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経理BPOとは?経理業務をアウトソーシングするメリットと注意点を解説
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経理業務の負担軽減や効率化を目指す企業に注目される「経理BPO」。経理業務をアウトソーシングすることで、コスト削減や人材不足の解消などが可能です。一方、導入にあたっては情報漏えい対策や費用対効果の検討など、注意すべき点があります。
この記事では経理BPOの基本から導入のメリット・デメリット、サービスの選び方まで、わかりやすく解説していきます。経理業務の最適解を見つけるため、ぜひ参考にしてください。
経理BPOとは?

経理BPOとは、企業の経理業務の一部または全部を外部の専門業者に委託することです。コスト削減や業務効率化、人材不足解消などのメリットがあることから、経理BPOは近年特に注目されています。
そもそもBPOとは
BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業の業務プロセスを外部の専門業者に委託する形態です。これに対し、従来のアウトソーシングは、企業内の個々の業務やタスク単位での委託を指します。
つまり、アウトソーシングは特定の業務のみを外部に任せるのに対し、BPOは業務の流れ全体、たとえば受注から納品までの一連のプロセスや顧客対応の全体的な流れなど、プロセス全体を見渡して外部に委託する点が特徴です。
BPOの対象となる業務は多岐に渡り、IT、人事、総務、経理、営業など、企業のさまざまな部門の業務が委託可能です。特に経理部門では、法改正対応など専門性が求められる業務が増えているため、BPOの需要が高まっています。
経理BPOについて
経理BPOとは、企業の経理業務の一連のプロセスを外部の専門業者に委託することを指します。このプロセスには、たとえば以下のような業務も含まれます。
- 記帳代行
- 請求書処理
- 経費精算
- 給与計算
- 決算業務
- 税務申告
経理BPOではこれらの経理業務を一括して外部に委託することで、社内の経理担当者はルーティン業務から解放され、戦略的な財務分析や経営判断に専念できるようになります。
経理BPOが注目されている背景
近年、企業の経理業務を取り巻く環境は大きく変化しています。経理BPOが注目される背景にあるのは、例えば以下のような要因です。
働き方改革
働き方改革とは、多様で柔軟な働き方を働き手自らが選択できるようにするための取り組みです。国はこの改革を進めるため、2019年4月1日から「働き方改革関連法」を順次施行してきました。
従業員の多様な働き方を支援し、限られた時間で成果を出すために、企業には経理業務も含め、業務効率化やアウトソーシングの積極的な導入が求められています。
人材不足

少子高齢化が進む日本では、経理担当者の採用難や育成コストの増加が深刻化しています。日本商工会議所と東京商工会議所の調査によると、対象となった6,013社の中小企業のうち、人手が「不足している」と回答した企業は65.7%でした。
専門知識や経験が求められる経理業務においても、多くの企業で人材不足が顕著になっています。
日本商工会議所|「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」
DX推進
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを変革することです。
経理業務は多岐にわたるうえ複雑な作業が多いことから、デジタル化による業務効率化やデータ活用が必要とされています。経理業務でもDXを推進することで、業務の効率化と生産性の向上が促進され、少ない人材リソースでも業務に対応できるようになります。
経理DXの詳細については以下の記事をお読みください。
経理BPOを導入するメリット

経理BPOの導入は企業にさまざまなメリットをもたらします。ここでは代表的な4つのメリットについて説明します。
コスト削減
経理BPOはさまざまな面でコスト削減に貢献します。具体的には以下のような費用を削減できます。
費用の種類 | 支出内容 |
---|---|
人件費 | 担当者の給与、社会保険料 |
採用活動費 | 求人広告費、面接など採用活動の費用 |
教育・研修費 | 従業員の教育・研修費用 |
オフィス固定費 | オフィス賃料、光熱費 |
さらに、専門業者が最新の技術とノウハウを提供するため業務の精度向上と効率的な運営が可能となり、結果的に企業全体のコストパフォーマンスも向上します。
業務効率化
経理BPOは、標準化・自動化による業務効率化、人為的ミスの削減、AIやRPAなどの最新技術による効率化など、さまざまな面で業務効率化に貢献します。
例えば、以下のようなノウハウを活用することで、月次決算や財務報告などの重要業務が迅速かつ正確に処理され、全体の業務効率化が図られます。
- 定型的な経理業務を自動化する
- 複数のシステム間でデータを連携させる
- AIを活用して過去のデータから将来を予測する
経理業務の効率化については、以下の記事もご覧ください。
人材不足の解消
専門性の高い人材の確保が難しい場合、BPOを活用することで人為的ミスを削減できるほか、社内の人材を戦略的な業務に集中させることが可能になります。
具体的には以下のような方法によって、限られた人材リソースをより戦略的な業務に振り分けることができ、経理部門全体のパフォーマンス向上とリスクの軽減を実現できるでしょう。
- 外部の専門業者に経理業務を委託する
- 必要な時に必要なスキルを持った人材をスポット的に活用する
コンプライアンス強化
経理BPOは、法改正への対応、セキュリティー対策、内部統制の強化、専門家によるリスク管理体制の構築など、さまざまな面でコンプライアンス強化に貢献します。
例えば以下のような方法により、企業は信頼性の高い経理運営を維持しつつ、安心して業務を遂行できます。
- 常に最新の法制度に対応した業務プロセスを構築する
- 情報セキュリティー対策を強化する
- 内部統制の仕組みを構築する
経理BPO導入の注意点

経理BPOは多くのメリットをもたらしますが、導入にあたっては注意すべき点もあります。ここでは、特に重要な3つの注意点について解説します。
情報漏えいリスク対策
外部に業務を委託する場合、企業の機密情報が漏れるリスクは常に存在します。特に経理業務は、財務データや取引情報など極めて重要な情報を扱うため、セキュリティー対策が不可欠です。
情報漏えいリスクに対処するには、主に以下のポイントを徹底的に確認する必要があります。
- 委託先のセキュリティー体制は整えられているか
- 情報保護ポリシーはできているか
- 暗号化技術は導入されているか
- アクセス管理が徹底されているか
定期的なセキュリティー監査やリスク評価を実施し、万が一の情報漏えい時に迅速に対応できる体制を整えておくことも重要です。
コミュニケーション不足の克服
経理BPOを成功させるには、委託先との密なコミュニケーションが必須です。情報共有が不十分だと業務の滞りや誤解を招く恐れがあります。
コミュニケーション不足を防ぐためには、委託先企業との報告体制や連絡体制を構築することが重要です。具体的には、定期的なミーティングの実施、報告体制の明確化、迅速な連絡ルールの設定などが求められます。
双方の責任範囲を明確にし、専任の連絡窓口を設けるなど、問題解決や改善提案がスムーズに進むための環境作りも大切です。
費用対効果の把握
経理BPO導入には初期費用や運用コストが発生するため、費用対効果を十分に評価することが求められます。
自社の業務規模や必要なサービス内容に対し、委託先の料金体系が適切かどうかを慎重に検討しましょう。複数社から見積もりを取り、サービス内容、サポート体制、追加費用の有無などを比較することで、総合的なコストパフォーマンスを判断できます。
導入後の業務効率化と費用とのバランスを見極めて、最大限の費用対効果を実現するポイントをしっかり把握することが重要です。
経理BPOサービスの選び方

自社の経理業務に最適なBPOサービスを選ぶには、提供サービスの内容、実績、セキュリティー対策、そしてコスト面を総合的に評価することが重要です。
サービス内容
まずは、各社が提供するサービス内容をしっかりと確認しましょう。経理BPOの場合、伝票処理、仕訳入力、決算、税務申告などの業務のうち、どの範囲まで委託できるかを確認します。
自社の経理業務の現状や課題に合わせ、必要な範囲や専門性がカバーされているか、また柔軟な対応が可能かどうかを見極めることが大切です。サービスの提供範囲が明確であれば、後々のトラブル防止にもつながります。
実績と信頼性
サービス提供企業の過去の導入実績や顧客満足度、企業の安定性などは、重要な判断材料のひとつです。
実績豊富な企業はさまざまな業種や規模の企業との取引経験があり、トラブル発生時の対応力も高い傾向にあります。また、第三者の評価や口コミ、評判などを参考にすることで、実際の運用イメージや信頼性をより正確に把握することができます。企業の安定性は、資本金や創業からの年数によって判断できるでしょう。
セキュリティー対策
経理業務では機密情報の取り扱いが避けられないため、情報セキュリティー対策は最優先事項といえます。
委託先企業がISO認証(自社のサービスやシステムの品質が国際的な基準をクリアしていることを証明する国際規格)などの情報セキュリティーに関する認証を取得しているか、データの保管方法やアクセス権限の管理が厳格に行われているかを確認しましょう。また、定期的にセキュリティー監査やリスク評価を実施しているかも重要な評価ポイントです。
導入・運用コスト
料金体系はサービス選定の重要な要素です。初期費用、月額費用、さらには追加費用の有無など、コスト構造をしっかりと把握しましょう。
そのためには複数社から見積もりを取得し、サービス内容とのバランスや長期的な運用コストの比較が必要です。料金体系が明瞭で、費用対効果が高いと判断できるサービスを選ぶことにより、投資に見合った成果を得ることができます。
経理BPOを導入するプロセス

経理BPOの導入は、企業の経理業務を効率化し、コスト削減や人材不足解消につながる有効な手段です。ここでは経理BPO導入のプロセスを、3つのステップに分けて解説します。
ステップ1.RFPの作成
導入プロセスの第一歩は、目的や業務範囲、予算などを明確にしたRFP(提案依頼書)の作成です。まずは自社がどの業務を委託したいのか、求める成果や期待する改善点を具体的に整理して、内部での合意形成を図りましょう。
これにより、委託先に求めるサービス内容や条件が明確になり、後の選定や交渉を円滑に進めるための基礎資料となります。
ステップ2.BPOサービスの選定
次のステップは、複数のBPOサービス企業から見積もりを取得して比較検討することです。サービス内容、提供範囲、費用、コミュニケーションの取りやすさなど、複数の視点から評価します。
特に自社の業務プロセスや課題にマッチする専門性と、柔軟な対応力を持っている企業を選ぶことが重要です。各社の実績や信頼性、セキュリティー対策も踏まえ、最もコストパフォーマンスに優れたパートナーを決定しましょう。
ステップ3.契約〜委託開始
最終ステップでは、契約締結と委託開始に向けた詳細な調整を行います。具体的には、委託範囲、委託期間、費用、守秘義務契約、契約解除条件など、契約時に確認すべきポイントを十分に検討して、双方で合意を形成します。
契約締結後は、委託先との協議を継続しながら業務運用を開始します。
まとめ
この記事では、経理BPOの基本から導入のメリット・デメリット、サービスの選び方、導入プロセスまで解説しました。
近年、働き方改革や人材不足、DX推進などの背景から、経理業務の効率化や省力化が求められています。専門業者に経理業務を委託する経理BPOは、コスト削減、業務効率化、人材不足解消、コンプライアンス強化など、企業にさまざまなメリットをもたらします。
一方で、情報漏えいリスクやコミュニケーション不足、費用対効果など、注意すべき点もあります。経理BPOサービスを選ぶ際には、サービス内容、実績と信頼性、セキュリティー対策、コストなどを比較検討し、自社に合ったサービスを見極めることが重要です。
RFPの作成、複数社からの見積もり取得、契約締結など、導入に向けた適切なプロセスに留意しながら、自社に最適な経理BPOを選びましょう。
なお、社内で経理業務を効率化する場合にはクラウドサービスの活用も有効です。
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執筆・編集
「月次決算に役立つ情報」編集部