合には、企業の信頼性が損なわれるだけでなく、法的な責任や損害賠償が発生する可能性もあります。そのため、アウトソーシング業者を選ぶ際には、セキュリティー対策が万全であるか、秘密保持契約を締結するのかを慎重に確認することが不可欠です。
アウトソーシングを依頼する際には、データの暗号化、アクセス制限、従業員へのセキュリティー教育などが適切に実施されているかを確認する必要があります。
イレギュラー業務や急ぎの業務に対応ができない場合がある
依頼する業務内容や契約条件が明確に定められているため、契約外のイレギュラー業務や急ぎの対応には柔軟に対応できない場合があります。例えば、突発的なトラブルなどで急に必要となる報告書の作成などは、事前に取り決められた業務範囲を超えることが多く、対応が遅れる可能性があります。また、アウトソーシング業者のスケジュールやリソースの都合により、即時対応が難しい場合もあります。
経理アウトソーシングで失敗しないためのポイント3つ

経理アウトソーシングで失敗しないためには、実績、コミュニケーション、セキュリティーの3つの観点から、適切な業者選びをすることがカギです。
業務実績が豊富にある
業務実績が豊富かどうかは、経理アウトソーシングを選ぶ上で信頼性の測る指標になります。実績の少ない業者に依頼をしてしまうと、業務の正確性に欠けたり、ミスやトラブルを招いたりする恐れがあります。一方で、多くの企業と取引実績のある業者は、さまざまな業種や規模の企業に対応したノウハウが蓄積されているため、スムーズで質の高いサービスを提供してもらえる可能性が高いでしょう。
コミュニケーションが密にとれる
アウトソーシングを成功させるには、業者との密なコミュニケーションも欠かせません。業務の進行確認や課題解決の際、迅速かつ的確に連絡が取れる業者を選ぶことで、業務の透明性が確保され、トラブル時にも迅速な対応が可能になります。事前の打ち合わせでレスポンスの速さや話しやすさなどを確認し、親身になって対応してもらえる業者を選ぶことが重要です。
セキュリティー対策が十分にされている
経理業務では機密情報を取り扱うため、セキュリティー対策が十分な業者を選ぶことが必須です。「プライバシーマーク」や「ISMS」の認証を取得しているか、データ暗号化やアクセス制限が実施されているかなどをチェックしましょう。これにより、情報漏えいリスクを最小限に抑え、安心して業務を委託することが可能になります。
経理アウトソーシングを依頼する際の注意点

経理アウトソーシングのスムーズな導入のためには、事前の準備が不可欠です。以下の注意点を参考にしてください。
事前に業務フローを整備する
経理アウトソーシングをスムーズに進めるためには、委託前に社内の経理業務フローを整備することが重要です。改めて業務フローを見直すことで、無駄な作業や業務の偏りがないかをチェックし、より効率的な業務体制を構築できます。
例えば、重複した作業や不要な業務があれば、それを取り除いておくことで引き継ぐ内容が明確化しやすくなります。また、どの業務を外部に委託し、どの業務を社内で行うかをあらかじめ整理しておくと、業務分担が明確になりトラブルの発生を防ぐことにつながります。
委託する業務内容を明確にする
依頼する際には、委託する業務内容を明確に定義しておく必要があります。業務範囲が曖昧なままでは双方の認識のずれが生じやすく、トラブルの原因となる可能性があります。記帳代行、給与計算、決算サポートなど、具体的にどの業務を委託するのか、またその詳細な内容や成果物の納期、責任の範囲などを明確に取り決めておくことが重要です。
これを行うことで、業務の進行がスムーズになり、効率的なアウトソーシングが実現します。委託内容が適切かどうかを事前に十分に協議し、自社のニーズやリソースに合った業務分担を検討しておきましょう。
定期的に進捗(しんちょく)確認する
経理アウトソーシングを成功させるためには、定期的に進捗(しんちょく)状況を確認することが重要です。業務を外部に委託している場合でも、すべてを任せきりにするのではなく、ミーティングや進捗(しんちょく)報告を通じて、業務が計画通りに進んでいるかをチェックしましょう。特に、問題が発生した際には、早期に対応することでトラブルを未然に防ぐことができます。
また、アウトソーシング業者からのフィードバックも受けられるので、業務改善に役立ちます。定期的な確認を行うことで、委託業務の透明性が高まり、より良い協力体制を築くことが可能になります。
まとめ
経理アウトソーシングは、人手不足や業務効率化の課題を解決しコスト削減を実現する有効な手段です。特に、請求書業務は人件費や郵送代、管理コストなど多くの負担が伴うため、アウトソーシングや自動化ツールの活用が有効です。
経理業務を効率化する方法として、アウトソーシングだけでなくシステムの導入も効果的です。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部